屋久島で過ごした一週間 3日目

c0002171_6451693.jpg朝。5時くらいに起きてしまったので2度寝。7:30に食堂に下りて飯を食べる。
おっちゃんと今日行く白谷雲水峡について話す。なんでも太鼓岩というところが非常にきれいらしい。
8:40にシーフォレストの前で迎えのワゴンに乗る。今日のガイドは昨日も一緒だったさなえさんだ。

途中、晴耕雨読でひとり拾った後、ynacの事務所に着いて、2人と合流し、俺含め客が6人、そしてさなえさんでブリーフィングをする。

まずは屋久島の成り立ちから。種子島の西に浮かぶ一周130kmのこの島を思い浮かべるときは、ひっじょーにつばの狭い麦わら帽子をイメージしてほしい。
と、いうのも海岸から少しだけ平地があったと思ったら、すぐに山がぐわっと1000メートルぐらいまで上がって、そこからゆっくりとしたカーブで2000m付近まで中心に向けて上がっていくという地形だからだ。

なんでこんな地形になったかというと、屋久島はマグマの活動によって作られた島だから。もともと海底の堆積岩の地質のところをマグマが押し上げたのだ。マグマは地表には出なかったため桜島や口永良部島のように火山はないけれども、現在の屋久島はほとんどが花崗岩でできた島だという。堆積岩は平地にわずかに残されたのみらしい。

今日は白谷雲水峡を、大体5・6時間かけて歩く予定だ。

事務所から山道を走ること小一時間、白谷雲水峡の入り口にやってきた。
その途中で道路に降りて、山をみると、この山には2種類の木々があることがわかる。
ひとつは「いかにも木」といったとんがったフォルムの木。もうひとつはこんもりとしたブロッコリーのような感じの木。

まだ大体海抜600mくらいなので、本来は後者の照葉樹林の森だったのだが、ヒトが杉を植えたため、針葉樹林である杉と混ざった森ができているらしい。
どんどん山を登っていくと、大体1000mから上は次第に針葉樹林だけの森になるそうだ。

トイレを済ませ、準備運動をした後、本来の道とは違うところから登山開始。
この道は楠川歩道と呼ばれ、昨日通った楠川の町のヒトが古くから「岳参り」のために使っていた道で、上りやすいように石が置かれている。

岳参りというのは屋久島に古くから伝わる慣習で、集落の代表者がその年の村の平和を願って奥岳に住むといわれる山の神様に会いに登るという行為だ。屋久島の山々には集落の名前がしばしばついているが、それはやはり岳参りの風習と関係しているのだろう。
楠川歩道は江戸時代からは杉の伐採の際にも運ぶ道として使われていたそうだ。

まず森を歩くと、目に入るのは緑、緑、緑!石も、木も、全部が苔に覆われていて、美しい緑が眼前に広がっている。

花崗岩の方状節理や、苔の説明を受ける。特に「いたちのしっぽ」と呼ばれる苔は、ふさふさしていていつまでもさわりたくなるような感触だ。

さなえさんが道に落ちている丸い実を拾った。みんなに回してみて、「これは何の実でしょう?」
正解はリンゴツツジ。ほんとにリンゴみたいに赤くなっているのが木になっていた。

あと、道をクモみたいなやつが歩いていたので、そいつもさなえさんが拾ってみんなにみせた。
これはザトウムシという虫で、長い触覚で探っている姿が、めくらのヒトが白いステッキで探る様子に似ているため、座頭市から名づけられたらしい。見た目はクモなのだが、体に節がなくまるっこいので、節足動物ではなく、分類上はダニの仲間らしい。

ゴォーーーーっという声がしたので何かのケモノかと思ってさなえさんにたずねてみると、ここらへんの鳩の鳴き声だそうだ。黒い鳩がこの森には住んでいるらしい。

地面にちっちゃい黄色い羽が落ちていて、さなえさんは図鑑を出してこの鳥ですよといってくれたが、名前は忘れてしまったw

そうしてるうちに大きな杉のトンネルが見えてきた。ちょうど根元の下に人一人通れそうな空間が開いている。

これはなぜできたのか?これを解くキーワードが「倒木上更新」と「二代杉」だ。
木が育ち、倒れ、その上に苔が生え、種が落ち、また新たな木が生えることを倒木上更新という。その場合、木自体を養分にしているわけではなく、養分は根で地面から取り、倒木はあくまで種が固定されるスペースだということ。また木が倒れると太陽が当たるスペース(=ギャップ)ができるのでそのためでもあるということらしい。

そして杉の上にもう一本できた杉を二代杉というのだ。
このくぐり杉の場合、二代杉として育った後で、一代目となった倒木が腐ってなくなったため、こんなトンネルができたのだという。へーーーって感じ。

沢が流れているところで休憩を取った。ほんとに苔がきれい!!
苔の生育には湿度が絶対に必要で、1ヶ月に35日雨が降るといわれる屋久島は苔には最適といえるが、特に沢が流れるそばはベストオブベストな環境。森の精が生きているような美がそこにあった。

