たまご かおり『無題(鳥)』X Tsegué-Maryam Guèbrou ‎– Éthiopiques 21 : Piano Solo 第43回音の貝合わせ

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この鳥を描いた<たまご かおり>さんの絵、私はたまらなく好きで。
美しいだけでなくて、どこか野生の焔を感じて。
いつか個展をみてみたい、或いは鴎庵上で電子個展を開けないかと夢想する画家さんです。

そんな生命力と可憐さを音であらわすならば、どんな音楽が好いのだろうと悩みに悩んだ結果、”よしこれで行こう”と想ったのがこの一枚
エチオピークス・シリーズの中でも珠玉の一枚である本作は女性ピアニストによる詩情あふるる、けれど大地にすっくと立った音楽。

風を彫ったような、ふわりとぞわりが同居するような。軽みと鮮烈さをこの2人には共通して感じて。
芸術への、そして人への愛情が内発するような、そんな温かいエクスペリエンスでした。


# by wavesll | 2018-01-23 00:01 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)

銀界の雪翳に電子音楽

Ø - Atomit




# by wavesll | 2018-01-22 22:04 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

欲望の資本主義2018 闇の力が目覚める時・ルールが変わる時 第1章・第2章

私たちは、働く。生きるため、お金のため、社会の為。雨の日も風の日も。それが、資本主義のルール。

でも

「資本主義は その成功ゆえに 自壊する」ヨーゼフ・シュンペーター

ヒト・モノ・情報 世界が回る お金が回る

ウルリケ・ヘルマン(経済ジャーナリスト、ドイツ)「資本主義は弱肉強食の世界」

止められない、止まらない。欲望が欲望を産む、欲望の資本主義。

ダニエル・コーエン(経済学者、フランス)「創造的であれ。さもなくば 死だ」

「創造的破壊」
資本主義のエンジンを突き止めた男

トマス・セドチェク(経済学者、チェコ)「マルクスは資本主義は『最強の怪獣』だと言った」

「革命を起こせ」
資本主義の矛盾を突いた男

Anti Capitalista

マルクス・ガブリエル(哲学者、ドイツ)「資本主義は『見世物(ショウ)』だ。トランプはその象徴だ」

作って、使って。作って、壊して。私たちは何を求めて働いているのか。

「欲望」は満たされることを望まない。「欲望」は増殖することを望む。

「闇の力」が目覚めるー

世界経済のフロントランナーたちが紡ぐ、お金と、欲望を、めぐる物語

欲望の資本主義2018 闇の力が目覚める時 前編

第1章 分断する世界

アメリカ、ニューヨーク。
STARTUP SPECTACULAR 2017 (起業家と投資家のイベント)
ここは資本主義の最前線。資本と、アイディアが出会う場所。

「大企業での経験を経て起業するならどんなことが生かせるでしょうか」
「僕たち投資家は資金面や経営面でサポートできる」

資本を求めて、列をなす者たち。ここからまた、新たな富が作り出されるのか。

「すごく人気のツールです。ちょっとみてくれませんか。公開から1ヶ月でユーザーは1000人ぐらいになりました。」
ジョナサン・ストラル(ベンチャー投資家、アメリカ)「いいね」「君は資金を調達したいのかそれとも新たな仲間が欲しいのかな…」

ジョナサン・ストラル:ニューヨークを拠点に活動 およそ30のベンチャー企業に投資している
広い人脈を活かしてお金とアイディアを結ぶ男。

ジョナサン
「僕らはスタートアップ企業が集うNYのエコシステムの中にいる。若い起業家たちは皆すごいアイディアを持っていて資本を探している。

投資した会社が買収されれば大金を得られる。アップルやグーグルやマイクロソフト、あとアリババはそこら中の会社を買いあさっている。そうやって僕ら投資家と起業家は稼ぎをあげるんだ。

