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京博 国宝展にて龍光院の曜変天目を始めとする至宝をみる

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京都国立博物館へ開館120周年記念 特別展覧会 国宝をみに行ってきました。

7:30羽田発の飛行機で伊丹へ行き、そこから七条へ。11時頃京博に着きました。
チケット売り場は並んではいませんでしたが、事前にコンビニでチケットを購入しておいて。もぎりの処でオリジナルのチケットと取り換えてもらえるのでお薦めです。

中で20分程並んで入場。兎に角も凄い人!列は3Fへ行くエレベーターの列とのことでしたが、1Fからみることも可能とのこと。そして京都へ来た最大の目的のArtは1Fだったので、列から離れ1F奥へ。

それは龍光院の≪曜変天目≫。
銀河の様な青い輝きを放つ曜変天目は日本に現在3碗あると認められ私はその内藤田美術館の曜変天目と、静嘉文庫美術館の曜変天目はみていたのですが、龍光院の曜変天目は非公開で、今回の一般公開は実に17年ぶりという秘碗だったのです。

愈々宝物が眼前に。写真で見ていた分にはかなり地味な印象を受けていたのですが、生で観ると最初黒に真珠のような銀が入ってると思って。

そして上から覗き込むと曜変の靑虹の宇宙が。さらに4方からの覗き込む角度によっては中央に赤い煌めきがみえました。正に恒星を中心にした銀河の美しさ。創造していたよりも遥かに綺麗でした。

そこから階段で3階へ上がり順路通りに観ました。

まず初めは『書跡』。
≪伝教大師請来目録 最澄筆≫、≪弘法大師請来目録 最澄筆≫、≪聾瞽指帰 上巻 空海筆≫≪灌頂歴名 空海筆≫、≪金剛般若経開題残巻 空海筆≫。

最澄の最上に美麗で優美な文字に対して空海の筆致は気風のいい人格が伝わるような豪と崩しがある文字で。弘法大師の書跡を”三筆”と価値を見出したところに日本と言う国の感性を感じました。

そして次が『考古』。
≪深鉢形土器(火焔型土器)No.1≫。火焔型土器のデザインと機能展@國學院大學博物館以来の火焔型土器。本当にこんな独創的な器、太古の工芸の極み。改めて縄文土器は”縄”で出来ているのだと感じ入りました。

土偶達は東博・国宝展ぶりの再会でしたが、≪縄文のビーナス≫はどっかりした尻の迫力に、≪縄文の女神≫はローブの表現に、≪仮面の女神≫は腹と脚の存在感に目を奪われました。

中国・戦国時代の≪金銀錯狩猟文鏡≫の軍人や虎が描かれた金の美しさ、中国・漢時代の≪金彩鳥獣雲文銅盤≫の魔法陣のような美。この二つは細川護熙氏の所蔵とのこと。

≪荒神谷遺跡出土品≫は弥生時代の銅剣や銅鐸。同じく弥生時代の≪加茂岩倉遺跡出土品のうち銅鐸≫の流水の美。弥生時代≪桜ケ丘遺跡出土品のうち袈裟襷文銅鐸 4 号≫はよくみるとカマキリやトカゲが描写されていて面白い。

古墳時代の≪金銅透彫鞍金具≫の金と緑青の彩り。宗像大社の神宝館でも馬具が美しかったけれど本当に美事。≪宮地嶽古墳出土品≫も金と緑青、赤錆の美がありました。

飛鳥時代、≪崇福寺塔心礎納置品≫の銅の輝き。同じく飛鳥の≪金銅小野毛人墓誌≫は小野妹子の子どもにまつわる品。飛鳥≪金銅威奈大村骨蔵器≫は球形の骨壺。

そして平安時代≪山科西野山古墓出土品≫は坂上田村麻呂の太刀とされるものであったり、≪伝菅公遺品≫は菅原道真ゆかりの品だったり、平安時代≪金峯山経塚出土品≫は藤原道長の子孫の品と。教科書で観る名前がずらりと並んでいました。

そして2Fへ。まずは『仏画』。

≪釈迦金棺出現図≫は仏陀が涅槃の際に心配させないようにひょっと起きて説く様を描いた面白い場面の一品。白い後光が印象的でした。≪釈迦如来像(赤釈迦)≫は衣の文様が截金のようで印象的で。

