遠藤周作の『スキャンダル』を読みました。『海と毒薬』でも使われた勝呂という苗字を持つ、遠藤周作を投影したような作家が主人公の作品でした。
一言でこの作品を述べれば、悪を見つめる作品でした。醜悪な快楽を認める作品でした。マゾヒズム・サディズムを盗み見るようにした勝呂は最後に自分自身に悪を見つけます。
汚いものを愛する心は、僕自身はとてもよくわかります。正直共感しました。しかし、それはあくまで倒錯であると思います。少なくとも社会に生きる人間としてはそう思わざるをえません。
しかし、本当にそうなのだろうか?と、思わず覗き込んでしまいたくなる気持ちに、この本を読んでなりました。