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採音に於けるコンセプトとサウンド―Terje IsungsetとMatmos

Terje Isungset at the icefestival in the glacier of val senales/South Tyrol/italy, the 28.02.2010

先日、代官山の晴れたら空に豆まいてで行われたテリエ・イースングセットのイヴェントに行ってきました。
彼は氷で楽器を創り演奏するというミュージシャンで、このイヴェント自体がノーザンライツフェスティヴァルというノルウェー映画祭の関連のものだったので、ライヴ前に氷の楽器作りについての映画が流れました。

そしていよいよライヴ。さぁ生で氷の楽器が聴けるぞ!と想ったら、氷の楽器はなく彼が作成したパーカッションなどのライヴ・インプロヴィゼーションでした。石の深い響きや口琴はこの目に見える自然物こそが宇宙なのだという感じで良かったのですが、やはり氷の楽器が聴きたかった。まぁ、室温高すぎでしたしね。水曜に北海道で氷の楽器の野外ライヴをしたそうです。

どちらかというと、映画とライヴの間のQ&Aセッションが面白かったです。曰く、世界中の色々な都市で人工の氷を創ってみたが、天然の氷の方が全然音が良い、響きの深みが違う、とか。だから東京では氷のライヴは無理で、北海道なら出来たのですね。

あと、最新アルバムでは南極や北極の氷を使ったり、流氷を使ったり、一万年前の氷を使ったりしたが、それぞれ音が異なるんだ、とか、以前インドで氷で喇叭を創ったのだけど、いざ吹こうとしたら「口をつけてはいけない(水道水は危険)」と言われて、口をつけられなかったとかw

インプロがイマイチ乗りきれなかったことがあり、CDは買わなかったのですが、サインもしてくれたそうだし買っても良かったな。今度来日した時はぜひアイス・コンサートへいかなければと想いました。

さて、そんな渋い財布の私ですが、今夜は渋谷タワレコで2枚もCDを買いましたよwしかもそのうち一枚は売り場で見てあぁもう出てたんだと試聴して買ってしまいました。

それがこのMatmos - Ultimate Care II Excerpt Eight

これが非常にいいアルバムでした。本編が38分11秒と言う尺なのも小気味好いし、洗濯機の発する音で造られたというサウンド、もろにそれっぽい音から、かなり加工された普通っぽい音まであり、決して聴きにくい実験作でなく、面白くも音楽的に聴けました。

以前2chのベビメタスレで独り語りをしていたオジサンが、70年代の音楽だけを聴く時代から、80sの映像と共に音を聴く時代、そして今はコンセプトを聴くようになったと言っていたことがありました。実際、フィールドレコーディングなんか私も多分にコンセプトや情報を聴いているところもあると想います。

ただ、フィールドレコーディングや一部のビートミュージックが面白いのは、サウンドとして新しく聞けるところがあるからが個人的には大きいです。新しい楽器のようなもの。新しい楽器で奏でられるから、採音は毎回新しく感じる、それがフィールドレコーディングが好きな理由だと想います。

新たなサウンド、新たなビート、それを求めて、ワールドミュージックやフィールドレコーディングを聴く。ともすれば"情報を食べている"と言われがちな分野ですが、勿論コンセプトはインストに於ける歌詩のような存在として重要ですが、あくまで音の楽しみ、というところは外したくはないな、と想いました。

またTerjeの即興ライヴは、まさに私が好きそうなコンセプトのライヴなのに楽しめたのは一部だったという点でも、私が好む音楽的旨味の貌が一つ浮かび上がったのは、個人的には興味深い体験でした。
by wavesll | 2016-02-18 22:02 | Sound Gem | Comments(0)
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