小春日和の夜、胃一仕事終え、駅傍のまいばすけっとでチリワインを買ってきました。
サンタ・ヘレナ・アルパカ カベルネ・ソーヴィニオン/メルロー。雑誌一個人の1500円以下で楽しめる極旨ワインの第三位。これ、結構まったりと美味くて、なんと売値が599円なので重宝してるんです。ちなみに白はあんま味しなかったなwおススメするなら赤ですね。ハウスワイン的に使うにはありだと思います。
そんな安ワインを音楽でエクスクルーシヴにできないかと。いつもこの企画は曲先ですが今回は酒先で、ほろ酔いで書いています。月曜から飲んじまってどうしたものか(苦笑
只実は、どんな安ワインも格式高い葡萄酒にしてしまう魔法の音楽が存在していると確信させる円盤があるのです。
1968 - Astor Piazzolla - Maria de Buenos Aires
それがこの
『ブエノスアイレスのマリア』です。タンゴの第一人者にして革新者、アストル・ピアソラがスランプから起死回生↓オペリータ(タンゴ・オペラ)。こいつがかかればどんな酒でも深紅の味覚が広がること請け合いです。
アストル・ピアソラとオラシオ・フェレールによって1968年にブエノスアイレスに捧げられた、吟唱そして器楽によって創られた、生まれながらに既に破滅への道を辿り夜の世界に生きたヒロインの生と死と再生の物語。
後にピアソラの第二夫人となるアメリータ・バルタール演ずるマリアが生きたブエノスアイレスの場末でも、Alpacaのような安ワインが飲まれたいたのかなと、熱っぽいバンドネオンを聴きながら飲んでます。そしてこの娼婦と聖母が重なる歌曲は、サウンドの面でも特別美しいものがあり、これは叶うる限り良い音質で、そして満足できる音量で鳴らしてもらいたい。音の美味に酔う、美しい感動を味わうことが出来ます。現在は残念ながら少しプレミアがついてしまっていますが、払う価値のある、素晴らしい円盤であることは太鼓判を押せます。PCで聴くときはヘッドフォンで鳴らしてほしいですが、酒飲んでる時に耳圧迫されるのもあれですものね。出来ればオーディオで聴いてもらいたい逸品です。
特にDisk1二曲目TEMA DE MARIAの打音と弦楽器が入るところと五曲目FUGA Y MISTERIOの美しさと言ったら!悪魔に魅入られたような麗しき音楽。これ、コテコテのタンゴでもない、ドラムが結構効いているサウンドなので、「ピアソラ苦手なんだよなー」という人にもイケるんじゃないかな。インストゥルメンタルに半分セリフの如き詠唱が入るので、ポエトリーリーディングものとしても聴けるし、そのままタンゴ・ミュージカルとしてブロードウェイのサントラをきくつもりで聴くもよし、酔いに脳を委ねれば、そこは色とりどりの壁、ブエノスアイレス、ボカ地区へ誘う、耽溺盤ですね、これは。