最初は石が結構気になっていたが、慣れてみるとこの山道でも結構顔を上げてられる。
そんな感じで道の脇をひょいとみてみたら。。。。鹿!!!!!!!
「うわ!鹿だ!」と思わず言ってしまったが、相手は驚かず、ゆったりと歩いている。
さなえさんも「さっきからケモノの匂いがしてたからいるかなーと思ってたのよね」
うわーーーー。みんなで写真撮ったwけど暗くてうまく写らなかった。
屋久島の鹿はかなりひとに慣れているから、ぜんぜん逃げないらしい。

森を登って山の説明を聞いていたら「あ、こんにちは!」
あーー!昨日一緒に沢を登った女の子二人組みだった。今日はガイドは雇わず自分たちで昇ったらしい。「すっごくきれいでしたよー」だって。こりゃー楽しみだなー。

そして、ついに本日の最終目的地点「もののけ姫の森」にたどり着いた。宮崎監督がスケッチした場所らしくて、もののけ姫の森っていう看板まで立っているwじゃあその前はなんだったんだよw
まぁその前から有名な写真スポットだったらしい。

大きな切り株があって、それは地面から1m以上のところできられているのだが、それにも意味はあった。というのも屋久杉は、きったその場で手ごろな大きさの平木にして、かついでもって帰るのだが、きれいな木目をとるために、根っこの部分ではなく、まっすぐ立ったところを切るのだ。そのためにわざわざ立場を組んで、のこぎりで切ったらしい。

また、切る前に丸い穴を開けて、木目がきれいかどうかを確かめてから切ったらしい。実際、切られずに、丸い穴だけが残されている杉があった。

と、いうか、きれいな杉は全部江戸時代に伐採されてしまったのだ。
屋久杉というのは樹齢1000年を超える杉だけで、それより下は小杉というのだが、現実的には、江戸時代の伐採を潜り抜けた大きな杉のことを屋久杉と呼んでいるらしい。

そんな説明を受けていると、陽が差してきた。もう夢中で写真を撮ったが、このきれいさは写真には写せない。楽園のようだった。

折り返しながらちょっと気になったので「屋久杉の寿命って、何年なんですか?」と聞いてみた。
そしたら「実は植物って、条件さえ整えば永遠に生きられるかもしれないの」という答えが返ってきた。実際は外部因子によって枯れたり折れたりして死んでしまうのらしいのだが、少なくとも屋久島はこの地上で永遠に一番近い島であるのは間違いないだろう。
c0002171_6504536.jpg歩いていると、結構、最近倒れたんじゃないかっていう木が多い。やはり台風13号の影響は大きかった。
「でもそれは悪いことではないの。そうやって木が倒れて、そして倒木上更新が行われて森が新陳代謝されていくのだから」
屋久島というと太古の森のイメージがあるし、実際それも正しいのだが、常に変化し続けている自然でもあるのだ。

あと、倒れている木にはたいていキノコがついている。弱った木にキノコは取り付いて、さらに弱らせるから、キノコがついている木は健康状態が悪い木といえるそうだ。

実際、標高が上がるにつれて、森が照葉樹林から針葉樹林に切り替わり、どんどん大きな木が増えていった。

針葉樹林エリアで大きな木は、スギ以外にはモミとツガがある。モミとツガは両方マツ科の木でよく似ているのだが、枝を見ると見分けることができる。モミは必ず枝が三又に分かれているのだが、ツガは不規則なのだ。

今歩いている原生林歩道は戦後作られたものだが、楠川歩道は古来からあるものだということ。屋久島のヒトと自然とのかかわりの長さ、これだけの自然が現在も存在することへのヒトと自然双方の力と智恵に改めて驚嘆する。

いちいち沢から石を運んだり、道を作ったり。とんでもない労力だ。そして女性のヒトは平木を80kg担いで走るように駆け下りたらしい。人間ってすごい。そして次から次へ生えてきたり、何千年も成長を続けたりできる植物はもっと凄い。何千年も持続的に成長できるシステムって、今人類が最も求めているものじゃないか。

やはり屋久杉は屋久島のシンボルだなーと強く思う。一本一本が凄く違っていて、みていてぜんぜんまったく飽きない。そりゃそうか、1000年以上生きればいやでも個性的になるよなw

と、ちょっと鼻につく匂いが。「ケモノの匂いがするからもしかしたらいるかも。」
今、鹿は繁殖期で、オスは自分の尿と泥を混ぜたものを首の辺りにこすり付けてフェロモンのように使っているらしい。

いた!今度は声を出さず。そーっと観察した。結構ちっちゃい。
「ヤクジカは本土の鹿と比べると小さいの。あれで成獣なんです。」

バンビみたいに白い斑点があるのがとてもかわいかった。

鹿はゆったりと草を食んだ後、山の中に消えていった。

ちなみにこの後もう一匹のオス鹿に遭遇したのだが、それもやっぱり暗くて(フラッシュ使えないから)良く撮れなかった。その鹿はなんかひたすら角を枝にからませてジャコジャコやっていたw
あれは角を磨いていたんだろうか?本当のところは鹿に聞いてみないとわからない。

