Quantic and His Combo Barbaro / Tradition in Transition
昨日のエントリ:
Isis Giraldo {aka.chiquita} / PADRE mid-10'sに放たれた越境する先端の音を書く際に高橋健太郎氏のライナーを参考にしたのですが、その中で
コロムビアから新しい音楽が聴こえてくることは少ないという一文に"え?"となって。
確かに球数は少ないかもしれませんが、このQuanticが2009年に放った円盤は<コロンビア版
Buena Vista Social Club>な弩級の一枚だろう!と。
中でも
The Dreaming Mind Pt 1など、夢蒸す南米の熱を浴びるような名曲だし、その後に
Ondatrópicaに繋がっていく流れも含め、コロンビアは音楽砂漠というより宝石が眠る地という表現に値すると想います。
そして
Amazonの『Tradition in Transition』のページをみていた際、気になる名前を発見しまして。
それが
エリス・レジーナの作品でプロデュースやアレンジ、ソングライティングなどを手掛けてたブラジル人アーティスト、Arthur Verocai(アルトゥール・ヴェロカイ
丁度先日に
8年ぶりの新譜が出ていて名前を見かけたというのもあったのですが、その前に
ブレインフィーダーから出たJameszooのアルバム『Fool』に参加していて試聴していいなと想っていたのです。
Jameszoo - 'Flu feat. Arthur Verocai'(soundcloud)
この電子音ジャズにフィーチャーされる尖り方は格好いい。オランダのクラブ・ジャズという意味では
Jazzinvadersにも繋がる高品位でマットな質感を感じます。
さて、その上でこうなるとArthur Verocai御大の代表作を聴いてみたいところ。で、Youtubeにやっぱりありました。
Arthur Verocai - Arthur Verocai (1972)
エクスペリメンタル・サイケデリック・フォーク。例えば
Pedro Santos / Krishnandaほど派手でなく、
Paêbirú - Album Completo - Lula Côrtes e Zé Ramalhoほど闇のような沼ではない。けれどそのセンスの妙が存分に発揮されて、日常に輝照を与えてくれるような音でした。
コロンビアとオランダがブラジルを介して繋がる。さらに言えばQuanticことウィル・ホランドは英国人だし、ブレインフィーダーを主宰するFlying Lotusはファイナルファンタジーの音をサンプリングしたりする。正に地球儀を回転させるようなトランスナショナル且つ濃ゆい繋がりが音楽界にはありますね。
その中でもArthur Verocaiというヴェテランが若手と絡むのがいいなあ
平成28年のListening Experienceでも
David BowieがMark Guilianaと組んだり
Paul SimonがClap! Clap!をフィーチャーするなんて流れがいいなぁと想い、年を重ねても尚先端を生き続ける巨匠達とそれとがっぷりよつする若手に心弾みました。
cf.
Arthur Verocai - No Voo Do Urubu (ele-king)