過日、お台場Zepp Tokyoで行われたceroのライヴツアーファイナルへ行ってきました。
ceroのライヴをみるのは今回が3度目で、一度は昨年のワールドハピネスで。そして二度目は今年の六本木ヒルズのJ-WAVEのイベントでした。 ワーハピで初めて生で見た時は、まるでペトリューシュカのような華々しく炸裂する音の波動にめちゃくちゃ昂奮させられ、今までいやに評判良かったけどみてきたYoutubeイマイチだったけど、このライヴは凄まじい!と舌を巻かされたものでした。 ただ、その後過去音源を聴いてもやっぱりなんかピンと来なくてもったいないなーと思っていたのです。そこにGWのイベントで再び見る機会があって、cero好きの子がよくカラオケで歌ってた最新ナンバーを聴けたのは楽しかったけれど、やっぱりあの嵐のワーハピで感じた歓びには届くアクトではなかったんですね。 ちょっとceroへの期待値が下がっていたところにドロップされた3rdアルバム、『Obscure Ride』。こいつが凄まじい名盤だったのです。まず楽曲の良さを伝えるだけの音像クオリティになっているのが今までのスタジオ・ワークとは違ってました。一曲目はあまりにD'angeloフォロワーに感じたけれど、アルバムverのYellow Magusが歌い方が黒くなっていて非常に感銘を受けました。そんなわけで、良くならないはずはないだろうという期待を持ってZepp Tokyoへ赴いたのです。 素晴らしい一夜でした。(セトリはこちらでみれます) 序盤、白熱灯で照らされるメンバー+コーラスの9人の姿は、古代の円形劇場でかがり火に照らされるアクトのような、超自然的な世界への入り口のようにも想えました。 そして音が最高!あのワールドハピネスで感じた炸裂するロック・オーケストラが打ち鳴らされて、やっぱこのバンドはいい音・でかい音で生で鳴らすのが段違いに真価を発揮するなと思いました。 今回、オブスキュアライドを聴きこんでの参加だったのですが(それにしてもアルバム聴きこんでのライヴなんていつ振りだろう?)、3rdはやっぱり1st、2ndとはだいぶ音の触感が変わっているのだなと思いました。黒いソウルなフィーリングが心地よかった。逆に1st、2ndの曲の祝祭性には吃驚するほど歓ばされました。ただ、その間をつなぐような曲があった方がガコン!という段差を感じずに良かったのでは、なんて思ったかな。cero好きの子は1stは親和性があって、2ndがどんと出てしまってたと言ってましたね。 歌詞の中で「天使」とか「神様」とか、「ラァアアヴ(Love)」とか聴くと想わずオザケンを想わされてしまいました。 私が大学生当時、下北のライヴハウスで開かれた一晩でオザケンの曲を全部かける"オザケンナイト"というイベントにいった時、一緒に行った30台後半くらいのブロガーの方が「Eclecticの曲は低音が効きすぎていてバランスがおかしい。不格好だ」と言っていて、自分はエクレク結構好きだったのですが、オンタイムでオザケンを体験してきたファンからするとこの変化は受け入れずらいとこあったのかな、と想ったものでした。 翻ってceroファンは3rdでの変化をどう感じているのかなとちょっと気になったなぁ。ただ、Jディラ、ディアンジェロといった黒さの入ったNeo JPopは、シティポップやら都市インディを構成する重要な潮流の一つだと想うので、ceroが時代の象徴部を走る楽団であることの旗印になっているような気もします。90 sフィッシュマンズに心酔した自分としては、フィッシュマンズフォロワーから脱したことは寧ろ好意的に感じました。 なんか別のミュージシャンでたとえる流れで不味いななんて思うのですが、みていて感じたのは、あぁ、今のceroの自分から見た立ち位置って、大学時代のくるりをみている感じによく似ているなぁ、なんて思いました。心情を乗せられる同時代のバンド。年がタメというのもあるのかもしれませんが、なんか、ほんと"今"を表すバンドだなぁ、なんて思います。音楽好きのバンドの中でも大衆性を持ち得るバンドというのはいいなぁ、なんて感じたなぁ。POPさがある。 なんて、色んな想念があふれ出ながらみたライヴでした。良いライヴをみると自分はなんか想念のフラッシュバックが起きるんですよね。フローに入るというか、脳が音楽であふれて、集中しているんだかしてないんだかわからなく、夢を見る様な、色んな思念のフラッシュバックが起きる。この夜もそんないいライヴ体験でした。 MCの事を話すと、今回のツアーはcero史上最長らしく、ラストのこのZepp Tokyo、完売だったそうです。かーなり混んでましたからね。途中でクラブみたいなライティングの演出もあって、みんなもっと気持ち悪く踊らねーかなとも思いましたが、混んでたし仕方ない。ハンズアップはかなりの人がしていました。 あと、ベースの厚海さんが今回に気合を入れてアフロにしたとか、『Summer Soul』がカラオケに入ったとか。ceroの歌はカラオケ映えしないらしいので、歌うには工夫してくれとの事でしたw またヴォーカルの高城さんはZepp Tokyoでのナンバガの解散ライヴツアーに観に行ったらしく、そのことを何度もいうものだから、もしかしてSAPPORO OMOIDE IN MY HEADみたいに「今日はアンコールはありません」なんて言い出すんじゃないかと冷や冷やワクワクしていたのですが、なんとダブルアンコールで新曲まで披露してくれました。ただちょっとアンコール無しを期待していた自分は、アンコールはそこまでだったかなw メンバーが「ceroが好きな人が全国津々浦々こんなにいるとは驚いた」と言っていましたが、それはCDがそこまで数出てないという事なのかなぁ。でも、ライヴは段違いに好いにしても今回のアルバムは十分楽しみきれるくらい音もいいし、後はもしかしたら売れ線なメロディの有無ぐらいかもなぁ、でもそれやっちゃうとセルアウトな感じになっちゃうよなぁ、なんて思います。 ちょっと思い浮かんだのは、フィッシュマンズが後期三部作をあれだけの質にするにあたって、専用スタジオでたっぷりと時間をかけて音作りが出来たからという逸話。どうでしょうか、カクバリズムさん★!
by wavesll
| 2015-07-13 21:26
| Sound Gem
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