レコーディング映画X2 『THE COCKPIT』 『Beauty Of Tradition』

今月は結構映画を見た月で、MAD MAX Fury Road以外にも劇場で2本映画を観ました。

一つは『THE COCKPIT』

"SIMI LAB のMCでトラックメイカーであるOMSBと THE OTOGIBANASHI'S の bim らヒップホップアーティストが、楽曲作りに取り組む姿を記録した音楽ドキュメンタリー­。とあるマンションの一室で、楽曲が生まれるまでのプロセスをつづる。"
という、ほんとにそういう映画でした。レコードをかけて気に入った部分をサンプリングするところから、曲作りが始まり、トラックづくり、詩作り、そして歌入れ。何度も何度もレコードを変えたり、ビートを入力するのを何度も何度も繰り返したり、そしてラップも何度もNGを出しながら完成形へ持っていくその試行錯誤がきっちり描かれるのが面白く、あぁレコーディング映画って初めて見るジャンルだけどこういう感じなのかと想いながら見てました。

そしてもう一つの主軸がOMSBとbimらのその空気感。大学の頃たまり場になってた友達のアパートの一室の様なあのいーい雰囲気が最高にピースフルで、いいなぁって思いました。そして出来上がった音源も良かった。remix verがこちらになっています。(webサイトのTOPから聴けます)

私が見た日は渋谷ユーロスペースでの最終日で、三宅監督の挨拶もあったのですが、その時アナウンスされていたOMSBのリリースパーティ、気になります。昨日WWWで行われた入江陽のライヴの客演も評判良いし、何より新譜がヤバイ!
OMSB "黒帯 (Black Belt Remix)"

きいて買っちゃいましたよ!最高じゃん、この曲。みたいなぁライヴ。

そしてもう一本はこの間の土曜にポレポレ東中野で封切されたBeauty of Tradition-Under the sky of YANGON - (邦題 : BEAUTY of TRADITION_ミャンマー民族音楽への旅_)

昨年、ひょんなことからミャンマー音楽が自分の中で熱くなったのですが、その頃に丁度タイミングよく出されたミャンマー伝統音楽の現地録音盤、そのレコーディング風景が写された映画でした。

ミャンマーの伝統楽器にサインワインというメロディを奏でる輪吊太鼓があるのですが、これがヤバいんですよ。まずはこれを観てみてください。

ヤバくないっすか?ガムランと、インドと、中国とタイが混じったようなハイブリッドな民族音楽オーケストレーション。これで一気にハマって第四回 酒と小皿と音楽婚礼― Folk And Pop Music Of Myanmarと常陸野ネストだいだいエールでスパイシーになんて感じに音源をDigっていたのです。

この映画は現地スタジオでの録音風景と、ヤンゴン紀行的な感じですかね。『コクピット』は1時間だったので、まぁぎり耐えられましたが、2時間レコーディング映画は結構きつかったですw
ただ、サインワイン以外の色々な楽器が音と名前とみれたのがかなりの収穫で、更にタンジャッという交互にうたう囃子歌がパンキッシュにも聞こえて気に入りました。

何より、この映画、CD付きなんですよ!
映画で取り上げられてる曲は大抵入っていて、正直これだけで1700円くらいの価値ある一品です。レコーディング映画のおまけにそのレコーディング作品をつけるというのは非常に良い企画だと思いました。やはり後半の旋律太鼓が非常に良いです。

私が見た回は監督らのトークが上映後にあったのですが、今後もトーク企画目白押しで、ASA-CHANGの回もあるようです。この映画、お勧めです。CDとトークだけでもお釣り来ると思いますよ!

ちなみに『THE COCKPIT』もユーロスペースでのアンコール上映や、関東だと他には横浜シネマリン、その他全国劇場でこれからまた上映されるそうなので、こちらも要チェキです。2本とも、音楽の魔法の作られる泥臭い部分がきちんと描かれていて興味深いですよ◎


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# by wavesll | 2015-06-30 22:26 | 小ネタ | Trackback | Comments(0)

マッドマックス 怒りのデスロード4Dx@新宿TOHOシネマズ感想&1・2観た後の追記

行ってきましたマッドマックス。
仕事終わりに降雨の新宿でミツメのインストアライヴをみて、人生初ゴールデン街で飲んで、歌舞伎町経由で新大久保を一回りして、新宿TOHOでマッドマックス4Dx、そして今マンボーにいます。飲んでます。頭回ってませんwつか、映画観る段階でも酔ってて思考回ってなかったwでも面白かったw

なんで短文重ねて感想ぱぱっと書いちゃいます。

マッドマックスと自分の出会いは『北斗の拳』ではなく、鳥山明の短編でした。『MAD MATIC』という荒野を舞台にした世界観まんまな短編があるんです。また『PINK』というやはりマッドマックスにインスピレーションを受けた権力者が水を支配する短編があって、それらが小中高生の頃の自分に、原体験として刷り込まれていたのです。鳥山さんは、自分にとって一種の神というか、カリスマなのでその鳥山教信者としてはキリスト教徒にとってのヤハウェのような存在の一つに、マッドマックスがあったわけです。

と、書きながら、今までの作品はみてないという俄っぷりでの鑑賞でした。それでも、ほとんど問題なく映画を楽しめました。午後ローで放送したの、録っておいたのでこれから楽しみに観ますw

もうね、怒涛、怒涛の展開。前半から中盤までの怒涛のデスロードぶりはほんと4Dxの効果も相乗して凄いものがありました。

4Dxなのですが、これは面白いですね。ほんと遊園地のライドみたい。特にマッドマックスは水が象徴的に使われる物語だけあり、水の効果は凄かった。あと匂いが想像以上に空気感を伝えていましたね。
ただ、こうして映画内での現象が実際に起きる装置を体験していると"再現できていない現象"についつい意識が行ってしまうのもいなめないところ。今回で言うと"砂"と"炎の熱"の欠落は大きく感じました。でもまだまだ体感型映画システムは発展途上だし、今後の進化に期待です。

