『おとなの進路教室。』を読んで思ったこと。 仕事観と価値観

c0002171_223347.jpg山田ズーニーさんの『おとなの進路教室。』の単行本を買って、読みました。

その中で最もぐさっときたのが『勉強?それとも仕事?』という一連のコラムと『目が肥えている』というフレーズでした。

(山田さんのコラムはほぼ日で読むことが出来ます。勉強?それとも仕事?のシリーズの文章はこちらから読めます。)

『勉強?それとも仕事?』という問いがつきつけているのは、社会人が持っている仕事に対する姿勢を理解しているのか?ということです。

僕はこのコラムの中にいるRさんそのものでした。「自分を知的に高めたい」。これを仕事でもやりたいとして、結局、仕事でも第一に自分を喜ばそうとしていたのです。

ズーニーさんの仕事の定義は「人を金を支払ってもいいと思うレベルまで喜ばせること」です。身内でも、「人類」でもない一人の他者をどのような形で喜ばせられるのか?自分がやりたいことをするということも、やりたいことだからずっとやりきれる。つまりずっと他者を喜ばせられるということなんだと改めて目を見開かせられました。

では、そういう観点に立ったとき、僕は何が出来るのでしょう。何をしたいのでしょう?何の価値を社会に提供して生活をしていきたいのでしょうか?

話は変わって、ズーニーさんはこの本のほかのコラムで、「今の自分の言葉で話すこと」の重要さを説いています。今自分がいるところ。その立脚点からでた表現は切実で、他者に迫ると。

しかし、都会の子供の立脚点は「自分が仕入れた情報」らしいです。その情報と情報の整合性を追うだけで、オリジナリティのない表現・疑問しかできないと言います。

情報がありすぎるというのも確かに困ったことです。自分の中にふつふつと沸くマグマも、先人の素晴らしい言葉で先に明確に表されていたりすると、自分の中でしぼんでしまうこともあるかもしれません。少なくとも自分のオリジナルの表現が出ずらくなりそうです。

もっというと、全てが相対化されて、倫理だとか価値観だとかが非常に揺らぎやすい社会に今、我々は否応無しに生きているといっていいのだと思います。

超情報化社会ではインプットとアウトプットのギャップが非常に激しくなります。自分自身と比較されるのは、同じような能力の人ではなくて一流のプロ。これは一面では成長を加速させるかもしれませんが、一面では自分から価値を創造すること、表現することへ尻込みさせていると思います。誰だって最初は上手くいかない。しかし目は非常に肥えている。どうせ満足いかないのなら最初からやらないほうがましなのではないか。と考える人も少なからずいると思います。というか僕自身がそうです。

一方で表現の可能性を広げながら、一方で表現の可能性を潰す。放っておくとクリエイティビティーの二極化はどんどん進んでいく気がします。下手でもやってみるところから始まるんですけどね。

そしてインターネットは情報の価値に関しても人々の価値観を一変させていると思います。

ウェブに溢れる文章はほとんどがタダです。画像もタダ。場合によっては音楽や映像もタダで手に入ります。どんどん情報に対する価値観が従来から狂っていっていると思います。

自分で楽器を弾いたり、演技をするわけでもないのに、僕はプロの音楽や、ドラマを見て、こんなもんかと思ってしまいます。まぁ、肥えてしまった目から見ると「こんなもん」でも、それを自分が作れるかといったら全然そうではないのです。実際に劇作りに参加してみて、一つのドラマを作ることがどれだけ大変か、カラダで知りました。ましてや面白いドラマといったら非常に難しい。一流のプロの提供するハリウッド映画が1,800円というのに、規模の経済があるとはいえ、自分自身ではどれほどの価値を生み出せるでしょうか?

金銭という価値尺度で言っても、情報の受け手としてどんどんかつての正常値からずれている気がしてなりません。そしてそれはこの先仕事人となったとき、自分に跳ね返ってくるものだと思います。自分がBtoBではなく、コンシューマーを相手に表現活動をするとしたら、自分の表現のタダの中身以上の価値を作らねばなりません。いやBtoBでもそうか。そしてその上で、仕事になった上で本物を追求しないといけないんですね。

現実で重要なのは「本物を見抜く力」「本物を作る力」「本物をまとめて、価値付け・パッケージングして、届ける力」ではないでしょうか。特に最後のものが今消費者が求めているものだと思います。そういった情報を届ける仕組みを創造できる力に今、仕事として最も興味があります。

システムを作ること。そのためにチームの一員としてコミュニケーションを加速させること。まだ就活頑張るぞという気力を感じつつ、この本を読了することが出来ました(講義中にねw)。また読み返さなきゃ。


P.S.
ちょうど本の話。そして仕事観の話ということでLingua furanca.のテラシィさんのエントリにトラックバックしてみました。
by wavesll | 2007-05-07 22:10 | 小噺 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2007-05-08 07:30 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by wavesll at 2007-05-10 02:47
山田さんの文章は俺にど真ん中や。
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