2016年 08月 25日 ( 1 )

イエジー・スコリモフスキ『11 MINUTES』 "普通"の皮を剥ぐ『家、ついていっていいですか』のNoise化Film

c0002171_534147.jpgヒューマントラストシネマ有楽町にて『イレブン・ミニッツ』をみました。

舞台となるのはポーランドのワルシャワにあるグジボフスキ広場付近。離婚問題で揉めている映画監督とオーディションのため彼と会うポーランド生まれの女優アニャを中心に、アニャの夫、ホットドッグ屋の主人、バイク便を仕事とする彼のジャンキーの息子、登山家の男女のカップル、女性救命隊員、映画の撮影現場に居合わせた画家、質屋強盗を試みる少年、犬を連れたパンクの少女と、一見関わりのないように感じられる11人の人々。ある日の午後5時から5時11分まで11分の間に彼らに起きる出来事と人間関係を、ウェブカメラやカメラ付き携帯、監視カメラといった映像を織り交ぜ、ラストのカタストロフまでスリリングに描いている。
というこの映画。見た後「どうすんだこれw」と想うようなぶっ飛んだ映画体験でした。

謎が多い群像劇ということで、『マグノリア』や『羅生門』を思い浮かべながら劇場へ向かったのですが、「私は退屈な映画が嫌いだ」と言うスコリモフスキ監督のこの映画、通がコアな刺激を追究し、自分が愉しめる強度までパズルの複雑さを上げたのだなと。それはまるで普通の音楽では満足できないコア・リスナーがノイズ・ミュージックに嵌るがごとし。『ザ・シャウト』でもその叫びの音響がノイズとしてとても魅力的でしたがスコリモフスキ監督はノイズ的な鮮烈な刺激を描き出す映像作家なのだという思いが強くなりました。

『ザ・シャウト』以来のスコリモフスキ体験だったので、映像のスタイリッシュさ、クリアさにまず驚きました。真昼間のワルシャワが印象的。そこで紡がれる謎が謎を呼ぶ展開。かなりエクストリームでありながら、ある意味これってテレビ東京の『家、ついていっていいですか?』と狙いは同じなのではと感想戦をしているときに想いました。

その心は、"人には誰しも底知れぬドラマがあり、一枚剥げばそんな特殊さの中に我々は生きている"ということが顕わされているのではないかということ。横浜でも有楽町でもいいですが、街を歩けば普通に世の中は回っているように表層的には思えるけれども、『家、ついていっていいですか』はそんな街を歩いている市井の人々が持つ人間ドラマを『レットイットビー』に乗せて描き出します。その別verというか、あの番組は取材者に対して人々が親切に自分のドラマを話してくれるけれども、この映画ではまるで電車内で携帯電話で話されているような居心地の悪さ、情報の非対称性を味合わせながら、一癖も二癖もある人達の群像を通じて、"普通の街の風景"の皮膚を剥した臓腑を示す、そんな、それぞれの人々が持つドラマ(と外部から見ると謎)のリアリティがエクストリームな形で示されている、そう感じました。

恐らくこの映画を見ると"どっからとっかからって話せばいいというんだ"というような気分になるのでは?と想います。感想戦向けの映画かも。水曜1100円のサービスデーに誘ってもらえて嬉しかった^^ポーランド語の響きも印象的だし、中々面白い映画体験だったので、どなたかと連れ立っていかれることをお勧めします。もし語り合う仲間がいなければ、インターネットの雲海で探してもいいかも。コメント下されば私も語り合うのに一つ関わりたいです◎

cf.
Noisy 3 - 花電車, Jerzy Skolimowski / The Shout, Ametsub & shotahirama play @渋谷タワレコ


11 Minutes Official Trailer 1 (2016) - Richard Dormer, Paulina Chapko Movie HD

by wavesll | 2016-08-25 06:17 | 映画 | Trackback | Comments(0)