坂本龍一 設置音楽展 ryuichi sakamoto async - ワタリウム美術館へ行ってきました。
坂本教授自身が「あまりに好きすぎて、 誰にも聴かせたくない」という8年ぶりとなるニューアルバム『async』。本展の目玉はこれを5.1ch サラウンドで坂本龍一が最も信頼するムジークエレクトロニクガイサイン製スピーカーにて再生するインスタレーション空間。
『async』5.1chはムジークの音の良さもあり魅力全開。特に弦の打音が凄い「async」とトライアングルが天空的な音を響かせる「tri」が素晴らしく、自然採音モノでは木立を踏みしめる曲と雨音に三味線の曲も良くて、音響空間に浸れました。
実は『async』はSpotifyで聴いたとき1曲目のピアノがイマイチに感じて聴き込んでなかったのですが、信頼のおける耳の人が複数薦めていたし、今日が最終日と知ってこのアルバムの真価を味わっておきたくて。この音響で聴くと幽玄な迫力に一曲目にも魅了されました。
「andata」も例えば
内部奏法にしたりチェンバロを使っていたらもっと惹きのある面白味があったのかもしれませんがそこをシンプルにしたことでスルメと成るディレクションなのでしょう。
そして音響/音質も真に音楽にとって本質的なものなのだと改めて感じ入りました。
今回は5.1chでしたが、
あいちトリエンナーレでのChris Watsonの20chフィールドレコーディング作品や
東京藝大音環 卒展・修了展 2016での蓮尾美沙希さんによる22.2ch録音作品『My Kingdom』を聴いた際もサラウンド音響は録音作品にコト消費としての魅力をもたらすなと想って。
ビートルズの時代のイノベーションが再び起きたかのように、ライヴを越えた録音でしかあり得ない音響体験を創れるサラウンド音響作品は映画館でいう3D、4DXのような付加価値に近いものがあって。
その内ジャズ喫茶や
名曲喫茶ライオン、
特殊音楽バーSciviasのような感じでサラウンド・バーが開かれたり、美術館の展示スペースに常設のサラウンド音響空間が出来るかも。その生業、自分も一枚噛みたいw
こうした試みに未来の萌芽を感じて。とても良い気分で神宮前の空の下帰路に着きました。