『ゴジラ』、『GODZILLA』そして『シン・ゴジラ』

バルト9でシン・ゴジラ。半端ない怪作!是非事前情報をなるだけ入れずに見てほしい!劇場でみる価値あり!飯も食わずに胸一杯で新宿を彷徨ってしまいました。

感想をネタバレなしで書くのは難しいので、是非『シン・ゴジラ』をご覧になってからMoreをクリックして下さい◎
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私は実は子供の頃にあまりゴジラに触れていませんでした。
ジュラシック・パーク世代の小中高生な自分は特撮とかがチープに感じられて、夏休み映画はゴジラというより東映まんが祭り派だったのです。

そんな自分が初めてゴジラに触れたのは1998年のローランド・エメリッヒ監督によるハリウッド版ゴジラでした。ゴジラ・シリーズが好きな人からは後に"ジラ"と蔑まれるT-REX色の強いゴジラ映画、自分は結構楽しく視た覚えがあります。

その後、大分時間が経ち、自分が平成ゴジラをみる遠因になったのは、2012年に庵野監督がキュレーションした特撮博物館でした。特撮の面白さを知り、中でも『巨神兵東京に現る』には、大学時代にエヴァに嵌り、その後ライトヲタとして庵野さんがナウシカの巨神兵シーンを描いてたとか知っていた人間としてはとてもわくわくしました。

その頃、丁度衛星放送で釈由美子版の『ゴジラVSメカゴジラ』をみて、改めて特撮が好きになったというか、チープな妙美さというか、アートスタイルとしての特撮が好きになったのでした。

その流れで平成ガメラとかも見たりしたのですが、また怪獣モノから離れていて。時は流れます。

そしてつい先日『シン・ゴジラ』のアドの為か衛星放送で流れた初代『ゴジラ』に衝撃を受けたのです。このドラマ性は今見ても素晴らしい映画芸術だと感じたのです。

まず白黒映像が逆に戦前のニュース映画みたいな効果を出してるし、現在見ても映像的にも迫力が凄い!そして音が最高!伊福部氏によるテーマ曲もとてつもないし、ゴジラの咆哮、どうやってこんな音を作ったのかと驚愕させられました。

そして1954年だからこその映画というか、水爆によって生まれたゴジラが原爆がまだ生々しい、そして第五福竜丸の悲劇にあった日本に上陸、破壊の限りを尽くすというテーマ性。破壊兵器を使用したくない芹沢博士の心情も戦後の日本が背負ったトラウマが現れていて、飛び道具でない深く骨太な作品だと感じたのです。

一方で金曜ロードショーで放送された2014年版ハリウッド『Godzilla』は少し肩透かしでした。映像的にはダークで質感もあっていいのだけれども、ドラマに乗れないというか。

ともあれ、そういった流れでゴジラを観てきた私が、初めて映画館でみた日本のゴジラが『シン・ゴジラ』だったのです。さて、いよいよネタバレありの感想を書いてしまうのですが、いいですか??まだ見てないなら引き返すなら今ですよ。今までのゴジラの予告編が流れているうちに意思決定してください。

ゴジラ


Godzilla - Trailer


ゴジラ x メカゴジラ 2002 予告編1  釈由美子


Godzilla - Official Teaser Trailer [HD]


『シン・ゴジラ』予告


庵野秀明総監督が自ら編集した『シン・ゴジラ』予告編!


ヱヴァの序破Qをみて庵野監督に興奮させられたり"またこれかw"と想わされたりしていた自分には『シン・ゴジラ』というネーミングに、計画されているという新劇場版最終章『シン・ヱヴァンゲリヲン』を意識せずにはいら
れませんでした。

そしてその予感は当たるというか、『シン・ゴジラ』は『シン・ゴジラ』。エヴァを初めとして今までの日本の全精力を注ぎ込む総力戦が繰り広げられ、アニメをリアルに実写化したような、"残念に思わずに乗れる超大作邦画"でした!オマージュも含む超重量級の情報量を凄まじい熱量の推進力で推進する。とてつもない映画でした。

