GY!BEの轟音、感動。壮絶な響き。今も頭部がジンジンしている。
始まりは遊牧の小屋がある草原の音に聴こえた。風の轟音。獣の咆吼。徐々にそして激しく音圧は上がり、激音。こんな重い弦のしかし流麗な音は初めて聴いた。感動した。
次の部は高く聳えるビルディングの映像が映される。天へ建造されていく音、不意にデウス・エクス・マキナの出現のようなインダストリアルでノイジーな展開。そして山嶺へ昇るコンドルのような景色に連れていかれた(映像には山嶺もコンドルもない)
第三部は轟音というより、フレーズがよく聴こえる。どこか哀しげで痛みのあるメロディー。通低音に混じり、カタカタカシャカシャという音、振り返れば映像がフィルムで映写機から投じられていた。どうりで映像と音がぴたりとあうわけだ。人の世の悲しみや痛みが、これまでになく憂いと暴力性のある音で鳴り響く。
自分自身が心に痛みを抱えているとき、更に切り刻むような音楽に、却って癒されることがある。癒しの痛み。轟音は静寂に似ている。草原、天空ときて、最後は心象風景へ。抽象的な音なのになんと想念を巻き起こす音だろう。棒立ちに立ち尽くす他なかった。
アンコールは無し。開始前のSEからシームレスに演奏が始まり、そして轟音の余韻からシームレスに演奏後のSEへ。何か、とてつもない演劇をみたような、セックスで夢中に腰を振っている時のような無心さというか、あの腹と足に響く重振動の皮膚感覚は4Dの映画のようで、今も頭がジンジンしている。
この日の音源がInternet ArchiveにULされていました。