Mariah - Utakata no Hibi ( うたかたの日々) (1983) † [full album]
小気味良く刻まれる打音、東洋的な広がりと妖しさを持った旋律。Youtubeを回遊してたまたま見掛けたこの音に冒頭から心臓を鷲掴みにされました。
シンセ・ポップ/ニューウェイヴで今も不動の人気を誇る、「案山子」の清水靖晃氏参加の実験音楽集団、本邦のマライアの名作ラストアルバム。Basic Channel創設の独・Dubplates and Masteringにてマスタリング。『ガロ』誌や『宝島』などで連載した漫画家・イラストレーターの奥平イラ氏が自身が手がけたオリジナル・アートワークを新装。YMOにも関わった吉田美奈子の夫で、そのプロダクションも手掛ける(故)生田朗がリリックを担当。
とのこと。
Organic Music主宰のChee Shimizuがプレイしていた『うたかたの日々』収録曲の“心臓の扉”が話題を呼び、同トラックはその後スイス人DJ Lexxが手がけたClaremont 56の『Originals』シリーズや、Lena WillikensによるRA PodcastなどにフィーチャーされNYC拠点のレーベルPalto Flatsは、『うたかたの日々』を「チャンバーディスコやニューウェーブ、シンセのフィルターを通した、日本のフォーク/ポップにおける最高峰のスタジオプロダクション」だと評し
ていたそう。2015年段階でそんなことが起きていたとは。近年日本の80sが海外勢によって本当に良く掘り起こされていますね。
シンセポップとジャズフュージョン、プログレを妙絶に融合した、日本語とアルメニア語でうたわれる音。2曲目の玲瓏な「視線」の麗しさ。3曲目の「花が咲いたら」なんかプログレッシヴ・ロック版Asa-Chang & 巡礼といった趣。とはいえ重ったるくはならずに女性Voによるオルタナロックな音像の4曲目「不自由な鼠」
そしてYMOを現代のインディーロック的に鳴らしたような感覚のある5曲目「空に舞うまぼろし」やよりオリエンタルな趣味を感じさせる「心臓の扉」等
Mutant Radioな音像たち。これは控え目に言っても名盤、寧ろ今面白がられているのが良く分かる掘り出し物でした。