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ルノワール展@新美

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オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展at国立新美術館へ行ってきました。

光度の低い美術館内で、ルノワールの朗々と晴れやかな作品が光を射すのはクラブのフロアの如し。現代における『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』かの様でした。

何しろ一番見たかった『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』。まず"こんなに大きかったのか"と。絵のライフサイズを知れるのは美術館ならではですね。そのタッチの優美さ。淡いとはっきりしたタッチの部分がありました。日美で“こちらを見つめるカップルがいて引き込まれる”と誰かが述べていましたが、現実に新美のフロアで絵に群がる人々も、まるで映画に集う人、または絵の舞踏場が拡がった様な感覚がありました。

とはいえ、『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』は穴が開くほど今まで見てきたので、絵として一番インパクトがあったのは冒頭の『猫と少年』の仄青黒い質感と、それに並んで展示された『陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光の効果)』の対比でした。

ルノワールは数多くの肖像画を残しています。中でもパリらしく黒を纏った女性の肖像画群では、秘密が人を美しくするような『ヴェールをつけた若い女性』と、明るく可愛らしい『読書する少女』が良かった。他にも肖像画では『クロード・モネ』や白髪の『リヒャルト・ワーグナー』なんてのもありました。

ルノワールは「風景画ならそのなかを散歩したくなる絵画は好きだ」と述べたそうです。『セーヌ川のはしけ』の明度の高い色合いや、『草原の坂道』の構図はまさに散歩したくなるような風景でした。『バナナ畑』なんて題材の絵もあって面白かった。『漁村の村』が切り取った一瞬の光景は美事でした。

面白いモチーフでは山盛りの苺を描いた『イチゴ』なんてのも。少女の美しさが引き立つ『ぶらんこ』も面白いモチーフ。その隣の『アルフォンヌ・フルネーズ』も憂いを帯びて綺麗でした。美しい女性画では『手を組んで座るブルネットの少女の肖像』がベストガールでした。(これは画像が見当たりませんでした><)

彼は子供も多く描きました。『ジュリー・マネ』の子供らしい表情、『シャルロット帽をかぶった少女の肖像』の可愛らしさ、『ガブリエルとジャン』は息子と奥さんのいとこを描いた作品。ガブリエルは他にも何枚かあってブルネットが美しい。息子ジャン・ルノワール自身の映像作品も展示されていて、映像作品『ナナ』『フレンチ・カンカン』。ゾラの作品の映像化だそう。当時のフランスのダンスホールってこういう感じかと『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』に通じて面白かった。三男クロードを描いた『道化師(ココの肖像)』も良作でした。

ルノワールは花を描くとき安らかになれたそう。女性の肌の質感をバラから学んだそうだが『ピアノを弾く少女たち』の幸福感や『バラを持つガブリエル』や『ガストン・ベルネーム・ド・ヴィレール夫人』に成果が現れていました。

ルノワール以外の画家の作品ではジャン・ペロー『夜会』がホキ美術館のみたいな精緻さ。ジョバンニ・ボルディーニ『ムーラン・ルージュでの宴の情景』も鮮烈。フィンセント・ファン・ゴッホ『アルルのダンスホール』もデザイン性が高い絵で好きでした。そしてルノワール以外でベストはアンリ・マティス『布をかけて横たわる裸婦』意思の強そうな直線的な描画の女性が好きすぎました。

また変わり種ではリシャール・ギノと組んだ彫刻『しゃがんで洗濯する女性(大)』やブロンズのメダイヨン『ココ』なんかもありました。

一つのクライマックス、『都会のダンス』と『田舎のダンス』。どちらにも温かい目をルノワールは向けていました。女性はそれぞれ田舎は妻アリーヌだったり都会は元恋人シュザンヌ・ヴァラドンだったりするとキャプションに書いてあったのですが、男の髪型が似てるなと聞いてみたら男の方はモデルが同じらしいです。

ルノワール展、かなり混んでいましたが、良い感じの展覧会でした。

cf.
ゴダールをして 〈フランスで唯一の偉大な探偵映画〉、ジャン・ルノワールによるフィルム・ノワール以前のフィルム・ノワール「十字路の夜」がソフト化(Mikiki)


ルノワールの造形~セザンヌとの関係において (アートの発見)
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by wavesll | 2016-08-03 19:25 | 小ネタ | Comments(2)
Commented by desire_san at 2016-08-16 12:33
こんにちは。
私もルノワール展を見てきましたので、主要なさ作品に対する本質を把握されたご説明と読ませていただき、ルノワールの絵画が目に浮かんできて、美しい色彩や光の表現、絵画魅力などを追体験させていただきました。『セーヌ川のはしけ』の明度の高い色合いや、『草原の坂道』の構図はまさに散歩したくなるような風景、秘密が人を美しくするような『ヴェールをつけた若い女性』等のご表現は大変共感致しました。ジャン・ペローは私も好きな画家で彼の『夜会』が展示されていたのは嬉しかったです。ジョバンニ・ボルディーニ『ムーラン・ルージュでの宴の情景』。フィンセント・ファン・ゴッホ『アルルのダンスホール』は、ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』とは似たようなモチーフを全く違った表現で鵜がいていて、面白いと思いました、おそらくボルディーニの作品がムーラン・ルージュの現実なのでしょうね。

今回のルノワール展からルノワールの絵画の魅力となぜルノワールの絵画が見る人を魅了するのかと、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌとの芸術の本質的の違いを考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。トラックバックも大歓迎です。



Commented by wavesll at 2016-08-16 22:50
こんにちは!丁寧なご感想多謝です◎!
ルノワールの"散策したくなる風景画"、良かったですよね^^
ゴッホとルノワールのダンスホールの対比も面白い意見ですね。

記事、是非拝読させていただきます。
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