すげー面白くて、すげーなーとは思ったし、星つけるなら4ツ星ぐらいは行く超弩級B級映画だったのですが、事前の期待値があまりに高すぎたせいでその想像を超える"ヤハウェ神"な体験まではいかなかったかな。。ゴールデン街で話したお兄さんが「ずっと砂漠で寝た」といってたけど、確かに単調っちゃ単調だし、劇中でドラムとギターが打ちがならされるのですが、そのロックな暴力性が、なんというか、ロック少年としては不覚ながらも、、、ダサいというか、如何にも旧世代だなという感じがしてしまったのです。かといってEDM鳴らされてもあのスチームパンクならぬガソリンパンクとでもいうべき雰囲気には合わないですけれど。。

あと、エンディングロールでかかった曲が、なんか洋楽ロックも今の邦楽ロックと同じような感じで、ロックの進化が止まっちまったのもこのもやもやの一因かなぁなんて思ったら、マンウィズとゼブラヘッドのコラボ曲なんですね。いや、かっこいい曲ではあったのですが、"今マッドマックスをやる意味"はどこかなんてい考え出すとおもやもやするというか。でもきっと「何も考えずライドしちまえばいいのさ」ってことなんかも。面白さは90点、でも芸術的なプラスアルファはあんまかな、と言いたところが正直な感想でした。でも、4Dxの今後は楽しみ。総額3400円も払ったけど、それだけの価値はある!もし理屈をこねくり回したい人がいたら、「権力者によって与えられたかりそめの安らぎから脱して、自由を勝ち得るためには、闘争と本気の覚悟と犠牲が必要なんだ」というお題目を放って、俺も寝ますw

2015.6.30日追記
やー、その後、録画していた『マッドマックス』と『マッドマックス2』をみました。
凄いね、1から2へ行ったその跳躍力が凄すぎる!敵キャラの垣間見せるゆるいシーン(モヒカン剃ったり)なんかは、最新作にも通じる良さがありますね。2の敵のキャラの濃さがスゲーなー。そしてそれに引けを取らないくらい最新作がシリーズ最高クラスの出来だというのもわかりました。

前回感想を書いたとき、"面白さは90点、でも芸術的なプラスアルファはあんまかな"と書いたのですが、これは寧ろ逆ですね。最新作が一番尖ってアート的なスタイルだと思いました。

怒りのデスロードがちょっと単調だなと想ったのは、ドラマ成分の少なさによるところが大きいんだなと思います。3はみていないのですが、ドラマ度でいうと1>2>怒りのデスロード。個人的には2くらいのバランスが一番見ていて面白さを感じれる配分なのですが、マッドマックスのマッドマックスたるスペクタクルを期待する人には、最新作は最高なのではないでしょうか。その圧倒的なスペクタクルに純化した作りが、アート的ですらあるなと今なら思います。ビジュアルも格段にブラッシュアップされてますしね。美しい映画でした。きれーなねーちゃんもでてるしw
MX4Dxでみると、クルマの揺れがダイレクトにごつごつ振動するので、本当に自分も同じ車両に乗っているように感じれるので、やっぱりお薦め。4Dx上映は終わるまでの期間が短いかもしれないので、ぜひぜひ体験をお勧めします!

そしてドラマ部分に関してもここの考察(ガンガンネタバレ有)を読むと、今新しく挑戦した箇所がわかって、また見返したくなりました。4Dxでないところでは、関東では立川の爆音上映というのも評判がいいみたいです。3もみなきゃなー。

そして個人的にはマッドマックスにぴったりだと想ったロックパフォーマンス@Glastonbury2015。
AC/DCではなくモタヘですwもう明日は7月、フジロック行かれる方は楽しみですね!
Motörhead - Ace of Spades (Glastonbury 2015)


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# by wavesll | 2015-06-27 03:14 | 小ネタ | Trackback | Comments(0)

シンプルなかたち展と鎌倉光明寺で行われた電子音響

先日、森美術館で開かれていたシンプルなかたち展へ行ってきました。

ポスターにもなっているコンスタンティン・ブランクーシ/空間の鳥の他にも、素晴らしい作品がそこかしこにおいてあって、大変満足できました。

良かったものを羅列すると
シャルロット・ペリアン/ 木片 リ・ウファン/関係項ーサイレンス グザヴィエ・ヴェイヤン/光線 ヴォルフガング・ティルマンス/フライシュヴィマー(自由な泳ぎ手) オラファー・エリアソン/丸い虹 仙厓/円相図 マルセル・ダッソー/プロペラ「エクレール」、空間の鳥 大巻伸嗣/リミナル・エアー スペース―タイム マルク・クチュリエ/半月 田中信行/イメージの皮膚:内界ー外界 ロベール・ル・リコレ/あらかじめ張力をかけたモンキー・サドル(#002) アントワーヌ・ペウズナー/30°の動的な投影 トーマス・ジェファーソン(発案者として)/土工板モデル 杉本博司/観念の形 0001 らせん体:極小曲面 ジャン・アルプ/大ばか者 アニッシュ・カプーア/私が妊娠している時 ノット・ヴィタル/頭 #4 メダルド・ロッソ/貧しい食事をする子供 エマニュエル・ソーニエ/独奏 忘却を忘却することなく カールステン・ニコライ/アンチ
と大漁な様相を呈しました◎

途中で実際に数学的なモデルの作品もあったのですが、フォルムを突き詰める過程で生まれた作品はどこか理知的というか、宇宙的な美しさや工学的な美しさがありました。

また、改めて思ったのは私は美術館の匂いが好きだなぁという事。いい匂いしませんか?美術館ってwあの甘い匂いが空間をより上質なものにしていると思います。

『シンプルなかたち展』のあの感覚を、どうにかして伝えられないかなと思っていた時に、「そうだ、あの音なら似たような感触を伝導できるかも」と想ったのが、この音源です。

Live at Kamakura Komyoji 12th April, 2014

96kHz, 24bitの揺らめきは、上質で、厳かで、心を蕩かしてくれます。先日教えてもらったこの音源、これを足掛かりに12kを掘っていくのもいいなぁ、なんて想いました。ただの水が美酒に変わるような、液体的な錬金術が心地よかったです。

