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里国隆 黒声(クルグイ)の記憶

奄美の歌者 里国隆 「あがれゆぬはる加那」 2000年発売のCD『黒声(クルグイ)』から


フジテレビ 【FNSドキュメンタリー大賞】 黒声(クルグイ)の記憶をみました。
大正7年、奄美大島笠利町に生まれた里国隆(さとくにたか)。幼少期に失明しながらも祖父の手ほどきで島唄と三味線を身につける。17才の頃、樟脳売りの行商人に連れられ故郷を出奔。戦後も米軍統治下の沖縄全土を歩き、竪琴、三味線をかき鳴らし、生涯のほとんどを放浪で暮らした。里の路傍で鍛え上げられた独特の声は「黒声(くるぐい)」と呼ばれる。
「物乞い」、「リズムの天才」、「放浪芸の華」、様々に評される漂泊の唄者の実像に迫る。
奄美群島では歌の上手い人を唄者(うたしゃ)と呼び、きれいな声を白声(シルグイ)、太い濁声を黒声(クルグイ)と呼んだそうです。

17の時に奄美竪琴で生きていくと沖縄に出た里国隆氏。奄美、沖縄、米軍、辛苦の中で時代に揉まれ、笑みを失わない里国隆氏の歌は凄味を益していきます。

去年観た奄美竪琴の盛島貴男さんも里国隆氏の影響を大きく受けているとのこと。盛島氏の優しい響きに比べて里氏の歌は破天荒な野性味に溢れているというか、今年観たすみだ錦糸町河内音頭大盆踊りを想起。里氏のきらめく竪琴の音色と凄味のある歌の組み合わせの妙が、とても心打ちました。

歌が持つ命の燃焼、生きていくことの澁とさ、ブルジョワ趣味とは一線を画した生々しい音楽、Rhythmの蠢き、縄文杉の白古樹のようなクルグイの迫力に畏敬の念を抱かされ、Empowerされました。
by wavesll | 2016-11-23 07:16 | Sound Gem | Comments(0)
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