金閣寺を読む 1

Vivaldi - Four Seasons (Winter)
この年になって初めて三島を読んでいる。

読むのは個人的なバブル時代に買った新潮文庫の金ぴかのカバーのもの。
モノとして奇抜で物欲がくすぐられたので購入したが、内容も素晴らしい。

実はまだ読み途中なのだが途中なりに感想を書いてみたい。

まず感じるのが表現の流麗さ。
一般の話言葉ではみかけない単語がスパンコールのように鏤められていて、1ページ1ページがフレンチを食べているかのような心持になる。古典の品格を思う存分味わえる。

三島の端正な文章はしかし、艶めかしい。

私は漱石が好きなのだが、あの一種水墨画や水彩画のような読書体験と比べると、三島のそれは油絵だ。音楽で言えば漱石はビートルズで三島はストーンズ、毒がある。

上で艶めかしいと書いたが、セクシャルなモティーフやシーンも描かれているのだが、それ以外にも、暗がりで輝く快楽が描かれている。

主人公の少年は吃音をコンプレックスにしていて自分の精神世界にどっぷりと浸かっているタイプ。この、自分が言いたいことを言えないうちに世界は次へ行ってしまうというキャラクター造形は、結構共感を呼ぶ人には呼びそうだ。そんな彼がほぼ崇拝と言っても良いくらい囚われるのが金閣寺の美だ。

美を愛する、美を求めるというのは、ともすると美に淫する。そこには依存性の快楽がある。欲望が高次へ向かえば明るい楽しみだけでは終わらなくなる。主人公の言葉を借りれば、『美ということだけを思いつめると、人間はこの世で最も暗黒な思想にしらずしらずぶつかるのである』。

彼は悪にも目覚めていく。権力と暴力を行使すること、嘘をつきとおすことに悦びを見出していく。これを中高生のときに読んでいたら、色々開発されて人格形成にも影響しただろうな。

こうした暗黒の輝きや、人生の状況が彼の中での金閣の美をさらに際立たせていく。物語の結末は知っているのだが、煌めく表現と主人公であるどもりの僧がいかにしてその結末に至ったかが楽しみだ。

金閣寺読了
by wavesll | 2012-12-15 06:45 | 書評 | Trackback | Comments(0)
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