シンプルなかたち展は7/4まで、六本木で開かれているので、もし良ければお薦めです。
音声ガイドがこちらで聴けます。



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# by wavesll | 2015-06-21 11:30 | 私信 | Trackback | Comments(0)

SAKEROCK好きに薦めたいアフリカンフィールドレコーディング

SAKEROCK / Emerald Music [Music Video & Best Album Trailer] サケロック / エメラルドミュージック

昨日結構気合入れてエントリ書いちまったもんで、今日はさらりとしたネタで更新しときます。

(失っていたとみられた)ゼロ年代邦楽ベストと現在の都市インディーに取り上げたアルバムが00年代前半のものがほとんどな様に、自分はゼロ年代デビュー組をほとんどちゃんと聴いてこなかったので、SAKEROCKもラストアルバムで初めて聴きました。そして、もうひと月弱前になるのかな?国技館での解散ライヴ中継、みてました。

内容はラストアルバム試聴で気に入ったエメラルドミュージックを二度やってくれたり、「やっぱ好っきゃね~N」で盛り上がったり、楽しい時間を過ごせました。あとやっぱり星野源はガチで人気なのか、TL上の女子達が観てるパーセンテージが高かったですねwこういう女の子に人気のバンドって昔は気に入らなかったのですが、今は色々経験を積んで「モテる奴は敵ではない」という境地へ行けたのも有り、楽しく見れたなぁ。ってか在日ファンクのハマケンもメンバーなんですね。いつかのRIJFシーサイドステージでみたなぁ。

エメラルドミュージックでもそうですが、星野源のマリンバがいいですねー。木琴ってなんでこんなにいいのかなぁ。きもちえーわーと想っていたのですが、そこでSAKEROCK好きの人に同じ"宝石"の名を冠したアルバム、気に入るんじゃないかなぁなんて想い、お勧めしたいのです。

それがこれ
V.A. / AFRICAN GEMS, Recorded In Central Africa Between 1965 And 1982
アフリカ各地でのフィールドレコーディングで録られたポリリズム、ミニマル、天然アンビエント、ナチュラルトランスと言うまでもなく音楽を楽しむ原始の喜びに満ちあふれた音の小宇宙は、原始からの気持ちよさと、ある意味で未来を感じるようなスーパーナチュラルな昂奮を味わえる一枚だと思います。こちらのサウンドクラウドでダイジェストが聴けます。

ゼロ年代後半は邦楽聴かずに世界の民族音楽聞きかじっていたなぁ。
今回のアフリカものが気に入ったら、カメルーンのFrancis Bebeyへ行ってもいいでしょうし、このエントリで紹介したトロピカルな音楽へ行くのもありだと思います。暑くなってき過ぎたらパタゴニアの現代フォルクローレで涼をとるもよし、深く広大なブラジル音楽へ足を踏み入れるもよし、、、いつの間にかワールドミュージックを薦めるエントリになってしまったwというわけで、ワールド音楽、お勧めです。逆に俺はゼロ年代邦楽、掘って行こうかな、SAKEROCKあたりから★

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# by wavesll | 2015-06-18 21:03 | 小ネタ | Trackback | Comments(0)

(失っていたとみられた)ゼロ年代邦楽ベストと現在の都市インディー

今、twitter上でちょっとした盛り上がりをみせている#ゼロ年代邦楽ベスト10枚、重い腰を上げてやってみることにしました。

"重い腰"と書いたのには理由があります。私は1984年生まれで今30なのですが、10代20代30代の区切りがあったからか、[XX年代] という言葉から想い起される、それぞれの年代のそれぞれの年代らしい潮流って、XX年代の半ばから生まれる気がするのです。

この思いを抱いたのは90年代を体験したからかもしれません。95年に阪神大震災、オウム、エヴァと波状的にドラスティックな事象が起きたことが強烈に心に残ったことはこの感慨の大きな要因でしょう。これに呼応するように、メインストリームで小室ファミリーが強烈に享楽的な音を鳴らし、そして98年あたりで出てきた椎名林檎が2000年に200万枚売った時代。音楽バブルと呼ばれた、あのメインストリームとカウンターカルチャーが明確に機能しながら、両輪がぐるんぐるんと大回転していた時代、どこか叫び声の様な張りつめた歌が世の中を彩っていた時代でした。

一方でゼロ年代のゼロ年代らしい事象は、自分にとってはmixiに代表されるSNSの台頭でした。今調べるとmixiのサービス開始は2004年だそうです。2000年前後でブランキー、イエモン、ミッシェル、ジュディマリ等の90年代からのバンドが次々と解散し、一方でロックインジャパンが始まり、バンプ、アジカンなどが台頭した時代。音楽業界はファイル共有サービスに対抗してCCCDを出すも、iPodという大潮流には勝てず、そして2005年に始まったYoutubeによってどんどんとCDの売り上げは落ちていきます。そんな時代のメインストリーム/或いは"音楽好き"が聴く界隈の音楽に共通して感じたのは「穏やか、或いは明るい音楽」が聴かれる時代になったなぁという事。メインストリームだとコブクロやいきものがかりがよくかかっていた覚えがあります。

先日ソ連・東欧グルーヴィナイトと言われるイベントへ行った際、ソ連で一般大衆が政府に隠れて聴いていたジャズやファンク、ポップスなどを聴けたのですが、それらの音楽は"ソ連"というイメージからは真逆の、明るくて楽しい、トロピカルな感すらある音楽が多かったのです。これはきっと、当時のソ連が明るくて楽しかったからこういう音楽が流行ったのではなく、寒くて辛くて暗い世を忘れる為、こうした希望を音楽に託していたのではないかと、イベントに来ていた方と話しました。

