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川端龍子展 at 山種美術館

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Twitterで本日迄だと知り、前から行きたかった【特別展】没後50年記念 川端龍子 ―超ド級の日本画― - 山種美術館へ赴きました。

まずいの一番に目に飛び込んでくる「鶴鼎図」がいい。川端龍子は洋画の技法も習熟している日本画家で、ちょっと普通の日本画とは異なるテクスチャーとフォルムな感覚が面白かったです。

そして小千谷で開催されている祭りを描いた「角突之巻(越後二十村行事)」も迫力ある筆致。龍子は20代で新聞や雑誌の挿絵画家だったこともあり、絵画のモチーフにジャーナリスティックさというか取材力を感じます。

また「華曲」に描かれた灰緑の鬣の獅子の可愛らしいこと。『少女の友』第10巻1号付録の「花鳥双六」も大変Kawaii出来で好きでした。

さて、展示はここからダイナミックな作品へ。
当時、繊細巧緻な画風が主流であった院展において、大胆な発想と筆致で構成された大画面の龍子の作品は「会場芸術」と批判されたことや院展内の軋轢もあり、脱退にいたります。そして、1929(昭和4)年、自ら主宰する「青龍社」を創立、戦時中も展覧会を開催するなど精力的な活動のなか、一貫して大衆のための作品を発表し続けた龍子、上に載せた「鳴門」等の海の迫力が描かれた作品が見事で。特にトビウオが描かれた「黒潮」が好きでした。

また平安時代の装飾経、紺紙金泥経に着想を得た「草の実」や飛行する胴体が透明な戦闘機が描かれた「香炉峰」も独自の作風で。戦争関連だと庭に落ちた爆風で吹き飛ばされてる野菜を描いた「爆弾散華」なんていう作品も。

象がやってきたことに喜ぶ子供たちが可愛い「百子図」や南洋・ヤップ島の娘を描いた「羽衣」なんてCuteな作品もあったり、桜の下で黄桜宜しくカッパが酒を呑む「花下独酌」や鯉に月が重なる「月鱗」なんて作品もあったり。

そう想えば棺に眠るミイラとそこから飛び立つ蛾達が描かれた「夢」なんて作品もあったり、黄金の草叢が描かれた「土」も美しかったし、PCで画かれたデジタル描線のような「月光」なんて作品もあったり色々な引き出しがありました。

大きな作品だとちょっと大味さも感じられる龍子ですが、小品は密度がぎゅっとしていて良くて。カッコいい「千里虎」や干支が描かれた「年賀状(十二支)」、また数々の俳句が描かれた短冊達もみごとでした。最後の部屋にあった「松竹梅のうち「竹(物語)」」も良かった。ダイナミックなラージ絵画も凝縮サイズだと更に魅力を増す気がしましたが、巨大作品の持つ抜け感は逆に2017年モードな日本画な気もしました。
by wavesll | 2017-08-20 22:03 | 展覧会 | Comments(0)
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