勿論、不満もないわけではありません。最初にゴジラが出てきたとき、ちょっとCGが前日に見たハリウッドより粗いなと想ったし、エヴァの音楽を使うのは同人臭くなるし、ヤシマ作戦オマージュにしなくても良かった。まぁ八塩折之酒は八岐大蛇を酔わせた酒の名らしいですが。ただもっというとヤシオリ作戦はクライマックスにしてはちょっと地味だし、国内描写はとてつもなくいいけれど、海外描写、石原さとみとか米国人の描き方に違和感があったり、フランスへの工作の描写がさらっとしすぎていたりするのは残念でした。

しかしそれを補って余りあるほど国内の描写が凄い。というか、クール・ジャパンが持て囃される時代にここまでドメスティックに突き詰めてビッグバジェット映画を作るのは最高と言わざるを得ないです。

"会議映画"と言えるほど会議のシーンが多いのだけれども、ガンガン議論が収斂し、転がり、緊迫感が半端ない!"今の日本に本当にゴジラが現れたらどうなるのだろうか"という政治上・災害上のリアリティーを突き詰めた描写、神奈川県民としては鎌倉、洋光台、武蔵小杉等にゴジラが襲来する様子はまさに手に汗握る現実味がありました。何しろまともな大人のいないエヴァンゲリオンの世界を作り続けてきた庵野がこうして大人の責任を描き落とし前を付けたことに、胸が一杯になりました。

ゴジラの恐ろしさがまた凄いのなんのって!中盤の放射線火炎を吐き背鰭から光線を出すときなんか気が付くと前のめりに食いついてしまいました!ヴィジュアル的にも過去最恐クラスのゴジラと言えると想います。

そして、ゴジラ映画のコアとなる、核/放射能との闘い。
冒頭辺りで出てくるゴジラに押し倒される車の波、破壊されつくした町並みは、まさしく津波の描写。そしてゴジラの放射能火炎を初めとする放射線測定の「0.5マイクロシーベルト」等、あの震災が及ぼした日本への傷跡が何度も想起されます。福島原発を陰謀論的に処理した2014年『GODZILLA』とは一線を画す、ゴジラ映画の魂を観ました。

物語は米軍を初めとする多国籍軍が東京に原爆を落とすかどうかという切迫した戦いの中、最後にゴジラが冷結されたラストシーン。主人公の矢口が「これからもゴジラと共に生き抜かなければならない、仕事はまだ終わってない」と語るシーン、それはまさしく、福島の廃炉作業をカタストロフィと一枚違いの差で40~50年生きていかなければならぬ我々日本人への檄。背筋に一本鉄が通り勇気が奮い立つ終幕でした。

この映画はリピーターがヱヴァ破ぐらいありそう。自分ももしまた見るなら今度はIMAXか4DXか爆音でみてみたいですね。しかしパンフレット売り切れだったのですが、初代ゴジラの”大戸島”を使ったり、栄光丸ならぬグローリー丸だったり、パトレイバーから踊る大捜査線のラインの(セルフ)オマージュや、メインキャストのキャラクター名が安野モヨコキャラから等、夥しい裏設定があるはずなのでパンフ欲しかったなー>< 解説本とかでないものだろうか…。(追記:『シン・ゴジラ』公式全記録集「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」というのが出るそうです)一番いいのはディレクターズカット版Blu-Rayが出ることですね。

cf.
ゴジラがPARCOのRを毟り取る


サンシャインの天井を踏み抜くゴジラの足

ゴジラ(1984年)、FINAL WARS、VSビオランテ、大怪獣総攻撃からみるシン・ゴジラ
by wavesll | 2016-07-31 00:25 | 映画 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 自由浮遊社 at 2016-07-31 08:39 x
パンフ、私は上映前に買ったので入手出来ましたが、特に裏設定とかは書いてなかったですよ。パンフのほうも「正統派」(笑)な作りでした。
まあ、820円分だけの読み応えはありましたけど。
Commented by wavesll at 2016-07-31 09:09
おぉ!そうでしたか!正統派なつくり、逆にいいかも。パンフだけ買いにまた映画館行ってしまうかもしれませんw
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