daoko - Fog (映画「渇き。」ver. new mix)【OFFICIAL】
ホワイトビールの甘みと苦さがこのウィスパー・ラップに融けていくと、センチメンタルに青い想いが湧いてきます。
daokoの、この感傷的なウィスパー・ラップというキラーな「形」はDAOKOになってから姿を変えていった気がします。でも、アーティストとはそういうものではないかとも想うのです。
その時々につき合う女性によって「時代」を変えたパブロ・ピカソのように、またポーリングやドロッピングという必殺の「形」を手にしてもその後も新領域へのメタモルフォーゼの道を歩み続けたジャクソン・ポロックにしても、表現者は一処に留まれない。
それは同じことを続けることはより新たな挑戦をすることが刺激的ということでもあるだろうし、時の経過によって心身から出ずるものが変容していく。だからこそアーティストの「今」は今しかあり得ないのだと感じます。
故に「レコード」というものは貴くて。抽出された芸術の刻印は、芸術家自身が変わりゆくゆえに掛け替えのない記録なのだと。
そして、だからこそ今を噛み締めたいし、次の変化が待ち遠しくなる。そして、きっと昔の形はいつだって繰り出せて。もし深化したウィスパー・ラップが聴けたら、涙がちょちょ切れちゃうな。