これはゼロ年代の音楽状況にも同じことが言えるのではないかと思います。最も顕著なのはフィッシュマンズ・リヴァイヴァルでしょう。あの狂乱の90年代の音楽界で鳴らされた音は、穏やかで、優しくて、そしてはっきり言えば"諦念"が鳴らされていました。鬱の曲、と言えるでしょう。何しろ自分、ゼロ年代に2度鬱をやってますから、そんな私が言うのだから間違いありません(苦笑 さらに言えばゼロ年代のフィッシュマンズリユニオンでは様々なゲストヴォーカルが参加し、非常にピースフルなジャムが展開され、佐藤さんの鬱すら取り除かれたような、"仲間たちと繋がり、平和に明るくやろう"という音が鳴らされていたように思います。好きなんですけどね、リユニオンフィッシュマンズ。映画も東京verと大阪verで映画館で二度見ましたし。

さて、ここまでつらつらと書いてきたのは、今、2015年にゼロ年代邦楽が語られるのは、ようやく10年代らしい潮流が勢いを増してきて、ゼロ年代を総括する時期になったからなのではないかなと想ったからでした。もっと直截的に言えば、シティ・ポップ、都市インディー等の呼称で呼ばれる若手の一群が、ここ一二年でぐんぐんと存在感と数を増しているからではないでしょうか。

ミュージックマガジンがceroと新しいシティ・ポップ特集でくくったミュージシャンたちは、あまりに様々なジャンルが多すぎて、「おいおいこれじゃ今の若い奴らで面白そうなのを全部ぶち込んだみたいじゃないか」と想ったのですが、その感想はおそらく正しくて、ゼロ年代に成長され形成されていった"ロキノン系"という潮流とは別の匂いがするバンド、ミュージシャン、そうした新パラダイムに"シティ・ポップ"と名付けたのでしょう。ただ私はMikikiが使っている"都市インディー"という言葉の方が好きなので、エントリのタイトルにはこちらを使いました。

さて、冒頭に"重い腰を上げて"と書いた理由を述べますと、実は私はそんなにゼロ年代のバンドを聴いてないんですよね。その頃私が聴いていたのは、ROVO等のインストモノからボアダムスへ行ったり、フィッシュマンズを聴いたり、オザケンを聴いたり。或いは90年代に活躍したバンドのメンバーがexとなって始めたバンドを聴いたり。そしてジャズやワールド方面へ行っていたのです。

10年代に入ると歌詞が邪魔臭く感じるフェーズへ入り、いわゆる洋楽をようやく聴きはじめたりしていたもので、ゼロ年代のバンド、具体的に名前を出せばエルレガーデン、フジファブリック、椿屋四重奏、マキシマムザホルモン、ベースボールベアー、ビートクルセイダースetcといったいわゆるロキノンなのも聴いていなければ、林檎原理主義者だった為東京事変も聴かなかったのです。

そんなわけで、ゼロ年代のバンドにはそこまで食指が動かなかったのですが、子より孫は可愛く感じるのか、10年代の都市インディー組は凄く面白く聴けています。再び歌詞へ興味が向いてきたこともあるかもしれませんが、彼らのモード感は今の自分に非常にフィットするとともに、新しい刺激を提示してくれているなと想ったのです。

そんな自分があえて挑む"ゼロ年代邦楽ベスト10枚"、前置き(というか本文w?)が長くなりましたが、宜しければ御笑覧下さい。コメントも付けました。

1. Sherbets / Vietnam 1964
これは当時というより、最近聞き返してヤバいことに気付いた、自分にとっては現在進行形の名盤です。三輪バギーカミソリソングBlack Jennyと、ブランキー解散後最もキャッチ―だったシングルを3枚出していたにもかかわらず、なんとそれらを入れないという強気振りに、当時は「いや、カッコいいけれど渋すぎる。正直シングルも入れてほしかった」などと想っていたのですが、冒頭の「岬のさる」のつんざくサウンドなんか、『セキララ』の隠しトラックを超える攻撃性だったなと聞き返したら、その強靭な音に度肝抜かれました。911が大きく影響を与えていたであろう詩の世界も、今の日本の社会情勢を考えると面白く聞けます。私の中では文句なしの一位。


2. ajico / Ajico Show

一位に次いでベンジー。てか二位以下はあまり順位は意味がないかな。このエントリでも書いたのですが、今、歳を重ねてから聴くとその味わい深さが分かる系。この盤はライヴ盤だが、動画を載せたスタジオレコーディングの『波動』はブランキー後のベンジーの作品で最も素晴らしいものではないかなと思います。『Ajico Show』ではアルバム『深緑』の楽曲が進化をしていて、痺れる格好良さ。

3. ROVO / live at liquidroom 2001.5.16
二位に次いでライヴ盤。この企画、ライヴ盤OKなのかわからないがまぁいいや。勝井氏をして「このライヴは良すぎた」と言わしめたリキッドでの伝説の一夜を記録した公式ブートレグ。一曲目のKHMARAの、静かな始まりから爆発していく流れが最高。PYRAMIDも好きだが、やはりこっちかな。


4. エレファントカシマシ / 風

これは鬱で何もする気力が出ず日がな一日寝込んでいた頃に友達がくれたアルバム。載せた『友達がいるのさ』には心打たれた。全体的に宮本さんの引きこもりへのエールと共感にあふれた一枚。ツァラトゥストラを読んでいると更に面白いかもしれない。俺も東京中の電気を消して夜空を見上げたいw

5. Buddha Brand / 病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)
これは高校生だった自分に直撃した"マジモンのヒップホップ"だった。当時ドラゴンアッシュかブギーバックくらいしかラップを知らなかった自分に落とされた核爆弾。今でも大好きで時々思い出していたら、D.L.さんにご不幸があり、本当に残念だなと想った次第。人間発電所を初め、日本語ヒップホップのクラシックとして(自分の中では)唯一無二。2枚組の超ヴォリュームベストとして、何故かURのベストと同じ脳内記憶フォルダに自分は入れてます。


6. NUMBERGIRL / OMOIDE IN MY HEAD 2~記録シリーズ1~

ナンバーガールはスタジオ版も好きだが、やはりライヴが真骨頂だろう。私もブート集めてました。記録シリーズはどれも良くて、2のこだまさんが入ったNUM-HEAVYMETALLICも素晴らしいのだけれど、やはり会場限定カセットテープの音源が入った1を。つかどれも最高。ちなみに今回座禅は入れなかったけれど、入れるなら1stのツアーのライヴ盤がいいです。KIMOCHIが各メンバーに歌われるのが入ってる奴。zazenの方がよりライヴ盤が好きなのだけれども、入手しにくいのが残念。