そして大きいアイデアと事業は生き続ける」

資本の増殖をめぐるリアルゲーム

カフェにて
「何にしますか?」
ジョナサン「オリジナルブレンドにしようかな、スモールで頼む」
「ミルクもね?」
ジョナサン「ああ、ハーフ&ハーフで」

ジョナサン
「はちみつをコーヒーに入れる。これが僕の魔法…秘密兵器だよ。僕が疲れるって?コーヒーがあるからね。珈琲があれば疲れていても問題ないさ毎日5~6杯は飲んでるよ。一日中起業家たちと会っているけどそれもカフェでやるんだ。カジュアルにやりたいからね。

フリーダムタワーだ。NYで一番きれいなあたりさ。ワールドトレードセンターがあったところだね。」

新たなアイデアを持つ起業家とのミーティング。彼が投資するのは人工知能によって自動化された会話で企業の採用の効率化を図るビジネスモデル

起業家「応募者がこう書くとする『チームでの仕事が得意です』
人工知能がこう答える『夢の仕事はチームワークから生まれますよね(^^)』
会話が楽しいと応募者は時間を割いて自分のことを話してくれることが分かった。」

ジョナサン
「このアイデアはパーフェクトな例だ。求職者は仕事を効率的に探せるし企業側も的確な判断をしやすい。人工知能は仕事を奪うことが多いよね。これは正反対だ。人工知能が仕事のマッチングに活用されるんだ。」

起業家「テクノロジーは人間と共存できる。人間が人間らしい生活をするためにテクノロジーを役立てるんだ」

つくられるのはモノではない、つくられるのはシステム

ジョナサン
「僕らの投資哲学は『デジタル技術による効率化』だ。世界をどうもっと効率的にするか、部分的にではなく一気に。仕事の流れはどう改善するか?お客の生活をどう改善するか?時間とコストの削減に基づいて計測するんだ。そこには絶対的な価値がある。」

至上命題は「効率化」

ジョナサン
「こんなふうにテクノロジーは世界を変えられる。でもそれができるのは基本的なテクノロジーであって写真シェアのアプリとかではないよ。

インターネットを利用すればコストも低いし拡張性も高い。それでトップ1%だけでなく99%の人々が恩恵を受けられる。世界の富のバランスをよくすることが投資家としての使命だと思っている」

資本主義とは破壊の連続、日々、新たな技術、新たなビジネスモデルをめぐって競争が続く。成長の原動力は、イノベーション。起業家のイノベーションが生む、創造と破壊。そこに資本主義の生命力を見出したのがシュンペーター。あのケインズと並び称される20世紀の巨人だ。

ヨーゼフ・シュンペーター:オーストリア生まれ(1883-1950)
J・M・ケインズ:イギリス生まれ(1883-1946)

資本主義のダイナミズムの放出を生涯追究し続けた彼が辿り着いた資本主義のエンジン、「創造的破壊」
創造の為には破壊し続けねばならない。それこそが資本主義の掟。

安田洋祐(経済学者、日本):大阪大学教授。専門はゲーム理論、マーケットデザインなど。海外のトップジャーナルに論文が多数掲載

エコール・ノルマル=パリ経済学院にて

ダニエル・コーエン(経済学者、フランス):パリ高等師範学校教授。政策運営にも関わってきたフランスを代表する知性。近著『経済成長という呪い』

安田「いま世界経済は多くの問題に直面していますね。特に先進国の低い成長率、不平等の広がり、反グローバリズムなど…いま最大の問題は何だと思いますか?」

ダニエル「1つのパラドックスがあることを認めないといけない。」

世界経済の逆説?

ダニエル
「まず一方には新しいテクノロジーの広がりがある。デジタルの世界はとても活気がありそのブームは経済を席巻しつつある。

だがその一方で先進国の経済成長はずっと停滞している。一方にはテクノロジー分野の発展そして一方には低成長…両社はこの10年間分断されていることが分かる。この逆説はミステリーだ。」

テクノロジーの発展が製剤成長をもたらさない?

