BSプレミアムでやっていた『新幹線大爆破』、思わず見入ってしまいました。
「速度が80km以下に落ちると爆発するダイナマイトを新幹線に仕掛けた」という脅迫から始まるこの映画、手に汗握る展開に魅入られました。
カット割りやアクションは現代の映画の方が凄いのはわかるのですが、俳優が持つ迫力が物凄い。75年制作。まだ戦中派が社会の中に居た頃の、荒々しい野性味が、当時の俳優の顔から滲み出ていました。
また昔の日本の光景がまたみていて嬉しい。
新幹線0系、ほんとに懐かしい!
また出てくるクルマもかっこいいんだ、これが。
70年代の文化には憧れがあるというか、音楽も和爵士で格好良いんですよ。65年の作品ですが『網走番外地 北海篇』のBGMもジャズで格好良かった。健さんとJAZZ/FUNKは似合いますね。
Hachirou Aoyama - Ransom Plans StartHachirou Aoyama - Super Express 109 - 1975 Soundtrack Funk - Train Breakdown物語の一つの肝はATS(自動列車停止装置)、この新技術を初めとする「新幹線というニューテクノロジー」が、人間の手に余るレベルで、そこに潜む脆弱性を犯人に突かれるという話。新しい技術は、新しい物語を作りますね。そういった意味ではこの作品は『her』なんかと同じで、時代を写す映画である。時代は俳優の顔にも、しゃべり方にも、そして舞台となる光景にも刻まれていて、映像作品の力強さを感じました。
男の色気は、以下に命を張って生きているかなのかもなとも。この映画では犯人グループですが、ヤクザや賭博といった犯罪者たちは、悪だから格好いいのではなく、破滅と隣り合わせの危険さが匂うから、格好いいのだと思いました。と同時に、そういった男は世を治める側には回れないとも。安全圏に居ない、ということはカタギの道でもできるかもしれないな、どっかで勝負していれば。なんてのも想いましたね。そうしてみたときに、鉄道側の指揮を執った宇津井健の格好良さ。正義とは苦悩し続けることかもしれません。秩序を守ることがいかに人を消耗させるか。犯人のロマンと正義の苦み。勝負に挑む男は格好いいですね。