津軽の色彩

先の三連休、青森へ行ってきました。
このエントリではそこで触れた津軽の色彩を映した写メと、つらり書いた文で、旅日記ならぬ絵葉書風に描きはじめてみます。

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東京駅から新幹線で3h強、新青森駅からバスに乗り、その車窓からみた岩木山。
岩木山はこの旅で得た大きなハイライトの一つ。その勇壮な山影に、惚れました。「登ってみたい」と想った山はほぼ初めてかもしれない。次に来るときは登山してみたい。

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青森はもう紅葉が始まっている秋でした。緑に白銀の芒が美しかった。空間的な旅は、時間の旅でもあるのだなぁと想。経度の東西で時間が左右され、緯度の南北で季節が上下する。この星で起きる"同じ時"とは、なんと多様なのか。月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。

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道の駅で『津軽弁の日』なるCDを物色したりした後、ぶさカワ犬わさおがいるきくや商店のそばでみた津軽の海。ちょっとにびたエメラルドブルーにときめいた。初日、土曜日は天気も良く、綺麗な海の浪をただただ垣間見れたのは幸せな瞬間だった。海があり、山がある。津軽が好きになってきた。

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からくれないの岩木山。

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ミニ白神に行ってきました。ここは世界遺産地区とは違うのですが、白神山地の一部。植生の多様性では群を抜く森だそうです。屋久島で言う所のヤクスギランドのような場所なのかな?
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ガイドさんの解説を受けながらの散策。ちゃんとメモしておけばよかった。最後の辺りでは最初の辺の話忘れてましたw折るとフローラルな香りがする爪楊枝に使われる木や、ナナカマドは七回竈にくべても燃えないところから名がついたり等、植物の話を色々聴けました。
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白神山地と言ったらブナ。ブナの表面の文様から迷彩服は作られたそう。あれは地衣類という生物が繁殖したもので、綺麗な空気の処でしか繁殖しないそう。
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ネズミの穴や熊の爪痕などから、動物の生態も聞いた。鬼胡桃の割り方とか、猿、リス、ネズミ、熊それぞれ違って面白い。
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中でも印象に残ったブナの話。ブナは生育が遅く、最初はナラ等に太陽をとられるが、40年を越えると生育スピードが加速し、森のてっぺんをとる。200年から300年と言われる比較的短いいきる時間のうちに沢山の実を産む。ブナの生き方、いい生き方だ。

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富士山がみえる処に住んでいる地区を訪れた時も思ったけれど、山がある生活って、心が安定しそうだ。何かあれば山をみられ、日々刻々と変化していく山の表情に強張りがほぐされる。岩木山は青森の御神体だなぁ、などと想。

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ホテルのTVでローカルニュースがやっていた。青森初の特A米、"青天の霹靂"が発売されたそう。ちなみにホテルは五所川原だったのだが、ここは吉幾三の地元。なんだTVもあるしクルマも結構走ってるぞw最近では立佞武多が復活して、活気が増しているそう。
風呂を浴びた後、ドナルド・キーンさんのNHKスペシャルをみる。キーンさんは日本人が持つ“日本人の特殊性を意識しすぎる”性質を新聞紙の連載で指摘。そのあとの企画は、“日記”を取りあげた。日本人にとって日記とは文学として成立するものだから。なるほど。Twitterが流行る理由もそこにあるのかもしれない。日記、私小説、随筆、それらの系譜に呟きも連なっているのかもなぁ、等と考えていたら、気が付けば寝てしまっていた。

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2日目の津軽海峡。あいにくの曇り空。グルスキー風に撮ってみたり、千畳敷海岸や、五能線を撮りながら、山へ向かう。

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十二湖着。ここも白神山地の一部。十二湖という名前だが、実際は33個池がある。疎らに紅葉していた。

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二日目のハイライトの一つ、青池。この青池ともう一つ、湧壺の池というのが青さの2トップだった。

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夜になると光るツキヨダケや、等圧線の様な木肌をしているトチノキ真っ赤な身をつけるマムシグサ葉の裏の白い文様が鮮やかなアオモリヒバの説明を受けながら十二湖を散策、上の写真はトリカブト。こんな薄紫色の花をつけるのか。別の植物と間違えて食べて死んでしまう人もいるらしいが、その別の植物はそんな美味しいものでもないそう。

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森のボスのブナマタタビをみたり、雷雨に降られたりした後辿り着いた四五郎の池。この日は33の湖の内20強個ほどみたが、四五郎の池はとりわけ印象的な湖だった。雪解け水が溜まってできる四五郎の池は、秋になると水がなくなってしまう。しかしそのあとに萌える叢が、幻想的な空気をその地に纏わせていた。