ダニエル
「楽観的な人はこう言う。『テクノロジー革命はまだ始まったばかり。10年経てば景気促進効果が明らかになる』。しかし別の見方もある。アメリカをはじめ世界で広がる格差と関連があるという見方だ。

新しいテクノロジーがもたらす果実は賃金体系のトップにいる一握りの人たちが圧倒的な恩恵を受けている。なぜなら彼らはiPhone1台で世界中に指示を出したりクリック1つで金融資産を動かしたりする。こうしたトップ層は以前よりもはるかに力を増している。いわば世界を見渡せるようになった。」

強者をさらに強者にする

安田「新しいテクノロジーが新たな雇用を生むこともあります。全体的な評価はどうですか?」

ダニエル
「人口の中核をなす中産階級の人々、つまりサービス業、銀行、保険会社、役所に勤める人々…これらは50~60年代に生まれた仕事だが彼ら中流層は新たなテクノロジーの恩恵を受けていない。それどころかテクノロジーは彼らの仕事を時代遅れにし職を奪っている。

かろうじて生き残れるのは飲食業など比較的賃金の低い仕事だけだ。ロボットやソフトウェアで簡単に置き換えられないからね。

これらを考え合わせると至る所で新しいテクノロジーが盛況だからといって経済成長に結びつくわけではないと分かるだろう。新しいテクノロジーは大多数の人の生産性を向上するどころか職を奪う。つまり人々の生産性が失われていくのだ。」

1パーセントの生産性↑
99パーセントの生産性↓

世界の人口約74.3億人 8人の総資産(約4,268億ドル)≒36億人の総資産

加速するテクノロジー発達。それは持つ者と持たざる者。その差を広げる一方なのか。

ダニエル
「『恐れ』は常にあった。絶好の例がある。農業を見てみよう。新しいテクノロジーにより世界中の農民が職を奪われたのは明らかだ。先進国の農民は激減した。フランスでは1~2%ぐらいだろうか。日本でもフランスと同程度だろう。

生産性の向上により労働力が必要なくなったのだ。農民は仕事にあぶれてしまい彼らは農村を離れ都市部に移っていった。それでどうなったか。都市では産業革命が起きていたのだ。」

(産業革命の)あの時は上手くいった。欲望の経済史のターニングポイント。産業革命。蒸気、紡績、次々と誕生した産業機械。工場が農民の受け皿となった。

ダニエル
「人々の地方から都市への移動が経済成長に拍車をかけた。もしも都市で産業革命が起きていなかったとしたら相当の社会的緊張が生まれていただろう。働き口がなかったらどうなっていたことか…」

失業は社会に緊張をもたらす

ダニエル
「これこそ今の私たちが直面している状況かもしれない。第三次産業 サービス業の人々は新しいテクノロジーによって職を奪われ、その後生産性が高い仕事にも就けていない。そこに大きな格差が生まれる。なぜなら自分の能力が発揮できる仕事が見つからないからだ。」

第2章 革命の夢のあとさき

2016年アメリカ大統領選挙時
デモ隊「誰を求める!?バーニー!!」

バーニー・サンダース「多くの人々は低賃金で長時間働いているのに高い賃金と富の大部分はトップ1%の人たちが握っている。間違っている。」

いま資本主義に異を唱える声が高まっている

ニューヨーク ブルックリン アメリカ社会民主主義者の会(Democratic Socialists of America)

自由だけでなく平等を新しい世代のムーヴメント

「バーニー・サンダースが当選しなくて本当に残念だったわ。私たちには変革へのポジティブで希望にあふれたビジョンがある」

「サンダースはアメリカで新しい対話のきっかけを作ったのよアメリカは正直言って冷戦から続く問題を抱えているわ。ほんの2~3年前でさえ社会主義という言葉はまだ禁句という感じで…

もちろんアメリカにも常に社会主義者はいたのよ。しかしこれが主流のアイデアになったのはサンダースの選挙活動が本当に大きかったと思うわ。

そして彼は大学の授業料を無料にしたり国民皆保険制度、皆のための医療などの具体的な提案をしたの。彼はこれらは…こうしたアイデアは新しくもなく恐ろしく急進的なものではないと人々に自覚させた。

これは社会主義の発想が多くのアメリカの人々が支持するアイデアになったのよ」

「自由の国」に社会主義のうねり?

