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古川日出男/蓮沼執太/青柳いづみ『偽ガルシア=マルケス』@東京都庭園美術館

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東京都庭園美術館に来たのは初めてで。アンリ・ラパンや宮内庁の宮大工によって粋に仕上げられた旧朝香宮邸のレリーフ、壁紙、カーテン、床タイルetcetc…美事でした。旧館玄関のラリックによるガラスの女神も、新館の杉本博司によるうねったガラスのエントランスも双方とっても魅力的でした。

開催していた“こどものファッション展”。こども服はどれも可愛いなーくらいしか解らなかったのですが、児島虎次郎の『登校』・『雁来紅と子供』とラファエル・コラン『エリーズ嬢の肖像』の三枚の絵画は気に入って。あと植田正治の『少女達』がみれたのは嬉しかったです。玄妙な表情がとても良かった。

そして本日来館した目的が演劇『偽ガルシア=マルケス』。
何と脚本が『アラビアの夜の種族』の古川日出男さんで◎古川さんは出演もされて。もう一人の役者は青柳いづみさん。ハロプロ顔というか綺麗な方で、声も可愛らしかった。そこに蓮沼執太さんの演奏が奏でられる構成。
三者が同時多発的に音を鳴らす演出はガルシア=マルケスの濃密な情報洪水を顕していたとしたら成功していました。そこから漏れ聞こえる『百年の孤独は土地の物語でなく家の物語』だという見立てなども見事。

ガブリエラ・ガルシア=マルケスと日本人作家によるガルシア=マルケスの解読劇。都会的な清潔さを想わせる蓮沼さんの音を魔術的リアリズムの題材に合わせるのは何故だろうと考えていたのですが、“ここ”が書物内部、或いは記憶の内部、“本の紙魚”の情報空間だと解釈するとぴったり来ました。

様々な読み解きにより主体的に芸術に関われるのも演劇の魅力。『百年の孤独』や『エレンディラ』等のガルシア=マルケス作品への興味がないとちょっと厳しかっただろう劇でしたが幸いにマルケス好きで『アラビアの夜の種族』も好きだったのでかなり楽しめました。冒頭の“解答をするより良い質問をするほうが難しい”という話、その通りだなと。批評も解答の一形態だとすれば、良い批評とは良い問いを含んでいるものなのではと想いました。

その上でこの舞台から“良い問い”を導くとすれば、“家とは何か?後天的に家を造るとはどういうことか?”というテーマから、“人が集団を造るとき、単なる集団と家の違いは何なのか、血でしか家は造れないとしたら、他者と夫婦になるとは?”というものを、今は挙げておきます
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by wavesll | 2016-08-28 20:13 | 舞台 | Comments(0)
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