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十二湖、いいところでした。もののけ姫のモデルとなった白神山地だけあって、非常に美しい緑があふれていた。この日は日本キャニオンまでは行けなかったが、いつかまた来よう

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この日一番の絶景は帰りの車窓から見た津軽の海だった。光射す海。単なる物理現象に神を感じる瞬間。古代の太陽信仰を想った。この度の間頭の中から離れなかったのは椎名林檎の『長く短い祭り』と『迷彩』だったのだが、この時ばかりは『本能』の冒頭を口ずさんだ。

神々しい光は、その後夕雲に流転していった。それを映し出す海の色の優しい色彩は、俺は一生忘れられないだろう。スマホの電源は落ちてしまっていたのだけれど、その分、あの桃色と水色とが混じる水面に、岩の黒が切り抜かれた、浮世絵のような光景、まなこに染み入りました。泣けてくるほど優しい色だった。

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夜ごはん。どれも美味しかったが、この時期の津軽のきのこはほんと外れが無い。旅行中に食べたきのこ料理は全て上質だった。

夜は部屋でキングオブコントをみた。巨匠は大好きだったが、ロッチが1stラウンド1位は納得。ロッチを芸人として初めて面白いと思った。ただ二本目は寒かったから、コロチキが優勝は妥当だろうなぁと想った。協商のライヴに行きたい。

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最終日の朝焼け。4:40分頃起きて、ラグビーの後半をみていた。ラグビー、面白い。多文化社会を血肉としている点も現代の日本に合っている。筋肉でがっしりしている選手たちは男の眼から見ても格好良かった。いかつくて。みるスポーツとしても面白い。ガチムチの選手の中で、俊敏な動きでかわす日本選手が、スラムダンクのリョータだなと想った。というかサンウルブスは湘北っぽい。この3試合は、山王戦の後の湘北と重ねてみていた。

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ホテルのロビーにIKZOの資料館のパンフが。昨日のガイドさんに聴いたらIKZOの地元は五所川原でももっと辺鄙な村らしいwちなみに太宰治記念館“斜陽館”なんてのもあるらしかった。昨日の帰りに寄った道の駅の2階には地元出身力士舞の海の相撲ミュージアムもあった。

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津軽に来て知ったのは林檎が桃色なこと。緑に桃色、吐息が出る風景だった。

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最終日は遂に世界遺産地域に入り、錦秋の白神山地を愉しんだ。紅葉に包み込まれた。緑の白神山地もいいなとは想ってはいたが、やっぱり黄葉は凄い。絵画の中に入り込んだようだった。天然の点描画。
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猿の他、熊が傷つけた看板マタギが森神に感謝を示すためにナタでブナに名を彫った痕などもみた。ブナは酸性雨を一身に集め浄化するらしい。世界最大級のブナ林である白神山地は世界最大級の酸性雨浄化メカニズムがある地でもあるわけだ。暗門の滝は手前から3の滝、2の滝、1の滝とあるが、今回は通行止めで3の滝までしか歩けなかった。

ガイドの方は百名山なんかのTVにも出ているようだった。白神山地、3連休で紅葉も見事だったのに、全体的に人が混んでなかった。嬉しかったけれど、もったいない。穴場でおススメ。ガイドの人がドローンで空撮広報をしたいといっていたので、その内Youtubeに上がるかもしれない。

岩木山、津軽海峡、そして白神山地の紅葉と、津軽の彩りに魅了された3日間だった。

帰りの車窓から、紅葉する照葉樹林と黒々としている針葉樹林がくっきり分かれた山を眺めて、人間の手で杉が植えられてきた歴史を想った。建材に使うために植えられた杉は、今は花粉症の原因であり、白神山地のガイドさんも見向きもしない嫌われ者だ。しかし、杉は杉で一つの命、害はあったとしたって、人の手によって生まれた命じゃないか。憎しみを向けられる杉に、なんともいえない気持ちになった。生命に手を加えることの難しさは、遺伝子組み換え植物という更に難しい領域になってきている。

農業は科学である。そして本当の科学者は、こんな自然あふれる中で感性と知恵がインスパイアされていくのではないかと想った。

そして、横浜と東京の往復だと、カエルにも驚くくらい自然と自分は離れてしまっているのだなぁとも想った。自然の近くで生活したいとも。東京へ帰ると東海道の車内に漂う人間の匂いに噎せた。たった3日で随分都会の毒素が抜けた体になっていたのだなぁ、なるだけ自然、神奈川だと湘南だとか、後は房総だとか、あぁいう所に行くことを日々の中に入れていきたいな、と想わせるくらいの力がある土地でした。いい旅になりました。
by wavesll | 2015-10-13 23:03 | | Trackback | Comments(0)
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