「労働者が団結して労働組合を作ったり…変化を起こすには人々を組織する必要があると理解しないといけない。労働者が団結すれば計り知れない力を発揮できるわ。私たちの炉王道が富を生み出しているんだから。」「トラック運転手たちが全員でストライキを起こしたら物流が止まり経済は崩壊するだろう」「それかアマゾンの倉庫で働く人たち…これは本当に解決策をあまりに単純化したものだけどみんなの力を結集しないといけない」

「私たちが民主主義の原則を維持することができれば破滅がやって来ることなんて心配することはない。それが本当の社会主義なんだと思う。」

「Uno(1) Dos(2) Tres(3) An Anti...Anti Capitalista(資本主義反対) Anti Vapitalista!!! 資本主義 反対!!!」

自由の国に響く社会主義を求める声 あの男はどんな想いで聴くのだろう

カール・マルクス:ドイツ生まれ(1818-1883)

ドイツ
ウルリケ・ヘルマン(経済ジャーナリスト、ドイツ):銀行員から日刊紙の経済記者に。現在の資本主義の欠陥を追究。近著『資本の世界史』

ウルリケ「資本主義はカール・マルクスが定めた定義なのよ。マルクスの理論には誤りが多かったけど正しい発言もした。彼はこう主張した。資本主義とは人がお金を商品に投資してより多くのお金を獲得することを目的としたシステムだ、とね。」

(産業革命の)あの時代、彼は分析した。(『資本論』1867年)。お金とモノ、交換されるだけではお金は増えない。でもお金が投じられ、モノがつくられ、より大きなお金をもたらせば…

買手が貨幣を手放すのはふたたび貨幣を手に入れようという「狡猾なもくろみ」のためである。だから貨幣は「支払われた」というよりも単に「前貸しされた」に過ぎない。

増やすことが目的の、お金、それが、資本。資本主義の始まり

ウルリケ
「産業革命がなぜ『イギリスで』なぜ『1760年に』起こったのかそのテーマには多く経済史の学者が取り組んでいるのよ。例えば9世紀の中六や古代ローマは非常に高度な発展を遂げており当時資本主義を導入していても不思議ではなかった。

なのになぜイギリスだったのか。それには20に及ぶ学説があるんだけど私が一番だ思う説は世界的な研究プロジェクトが発表した説で18世紀のイギリスがさmざまな偶然によって『世界一賃金が高い国であった』ことが原因だったとするものよ。

当時のイギリスは他のヨーロッパの2倍の賃金だったので良く知られているように繊維工業が競争力を失ったのよ。農業国だったイギリスでは繊維工業は唯一の輸出産業だった。

人件費が高騰していたからこそ機械化には大きな意味があったのよ。資本主義は高賃金によって活性化されるものでこれは現代でも当てはまるわ。」

高賃金が資本主義を駆動する

ウルリケ
「技術革新は常に大きな需要があって実現される。でも労働者が低賃金で購買力がなければ技術革新は機能しない。アメリカでは実質賃金の中央値が1975年以降伸び悩んでいる。インフレを考慮して計算すれば現在のアメリカ人の賃金は1975年と同程度なのよ。」

ずっと上がり続けた、人々の賃金。でも(アメリカの家計収入の推移は)ある時から止まった。

ウルリケ
「日本の状況も決して良くないわ。バブル崩壊以後実質賃金はほとんど上昇していない。ドイツでも2000年以降停滞している。いま過剰生産と売り上げの落ち込みが至る所で起きていてせっかく向上した生産性を活かしきれない状態が続いている。

そのため企業は投資に目をむけなくなったわ。これ以上の投資など必要なのか?というわけよね。その代わりに金融市場での投機が盛んになっている。

世界中で賃金が頭打ちになっている現状は資本主義にとってとても危険な状態よ。」

賃金↓ → 売上↓ → 企業の投資↓ → 賃金↓ →…

投機↑

それはなぜ?

