Thundercat - Drunkからの谭维维《康定情歌》 リファインされる80sな感性の潮流へのSuggestion

Thundercat - Drunk (2017) Full Album

さて、年の瀬。Webの音楽好き界隈だと「年間ベスト」が発表される季節。
私はここ数年は平成27年 今年鳴った音楽そして平成28年のListening Experience とその年の音楽体験の総合纏めを書いていて、今年も晦日か大晦日にゆったり書こうと想っているのですが、それと合わせて一本「今年の音記事」を書こうと筆を執りました。

「今年の音」を一番顕わすアルバムは、私はサンダーキャットのこのアルバムだと感じました。
AOR、まさしく2017年にドロップされたBrainfeeder的感性を経過したAOR. 「ついに機が満ちたか」。一聴した時そう感じたのです。

「ついに来たか」と想ったのは、このアルバム的事象は私にとっては予言されていたことの現実化だったからです。

というのもInterFMのJazz ain't Jazzという番組でパーソナリティーであるKYOTO JAZZ MASSIVEの沖野さんDaft Punk『Random Access Memories』が発表された2013年の秋だったかその後に「今まさに80sのDisco、Soulリヴァイバルが『RAM』からの流れで起きている中、自分は潮流の先として現代的な感覚のAORを提案したい」というようなことを言っていて。それが脳内にずっと残っていて。

勿論音楽は複数のラインが同時並行、あるいは時に交わりながら進んで行くものですが、ゼロ年代初頭に『DISCOVERY』でダンス・シーンをロック的なダイナミズムで具現化したDaft PunkがEDMの流れまっただ中に出した『RAM』は音楽シーンに巨大な衝撃を与え、その底流が今年『DRUNK』という作品に繋がったように思います。

と共に、10年代に巻き起こった80sのリファインとしてVaporwave / Future Funkの流れがあると想います。
Vaporwave自体は日本だとHi-Hi-Whoopeeが先導して、2010年代初頭にピークを迎え、既に終わった残滓のジャンルのようでもありますが、Google Trendsで調べると寧ろここ数年が検索数が増大していて。主に北米では今まさにピークを行っているジャンルだと。

今年は『蒸気波要点ガイド』というZINEが熱を以てSold Outしたのも記憶に新しく、このVaporwaveというバブル日本を愛と冷笑の“あえて”で今に刻んだ嗜好が80sを90s-10sの感性で再構成した音楽が、また2017年という年に80sが蘇る流れを生み出したと想います。

それは拙記事80sを中心とした女性シティポップ/Vaporwave & Future Funk的な を貼ってくエントリにも挙げたようにネタ元として息吹を吹き込まれた日本でも今年は潮流が結実した年で、実際今年のレコードストアデイではアニメ美味しんぼのテーマ曲である『Dang Dang 気になる』がヴァイナル・リリースされたり、残念ながら中止になってしまいましたがBlue Note Jazz Festivalでドナルド・フェイゲンがヘッドライナーになったり、荻野目洋子の「ダンシングヒーロー」が登美丘高校ダンス部により蘇ったり2017年はバブル日本が刻まれて再構成されキッチュに面白がられた年であると言えると想います。

そしてその消費の仕方は”あえて”の視点が入るというか。原色そのものというよりもちょっとした汚れというか、或いは逆にパステルに褪せ輝く様があるようにも思えます。軍艦島、或いはマチュピチュのような、朽ち生い茂る神殿としての象徴性があるようにも感じて。それは消費社会の業でもある、と。

そして、「現代におけるバブル日本的状況が起きている中国にまなざしを向けること」による知見が蒸気波の次の流れとしてあるのでないかと提案したいのです。

現代中国の狂騒は、どぎつさとパステルさが同居するVaperwave、Future Funk的な様相が起きていると感じて。

それは例えば今年フェスティバル・トーキョーで上演されたTianzhuo Chenの舞台もそうですし、渋谷DIESEL ART GALLERYでみた池磊の写真展にもその感覚はありました。今まさに光と影を帯びたバブル文化の”元ネタ”が生まれつつあると想うのです。

その上で、北米人がTOKYOの音に感じたような近代的エキゾチズムへの日本人的な地政学的位置からのSuggestionとして谭维维という伝統的な歌唱法を駆使するシンガーをここで挙げたくて。

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このセピアな感覚も含め彼女の歌には”今まさに80s感”が溢れている気がして。ChinaにVaporwave / Future Funkの新たなる蒸気があるかもしれないと予言を以ってこの予言から始まった述懐を終えたいと想います。


by wavesll | 2017-12-15 19:46 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)
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