シャセリオー展at国立西洋美術館

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シャセリオー展へ行ってきました。

夭折した早熟の天才、19世紀ロマン主義の流れをくむこの画家を、交流のあったギュスターヴ・モローの絵などと共に展示したこの美術展、その中でも二枚の美しい女性の肖像画には心惹かれました。

その内の一枚がメインビジュアルにも使われている『カバリュス嬢の肖像』。マリー=テレーズ・カバリュスの可憐な美しさ、プラド美術館で観たフェデリコ・デ・マドラーソ『ビルチェス伯爵夫人』クラスの美人画に惹かれてこの展覧会に来た期待に応えてくれる名画でした。

そしてもう一枚、『泉のほとりで眠るニンフ』。当時シャセリオーの恋人だった魔性の女性、アリス=オジーのヌード。腋毛が淫靡で、心ざわつかせられる絵画でした。

その他、ユダヤの女性の民族衣装が美しい『コンスタンティーヌのユダヤ人女性』『コンスタンティーヌのユダヤ人街の情景』、作品が想うように評価が得られなく、画家自身に破壊されてしまった『クレオパトラの侍女』等も良かった。

シャセリオーを語るとき、一つのキーワードとなるのが「エキゾチズム」。彼自身がカリブのイスパニョーラ島生まれであり、上で書いたユダヤ人を描いたアルジェリア旅行での絵の他、褐色の肌が美しい『岩に座るナポリの若い漁師』や、『サン・ロック聖堂の洗礼盤礼拝堂壁画≪エチオピアの女王の宦官に洗礼を施す聖フィリポ≫、≪インド人に洗礼を施す聖ザビエル≫、≪二人の天使≫の模型』も印象的でした。

この他、シェイクスピアの『オセロー』に着想を得た作品群や『マクベスと3人の魔女』、ポンペイの遺構に焦点を当てた『左手に階段のある壁』、または女流詩人を描いた『サッフォー』等、興味深い題材選びの眼が良かったです。

『カバリュス像の肖像』もそうですが肖像画の腕も確かで。トライセラの和田さんのような『アレクシ・ド・トクヴィル』やキャラが伝わって来るかのような『エミール・ドサージュの肖像』も良かった。

その他ギュスターヴ・モローのと並べられていた『アポロンとダフネ』、『ドナクロワの≪怒れるメデア≫に基づく模写』、『海から上がるウェヌス』とそれに影響を受けたピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ『海辺の娘たち』の乳白、それに『十字架を持つ若者と天使の習作』も良かったです。

他の画家の作品でいうとギュスターヴ・モローが死せるシャセリオーの思い出として描いた『若者と死』がピカイチに素晴らしく、他モローは『聖チェチリア』、『牢獄のサロメ』が良かった。この他赤い花枝が印象的なオディロン・ルドン『二人の踊女』、ウジェーヌ・ドラクロワ『連作ハムレット』・『ヴィヨ夫人』、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル『ジェニー・ドラヴァレット(?)の肖像』、オーギュスト・ルノワール『ロバに乗ったアラブ人たち』が良かったです。

さらに何気に良かったのがシャセリオーの兄や、アリス・オジーが書いた手紙で、文字の美しさに心惹かれました。

展覧会を見回っている最中にソプラノ清水理恵さん、メゾソプラノ松浦麗さん、キーボード藤原藍子さんによるナイト・ミニコンサートが開かれ、バッハ=グノー「アヴェマリア」、マスネ「エレジー」、フォーレ「リディア」、ビゼー「オペラ『カルメン』より"ハバネラ"」、グノー「オペラ『ロメオとジュリエット』より"私は夢に生きたい"」、ドリーブ「オペラ『ラクメ』より"花の二重奏"」、そしてアンコールの「舟歌」まで楽しませてもらえました。

その際、「本日はプレミアムフライデーなので常設展は21時までやっています」と聴き、常設展も愉しみました。

中でもスエーケン:デンマークの芸術家村の特集が素晴らしく、北欧の漁師の絵や、ミカエル・アンカーの『海辺の散歩』なんかがかなり気に入りました。そのコーナーは写真NGだったのですが、また常設展で幾枚かぱりゃりと撮りました。

ピエール・オーギュスト・ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち≪ハーレム≫』
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ピエール・ボナール『働く人々』
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パブロ・ピカソ『男と女』
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シャセリオー展、しゃらりとたおやかにみれる展示、28日迄。

cf.
シャセリオー Théodore Chassériau 絵画・美術においてロマン主義とは何か? 新古典主義との違い (dezire_photo & art)

by wavesll | 2017-05-27 05:59 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)
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