このサイトをはじめて間もない頃、当時死ぬほどハマっていた携帯電話についてこんなレポートを書きました。普及率が当時七割を超えたことからインセンティブ制がこの先崩れるのでは?という大予測はものの見事に外れましたが、Napsterのようなサービスが実際に生まれたり、あるニーズに特化した端末が売り出されたりと、各論では思っている方向に進んでるなぁと感慨深いです。
この春、ケータイ会社大手3社を受け見事全落ちしたのですが、久しぶりに本格的にケータイ業界に触れて(僕はウィルコム使いなのでケータイ文化からはちょっとはなれたところにいるなと感じます)、入れなかったけれども魅力的な業界だなと改めて感じました。 今回は就活生として集めた情報を元に、業界研究の成果をせっかくなのでまとめてみます。ソースはパンフ、IR情報、ウェブサイト、セミナー等で公に発表されているものだけです。 業界の大枠としては、加入者5000万を超えるDoCoMoと2800万のauが二強。特にauは利用者純増数でぶっちぎりです。この上位2社の余りを、加入者1600万で奮闘するソフトバンクや460万のウィルコムが食っているという印象です。(ウィルコムに関しては2台持ちユーザーも多いと思いますが割愛) DoCoMoとauの大きな違いというのは「必要なものを見極め、資本を注ぎ込める機動力」だと思います。当然auの方が強い。デザインにしても、音楽にしても、DoCoMoもやっているのだけれども、最も購買意欲の高い若年層に訴えかけられたauがその分野での第一人者だと見られています。これはKDDIが掲げる「一歩先をいく満足」の成果だと思います。auは学割・パケット定額により新規顧客を大きくつかみ続けて、顧客満足度もNo.1だそうです。この先はKDDIとしての強みを活かしてFMC(固定とモバイルの融合サービス)を更に進めるそうです。 一方でDoCoMoが掲げるのは「新しいコミュニケーション文化の創造」です。元々国策企業として日本のインフラを進化させてきただけあって、i-modeや、オサイフケータイなど、SEEDS(潜在的ニーズ)を刺激し、国民全体のケータイスタイルを変えるサービスを引っ張ってきました。 しかし、文化というのは余裕があるやつが遊ぶためにある一面もあるからか、料金は高め。また全体に向けたサービス作り・宣伝をしてきたため、エッジに欠け、「DoCoMoらしさ」が見えないというのが目下解決すべき問題とされています。最近始まった新CMシリーズなどがその対策なのでしょう。(アレはどうにもズレてる気がするけど) ソフトバンクは広告業界でいうADKというか、最大手二社が手を出せないサービスをガンガンやっているところ。通話定額や20色のカラバリなんかはDoCoMoやauはまずやらないでしょう。その分インパクトはあります。 またグループ会社に日本の最大手ポータルのYahoo!Japanを抱えていて、コンテンツ面で強みがあります。ベンチャー気質で身が軽い。 その分、無料通話騒ぎで見せたように、信頼感に欠けるところもあると思います。 ソフトバンクがいい意味でベンチャー気質といえれば、 DoCoMoはいい意味で官僚的、KDDIはいい意味で体育会系のノリがあると感じました。 DoCoMoは自社のサービスは他社を凌駕していると思っています。実際サービスの質は高いです。例えば音楽の面では僕はDoCoMoがダントツにいいと思います。しかし高かったりだとか、それを必要としている人が少なかったりだとか、消費者の心に届いていないのが問題な気がします。その点auは上手かった。 そのauが今後来るとみているのは動画です。ワンセグ対応機種をいち早く出し、音楽PV販売も始めている。 しかし、ワンセグやPVが本当に必要なサービスかは僕はまだ未知数だと思います。回線速度の問題はじきになくなるでしょうが、必要とされる企画がでてこないと、ダメだろうなと思う。まぁこれはもう自分の意識が高校生の頃からはズレてしまっているからかもしれないけれど。そういう意味でオトナに向けた娯楽が出てきてもいいなと思います。 一方でもっと広い意味で、TVとネットの融合がケータイを起爆剤に起こるかもしれないとも思います。KDDIがいうFMBCの時代が早晩(といっても数年後でしょうが)来るのでしょう。 総務省のお達しで、ケータイには全部GPSが乗るようになっています。PASMOをはじめとする電子マネーの主要プレイヤーにケータイがなることもありえます。mixiやモバゲー、顔ちぇき!のように、webサービスの主戦場としてケータイの価値はますます上がると思います。 そもそも世界で言ったらガラパゴスな日本モデルが世界に輸出される動きを見せたり、逆に世界共通になろうとする動きをみせたり、ケータイ業界の動きは本当にダイナミックです。 最近のauはかつてのDoCoMoのような感じになってきてしまってる嫌いがあります。ともするとDoCoMoが反撃するかもしれません。まぁそもそも今のビジネスモデルそのものをソフトバンクが破壊してしまうかもしれない。本当に必要な、電話、メール並みのサービス(とりあえず俺はメッセについてるような現在状態を示すアイコンがほしいけど)が生まれるかもしれない。そういった意味で楽しみです。 まぁ正直言って未練がないとはいえませんが、今後もイチユーザーとしてケータイ業界は注目していきたいですね。 追記: DDI(現KDDI)、DDIポケット(現WILCOM)創業者の千本氏がたち上げたイー・モバイルが、MNNO(電波インフラの他社への提供)によって根本から既存のケータイビジネスモデルをグローバル化するかもしれません。20Mを超える速度の次世代PHSを開発しているウィルコムのジャケットフォンと合わせて、要注目ですね。