ウルリケ
「1975年以降の世界各国の状況を見てみると労働組合が弱体化して政治的にも立場が弱まり、同時に人々の失業に対する恐怖が高まったことで仕事の確保を優先し賃金には目をつむる文化が形成されてしまった。これは社会全体にとって恐ろしく危険なことなのよ。

だから利益をすべて億万長者が独占するのではなく労働者も継続的に利益を受けて生産性と連動して賃金の上昇を実現しなければダメよ。」

持つ者だけが富を得る。産業革命の時代資本主義を批判したマルクス。マルクスはこう予言した。

「資本主義はその矛盾ゆえに滅びる」ーカール・マルクス

トマス・セドラチェク(経済学者、チェコ):CSOB銀行 チーフストラテジスト 大学在学中の24歳の時 初代大統領の経済アドバイザーに。近著『善と悪の経済学』

トマス
「マルクスの理論によればお金は労働者のところに行くべきだ。すごく単純化するならそういうことだ」

…しかし

トマス
「彼は労働者にはお金が行きようがないことに気がついた。なぜってもし僕が優しい資本家で労働者に高賃金を与えたら利益は減るよね。いずれ悪い資本家との競争に負けて僕は破産することになる。

僕が労働者に優しくすることで天国では報われるかもしれないけど結局は僕は良いビジネスマンではいられないということだ。

だからマルクスは主張した。人々が自発的に労働者により多くの賃金を与えるようになったら破産することになる、と。つまりこれは自発的に起こるはずがない。だから『革命を起こすしかない』。」

みんなに 冨を! みんなに 利潤を!

起こるべくして、革命が起こる。彼が想定したのは最も資本主義が進んだ国(イギリス)でのこと。でも実現したのは当時まだ貧しかった北の大地(ロシア)でのことだった。

社会主義国家の誕生

革命のリーダーたちが目指したのは人々の平等、でも…

トマス
「マルクスは『自分はマルクス主義者ではない』と言ったのはすごく有名だ。はたしてイエスが生きていたらキリスト教徒になっているか…僕はそう思わないね。ブッダは仏教徒になっているか、僕はそう思わないよ」

革命の現実はマルクスの理想と違った?

トマス
「まあとにかく僕は旧チェコスロバキア出身だ。マルクスの思想が実現されたところだ。そしてそれは忘れられない大失敗だった。これはまず言っておく必要があると思う」

人々が願った平等な社会は築かれなかった。革命からおよそ70年、社会主義の壮大な実験は終わった。それは束の間の悪い夢だったのか。それとも早すぎたユートピアだったのか。

# by wavesll | 2018-01-22 21:25 | 書評 | Trackback | Comments(0)

凍える夜は琉球奄美民謡でマリン・スノウを。

琉球奄美民謡選
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凍える一日を終えて帰ってきたら先ずはあったまりたい。島唄の方々の達人でありながら謙虚な姿勢、驕らない真っすぐな研鑽に心くゆらせて。どうかみなさんもぬくぬくとされてください。
# by wavesll | 2018-01-22 18:52 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

金沢健一 造形家が彫る音波の錬金

art Lover 芸術愛好家

Brian Labycz, Kenichi Kanazawa, Hiroyuki Ura at Nanahari


昨日ストリーミングされた東京都庭園美術館でのDOMMUNE「EXTREAM QUIET VILLAGE」の鳳を飾った金沢健一さんのパフォーマンスが鮮烈で。

金沢健一さんは現職は多摩美術大学非常勤講師、東北芸術工科大学非常勤講師、日本大学芸術学部非常勤講師で、主に鉄を素材にした幾何学的な作品を制作している。国立国際美術館、東京都現代美術館、板橋区立美術館など、美術館に作品を多数収蔵。87年より、鉄という素材と、その形、音をテーマにした作品『音のかけら』を制作。視覚、聴覚、触覚に関わる作品として発表しながら、様々なジャンルのアーティストとのコラボレーションや、人の身体性を追求するワークショップも精力的に行っている方。