7. Sunaga t Experience / クローカ

ゼロ年代を振り返るとあったなぁと想うのがクラブジャズムーヴメント。当時モアーズにあった横浜タワレコのレアグルーヴコーナーに入り浸ってました。そんな"クラブジャズ"とか"DJ必聴"に惹かれる世界へ入り込ませたのが須永さんの1stと2nd。その中でもこの曲は最高に聴こえた。この後だんだんジャズへ嵌っていくと、甘いのより渋い方が好きになっていくのだがそれはまた別のお話。

8. Losalios / The end of the beauty

そんなジャズを齧った鴎君が当時好きだったロックがこれ。というか、今でもこれは物凄い好き。動画に載せたCHASERはヴァイオリンも入り、凄まじいテンションになっている。ロザリオスはライジングサンで何度か見て、リキッドルームでの活動休止ライヴにも行った。その時GOMAのディジュリドゥがロザリオスのガレージジャズロックに絡むとまるでダブステップを聴いているような気になり、これで一枚作って欲しいなんて思った。今やってるPsychedelic Foundationの音源にも期待したい。

9. 山本精一 / クラウン・オブ・ファジー・グルーヴ

当初はフィッシュマンズの『空中』か『宇宙』を載せようかと想ったのだが、『ゆらめきIN THE AIR』の先にあった音ってこれなんじゃないかと想ったのでこちらを。上の動画は発売当時は技術が足りず出来なかったライヴでの披露がスーパーデラックスで行われた際の映像。これ最高、なぜいかなかった、俺。このアルバム、最後はかなりはっきりしたメロディラインのある曲で〆られるのだけれど、この一曲目、二曲目あたりの微かな揺らぎの音楽が最高に好き。生涯ベスト級。

10. 銀杏BOYZ / DOOR

さて、ゼロ年代邦楽ベスト10を締めくくるのは、やはりゼロ年代らしいバンドがいいだろう。余り聞いてなかったと書いたが、ゼロ年代らしいバンドでは銀杏BOYZと相対性理論は嵌った。タワレコメンで聴いた『シフォン主義』の新しい感じにもひかれたが、ここはゼロ年代に最も嵌った峯田の童貞男子マインドな絶唱を上げようw当時カラオケで17才とか人間とか、メス豚とか歌って男は笑わせ女は引かせ、はた迷惑な野郎でした、自分は(今も変わらないかな><
銀杏はある意味踏絵というか、本当にあの時代にあの年齢じゃなかったらがん嵌りはしないある意味奇跡の様なバンドだったと想う。魂の熱量にやられた。ライヴへ行くと、観客が大声張り上げちまって峯田の声が聞こえなかったw将来自分に子どもが出来るかどうかはわかりませんが、そいつが厨房になった時にこんなん聴いてたらほほえましすぎてキュン死に(是自体死語だw今となっては)すると想うw

以上、90年代ノットデッド感の強いアラサー男のゼロ年代邦楽ベスト10枚でした。次点はソウルフラワーユニオンのスクリューボールコメディ、BOaTのROROかリスニングスーサイダル、或いはオザケンの刹那かエクレクになると想われます。

そして、Eclecticから通底するブラックの流れが、今ceroのObscure Rideに結実していますね。ライヴはいいのに、ceroの音源は今までのモノはイマイチしゃっきりしないと思っていたのですが、これはいい。去年の森は生きているの『煙夜の夢 a,香水壜と少女 b,空虚な肖像画 c,煙夜の夢(夜が固まる前)』もエポックメイキングな一曲だったと思いましたが、この2曲目のアルバムverの『Yellow Magus(Obscure)』はヒステリックですらあった90sの狂乱から体力を確実に削られ柔らかさを望んだゼロ年代を越え、311をも越え翳と光を宿した2015年の都市風景の空気を宿した名盤だと感じました。この肉体性とプロデュース性に同時代の感覚を感じます。と、思ったらceroのメンバーはタメ歳でした。俺も頑張らなきゃなぁ。というところで御開き。


追記:
いま思いついたのですが、ゼロ年代が(失っていたとみられた)と感じていたのは2005から2014年までの私の定義でのゼロ年代で起きたアイドル・アニソン・ボカロの隆盛に自分が関心を持てなかったのもあるかもしれません。(AKBの開始は2005年だそう)。ようやく最近アイドルはちょろちょろ聴いたり聴かなかったりしてるのですが、現状では考察の素材不足、ここら辺は他の方に譲ります。

2015年の出来事として日本でもサブスクリプションサービスが本格的に普及の兆しを見せてくる動きがありますね。そうなると、"10年代のベスト10枚"という企画が20年代に行われた時、もはや"ディスク"という意味は消え去って、"10年代のベストプレイリスト"になるかもしれませんね。音楽はその時々の時代の感情と経済だけでなく、技術環境が大きくかかわった産業なのだなぁと感慨をつきながら、まだみぬ名盤に思いを馳せてこのエントリを終わります。




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# by wavesll | 2015-06-17 22:53 | 小噺 | Trackback | Comments(0)

D'Angelo and The Vanguard | Live at 2015 Bonnaroo Music Festival | FULL CONCERTがヤバすぎた

D'Angelo and The Vanguard | Live at 2015 Bonnaroo Music Festival | FULL CONCERT


もうねヤヴァいっしょコレは。

昨日まで開催され、ライヴストリーミングされていたボナルー・フェスティバル。
そこで演られたディアンジェロのライヴが素晴らしいと聴き、仕事で生では見れず、リピートはサイトが重くてみれずしまいだった自分はamassに張り付いてYoutubeにあがるのを今か今かと待っていたわけです。

そして今夜ついに堪能したのですが、ヤッヴァかった。
正直な所、出だしは「あぁ、いいって聴いていたけれど、こんなものか。サマソニで見たEW&Fみたいな、いいんだけどイマイチ滾らない感じかなぁ」なんて思っていたのですが、中盤からどんどんアクトが過熱、50分過ぎ辺りからの展開はもう堪らないものがありました。そして最終盤は4月に観たGeorge Clinton & PARLIAMENT / FUNKADELICに匹敵する興奮でした!

