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ドラッカーを読む ~歴史観編~

supercell 君の知らない物語


<<知識労働者の労働者としての寿命が組織の寿命を越える時代>>
ドラッカーは20世紀をどのような時代だと捉えているかと言うと、世界人口の爆発的な伸びと、先進諸国における高齢化をもたらす平均寿命の爆発的な伸びの時代だとしている。

また労働者の質的な転換としては肉体労働者から知識労働者へのシフトが起きていることをあげている。先進諸国において20世紀初めは労働人口の90%から95%は肉体労働者だった。知識労働者はわずかだった。しかし今日アメリカでは知識労働者が40%を占める。

知識労働者は肉体労働者より長く働くことができる。普通ある組織が繁栄できる期間は30年程である。しかし知識労働者は30年を越えて成果を上げ続けることができる。つまり組織が繁栄できる期間を越えて労働者が働く時代が来ている。

つまり一人の人間が労働者として成果を上げ成長していく為には、一つの組織だけではなく、第二の人生を歩む必要が来るという事を示唆している。そのために組織のマネジメントに頼らない<自己マネジメント>が必要な時代になってきているとしている。


<<テクネが知識となる時代>>
テクネとは技能のこと。かつて知識とは自己認識、すなわち自らの知的・道徳的・精神的成長のためのものか、何をいかに言うかをしるか、すなわち論理・文法・修辞であった。つまり知識は行為に関わるものではなく、効用を与えるものではなかった。生産に関わるものではなかった。テクネは職人の間での秘伝とされていた。

しかし、18世紀に、ドゥニ・ディドロとジャン・ダランベールが『百科全書』を編纂した。これらは技能に関するあらゆる知識を体系的にまとめ、徒弟にならずとも技能技術者になれることを目指していた。つまりテクネが知識となった。

つまり『百科全書』や初期の技術学校はテクネ(秘伝の技術)を体系的にまとめ、公開することで、経験を知識に、徒弟制を教科書に、秘伝を方法論に、作業を知識に置き換えた。

これによって社会と文明が技術によって世界規模で転換したのが産業革命だった。

技術は、生産の集中すなわち工場を必要とした。技術は数万に及ぶ職人の作業場には適用できない。技術は生産が一つの屋根の下に集中されて初めて適用できた。

<<成果を生むのは資本ではなく専門知識の時代>>
資本主義社会では、組織が持つ資本が生産の主要な関数だった。しかし、今は会社で働く上でPCが生産を産み出しているわけではない。PCを使いこなす知識を持った人間が、生産の主要な関数だ。つまり生産は資本ではなく人間が持つ専門知識が産み出すものとなってきている。

つまり、技術が人一人一人の仕事場に適用できるようになり、資本が持っていた優位性が低下する一方で、人一人一人が持つ知識(テクネ)こそが生産に関与するようになったというわけ。


前回書いたように、ドラッカーは教養と言うものを重視している。それはグローバル化する世界において、一般教養と言う全人類に共通の知識があることで相互理解が行えるからだ。相互にお互いの立場を一般教養によって理解できる。

その上で、成果を生み出すのはテクネだとしている。これら専門知識の習得こそが成果を生み出せる人間になるために必要なことだとドラッカーは述べている。


Northern Bright & Shakazombie 「GET YOURSELF ARRESTED」
by wavesll | 2011-03-30 11:39 | 小噺 | Comments(0)
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