この日のパフォーマンスでも鉄をスーパーボールの付いた撥で撫で、電子のような音を鳴らしながら鉄の上に撒かれた粉が幾何学な文様に収斂していくのが演ぜられていました。

物理の実験のようなインスタレーションでありエレクトロニカルな音像でありながら表現方式は究めてアコースティックというのが面白くて。現代における錬金術師を思わせるような、思索に富むArt Performanceでした。

# by wavesll | 2018-01-21 22:10 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

安室奈美恵 Past<Future を聴 小室期を越えるような邦洋融合の好盤

安室奈美恵 - Wild (dailymotion)


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本年で引退する安室奈美恵さん。私が彼女を最初に見たのは安室奈美恵とスーパーモンキーズとしてNTV夜もヒッパレ!に出ていた辺りでしょうか。時は小室プロデュース真っ盛り。

当時の自分にとって巨大すぎるTK Produceの歌手達へのまなざしは今でいう秋元グループのような一種敵視にも似た存在だったのですが、安室奈美恵さんには敵愾心を持つことは薄かったように想いだします。生来のスター性があるとはこういうことなのかもしれません。

そして時代が小室から宇多田や98年以降の世代へ移っていったとき、私自身はアルバムを聴くことはなかったのですが、安室さんの活動が音楽的にどんどん面白いことになっているとは良く伝え聞くようになりました。

ジブラ等と組んだSuite Chicに始まり、よりコアな音楽の魅力へ。けれどTV芸能から姿を引いた彼女の活動スタイルは「意識しなくても音を聞く状態になっている」をPOPの定義とすればPOPとしての存在感が薄くなりロック・リスナーな当時の自分には関わらないままゼロ年代が過ぎていきました。逆に小室楽曲を色眼鏡でみなくなると”素晴らしいじゃないか”なんて認めるようになったりした00-10年代でした。

ゼロ年代以降の彼女の活動スタイルは唯一無二というか、TVに出るわけでもYoutubeも完全にコントロールし、Spotifyを以てPRするわけでもない、されど絶対的なファン・ベースがありパフォーマンスが更新されていくという点で特異で、日本の音楽業界として最大期から生き残るプロフェッショナルな大物という風格があります。


『BEST FICTION』というex小室のベスト盤の次に出したこの自信に満ちたタイトル。いざ聞くと「これは…いい!」と。

恐らく自分の耳が邦楽中心から洋楽中心に変わったことでメロディーの抑揚がそこまでなくても聴けるようになったからというのもありますが、硬質で色恋沙汰が歌われるR&Bのエッセンスに、マーティの言うようにに未来的なエッセンスが鏤められてJ-POPとしてのメロや表現の美味しさと洋楽的なハードさが融合したサウンド、今の耳で聴いてかなり好きでした。

確かに英語の発音などはネイティヴ洋楽と比べると粗く感じたりするのですが、逆にそれが「J-POPさ」にも感ぜられて。洋楽を追いかける内にドヴァっと凄い粒子が発せられたような、音楽の新領域に届いた好盤に感じられました。

このアルバムが特異点なのか、それともまだまだ宝玉のように煌めく楽曲が眠っているのか。五輪のテーマソングだった「HERO」なんかは余り響かなかったので、全てが全て最高の盤に感じられるかは不明ですが、安室さんの最後の一年に、彼女の全貌を聴いていけたら、その中で綺羅星のような楽曲を見つけられたらと思います。本音言うとサマソニに出てくれるのを期待しちゃうけど◎

