Isis Giraldo {aka.chiquita} / PADRE
今年に入って
渋谷UPLINKでみた七尾旅人/兵士Aと
川崎チネチッタでみたMAD MAX 怒りのデス・ロード BLACK & CHROMEは格別な音楽体験だったのですが、双方元々は2015年のライヴ/作品だったという共通点がありました。
そしてこのイシス・ヒラルド女史の作品も、2015年に高橋健太郎氏がbandcampから見出したもの。
mid-10'sの文化潮流は2015年に何かしらのブレイクスルーがあったのかもしれません。
このアルバムのとびきりさは一曲目「He Vivido」にも顕著に現れていますが、ジャズでありながらクラシックの声楽的な美しい響きがある處。
Egberto Gismontiを始めとして南米ではジャズとクラシックが混然一体となっている風土があります。
コロンビアの首都ボゴタで生まれ、10歳の時にカナダへ移住し
Arcade Fireも出たモントリオールのマギル大学へ入学したイシスさんにも越境的な感性が息づいているのだと感じました。
『PADRE』に収録されている歌の詩はイシスさんの父親によるものだそう。ラテン・アメリカの西班牙語の独特の侘しい美しさがあり、愛や自然、人生についての根源的なテーマが歌われていました。
このアルバムは冒頭のlink先でBandcamp音源として売られているのですが、2016年にJazz The New Chapterのレーベルから第一弾作品としてCDが発売されました(現地でもごく少数プレスはされていたそうです。)
JTNCや高橋さんということで実は少し気構えしながら聴いたのですが、茅乃舎の出汁のような旨みがあって寧ろ「よくぞこれをDigした!」と嬉しくなる音でした。
Antonio Loureiroとの同時代性や、このアルバム以後エレクトロへ行く感じなんか
入江陽とも繋がる現代若手音楽家達の呼応を感じました。
少年少女の頃に
『フィフス・エレメント』のコズミック・オペラに心躍らせた方も気に入りそうな先進的なJAZZ, お薦めです。
cf.
Quantic - Arthur Verocai - Jameszoo:地球儀的音楽コネクションAltanative FolkとしてのFlamenco ―Silvia Perez Cruz特集:ボーダレス化するジャズと世界の新世代アーティストたち(ディスクユニオン新宿ラテン・ブラジル館)