地球生物の知性から未知の精神活動を想像する:<モーガン・フリーマン 時空を超えて>

最近一番楽しみな番組、モーガン・フリーマン 時空を超えて。

今回は色々な地球生物の"知性"から未知の知的生命体、つまり宇宙人の知性の形が想像されていました。
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1. 脳を持たない植物の知性。
コンスエロ・デ・モラエスとマーク・メスカーという二人の研究者によると、アメリカネナシカズラという他の植物に寄生植物は根もなく光合成もせずに、宿主から栄養を奪います。そして宿主が健康かどうかをなんと"匂い"で検知するのです。

植物は匂いによって情報交換をしています。例えばダイズは芋虫が葉を食べにやってくると蜂を引き付ける物質を放出し、蜂の助けを借りて芋虫を駆除します。そして周囲の植物もSOS信号を感知し物質を放出します。

2. 意識は感覚入力と身体運動から。ヒトの知覚の拡大
意識が五感の相互統合作用だとすると、感覚のベクトルが増えたら…?
認知科学者サスキア・ネーゲルの実験によると、方位磁石ベルトによって"北"で振動を感じるようにする訓練を6週間積んだ被験者は、ベルトの振動に頼らずに北を認知するようになるそうです。感覚は拡大・成長できるという実験により、未知の知的生命体はヒトの五感とは異なる感覚を基にした精神活動を行っている可能性があるのです。

3. 蟻の"超個体"における社会構造
宇宙人は脳の神経細胞の結合が"個人"を超えている可能性があります。
ナイジェル・フランクスによると蟻は集団になると"超個体"を形成します。小さく知的でない個体が集合すると、巨大な知的生命体となるのです。蟻のコロニー全体が一つの脳の様な構造物となり、その中で情報交換をしているのです。

一匹の蟻は限られた指示に従って行動しているのですが、超個体全体としては高度な問題解決や価値判断、効率的な行動を行えるそうです。蟻によっては個々の個体は細胞の様なもので、社会全体が重要だと。

そしてコンピューター科学者ジェームズ・マーシャルによると蟻のコロニーの意思決定モデルをコンピューター解析すると、なんと霊長類の意思決定モデルと極めて似ているそうです。蟻のコロニーと、霊長類の個体の脳の意思決定は似ていると。
となると、蟻のコロニー全体としては"精神"があるのでしょうか?

蟻のコロニーは目の前の事しかできず、自己認識と想像力がない点が人間の"意識"と異なるそうです。

4. ヒトの同じく自己認識する脳を持った地球生物・タコ
蛸は無脊椎動物ですが、哺乳類に匹敵する思考能力を持っています。考えが深く利口で計算深くさえ見えるそうです。知性を持つ宇宙生命体に最も近い地球生物はタコだというデヴィッド・エデルマンは言います。火星人モデルは正しかったのかw

タコには複数の脳があります。五億の神経細胞のうち半数は腕にあり、蛸の腕は小さな脳を備え、これら複数の脳がコンピュータの分散処理システムのように働きます。タコの腕から頭脳へデータが送られる。しかも蛸の腕は本体から切り落とされても独立した生物のように動けるという。興味深い。

タコの眼は脊椎動物の眼に形が似ていて機能も似ているように、脳も脊椎動物レベルに働いているそう。

例えばバーンズ迷路というラット向けの"学習・視覚のナビゲーション能力"のテストを蛸に使った実験。
18個の穴の一つだけに逃げ場所の海水を入れ、その上だけに十字マークを書いておきます。

そのテストに慣らした上で十字マークをズラすと、タコはもう海水はないのにその穴へ来るそうです。つまり視覚による学習がタコにあるということです。

タコに意識はあるのか、自己認識や"世界"はあるのか?
人間は常に言葉でモノを考えますが、視覚による思考というものがあったら、ノンバ―バルな"意識"があるのかもしれません。

5. 言語の進化
しかしまずは未知の宇宙人と意思疎通するために、地球における"言語"を考える必要があります。

伝言ゲームによる文章の変化は、"参加者の脳が文章を改変した"といえ、その改変こそが言語の文化的進化と実験したサイモン・カービーは言います。

奇妙な名前を付けた"宇宙の果物"の名を被験者に覚えさせ、覚えていることを次の被験者に伝えさせます。
最初の名前は全く覚えられないものだったのに、伝言ゲームによる改変が行われていくうちに、一度聞くだけで覚えやすいものに"進化"していきました。

このように"言語は世代を経るごとに分かりやすくなっていく"というモデルが正しければ、宇宙人の言語は分かりやすいものに洗練されている、と推測できるかも、といえます。番組では現在マイク・ドゥズムラが研究しているテレパシー技術に関しても取り上げられていました。

しかしそうした"文化的進化"が"生物的には退化"を招くこともある、と言う科学者は言います。今後私たちは文化的には賢くなっても生物的には愚かになるかもしれません。

そうしたときに旧来は手間だと考えられた"生の手応え"こそが人間にとっての最大の愉しみになるかもしれません。

6. 思考と感情は表裏一体
知性が優れた氷の様に冷静な宇宙人像がSFには出てきますが、"言語や記憶、理性的な思考さえも全て感情に依存している"そうです。

感情と理性は全く別のモノとされ、動物的本能と理性は異なる、とギリシアの昔から言われていますが、感情と理性は切り離せないとリサ・バレットは言います。

感情の基本にある状態、コア・アフェクトを本人が気づかない内に変えることが出来るのです。二つの画像を同時に見せて、潜在的に意識された知覚が意識された"美しさ"が変わることを実験したのです。つまり"情報を受け取るスタンス"は無意識的・感情的な影響を大きく受ける、と。

"宇宙人の知性"というフックから、ヒトの精神活動のありようが検証された面白い回でした。次回13日のテーマは「“生殖”は変化するのか?」、これもまた楽しみです。
by wavesll | 2017-01-11 19:26 | 小ネタ | Comments(0)
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