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運慶展で彩色の仏像に開眼す+東博常設展・マジカルアジア展

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特別展「運慶」@東京国立博物館へ行ってきました。

運慶や父の康慶、息子の湛慶を初めとした慶派の作品展示。運慶の仏像の表情のなんと訴えかけてくることか。繊細な表現は特に小品に素晴らしいものがありました。

また父の康慶の豪壮さがまた絶品で。そして慶派の作品は極彩でも凄い!今まで色付きの仏像でいいと思ったのは少なかったのですが運慶・湛慶の≪聖観音菩薩立像≫(愛知・瀧山寺)や京都・海住山寺の≪四天王立像≫の素晴らしさには色彩仏像の感性が開かれました。

運慶・快慶というけれども、快慶展@奈良博&法隆寺大宝蔵院で観仏記 + Extra Tracksでみた快慶の作品と運慶の作品はかなり異なっていて。快慶の方が筋骨隆々としたダイナミズムと優美があり、運慶は端正で剛健。ここら辺ミケランジェロとダ・ヴィンチのような対比がありました。

会場に入ると先ず現れるのが運慶のデビュー作、奈良・円成寺≪大日如来坐像≫。丸みを帯びた顔やしっとりした体つきが印象的でした。

次の部屋にあった奈良・長岳寺≪阿弥陀如来および両脇侍坐像≫のしなやかな脚。そして≪毘沙門天立像≫(奈良・中川寺十輪院由来)の截金が美しくて。

そして次の間では早くもハイライトの一つ、康慶による奈良・興福寺≪四天王立像≫。これが凄かった!勇壮な武将天達の凄みを帯びた巨躯に目を見張りました。そしてその手前の同じく興福寺の康慶≪法相六祖坐像≫の表情の妙、侘び寂びの美がありました。

運慶≪毘沙門天立像≫(静岡・願成就院)は玉眼による実直な顔つきで。ドカベン的に安心できるフォルム。運慶≪不動明王立像≫(神奈川・浄楽寺)の木の肌の艶。運慶≪毘沙門天立像≫(神奈川・浄楽寺)は中国風のゴツい顔がコンパクトに締まって纏まってました。

そして本展の一つのピークが運慶≪八大童子立像≫(和歌山・金剛峯寺)!表情豊かな童の像X8!!!!
運慶は小品が殊に素晴らしい印象。本当に魅力的な表情をさせるのが上手い!ぷっくらした童子達の顔が可愛い。特に恵光童子と矜羯羅童子が好きでした。

そして奈良・興福寺の≪四天王立像≫はまるで巖のような荘厳さ。厳しい目と体躯の硬質さはギリシア彫刻の様。また運慶による≪無著菩薩立像 世親菩薩立像≫(奈良・興福寺)は人の悟りの先にある悲しみへの眼差しというか、泣いているような玉眼がとても印象的でした。

また東京・真如苑真澄寺≪大日如来坐像≫の心安まる金色と運慶≪地蔵菩薩坐像≫(京都・六波羅蜜寺)のたおやかな黒の対比も良かった。

その次のスペースにあった運慶・湛慶による≪聖観音菩薩立像≫(愛知・瀧山寺)はこの展覧会の中でも特筆すべきインパクトで。

源頼朝の三回忌でつくられた本立像は、白い肌に色彩豊かな衣をまとった菩薩像で、頼朝と同じ身長で、内部には頼朝の歯が収められているとか。彩色は明治時代に塗りなおされたそうです。言われてみると確かに明治的な感性を感じました。色味のある仏像でこんなにしっくりくるのが今までなくて。素晴らしい仏像でした。

京都・清水寺の≪観音菩薩立像 勢至菩薩立像≫のしなやかなボディー、京都・東福寺の≪多聞天立像≫は青い冠が綺麗でした。

そしてこの展覧会随一に心を打ったのが、康慶の四天王像を受けて作られた、≪四天王立像≫(京都・海住山寺)。数十センチの仏像で、最密な彩を為されていて。極彩と風化で木がみえるバランスが最高に格好良くて。もしこのクローン・フィギアがあったら4点セットで10万でも欲しくなっちゃいそうな出来でした。

そしてその後運慶の息子たちの作品が並んで。特に三男・康弁がつくった≪龍燈鬼立像≫(奈良・興福寺)がユーモラスにイイ顔をした鬼が良かった◎鬼たち、四天王に踏まれてばっかりだったからw同時に展示してあった≪天燈鬼立像≫(奈良・興福寺)もいい顔&いいケツしてましたw

そして最後に展示されていたのは≪十二神将≫(京都・浄瑠璃寺伝来)。十二支の干支の神将が全部一度に揃うのは42年ぶりだとか。子神、丑神、巳神、午神、申神、酉神、亥神が好きでした。

その後本館の常設展をみたのですが、湛慶による三十三間堂の千手観音菩薩立像や、運慶の孫・康円による愛染明王坐像などの作品が見れたので、運慶展に行かれた方は是非本館もチェックされてみてください。

そして刀剣ブームで水龍剣や三日月宗近には行列が。刀剣女子を始めて生でみました。

本館をみたあと東洋館へ。今「マジカル・アジア」という展示を行っていて。
通常の展示の中に特別なキャプションのついた「マジカル・アジア」モノがあるという展示構成。

エジプトのコーナーにはミイラや木乃伊を巻いた布、死者の書が展示してあったり、中国コーナーではウルトラアイみたいなアスターナ・カラホージャ古墳群の≪アイマスク≫やキルラキルLIKEなフォントの≪隷書六言詩横披≫があったりして中々面白くて。
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見逃せないのが地下一階の東南アジアフロアにあった異形な神仏像。

SDガンダムのガチャのような≪チャクラサンヴァラ父母仏立像≫
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ビックリマン的、モンスト的な3頭身の≪ヴァジュラバイラヴァ父母仏立像≫。
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≪八臂十一面観音菩薩立像≫、ラスボス感ある。
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最後は本館にあった可愛い奴、石川光明≪野猪≫。
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特別展「運慶」、本館常設展、そして東洋館のマジカル・アジアとじっくりみて、なんと4時間も眺めてしまいました。東博は一日楽しめるヴォリュームでほんと嬉しい。フードトラックなんかももっと入れてくれたらほんと8時間位いそうですw
by wavesll | 2017-09-29 00:02 | 展覧会 | Comments(2)
Commented by oomachi at 2017-09-29 09:08 x
スマホで無料で読めるWEB小説のご紹介です。短編なので小一時間で読破出来ます。挑戦してみては如何ですか。世界は広いと感じる筈です。時間軸においてですが。
WEB小説「北円堂の秘密」が今夏の隠れたベストセラーと知ってますか。
グーグルで「北円堂の秘密」と検索するとヒットするので無料で読めます。
世界遺産・古都奈良の興福寺・北円堂を知らずして日本の歴史は語れないと云われています。
日本文化発祥地の鍵を握る小説なのでご一読をお薦めします。
少し日本史レベルが高いので難しいでしょうが歴史好きの方に尋ねるなどすれば理解が進むでしょう。
今秋、東博では「運慶展」が開催されるが、出陳品の無著・世親像を収蔵するのが興福寺・北円堂である。
貴職におかれてもホットな話題を知っておくことは仕事に少なからず役立つでしょう。
先ずはブログ主様ご本人からベストセラー小説「北円堂の秘密」の読破をされては如何だろうか。
読めば日本史のミラクルワールド全開です。お友達に教える時はネタバレ無しで口コミして下されば幸いです。
Commented by wavesll at 2017-09-29 13:32
気が向いたら読んでみますね!
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