その後今コンビニで缶ハイボール飲みながら聴いているのですが、もはやアルコールいらないw酒と小皿と音楽婚礼という企画を書いている者としてはあるまじき発言ですが、シラフで十分揚りきる最上のパフォーマンス、サマソニに向けて漲りました。

追記:EW&Fもボナルーでやってるのですが、やっぱりこの人たちもヤバいなぁ。本国だと本気出すのでしょうかwDにはサマソニでも90分以上やって欲しい!

Bonnaroo 2015 Day2 Earth, Wind & Fire


アースはアルコールが入ると更によく聴こえるなぁ。


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# by wavesll | 2015-06-16 22:34 | 今週の一曲 | Trackback | Comments(0)

第十八回酒と小皿と音楽婚礼  Robert Glasper Experiment X Premium Boss

Robert Glasper Experiment Live at Oxford Art Factory


先日も来日していた新世代ジャズの旗手、ロバートグラスパー。
数年前に出た『Black Radio』で一気に注目を集め、あれよあれよという間にグラミーまで獲るという八面六臂の活躍ぶりには舌を巻きます。
ただ、どうも自分は彼のCD音源聴いてもピンと来ないのが正直な所です。こういうこというとセンスを疑われるかもしれないけれど。ただ、ライヴの評判がすこぶるいいので、きっと生で見たら鳥肌モノのパフォーマンスをしているのだろうななんて予感はありました。

そこにRedbull Music Academy Radioがシドニーでのロバートグラスパー・エクスペリメントのライヴを届けてくれ、あぁやっぱりライヴはいい、凄く良く聴こえると想ったのでした。この音源で言うとどちらかというとライヴでの躍動感とか、グルーヴとか、サウンドの荒さが逆にいいのかもしれません。というわけで私と同じく「人には言えないけど実はグラスパーの音源そこまでなんだよなぁ」という方にもお薦めです◎

そしてこのライヴ音源で感じたのはこのバンドの鳴らす音の甘やかさ。ジャズではあるのだけれども渋すぎないスヰートさが心地よくて、何かこれに合う飲料はないかなと想ったところ、プレミアムボスなんかいいんじゃないかなと。

普段自分はブラックばっかり飲んでるのですが、このプレミアムボスに限っては甘い方が好きなんです。185gというサイズが絶妙なのかも。重すぎず、軽すぎず、正に缶コーヒーのプレミアム版といった感じで好きです。

日本の人はブラックこそ至高という方も多いと思いますが(実際私もブラックが基本的には好みなのですが)、島根、石見銀山にあるカフェ・カリアーリというイタリア直営の珈琲店で裏メニューのエスプレッソを頂いたとき、店主の方がおっしゃるにはイタリア人、モデナっ子はエスプレッソには5杯は砂糖を入れるそうです。聴く話だとブラジルの人もコーヒーに砂糖は欠かせないとか。そういった見聞からブラック原理主義から少し離れて、こんな甘い珈琲を愉しむのもいいと思います。

缶コーヒーがあまり好きじゃない自分が飲める缶コーヒーで、グラスパーの音源が得意じゃない自分が聴けるライヴ音源を。何やらひねくれた薦め方かもしれませんが、美味しい適合をお楽しみください。

追記:
上のライヴは長いから聴いてられないよという方はこの動画をご覧ください。魂消ますよ!

150523 Never Catch Me - Robert Glasper Experiment



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# by wavesll | 2015-06-15 21:59 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)

テラフォーマーズ―バトルロワイヤル、エヴァ―ナウシカ。連綿と紡がれる物語の日々

nego - Ants


金曜の晩、ふと思い立ち、地元の漫画喫茶で深夜6時間パックで『テラフォーマーズ』を一気読みしました。火星に繁殖したヒト大のゴキブリと、昆虫の力を身に付けた人間たちの戦い。いやー、これが痛快無比に面白かった。

この面白さってあれに似ているなと想ったのは、初めて小説『バトルロワイヤル』を読んだ時。次から次へと新能力を持ったキャラが出てきて、生き死にのスリリングが描かれる。戦闘そのものの面白さ、火星へ送られる人たちはもはやそれ以外に逃げ場のない人間が多く、後がない状況で純粋に、任務遂行の為に命を懸けるところが痛快でした。

地球での世界各国首脳による政治戦は『沈黙の艦隊』を思わせ、昆虫の力を使う能力バトルは『ハンターハンター』のキメラアントを思わせる。集団バトルは『GANTZ』っぽくもあるかな。何より、一気読みしたのも作用したのか、このクライマックスの波状はドラマ24みたいだと思いました。そういった数々の作品のいい処の合成獣として、面白さがブチ上がった作品だなぁと思いました。

この年になると"良い作品"をみても過去作を想起してしまうことが多くあります。例えばチラ見した『妖怪ウォッチ』は、ポケモンというよりはドラえもん的な面白さを感じたし、『テラフォーマーズ』も上記したような様々な作品を想起させます。でも、それっていうのは何も悪いことではなくて、人間、10年前も、100年前も、1000年前も人間で、"面白いと感じる要素"は変わってないわけです。
先人が生み出したメソッドを土台に改善・創新していくことで、今の時代に合わせた作品が作られていくのでしょう。F先生だって、高見先生だってきっと素材となった元ネタは(漫画でなかったにしろ)あって、そこから膨らませていったのでしょう。

そして、昨日、朝方家帰って寝て、昼起きたらブックオフへ何かないかと立ち読みしに行ってしまいましたwひっさびさにマンガ読んだせいで一気に漫画づいてしまったんですw

貞本エヴァの読んでなかった部分を読み切り、あぁ、これで俺の中でエヴァは完結しきったなぁ、2015年に終われて良かったよかったなんて想った後、手を付けたのは宮崎駿『風の谷のナウシカ』。これが圧倒的な作品でした。