≪普賢菩薩像≫は白象に乗った普賢菩薩のホワイト、青、緑が本当に調和した美しさがありました。≪千手観音像≫は髑髏なども手に持ちながら、怪しいものも含めて全部掬ってやるという魅力・迫力を感じる名画。≪山越阿弥陀図≫はブロッケン現象のように山の向こうに巨大な仏が顕れる画。

そして京都・知恩院≪阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)≫が流雲に乗ってやってくる仏を始めとした天界の使者たちの構図が強度のある美で。かぐや姫の物語のあのシーンを想わず想いました。

『六道と地獄』では2つの≪餓鬼草子≫が非常に印象的で。色欲、金銭欲、食欲、飽きなき貪欲さ、飢餓感に身を任せて欲するままに振る舞い、世を荒廃させる餓鬼。

餓鬼は英語ではHungry Ghostと表記されていましたが、飢えに支配されている彼らは貧じく、哀れで、最後には仏に救いを求めます。

荒れ狂う人は本当は哀しい存在で、本当に必要なのは地獄の業火でも忌避でもなく掬いなのではないか、そんな想いが去来しました。

そして『中世』
ここに本展覧会のもう一つの目玉、雪舟の国宝6点の展示がありました。
≪秋冬山水図 雪舟筆≫の次元を裂くようなアブストラクトな山水画の境地。これをみたかった!

≪破墨山水図 雪舟筆 雪舟自序・月翁周鏡等六僧賛≫の悠久に融けていくような山水、≪四季山水図巻(山水長巻) 雪舟筆≫の長編に及ぶ筆致、雪舟って幽玄なイメージがあったけれども、実際に生で観ると結構筆致がかくっと棒の連なりで創られているのですね。

≪天橋立図 雪舟筆≫の雄大な風景。絶筆となった≪山水図 雪舟筆 以参周省・了庵桂悟賛≫の水が滴るような巖。≪慧可断臂図 雪舟筆≫は笑うセールスマンのような緊張感のある時間が描かれていました。

『近世』では
≪楓図壁貼付 長谷川等伯筆≫の緑に朱が交じる秋草の一瞬が迫力をもって描かれておりました。また≪風神雷神図屏風 俵屋宗達筆≫はいつみても何度見てもいい。

そして≪風俗図屏風(彦根屏風)≫がとても良くて。江戸時代の人々のぽっとした惚れ心や、ちょっと悪い顔であったり憂いを秘めた顔であったり、人の機微、感情が良くとらえられた逸品でした。

そして『中国』。
≪夏景山水図 伝胡直夫筆≫が本当に素晴らしくて!正直、この国宝展の混雑が凄くて”美術みるってレベルじゃねーな”と人海の中で想っていたのですが此の絵はストレスを吹き飛ばしてくれました。

風が吹き抜け、高士が天然自然に高らかに向き合う山水画。風景の掛軸、絵画は広大な自然空間への窓となるイコンなのだなと感じ入りました。人間には、空間が必要です、それも突き抜ける広さの。

同じく南宋時代の≪秋景・冬景山水図 伝徽宗筆≫は緑がみえるような木々の擡げが≪松林図屏風≫にも通じる幽玄さをみせて。≪風雨山水図 伝馬遠筆≫も宙へ消えていく山水の緑美が。

≪禅機図断簡(丹霞焼仏図) 因陀羅筆 楚石梵琦賛≫≪禅機図断簡(智常禅師図) 因陀羅筆 楚石梵琦賛≫≪禅機図断簡(寒山拾得図) 因陀羅筆 楚石梵琦賛≫の禅問答の姿も面白く、≪帰牧図 附 牽牛 李迪筆≫の朴訥とした心温まる帰り路の光景も良かった。

そして元時代の≪飛青磁花入≫は鉄斑がどこからみても同じ具合に入るという、天然自然を技巧で練り上げた逸品でした。

そして1Fへ。
『彫刻』では、彫刻の国宝の8割が関西にあるとのことで仏像の豊かな美を心行くまで楽しめました。

法隆寺≪四天王立像のうち広目天立像≫は香川のような顔で、思弁に富んだ顔が素晴らしいものがありました。醍醐寺≪虚空蔵菩薩立像≫もどっかりとして耳を澄ます度量を持った顔で、≪薬師如来坐像≫のぷっくりと澄明な尊顔も素晴らしかった。