# by wavesll | 2018-01-21 16:40 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

三井記念美術館『国宝 雪松図と花鳥 美術館でバードウォッチング展』にて雪松図屏風・鳥類真写図巻・牡丹孔雀図剪綵衝立などをみる

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三井記念美術館『国宝 雪松図と花鳥 美術館でバードウォッチング展』に行ってきました。

開館とほぼ同時に入り、円山応挙≪雪松図屏風≫の展示室へ。しんと吸い込まれるような体験。遠目にはほわっと雪があふるる姿が近づくと尖端の線の筆遣いが劇画の様なインパクトがあって。エクスクルーシヴな時間でした。

最初に戻って展覧会をみると、まず展示前室にあった三井高福≪牡丹孔雀図剪綵衝立≫が素晴らしくて。 剪綵という表現方法、素晴らしい。三井家の人が盛り立てた技法、蒐集に留まらず創造行為を行うのが三井家の洒脱な處ですね。

本展はバードウォッチングがテーマということで鳥に纏わる品々が並んでいて。

≪孔雀卵香合 了々斎好≫や≪鶴卵香合 前後軒園中産≫、柴田是真≪稲菊蒔絵鶴卵盃≫といった卵を使った工芸品やモデル立ちのような鶴が描かれた円山応挙≪梅花鶴図小襖≫が好くて。三井高福≪梅花金鶏鳥図≫も華やかな美しさが熱を放っていました。

そして鳥のコレクションの中で白眉だったのが渡辺始興≪鳥類真写図巻≫!これが素晴らしくて。野鳥の描写図なのですが、その野帖さと確かな筆致が一編の絵巻のような趣きすらあって。非常に見応えがありました。

鳥以外だと河鍋暁斎≪花見の図≫が良かった。永樂和全≪扇面貼交風炉先屏風≫のエメラルドグリーンに黒の斑も中々でした。

そして改めて応挙≪雪松図屏風≫。少し離れたソファに座って眺めていると、”あぁ。左の松は山峰、右の松は滝を見立てているのかもしれない”と感じて。そしてぐっと近づくと屏風の立体性から松に奥行きが生まれ折の視座の面白さが感ぜられて。

松が遠くには山水図、近づくに松自身の存在感が露わになって。≪志野茶碗 銘卯花墻≫とも呼応する曙の金色に映えるWhiteの美しさが大寒のいいくゆりとなりました。

# by wavesll | 2018-01-20 13:02 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

東浩紀『観光客の哲学』感想:壊さないでネットワークを育むまなざしにふわふわした真摯さをみる

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漸く2度目の読了を終えました。

『観光客の哲学』という題名ですが、具体的な個別の観光の話をするのではなく、特定の共同体にのみ属する「村人」でもなく、どの共同体にも属さない「旅人」でもない「観光客」という像を以て「他者論」を行うという本書。

そしてその奥にあるテーマとしては「人として成熟したと認められるにはどう成ればいいのか」というもの。

ヘーゲルに於ける「国民となること」、そして国際社会の市民となることという個人→家族→国民→世界市民という流れではなく、観光客というふわっとした存在の「誤配」性を以て世界平和に寄与するという論旨。

『人間は人間が好きではない。人間は社会をつくりたくない。にもかかわらず人間は現実に社会をつくる。なぜか。』というルソーの解釈。或いは『現代社会における政治(ナショナリズム)=上半身と経済(グローバリズム)=下半身の二元統治の上でリベラリズムをリバタリアンやコミュニタリアンが越え、〈帝国〉にマルチチュードが反旗を翻す』といった現在までの思想史の論じ方は非常に面白く読めました。

特に面白かったのは第一部の終盤に論じられたネットワーク理論。「スモールワールド」と「スケールフリー」という「べき乗分布」の枠組みによってウェブページの被リンク数や年収の分布、都市の規模と数の関係、論文の引用頻度と点数の関係、戦争の規模と発生数の関係、書籍の部数と出版点数の関係、金融危機の規模と発生数の関係、地震の大きさと頻度の関係、大量絶滅に於ける絶滅種類と頻度の関係が説明可能だというくだり。

