上野の森美術館で休日には2h待ちの行列をつくっている
「怖い絵」展。今は連日20:00まで開館が延長されているこの展覧会に並んできました。
中に入っても物凄い人で。正直ビックリというか、”このラインナップでこんな混む!?”とw 逆に普段見てる歴史的な銘品揃いの展覧会凄いなとw
『怖い絵』シリーズは何でもかなりの重版出来らしく、世界一受けたい授業にもキュレーターの中野さんが出演しているとかで、普段展覧会をみに行かない方々にかなりリーチ出来たのかもしれません。
なので、多くの人が館内で正攻法でみようとするので、ちょっと絵を通り過ぎてから逆側からみたり、2列目からみたりサッと隙間からみたりするとかなりスルスルと見れる感じです。というかこの混み方では覇道じゃないと。箱が狭いこともあり体感は
北斎展@あべのハルカスや
国宝展@京博並みでした。
先程”このラインナップでこんな混む!?”と書きましたが光る作品は幾つもあって。
特に女神、妖女、ファム・ファタールが描かれた作品に惹かれました。
この展覧会では作品と同じくらいキャプションが主役となっていて、背景や意味が語られていて。怖い絵といってもスプラッターではなくてじわじわと怖いものが多く、中には”「死にたい」と言っていたら髑髏が現れてしまい「この荷物を運ぶの手伝ってくれ」と翻意して言う様子”が描かれた
ジョセフ・ライト≪老人と死≫なんて作品も。
そして
チャールズ・シムズ≪クリオと子供たち≫は戦争で死んでしまった子供たちが血を流す女神の元で聴き入っているという、どこまでも明るいヴィジュアルなのに死が描かれている作品で、確かにこれは怖い絵だと感じました。
一方で昏いヴィジュアルの怖い絵の代表が
ウォルター・リチャード・シッカート≪切り裂きジャックの寝室≫。切り裂きジャックに強烈な関心を示したシッカート。実は彼自身が切り裂きジャックだったという調査が発表されていて。解説も含めて絵を見た時の負のエナジーというか、正に本展の狙い通り鳥肌が立ちそうになりました。
本展はいわゆる”綺麗目”な画が多く、ヴィジュアル表現としては同じようなテイストが多い印象でしたが、中には”おぉ!”と想わされる絵もあって。凶悪な笑みを浮かべるピエロ達が舞台上?のキスする男女を眺める
ジョン・バイアム・リストン・ショー≪人生はこうしたもの≫なんかはかなり好きでした。
王位継承権をめぐって反逆の汚名を着せられ処刑された若き乙女の白く透明な美しさ。それぞれの登場人物がきちんと素晴らしい演技が込められていて、劇的な場面の物語性と絵画表現としての圧倒的な美しさが。正に真打。これは観れて良かった。
なんだかんだで結構楽しい展覧会でした。そして物語性や意味性の解説がこれだけの需要を喚起するとは。これに味をしめられてこんな感じの展覧会をやられまくったら困りますが、寧ろ他業種、洋楽PRや翻訳書PRの人達にとってはかなり刺激を受けるプロジェクトなのではないかと想いました。
12月17日まで。最前列で全て見たいというのでなければ平日仕事終わりにサクっとみるのがお薦めです。