今、最も面白い邦楽ミュージシャンは誰か?
この問いは今大変難しいものとなっています。というのも、現在邦楽シーンには粒ぞろいな才能が次々と佳作を生み出しているからです。森は生きている、オウガ・ユー・アスホール、水曜日のカンパネラ、ゲスの極み乙女、毛玉、ハチスノイト、shotahirama,etc...
そんな中、最も優れたポップスとして街の営みに寄り添う音をやっているのは誰だろう?と思った時、私はそれは入江陽だと思います。
まずはこの曲を聴いてみてください
入江陽 - やけど [feat. OMSB (SIMI LAB)]大谷能生がプロデュースしたサウンドに乗る入江さんの現在形のヒップホップを経過したネオ・ソウルな歌唱。そして歌詞がとてもいい。なんでも医学部卒らしい彼の洗練された詞には、2014-2015年の先端であり真芯をついた詩情が滑らかに伝わります。この動画の終盤に流れる
『JERA』(soundcloud link)という曲の艶やかな調べは、彼がメインストリームで勝負できる逸材であることを予感させます。
そんな彼が渋谷タワーレコードでインストアライヴをすると聴き、昼下がり行ってきました。
大体50人程の人出に最終的になったのか、自分は最前列に陣取っていたのですが、青田買いと今後の成長とブレイクを期して、アルバムも購入しました。
これだけの近さで見れたこと、それも大谷さんのサックスとのコンビで生で聴けたのはとても贅沢だったのですが、まだライヴで練り上げていなかったのか、特にファルセット以外の部分の歌唱がCD音源を越えていなかったように思えたからでした。
ただ、ライヴよりCDの方が良く聞こえるというのはこの間のPIKA☆さんのインストアではライヴがあまりにも良すぎてCDが大分見劣りして聞こえてしまい購入に繋がらなかった、なんてこともあったので良し悪しですねw
改めて生でキーボード弾き語りで聴くとその歌詞の鮮烈さが沁みて、そのサングラス姿から連想したわけではないですが、歌の実演の技能熟達が図られれば、10年代の井上陽水になれるポテンシャルがあるのではないかと思いました。特に一曲目に歌われた1stアルバムに入っている『地震』という曲は、特に切実に響きました。
セットリストは
1.地震
2.Lemonade
3.JERA
4.たぶん山梨
は演っていました。中盤でもう1,2曲やっていたかもしれません。全体で20分前後のインストアライヴでした。最後の『たぶん山梨』では"たぶんタワレコ"と連呼するサーヴィスもありましたw
「地震」入江陽『地震』はこの音源よりもライヴの方が魅力的に歌い上げられていたので、練達で高水準まで質を上げた状態のパフォーマンスで、ミュージックステーションに『やけど』とかで殴り込みして欲しいななんて思います。何しろ自分、「10年代の陽水になるポテンシャルを感じた」とまで褒めちゃってますからねw
実際、入江さんの無人島に持ってく10枚には井上陽水のアルバムもあったようで、やっぱりこういうの好きなんだなぁと納得しました。で、今2ndアルバム『仕事』を聴いているのですが、捻りが効いた詩と今を切り取ったサウンドが、"あぁ、これこれ、こういうの聴きたかったんだよ"としっくりきながら期待をちょい越えてくるのがいいですね。
"やけど"の
悔しいことも 照れくさいことも おんなじ?
がむしゃらに午後を しゃにむに 余生 さまよい
いやらしい夜も 目覚ましい夢も あるのに
お寿司を食べても 顔を拭いたら 朝だよなんて、日常の風景を切り取る視点が上手いと思うし、
"フリスビー"の
ソラリスの海辺では クソガキが手づかみで
クラゲを食い荒らしてる ポン酢かけ旨そうになんてシュールで面白い。生活感と異世界感が入り混じるのが面白いですね。
いいアルバムでした。タワレコ特典なのかな、CD-Rには『未発表&Remix音源』として、
1.Chakra or Makura NAGE(demo) feat. tones or sounds
2.やけど (hikaru yamada Remix)
3.卒業(hiaru yamada & Awa Remix)
4.JERA (wa Remix)
とアッパー目にMixされた楽曲が入っていました。
それこそこのアルバム、マーヴィン・ゲイとか好きな人でも面白く聞けるんじゃないかな。今後も含めて、気になる楽しみなミュージシャンが出来ました。
入江陽 - 鎌倉 [duet with 池田智子(Shiggy Jr.)]仕事/入江陽
入江陽インストアライヴ@新宿タワーレコード怪聖歌 入江陽 『SF』 & Bon Iver 『22 A Million』