by wavesll
| 2007-05-15 07:14
| 小噺
|
Comments(2)
Commented
by
u-tang
at 2007-05-16 02:20
x
au「顧客満足度NO.1」を出した調査会社によると、「音楽」ではDocomoが満足度一位だそうです。auのポスターを見てみると、エリア」「通話品質」などは一位と書いてありますが、前述した音楽などは記載されていません。au広報は上手ですね。
SoftBankの一部機種には「ホットステータス」という、それこそメッセンジャーの状態表示みたいなサービスが提供されていますよ。まだまだ対応機種が少なく、利便性は感じられません。 Docomoの904シリーズから提供される「2in1」がどこまでホワイトプランに対抗できるか、既存ユーザーの囲い込みが出来るかどうかが気になりますね。
0
Commented
by
wavesll at 2007-05-16 08:01
なるほど!ほんとにauのイメージ戦略は上手いですね。
ホットステータスは不勉強ながら初めて知りました。これは全員が持つようになって力を持つサービスだと思うので、つぶれないで拡大して欲しいです。 DoCoMoの新たな取り組みがどうなるのかは本当に気になりますね。
|
ブログパーツ
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 タグ
記事ランキング
最新のコメント
最新のトラックバック
link
世界のあいさつ
世界経済のネタ帳 The Global Jukebox everything is gone 第三の波平ブログ LL めるみほしき さみあもにょる aktkta 「あき地」 ぁゃιぃ(*゚ー゚)NEWS 2nd Antenna SHUMAMB_CLTR 海外の反応アンテナ ヤクテナ 阿木 譲 a perfect day 黒夜行 耳の枠はずし Pirate Radio スーパーリスナーズクラブ togetter dezire_photo & art BOX 琥珀色の戯言 はれぞう bohemian rhapsody in blue 極東BLOG 終風日報 道草 金子勝ブログ とうきょう砂漠のアレクサンドリア iGot ドM 冬眠 アッチャー・インディア HITSPAPER まなめはうす RinRin王国 あなたのノイズ、わたしのミュージック。 酔拳の王 だんげの方 Kain@はてな miyearnZZ Labo Nest of innocence 小生にうず VICE JAPAN AbemaTV UNI(うに) FNMNL Tenderhood. 反言子 ugNews.net JUN THE CULTURE おもトピ Hiro Iro 小太郎ぶろぐ みずほN◇MIZUHO(N) 面白法人カヤック コロコロザイーガ学園 NOT WILD STYLE TATAKIDAI 「ニーツオルグ」保管ページ わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる ゴルゴ31 !DESIGN, iDESIGN ヤマカム 小さい研究所 BLACK徒然草 できそこないβ版 チェコ好きの日記 404 Blog Not Found SHE Ye, Ye Records LOS APSON? EL SUR RECORDS Art into Life Meditations more records 240雑記 Hagex-day.info amass TRiCK FiSH blog さて次の企画は ねたたま 神魔精妖名辞典 朝目新聞 虚構新聞社 荻上チキ Session22 メディア・パブ ポリタス 天漢日乗 暗いニュースリンク 溜池通信 純喫茶アカザル(ほぼ音楽喫茶) とっぴんぱらりのぷう Plogect::Logistica 先見日記 SYNODOS 週刊ソラミミスト nardo 山田ズーニーの「おとなの進路教室。」 RaziChord / Nakayubi / Nine-Hz ゾウィの音響徒然日記 音のソノリティ Musica Terra 日本の古本屋 adabana 林揚羽 俗窓 カフェー こむぎ はてブニュース 東外大言語モジュール Y.D from夢中夢 やくしまるえつことdvd 時計ちっく Font In Use ガチャガチャブログ retrievr Neave Interactive Mediachain Attribution Engine Ostagram ディープネットワークを用いた白黒写真の自動色付け Radio Garden 最終防衛ライン3 ※コメント・トラバ大歓迎。 ※このサイトで使用している記事・画像は営利目的ではありません。リンクなど、問題があればコメント(非公開でもかまいません)を下さい。対応します。このサイトの内容を使用して発生した損害等に関して、直接的間接的あるいは損害の程度によらず、管理人は一切の責任を負いません。 鴎庵はリンクフリーです。はずすのもご自由にどうぞ。 ライフログ
|
ファン申請 |
||