Moe and Ghosts & 空間現代 - RAP PHENOMENON X 白霧島 第81回酒と小皿と音楽婚礼 / ジャポニズムを超えて

Moe and ghosts × 空間現代 - "不通" from "RAP PHENOMENON"


c0002171_2144838.jpg今年は緋色の豊饒 Chance the Rapper- Coloring Book (Chance 3) X 秋味 第80回酒と小皿と音楽婚礼を筆頭にRapの当たり年。日本でも米国でもいい作品が多数ドロップされました。

その流れの中で今夜
Noname - Telefone と 宮古島サイダー黒糖で在りそうでなかったSweetbitter  第79回酒と小皿と音楽婚礼に対して
DAOKO / ダイスキ with TeddyLoid X リボン星雲 第22回音の貝合わせを挙げましたが、フィメール・ウィスパー・ラップでいうと今年リリースされたこの作品をご紹介しないわけにはなりません。

幽霊たち [2012.08.15]でデビューしたMoe and Ghostsと、今年健康音楽でロックという概念建築を解体し再構成したような衝動を残した空間現代のコラボ作品。

特に空間現代は私にとっては昨年の音楽体験の十指に入るF/T 地点X空間現代Xマヤコフスキー『ミステリヤ・ブッフ』 2015年の新しい音楽芸術デモで鮮烈な印象を残したグループ。実はこのアルバムも、舞台を薦めてくれた彼女から教えてもらったアルバムでした。

教えてもらったのは大分前だったのですがその時はWeb上に適当な音源が上がっていなくて。検索してみたら丁度このFull動画があり、"今こそ記事をドロップする時だ"と書くに至ったのでありました。

ちなみに今ALを聴きながら吞んでいるのは白霧島。フィーリングで選んだのですが、これが案外このALと良い相性で。

というのも、ジャケの印象からこのALの音像はモノクロなイメージ、特に黒が強いイメージだったのですが、まっさらな状態で聴くと案外ふくよかな色の気があるというか、空間現代が紡ぐ音に密林感を感じ、萌さんの囁くように放つRapが白霧島と呼応して甘味が滲むというか。コンクリート・ジャングルに淡い色味が射していくような心持になったのでした。

どの曲も硬度を備えているのですが個人的な白眉は6曲目の「可笑しい」。リリックに山内マリコの小説『ここは退屈迎えに来て』のテキストを引用しEXILEに言及する様はKOHH - "Living Legend"とも呼応するようなB層―ファスト風土に於ける『サウダーヂ』な風景の切り口を感じました。

こうしてKOHHへ到達すると宇多田ヒカル / 忘却 featuring KOHH を聴く海景そして『Yeezus』からの影響を嚙み砕いたKOHHのBoiler RoomでのLIVEにも繋がるというか、ヒップホップにおける彼我の呼応に同時代を生きている感覚が呼起されます。

『ミステリヤ・ブッフ』で提示されたTBH-向井秀徳をさらに二歩三歩捻ったようなリズムのロックサウンド念仏ラップとフィメール・ウィスパー・ラップが交差したこの盤は極めて現代日本的な様相を示していて、そういった意味でもDAOKO / ダイスキ with TeddyLoidと双璧を為す2016年の日本のラップ作品になっていると想います。

フランク・オーシャンが新作で共演した日本人ラッパーKOHHに早速脚光が(RO69)みたいな流れもあるし、米国の耳の早いアーティストがDAOKO、空間現代、Moe and Ghostsにオファーを出すなんて話もあるかもしれません。逆に日本側からコラボを持ちかけるなんて話が出て来たら面白いなと想ったら三代目 J Soul Brothers / Summer Madness feat. Afrojack、或いはSigurRosのプロデューサーであるKen Thomasとロンドンでレコーディングを行ったSEKAI NO OWARI「SOS」なんてのもありましたね。

逆にJOSE JAMES / 明日の人(feat. 椎名林檎)みたいな例もあって。YMOの頃とは違った形でジャポニズムが起きている今だからこそ、"楽曲を制作し海外のアクトを招く側"で日本のアーティストが力を発揮してくれたらいいなぁと想います。そうした面ではDos Orientales (Hugo Fattoruso & Tomohiro Yahiro)Alva Noto & Ryuichi Sakamoto VrioonそしてFennesz + Sakamoto - Cendre, Yaki​-​Läki by Pastacas & Tenniscoatsなんかはその先駆となっている、

と書いた所で90年代の名曲、織田裕二withマキシ・プリースト / Love Somebody久保田利伸 『LA・LA・LA LOVE SONG』とか色々あるじゃないか、結局資本力かよ!?と想いかけましたw

とは言え、最近の日本の引き合いのされ方は資本力というよりその創造性や実力から美味しい風味を求められてだと想うので、トランスナショナルな音楽制作はこれからどんどん進む、実現していく夢だと想います。一方でAsiaの音楽環境もどんどん発展してきている。その中でジャポニズムの波に乗り、波を超えて星単位へ日本の音楽家たちが羽ばたいていく姿を今私は夢見ています。
by wavesll | 2016-10-25 22:37 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)
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