”パリ白熱教室”予習、Session22「話題の経済書・ピケティ『21世紀の資本』入門編!」

tbsラジオ 荻上チキSession22で、フランスの経済学者トマ・ピケティが著しベストセラーとなっている『21世紀の資本』についてそれを日本語訳した山形浩生さんが解説する番組が流れていました。
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丁度今夜(1/9)にETVで『パリ白熱教室』としてピケティ教授自身の講義が流れるので、その前の予習として聴きました。内容の簡単な要旨と問題点がまとまっていて、なかなかいい特集だったと思います。

以下はその時の私の感想tweetを加工したものです。


ピケティの本のテーマは「格差」。経済は発展するが格差は広がっている。そして下位の水準は今より下がる可能性もある。従来の経済学者は作ったモデルで経済発展で格差は消えるというが、ピケティは税務署から何から記録を調べ格差は広がっているとぐうの音も出ない形で示したのが快挙。格差問題は経済学にとってはコロンブスの卵だった。

「格差」というとジャーナリスティックに論じる「貧しい人がここに居ます」VS現実主義者の「いや資本主義なのだから能力がある人間が儲けて何が悪い」という不毛な議論になるが、ピケティは格差に関する基礎データ、つまり「R(資本から得られる利益)>G(労働によって得られる利益)」を示した

株やら不動産を持っている人はどんどんどんどん金が儲かって、普通に働いている人は大して儲からない。という。G(経済成長率)が高かった20世紀半ばは、インフレと課税による再分配でR
ピケティはR>Gをここ200年くらいの様々な国の事実を引いて700頁もの情報量で示す。その解決策としてはグローバルな累進課税によってあらゆる資産に課税すること。しかし本書では"それをどう再分配するか"は論じられていない。そして全世界が足並みそろえられるか 

金融の世界で金を回す方がモノを売ったりサービスを提供するより儲かる。これは日本でも90年代前半から自明のものらしい。まじめに生きるよりも金融工学でお金がお金を生んだ方が儲かると。プリウスのエンジンを作った人よりトヨタの株を売り買いする人の方が給料が高い。

まぁ確かに投資というのはリスクとる行為だし、Gより儲からなかったらやらないよというのも正論だよな。ただこういった「当たり前」がなぜ当たり前なのかを証明するのが研究だと想。"そして不平等がなぜ問題なのか"ということもこの本では語られていないらしい。

格差をなくすには経済成長、インフレ、技術教育、相続税など他の方法もあるが、ピケティは自説のグローバルな累進課税を推すためか他の論をDisっているらしい。これらも考慮しながら、マルクスのような「予言書」としての読み方ではなく、「基礎データ本」として活かすべきか。

戦後世代では"身体と時間の投資=労働リスク"が"金融投資"を上回っていたが、もっと長いスパンで見ればR>G。上世代の常識に対する反駁としてピケティはインパクトがあった。が、全球的累進課税は難しいだろう。それよりは寄付減税などを行い、資本家に対貧困インセンティヴを作り再分配のエコシステムを作るのが実効的か

ピケティ本を逆に読めば、R>Gなのだからアベノミクスにも乗って資本を金融的に投資することが大事とも読めるのではないか。彼のデータベースには日本も入っているそうなので、格差論としても日本の長期克明データと他国のそれを比較するうえで一石を投じている。


今夜からのピケティの講義で、今特集にデータが肉付けされることを期待しています。
金曜23時から、全6回。

ザボイスで宮崎哲弥さんがピケティについて語っていました。主に日本での活かし方(と日本のリベラル批判)

こちらはTEDでのピケティ教授のプレゼンテーションです。

追記:白熱教室、第一回を観ました。
なぜ不平等が問題なのかという点について、

G(経済成長率)は生産性増加率と人口増加率で決まり、産業革命から今までの平均成長率は1.6%。その内人口増加率が0.8%、生産性増加率は0.8%。今後も、戦後の70年間のような5%になることはなく、貧しい人が資産を作り階級を上げることが難しく、富が家によって決まってしまう世界が来るのが問題だと言うことなのか。格差が実力で是正されることがないことが問題である。ということだと理解しました。

来週以後も楽しみです。
by wavesll | 2015-01-09 10:58 | 小ネタ | Comments(0)
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