ネットワーク理論により、人間社会の構造をあたかも自然現象であるかのように説明する言説の可能性が久々に現れた知的興奮がそこにありました。

その一方で第二部で提示される”成熟のカタチ”として「不能の父親として嬰児に触れるように他者と交わる」というアティチュードは、結局のところ問題の先送りというか主体的なプレイヤーであることの放棄な気がしたのも事実でした。

ただ、それも含めて東氏のありのままの思想表明となっていたというのはひしひしと感じて。

多くの先行研究である思想史の解説、繋ぎ合わせが大半を占める構成は批評家がかける”編むことによる先端の更新”であると感じたし、その二次創作的な姿勢から”創造至上主義者”から大なり小なりの批判を受けた結果であろうエクスキューズの多さにしても、そして「親子」という解も借り物でない実体験から生まれてきていることも含めて、東氏の今出せる棚卸的な本音の著作と感じました。

本書に於ける不満は「結局”観光客”という存在は何の意義をもたらすのか」が具体的に語られないところだと思います。

観光客というのは結局のところその行動としては「傍観者」。けれど例えば私自身先日のネパール旅行で生のカトマンズにて思った以上に文化財が残存していることを体感してそれをTweet等で拡散したことから「ネットワークに”近道”を創る」ことを実践したかもしれないと思って。

観光客は直接的に旅先の政治状況を動かすことはなく、或いは郷里の状況を決定的に動かすこともないかもしれないけれども、ふわふわした眼差しのRootを繋げることで、蝶の羽搏きを惑星にもたらすことはあるかもしれないと想いました。それは”壊さないで、育む”親としての眼差しかもしれないと想ったときに、第二部の意図するところにわずかばかりの共感を持てた気がしました。

# by wavesll | 2018-01-19 21:00 | 書評 | Trackback | Comments(0)

代官山蔦屋書店の屏風絵

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# by wavesll | 2018-01-19 19:29 | 街角 | Trackback | Comments(0)

距離での格闘

Fleet Foxes - Crack Up (Full Album)


ネパールから帰ると郵便受けに年賀状が届いていて。

「今度飲みましょう」とメッセージが書かれた家族写真のハガキをみながら”また飲もう 言われて飲んだ ためし無し”と一句発して。けれどすぐに”然言う友は 宝なりけり”と続けて。

実際に会うわけではないけれども、”会いたいと想える”、そんな仲が”旧友”ということかもしれません。現在進行形とは異なるけれども、それも玉だと。

昨年末幼年期の終わりという文章を書いて。あぁいうものを書いてしまうこと自体が私が未だにコミュニケーションに大きく絡まっているという証で。近づきすぎると依存や諍いが発生してしまう恐れがあって。無用の衝突を避ける”適切な距離”を探して未だFootworkしている次第です。

例えば、前述の年賀状だとか、年1の忘年会だとか、あぁいうものにはどうにも形骸化した縁を想ってしまって。相手に興味関心があれば普段からそれなりにやり取りをするだろうと。

けれど、別の道を歩む中では普段からコミュニケーションを持つのはコストがかかりすぎてしまうかもしれないなとも現実的に共感出来ます。絶対的に時間がないし。

近況を知らせるにしても普通の人は”聴かれてないことをわざわざ伝える”ことはしないし、そういった意味で儀礼が良い切っ掛けと機能しているのだと理解できます。

渡世の中、私は未だ社会性の問題を解けていないと感じます。”相手の土俵にどこまで付き合うか”とか。或いは”先の先・後の先”とかの問題になって来るのかも。

"自分が話したいこと"があったとして”相手に聴きたいこと”があるか、それを知るためにも”相手が話したいこと”はあるか。冒頭の和歌に繋がってくる感じ。

そんなわけで明日からもまたぎこちなく”距離”と格闘していくことでしょう。

# by wavesll | 2018-01-18 21:08 | 私信 | Trackback | Comments(0)