白谷雲水峡にはくぐり杉のほかにも七本杉とか奉行杉とか、びびんこ杉(びびんこっていうのはおんぶのこと)とか3本足杉とか名前のついている杉があって、そんな杉を写真に撮りながら、時に根っこを触ったり、中に入りながら山を下っていった。

すると、目の前に黄色い鳥が!「あれが前見た羽の持ち主だったかも」

登山するとき、道に迷わないように、良く見るとちゃんと順路の木にはピンクのリボンが巻いてある。逆にこれがないところには絶対行っちゃいけないということだ。

ほんとにガイドさんの説明はためになって楽しい。目線を上に上げてくれる気がする。

あと、こっち来て思うのはぜんぜん虫が気にならないこと。普段だったらちょっと気持ち悪いなとか、嫌だなとか思うような虫も、むしろ興味深く、面白く感じる。それもガイドさんから影響を受けたのかもしれない。

屋久島の自然って五感で楽しめるんだ。目できれーーーーな緑を楽しんで、手でふさふさのいたちのしっぽを触って、木や葉っぱの匂いを感じて耳で動物の鳴き声や水の流れを感じて、そして水を汲んで飲む。

またこの沢の水が美味いんだ。なんでも雨がそのまんまながれるような軟水らしいんだけど、あぁ、水だなって感じで美味い!これで三岳を割るのが一番贅沢な飲み方らしい。

なんだろう。思うのは、いのちを大事にするってこと。
虫も、水も、樹も、鳥も、鹿もそしてヒトも。生きている。いのちがある。
いのちってきれいだし、いとおしい。だから大事にするんだ。
もちろん、自然はきれいなことばかりじゃない。台風や洪水など、荒々しい自然がある。
もちろん、人間はきれいなことばかりじゃない。どろどろした暗い感情が人間にはある。
でも汚かったりつらかったりしても、きれいなものがあるなら、大事にしよう。
そんな気持ちが、この島にいると沸いてくる。

最後の沢を超え、ちょっと歩くと、山道は終了!舗装された道路に出た。
で、最後に滝をみながら全員で記念写真を撮った。

今日のメンバーもみんな感じのいいヒトたちで、楽しく歩くことができた。

で、ついに最初の地点に到着!おつかれさまでした!

看板の前でさなえさんと一緒に写真をとってもらった。本当に二日間にわたりお世話になりました。ありがとうございました。

森の保全費用の募金箱があったから300円入れておいた。

なんでも前日に縄文杉に行ったヒトの話によると、縄文杉はこれよりきついらしい。と、いうかほとんど歩き通しなので、写真撮る暇もないらしい。(その反動なのかその人は今日は写真とりまくってたw)

ほかのヒトは昨日七子岳に登っていたり、あとは晴耕雨読のヒトはドクターから俺のことを聞いていたらしいw

帰りの車窓から、クワズイモのトロピカルな葉っぱとか、複線工事の様子とかを見てたら、んなんと猿がいた!うわー、ヤクザルもみれるなんてラッキー!!!

車内ではこのあとみなさんは何をするのかとか、そういう話題で盛り上がった。そして一人ずつ宿の前でお別れして行った。

ただいまー!と帰ってから、おっちゃんに海に行く道を聞いて、海辺に行って夕日みてた。で、電話したらそいつに屋久島いってまで電話してくんな!せっかくだから自分を見つめなおせよとかお決まりのこといわれた。まーやった人間がいうんだから間違いないけど、暇なんだよ。一人は。自分見つめるとかそーいうのはやろうと思ってやるもんじゃなく、気づいてたらやっているもんだというのが俺の持論だ。

暗くなったので宿に戻り、シーフォレスト最後の夕食。
今日のメインは鹿刺しだー!!!これで鹿の匂い、みため、音、そして味までも楽しんでしまったwあっさりしてて、こっちの甘い醤油ともあっていてうまかった。

わいわいランドに行くと「首折れさば入荷しました」のポスターが。まじ美味そう。絶対食おう。あと下のはキヨミズというサカナです。

シーフォレスト特製の飲み放題の麦茶を飲みながら、また電話してたら、相手はカラオケやってるらしくて、初日にかけた奴に「旅モードぜんぜん入ってないじゃん」といわれてしまった。
うーん、まぁ明日からはユースだし、電話しなくなるだろうなー。電話代もやばそうだしなw
で、九州出身の友達に鹿児島の面白いとことを聞いたら、特攻隊の知覧と、むじゃきの白熊がいいと教えてもらえた。天文館には帰るとき寄れたら寄ろう。

とかやってるうちに寝た。

4日目へ
by wavesll | 2006-10-01 06:47 | | Trackback(1) | Comments(0)
トラックバックURL : http://kamomelog.exblog.jp/tb/4687327
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from 工事用工事中看板なら工事.. at 2008-04-15 12:17
タイトル : 工事用工事中看板なら工事用看板情報NAVI
工事用工事中看板なら工事用看板情報NAVIにお任せください... more
<< 屋久島で過ごした一週間 4日目 屋久島で過ごした一週間 2日目 >>