ここで『テラフォーマーズ』の話に少し戻りますが、これだけ話題になってたのに手を付けていなかったのはどうも絵柄が苦手な部類というのと、実際読んで思ったのですが、キャラの書き分けがイマイチ良く分からなかった部分があるかもしれません。そして実は『ナウシカ』もその細密な描写と書き分けが良く分からないキャラ描写がどうも苦手で、何度か漫喫で読もうとしては止めていたのです。今回ようやく読めるようになったのは、逆に最近漫画を余りよんでなかった分、漫画の面白さが新鮮で拘りなく読めたのと、歳を重ねて楽しめる範囲が広がったのかもしれません。

『ナウシカ』で描かれる戦争は、古典に描かれるような正調の戦争描写でした。自分が読んだ作品の中だと、『坂の上の雲』にも通じるような、矍鑠として誇りある尊敬できる年上の人物が出てくる戦争ものといった具合でしょうか。環境の腐敗、家族間での軋轢、そして脅かされる市井の人々、、、戦火の恐ろしさと、人間の清濁、そして社会が描かれていたのも印象的でした。

印象的なセリフに「苦悩の深さが、精神の深さだ」というようなものがありました。なるほどなぁと想うと共に、確かに『バトルロワイヤル』や『テラフォーマーズ』には"そうせざるを得ない戦"は描かれていても、そこに迷いはなく、最後は戦闘に純化していく姿が描かれていたなぁと思いました。単純と言っては憚りがありますが、戦争の現場で単純化される人間性を娯楽として見せすぎというか、ここに何らかの哲学を持った魅力ある敵キャラや、"正義"の方に"迷い"を描ければ、更なる名作になるかもなぁと思いました。”人間社会の玄妙さが失われるドラスティックな改革”に対して迷いを今自分が持っているという事もあるかもしれませんが現実に対立する敵が怪物である限り、自らも怪物へトランスフォームさせなければ闘えないと知りながらも、圧政者によって自由を失ってしまう。。難しい所です。

そう、"自由意志こそが本当に守るべきもので,生ぬるく意思のない平和ならば、対立や戦火があっても生きる意志のある方がましだ”という宮崎駿の強烈な思想を『ナウシカ』からは感じました。一種の楽園を拒絶する姿勢は、戦闘的ですらあります。この思想はシンジが人類補完計画を拒絶するという形で次代へ受け継がれましたね。

映画版『ナウシカ』は原作全7巻の1,2巻しか描けてないというのは本当で、その後の描写も描いてほしいなぁ友思っていたのですが、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を思わせるシーンがそこかしこに合って、あぁ、こうして自分の原点を繋いで行ったのだなぁと思いました。そして『ナウシカ』自体も『オデュッセウス』の登場人物から着想を得たと。連綿と続く物語の日々を享受するために、改めて最新作と古典双方をDigっていく必要があるなぁなんても思いましたが、最後に今回こんなに漫画を愉しめたのは、勿論作品が面白かったのもありますが、久々にマンガ自体に触れた新鮮味もあると思います。

実際『テラフォーマーズ』は今は掲示板なんかでは「終わりつつある漫画」とされているようです。同じ刺激には飽きてしまいますからね。本当は演者だって、娯楽に餓えてる客に提供する方が意義深く感じるんじゃないかって想います。エンターテイメントで脳内麻薬出すこと、単なる消費に意味を見出そうとすると、シシュポスのような虚無に囚われそうになる。ましてやその刺激に飽きてしまっているのにまだ噛み締めようとする文句タラタラの客の為に書くことには、そして読んでいる方も幸せではないでしょう。

しかしそんな行為に意味があるとすれば、"本当に欲してる人に届けるために"産業を成り立たせる糧になっているということでしょうか。客として、あるエンタメに飽きたら無理しないで別のエンタメに行ったり、或いはエンタメ刺激を絶って、飢餓を得ることを望むと共に、今の文化生産者の夢のない経済状況を聴く限りでは、文化を支える人もまた文化人なのだなと想ったりもしました。
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# by wavesll | 2015-06-14 16:47 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

「私以外私じゃないの 当たり前だけどね」巻き込み巻き込まれ考

ゲスの極み乙女。 - 私以外私じゃないの

キラーボールでメロディだけでなくクラブへ集う若者のやりきれなさを描いた詩がいいなぁと想ったのですが、このシングルで一気にブレイクなパンチライン出してきましたね、ゲスの極み乙女。このPV、サカナクションの『夜の踊り子』っぽ過ぎる感じがするのですが、クリエイティヴチームが同じなのかな。ともあれ、TVに出るバンドが面白い音出すのはいいですよね(こないだゲスが出てたしゃべくり7はMOROHAも出たし、音楽好きも要注目な場になってきたかも)

さて、「私以外私じゃないの」ってキラーフレーズ、これを一番感じる時って「これ絶対面白いでしょ」って提案をした時、芳しい反応が全くなかったときではないでしょうか。

「これ面白いでしょ!」っていうコアなモノって、当人にはコアであればコアであるほど面白くて、その結果共感される幅はどんどん狭まっていくものですよね。

逆に「お前以外お前じゃないの」って事を感じる人っていませんか?その人が好きなものは好きなんだけど、好きじゃないものはまるで好きじゃない人。当たり前だけどねw
要は好きじゃないものにはまるでリソースを割いてくれない人。結局そういう人とコミュニケーションしても何も変わってくれたりはしないから、段々モチベーションが落ちてくるというか、「お前は今はそこまで食指は動いてないのかもしれないけれども、俺の薦めなんだから一回騙されてみてくれよ」って思ってしまい、その人が好きなものを紹介して良い反応を示しても、「まぁ君はこれが好きだからね」と醒めること、ないですかw

ただ、これ、逆に自分が他人にこれやってしまうこと、結構あるんじゃないかと想うと冷や汗ものです。
結構あると想うんですよ、両方の立場で「私以外私じゃないの」体験すること、させること。

