20160623三宅洋平 選挙フェスDay2 JR高円寺駅北口 東京都選挙区 参議院選挙
さて、私は結構な頻度で渋谷へ訪れるので、選挙フェスなるものを生でちらっとだけ見たことがあります。ギターが爪弾かれる中で山本太郎氏が熱っぽく語りかけていて、"あぁ、音楽パフォーマンスとしては面白いけれど、政治でこれやられるのは俺は厭だなぁ"と、早々にスルーして、これまで三宅洋平氏の動画も触れませんでした。
で、投開票日、見事に三宅さんが落選したのを知り、ようやく安心してみれるなと想って上の動画を観ました。
音楽伴奏に熱っぽい語り掛け。あぁこれに"魂"とか感じちゃう人もいるのかもなぁと感じました。魅力があるのも伝わりました。
ただ、肝心かなめの演説を伴奏込みでするのは、自分は単純に反対なんです。
語っている内容とは関係のない要素で魅力がドーピングされるからです。
これがロックバンドが音楽として、心情の吐露の表現としてやるなら、或いは舞台劇で独白するなら何の問題もないし、或いは
外山恒一の政見放送 [2007/03/25]や以前の
鳥肌実的にネタとしてやるなら全然好きなんですが。実際、私はエレファントカシマシのアジテーションは最高に愛している人間です。忌野清志郎しかり社会的な要素が表現をさらに高めることがあると想っています。ただ、政治をまじめにやろうと立候補するなら、身一つ、身体と知力で勝負してもらいたいのです。
外山恒一の政見放送 [2007/03/25]
【右翼】鳥肌実!伝説の自己紹介スピーチ!!
エレファントカシマシ「ガストロンジャー」(Live Ver.)
エレファントカシマシ「コールアンドレスポンス」
Kiyoshiro Imawano - Kimigayo ~ 忌野清志郎 - 君が代
頭の固い人間なのかもしれませんが、自分はニュース番組なんかでもBGMで印象操作演出をするのは本道ではないと想う人間なのです。音楽を愛している分だけ、音楽の魅力に陶酔してしまう人間だからこそ、報道や政治といった分野を本業とする人の音楽の使い方には過敏になってしまうのかもしれません。
勿論、語り口や姿勢、ジェスチャー等も演説の技術ともいえるし、政治家には人を引き付ける魅力は不可欠です。でないと代表者として民意は託されないと想います。しかし、音楽にしろ、服装にしろ、声色にしろ容姿にしろ、そういった"飾り"の魅力を取り払って三宅さんがWebにあげた文章を読むと似非科学やら不用意な差別発言やら地震兵器などの陰謀論やら、とてもじゃないけれど支持はできない人だなぁと想います。
究極的には政治家に私が求めるのは知力なのだろう、と想います。勿論胆力や迫力も必要ですが、国会や外交の場には楽団は連れていけませんから。
そもそも参院選は"良識の府"のはずです。大学教授であったり作家であったり知力がある有識者達が、ともすれば迫力や党勢で決定をしてしまう衆院の案に対して議論を深めていく場であるというイメージだったので、人気頼みのスポーツ選手であったり、疑似科学を信じてしまう人はいれたくないなぁと想うのです。旬を過ぎた芸能人が政治勉学も積まずに第二の華を咲かせようとするのを見ると苦い顔になってしまいます。
小室直樹 山本七平共著の『日本教の社会学』において"「空気」メカニズム"が語られていましたが、今は音楽流す政治家なんかうさん臭いという空気が流れているから(それでも24万票入りましたが)落選したけれども、空気が変わったらどうなるかわからない。そもそも今のアベノミクスに関しても「期待したいというマインド」で持ってるような感覚があります。
そういったときに良識の府に期待したいのは
『日本教の社会学』で語られるところの「空気に"水を差す"」行為です。事実と数字で水を差すそのチェック機能に期待するのが本道だと想います。
現実には比例代表制が導入され、かつての良識の府は情勢が変わってしまい、党同士の闘いでは相手の批判だけでなく自らのヴィジョンが試される選挙に参院選もなったと想いますが、出来ることならば知力の府になってもらいたいものだと、心から思います。と同時に"有識者"の人たちには三宅さんがウケたとしたらその要因を研究し身体的なところに反映させてほしいなとも思いました。また
犬式、或は三宅さんのソロで
七尾旅人の『兵士A』みたいな作品を出したら、かなり好きになるかもしれません。
cf.
『日本教の社会学』読書ノート1 日本は民主主義でも自由でもない
『日本教の社会学』読書ノート3 「空気」メカニズム
ExtremeからNormcoreへ。Webがもたらした適温主義 追記:副作用としての保守化
池上彰さんにお願いしたい事 参院選マスメディア雑感
七尾旅人『兵士A』予告編 / TAVITO NANAO『Soldier A』trailer