長谷寺≪銅板法華説相図≫は持統天皇ゆかりの品。アニメ的デザインと言うかかくっとした建築が面白い。薬師寺の≪八幡三神坐像のうち僧形八幡神坐像・神功皇后坐像≫も凄味がありました。

清涼寺の≪釈迦如来立像≫は木目が未来的。金剛寺≪大日如来坐像≫≪不動明王坐像 行快作≫はそのダイナミズムが物凄くて!光輪の金の炎、定朝様に鎌倉が入る恰幅の良さと逞しさが両立した存在感に”こりゃ大仏建立で世が救われるは”と思わされましたw

『染織』
中宮寺≪天寿国繡帳≫に飛鳥とアラビアの繋がりをみて。法隆寺≪四騎獅子狩文様錦≫にも中東の風合いを感じました。シルクロード世界のグローバルな流通が想起されます。

延暦寺≪七条刺納袈裟≫には靑の滲みが滋味深く、教王護国寺≪七条綴織袈裟(犍陀穀糸袈裟)≫糞掃衣の聖と汚が交叉する美を観ました。

『金工』
金剛寺≪剣 無銘 附 黒漆宝剣拵≫の両刃の真剛な剣。そして≪太刀 銘 備前国友成造≫が細身でいかにも刃の攻撃的な美を感ぜさせる閃きに惚れました。

厳島神社≪紺糸威鎧≫は平重盛のもの。胴の部分の布地が趣が良かった。

善通寺≪金銅錫杖頭≫の火炎宝珠の美しさ。禅林寺≪金銅蓮華文磬≫は楽器とのこと。どんな音がするのだろう?≪中尊寺金色堂堂内具のうち金銅華鬘≫の迦陵頻伽が平安な美がありました。

厳島神社≪金銅密教法具≫のカッコよさ。神照寺≪金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠≫は花弁を盛るための器、なんと優美な。仏教国の三国の美意識が感ぜられました。

そして『漆工』。
仁和寺≪宝相華迦陵頻伽蒔絵䆵冊子箱≫のシック且つ絢爛なバランス感覚。それに付随した≪宝相華蒔絵宝珠箱 附 四天王像板絵≫も楽しい。

永青文庫≪時雨螺鈿鞍≫は曲面に螺鈿細工を行う超絶技巧。虹の光が本当に美麗。

そして≪婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用)≫は家光の長女の嫁入り道具。素晴らしい蒔絵の技が凝らされていて。特に宇治香箱、古今香箱に雅な世界を感じました。

最後が≪琉球国王尚家関係資料のうち美御前御揃≫≪琉球国王尚家関係資料のうち装束、鳳凰蝙蝠宝尽青海立波文様袷衣裳と流水鍵菱繋文様衣裳≫。日本と言う国は多文化の国なのだなと。アイヌには国宝はないのかな?とも思いました。鮮やかな朱と黄が印象的でした。

京博国宝展。
今回みたのはII期で、全IV期。2014年の東博の国宝展ともそこまで被っていた印象もなく、国宝の層の重厚さを感じました。

思えば東博の国宝展で仏画に目覚めたのでした。京博の国宝展でも仏画、地獄絵、仏像の至宝が沁み入った。それに加え縄文の美、ヤマトの美、人格が顕れる書、雪舟、龍光院の曜変天目、飛鳥のアラビアの美etc。この国の美術の饗宴に時めいて。

“国宝たる質とは何か?”。それに対する一つの解は“歴史上の人物由来の美術”でした。今も昔もインフルエンサーの周りには選りすぐりの財が転がり込むものであり、さらに言えばその人の名が凄ければ付随する品も凄くなる。

そして、美が恒星のように煌々とさんざめくART達が国宝になっていて。時空を超えていく未来への遺産を、大切に繋げていきたい。その平和な営みに貴さを感じました。

また面白かったのが関西の人は美術をみながら良くしゃべるということ。それもあっけらかんと嫌みがないところがいい。ライヴなんかでも東京より関西の方が盛り上がると聴きます。がやがやしつつもツンツンしてない熱がこの地の人々にはあるのだなぁと感じ、西国の社会の快さを味わいました。

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by wavesll | 2017-10-18 06:55 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

レアンドロ・エルリッヒ≪窓と梯子ー歴史への傾斜≫ in 窓学展ー窓から見える世界

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Spiralにて。レアンドロ・エルリッヒは金沢21世紀美術館の≪スイミング・プール≫を創った人。
by wavesll | 2017-10-06 00:37 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