言ってみれば現代はコンテンツであふれかえっている時代。文章、音楽、映像、ゲームetc...Webに載るものは無尽蔵に日々沸き出でていますし、娯楽だけでなくニュース・新聞もチェックしなければならない。それ以前に仕事だってあるし、一人きり無心の時間だって持ちたい…たまの休日は溜まった家事やら買い物やら、行きたいイベントだってあるし…そんな中で自分が関心あること以外に割く時間とお金なんか、言ってみりゃないですよ。

好きなものだけ摂取しても可処分時間と可処分所得が足りないくらい、っていう環境に現在の我々はいると思います。何か趣味がある人ほどそういう傾向、あるんじゃないかなぁ。文化系の趣味だって、消費/生産双方でもそうだし、スポーツの趣味だって時間・金以外に体力まで消費されますものね。「私以外私じゃないの」な感覚を持ちやすい時代に今なっているのではないでしょうか。

そんな時、友達と好きなもの、或いは自分が創ったものを共有したいと想った時に、どうすればいいのかなぁというのは、エンタメ遊民の一つのテーマではないでしょうか。

ぱっと思いつくのは
1. その友達が興味あることだけ共有し、「こいつはこれ、そいつはこれ」とする
2. SNS等を通じて同好の士と友達になる
3. 相手の負担を減らす(例えばイベント参加費を奢るとか)
くらいかなぁ。

上では自分が他人を巻き込むことを考えてきましたが、巻き込まれることを考えると、リア充の人っていうのは、時間と金に余裕があって、誘いに乗ってくれるリアクションが良い人、つまり自分がやりたいことよりも他人に誘われたことを選べる人、もしくは体力もめちゃあって両方やってしまう人か。うーむ、超人だ。

そもそもそんなに努力して巻き込む/巻き込まれることで双方は幸せになるのかなぁ、なんてネット世代のコミュ障としては思ってしまいますが、エンタメ業界の人にとっては、或いは芸術で新しい感覚を切り開こうという人には死活問題ですよね、これって。

そこで
4. 上手い誘い文句で興味関心を惹く
つまりPRの重要性に辿り着きます。

アートというもの、特に自分の中から湧き出でる魂で創られるものは、必ずしも他者から必要とされるばかりでない、「私以外私じゃない」ことになってしまうこともある。「私以外私じゃない」から自分で創らなければ誰も作ってくれないものがある。しかしそれに対して時間や費用を捻出する"理由"を相手に感じさせる、或いは十分な規模の顧客を見つけそこにアプローチする…それをどうやるのかみたいなことが大切だなと感じて、"キュレーション"が粗造乱造される今だからこそ"マーケティング"とか"行動経済学"なんか、学んでみたいなぁなんて想う2015年の梅雨でした。

マーケティングやら行動経済学やら、経営学やらの本でも読んだらまたこの続きを書きたいなと思います。


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# by wavesll | 2015-06-10 23:41 | 小噺 | Trackback | Comments(0)

JOJO好き、漫画好きに薦めたい大英博物館展@東京都美術館

日曜は代々木公園のイベントで橋本環奈と玉袋筋太郎を遠目にチラ見し、ガチャピンムックを写メした後、『 博物蒐集家の応接間 蜜と毒 気配 』に行き、そこから原宿へ歩いて上野は東京都美術館へ大英博物館展を観に行きました。

これ、圧巻でした。人類発祥のオルドヴァイ渓谷の石器から現代までを正に歴史的な“モノ”で目眩く展開。喧伝されるウルのスタンダードだけじゃ全然ないです。高校で世界史とった人は間違いなく楽しめるし、ジョジョ好きも必見です。なぜならオルメカの石仮面が展示してあるんですwまじ、こいつが石仮面か!WRYYYYYYY!!!!!ですよw

他にもシャーマンキングならオーバーソウルしそうな動物を象ったパイプや、大航海時代の品々、ダーウィンが世界一周したビーグル号のクロノメーターなんかもありますし、この星の歴史が凝縮した展示自体がグランドラインといえるかも。そこから見えるヴィジュアルとストーリーには漫画好きなら絶対にお勧めです。

大英博物館展を貫く一つのテーマが“貨幣”。世界初の貨幣であるリディアの金貨(これ、カオナシが差し出す金の粒っぽかった)から、明の世界初の紙幣。そして現代のクレジットカードまで展示。“マニラ”と呼ばれる奴隷貿易で使われた奴隷貨幣は、50個で奴隷一つだという。今回の展示では人類共通の関心事として"戦争"、”金”、"SEX"等のテーマに沿って100のモノを選んだそうです。

他に好かったのは
ギルガメシュ叙事詩が刻まれた粘土板、ミノス文明の雄牛跳び像、アイルランドの金製半月装飾、花崗岩のラムセス2世像、アッシリアの戦士リリーフ、太陽の力を表す金で出来たコロンビアの戦士のヘルメット、動物を象ったアメリカ先住民のパイプ、ミトラス神像、インカ文明の黄金のリャマ像、紅白だったルイス島のチェス駒、古代のスマホ・アストロラーベ、ナイジェリア・イフェの頭像はガチャで出たwアリーの剣と呼ばれるシーア派の儀杖、ジャワの影絵人形、シエラレオネの真っ黒な儀式用仮面、バンクスが作らせたマオリのこん棒、羽がついて本来は赤いハワイの兜、ダーウィンと共に世界一周したビーグル号のクロノメーター、アフガニスタンの戦争柄絨毯etcetc見どころあり過ぎです。まじ、これ、必見。コンパクトに見れるから、イギリスで見た人も楽しめるかも。

世界から財産をかき集めたとの批判もありますが、ギャラリーフェイクでフジタが『アートは守る事ができる者が持つ資格がある』と言っていましたね。エジプトやシリアの近況も合わせて想起しました。それでも、実際に大英博物館に行った子が言うには現地では結構適当な展示がされてしまっているそうで、向こうの学芸員にはもっと頑張ってもらわななという感じです。土産にウルのスタンダード菓子買ったと想ったら、紅茶でしたw



ちなみに今渋谷タワレコでカフェと8FでJOJOコラボやってるのですが、エレベーターの扉もJOJOなのでこっちも要Checkやw!

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# by wavesll | 2015-06-08 22:11 | 私信 | Trackback | Comments(0)