人間の会話の本質とは? 人間ってナンだ?~超AI入門~第一回から

ETV 人間ってナンだ?~超AI入門~を観ました。松尾豊(東京大学大学院工学系研究科・准教授)とチュートリアルの徳井がレギュラーの最新の人工知能の仕組みを解き明かし人間とは何か?考える教養エンタメ。第一回のテーマは「会話」でゲストは『コンビニ人間』で芥川賞を獲た作家の村田紗耶香さん。

現在は会話するロボットが増えましたが、最新の会話ロボットは心理学者ロバート・プルチックによる人間の8つの基本感情
「喜び」「悲しみ」「信頼」「嫌悪」「心配」「驚き」「怒り」「期待」
これらの分類を数値化して人工知能での会話に活かしてるとのこと。

けれど基本的にロボットの会話は「〇〇と入力されたらXXと返信する」というプログラム。

古くは半世紀前に開発されたイライザという対話システムでは基本的にオウム返しでの対応なのに、チャットをしている側は寧ろセラピーを受けるように真情を吐露したそうです。

実際セラピーの人がやっていることも、相手の話を反響させるとおりだとのこと。

現在はどういう発話の時にどういう発話があるかのデータベースが拡充しています。しかし、AIは言葉の”意味”が分かっているわけではなくてパターンを学習し、対話を打ち返しているだけとのこと。

そもそも”本心”がないのも勿論、コトバ一つ一つを”処理”しているだけで、”会話が成立しているように見えるだけ”とのこと。何も理解していなくてもやりとりが成立している、と。

ただ、例えば「疲れた」という言葉を言うと、何故人間は「疲れた」という言葉の意味が分かるのでしょうか。

それは人間は自分自身が「疲れた」状態を体験しているのと、その状態を「疲れた」という言葉で表すと結び付けているから。

しかし、例えば小説家は、自分自身で体験していなくても、詳細な観察と想像力をめぐらして「体験抜き」で物語を書くことがあります。この身体抜きで言葉を紡ぐ作用はAI的であるとも言えます。

今までAIは”表層の概念”は処理できても、”概念が指し示すもの”は理解できませんでした。しかし画像認識が出来る様になって、シンボル・グラウンディング問題(記号接地問題)はいずれ解決されるかもしれないそうです。

しかし、「林檎」や「馬」、「縞」といった画像で認知することができる概念なら簡単ですが、「自由」「勇気」「民主主義」といった抽象概念をどうAIに理解させるか。

例えば「自由」という言葉の定義を「禁止されていないこと」として、インプットされた「一般社会で禁止されていること」でない事とする等、環境とインタラクション(相互作用)することで概念を設定することが現在考えられているそうです。

番組では世界でトップ3に入る人工知能研究者であるフェイスブック人工知能研究所所長ヤン・ルカン氏にインタビューを行いました。

そこで語られた現在進行形のAIの学習方策が「敵対的学習」とか「敵対的ネットワーク」というアイディア。

これは2つのディープラーニング・システムを用意し一つ目の機械が予想したことに対して二つ目の機械が評価を下すというもの。

具体的に話すと、Generator(生成器)のディープ・ラーニング・システムとDiscriminator(識別機)というディープ・ラーニング・システムを用意し、例えばGに「山の画像」を生成させ、Dに「山の写真」と「Gが作った山の画像」のどちらが本物か判別させます。

そして次にD(識別機)が本物だと誤認する様なニセ画像をつくれるG(生成器)をつくる。そしてそれを見分けられるDをつくり、それを騙すGをつくり、これを繰り返しレベルを上げていく。

これは例えば日銀とニセ札犯がお札の偽造のイタチごっこを繰り返し精度を上げていくようなもの。これもそうなのかはちょっとわかりませんが、Alpha Goなんかも、Alpha Go同士で何万回も対戦して人知が及ばない領域へ切磋琢磨したという話を聴いたことがあります。

それによって「自然な会話」が達成された場合、例えばAIは「笑い」を生成できるか。これについては「自然な会話」が達成できた時、「会話のスムーズ度」を100ポイントから20ポイントに変えることで「意外性」を出すことは出来そうだという話です。

しかし「スムーズでない会話」が果たして面白いか。「笑い」を定量的に定義する必要がありそうです。

人間もデータから学習し、周りから影響を受けます。しかし「学習」の一方で「進化由来の本能・感情」がある。普通の人は本能・感情が出てくる一方で、学習した事しか大きく打ち出せない人もいる。

心とはなんでしょう?例えば「男ロボットに女ロボットを好きになる」というプログラムをすることはできる。でもそれは恋愛と言えるでしょうか?自発性がない命じられた恋。

自発性とは言うけれども、恋愛は種を残すために進化の過程で会得した本能ともいえます。色んな感情は進化由来で、食べ物を食べて美味しいのは生存に有効な成分が入っているからで、腐ったものが不味いのは生命に危険だから。

「感情や本能を持っているように見せかけること」は出来るけれども、神のプログラムのような「感情・本能」を人の手でプログラミングするのは相当難しいと。

ここまで聴いて想ったのはモテない男向けに『これで女を落せるデート指南書』みたいなものが出ていたり、もっと一般的に『心理学に基づいた相手を動かす仕草読本』なんかがあったりしますが、これはヒトの本能や”空気”を自然に理解できない人に、後天的に、そしてAI的に人の感情を学習させるメソッドなのかなと。

多くの場合イライラは睡眠不足や栄養不足の結果であったり、男女の間で好きになるかどうかは身体的接触であったり匂いに含まれる化学物質であったり、或いはキスはバクテリアの交換なんて話を聴くと、人間の心は化学反応と身体感覚の結果と言う面も大きいかもしれないと。

ノンバーバルなコミュニケーションが無意識的に作用する一方で、コトバの果たす役割は物凄く大きくて。同じ要望をするにしても言い方によって相手の反応が大きく変わったり。

AIの研究って「人間の理」の解析なのかもしれないと想わされた番組でした。そしてヒトがつくるヒトの写し身である人工知能と、人はコミュニケーションをどう取っていくのか。今まさに発展している分野、興味は尽きません。

この『人間ってナンだ?~超AI入門~』は全12回。第2回は明日の22時から。次回のテーマは「感じる」。

物をつかむ、動かす、目の前の物に反応する…。そんな何気ない行為にこそ人間のスゴイ力が隠れている?「フレーム問題」ってナンだ?考える前に反応する人間の本質って?人間の可能性と限界について感じ、考える要素満載の新感覚AI入門。ゲストは元陸上選手の為末大。

とのこと。もしよければ◎
by wavesll | 2017-10-12 22:29 | 小噺 | Trackback | Comments(0)
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