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漲るイメージによるイニシエーション体験フィルム。アレハンドロ・ホドロフスキー『ホーリーマウンテン』

The Holy Mountain (1973), A. Jodorowsky - Trailer

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先日TSUTAYAに行ったところ、発掘良品コーナーにアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『ホーリーマウンテン』と『サンタ・サングレ』があり、おぉこれは凄いと借りて観ました。

LSD西部劇とも評された『エル・トポ』にも大変感銘を受けましたが、『ホーリーマウンテン』には更に衝撃を受けるというか、トリップガンギマリにさせられました。

冒頭から祈祷師のような男が裸の白人女二人の頭を刈るシーンwそこから蜂まみれの男が小人に連れられカエルのサーカスで血が滴り爆発し、夥しい数のキリスト人形に絶叫し、猿を連れたエロ姉ちゃんに惚れられる。金を盗もうとすると錬金術師に弟子入りし、太陽系の惑星に守護された7人と永遠の命を得るために聖なる山へ登る…荒筋だけでもその鮮烈なカルトさが伝わればいいのですが。

そして、上の動画にもあるのですが(DVDはリマスタリングされていてもっと映像が鮮明です)、映像が凄い!めくるめく超現実的な映像は、物語の勢いも相まって衝撃的です。特に虐殺を比喩的に映像化したシーンがあるのですが、その暴力性、性的な苛烈さ、寓話的な表現方法には舌を巻きました。『エル・トポ』で稼いだおかげでメキシコ映画としては破格の150万ドルの制作費でつくられた現代の神話。『エル・トポ』でも思ったのですが、物語構造が少年漫画のそれのような印象を受けます。この映画、ジョジョ好きがみたら相当嵌るんじゃないかなー。去年赤坂サカスでみたFUERZA BRUTAなんかにも影響を与えてるんじゃないかと想うエロと暴力性は最高でした。

この監督のDVDはコメンタリーも超絶に面白いのです。そのシーンに込められた意図、世界各地の宗教から得たインスピレーションの暗喩や、撮影の裏話なんかも聴けます。何しろ、その場であった素人を多数役者として使ってますから、ホドロフスキーw確かに、そういう役者選定をすれば、「その役として生きている人」として混じりっ気なしの映画体験ができますね。

リアルさへの追求という意味では、後半の聖なる山へ登るシーンは、実際に山に籠り撮影したそうです。現地のシャーマンと出会い、幻覚キノコや麻薬を俳優女優に与えて撮影したと。何という撮影w日本では不可能だろうこれはwwwww役者陣の入れ込み方もものすごく、もはやこれは映画でなく現実に起きたイニシエーションのドキュメンタリーなのではないかというような気すらしました。修行のシーンとか、幽白の魔界編みたいに監督も自分で何撮ってんのか覚えてないんじゃないかというトビっ振りwそしてラストシーンは70年代に世紀末のエヴァを先取り。この映画、激お薦めです。

一方で1989年に撮られた『サンタ・サングレ』はイメージの奔流が微かにしか感じられなくて、ちょっと残念でした。来月には最新作『リアリティのダンス』がレンタル開始するので、ホドロフスキーのイマジネーションが再び迸っているかどうか、確かめたいと思います。

cf.
エル・トポ感想(ネタバレほぼなし) ー真にインディペンデントな神的旅路

by wavesll | 2015-05-16 03:53 | 映画 | Comments(0)
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