歌麿≪品川の月≫・≪吉原の花≫・≪深川の雪≫@岡田美術館, RockCorps, 異色肌ギャル#TOKYO道中

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強羅に。銀豆腐にてしゃくり豆腐。美味しい。
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箱根の朝。猫、緑茶。
この”箱根の森から”、甘くて美味くて。
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緑と白銀が入り交じった今の時季の仙石原も美しい。
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ここら辺のコンビニは焦茶で統一されていて。ローソンには第三新東京市コーナーもありました。
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そんなわけで朝一で箱根へ来た目的は岡田美術館で歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」―138年ぶりの夢の再会―をみるためでした。
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喜多川歌麿の肉筆浮世絵の「雪月花」三部作、すなわち≪深川の雪≫、≪品川の月≫、≪吉原の花≫は日本から散逸していたのですが、≪深川の雪≫が発見されたことで、米国の美術館とコラボレーションし、3幅を同時に視る機会がこうして設けられたのです。

この内≪品川の月≫は門外不出とのことで高精細の複製画でしたが、≪吉原の花≫と≪深川の雪≫は本物。超大作の肉筆浮世絵に目を見張りました。

異なる時期に描かれたこの≪品川の月≫、≪吉原の花≫、≪深川の雪≫の遊女達。歌麿自身の画法の成熟も相まってそれぞれ若芽のような “走り”、咲誇る全盛の“旬”、円熟の“名残り”の女性の美を放っているように感じて。

そして実は岡田美術館、特筆すべきなのはこの特別展だけでない通常展示の素晴らしさで!
岡田さんが自分で”欲しい”と想ったのではないかと想わされる、”惹き”を持った作品たち!

特に1Fの中国・朝鮮の焼き物のコーナーのスウィートスポットを突いてくる感じがSTAR WARSのようなビッグバジェットで真正面から突き抜けた感があって。今回初めて意識して金の王朝時の焼き物を観ましたが、カラフルでいいですね。

日本美術も素晴らしくて。尾形乾山≪色絵竜田川文透彫反鉢≫や、横山大観、菱田春草、伊藤若冲、鏑木清隆、川合玉堂、速水御舟etc…もう錚々たるビッグネームの連なり。

ベストアルバム的な食い応えの重さがあった焼き物コレクションに対して企画展には打角の広がりも感じて。5Fの涅槃図に至るまで美の饗宴が其処に。

美術館の外には足湯が。そこから大壁画、福井江太郎≪風・刻≫がみられました。この超弩級の私設美術館、ART趣味の極み、2800円の入場料だったけど、期待に十二分に応えてくれる展覧会でした。これは箱根まで来る価値ありました。

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田むら銀かつ亭にて豆腐かつ煮。豆腐カツがこんなに美味いとは!豆腐と肉そぼろがカツレツされていて。豆腐は朝の銀豆腐を使ってるとのこと。強羅店は行列だそうですが小田原駅ビル店はさっと入れました。
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帰宅するとBS-TBSにてRockCorpsというフェスが流れていました。4時間のボランティアをすることで参画するフェス。アーティストもボランティアに参加するのがいいなと想いました。

福島や東京でのボランティアをみて、社会参画のいい入り口として素晴らしい取り組みだと想ったのですが、"ROCK"とつくなら"いい子ちゃん"よりちょっとワルい魅力があってもいいかもなとも想って。

そこにFifth Harmonyというヴォーカル・グループが出てきて。物凄くセクシーで。このフィフスハーモニーもボランティアに参加して。いい、こういう格好いい色気があるSTARがボランティアに参加するのは素晴らしい。

そしてそこから六本木アートナイトへ。目当ては異色肌ギャル
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蜷川実花プロデュースの"TOKYO道中"で、暗闇に綺羅綺羅と光る異色肌ギャル達が『攻殻機動隊』のダークな現代民謡な響きの中で妖艶にそしてPOPに魅力をかぐわせ現代の花魁と化していました。異色肌ギャルをモチーフとした浮世絵をみてみたい、miyakoさん等は笹紅色ボディともいえるし。

Twitterでみてみると義足の花魁の方や、小人症の花魁の方もいらしたみたいで、もっとちゃんとみれる位置だったらなぁ。各々の個性が原色・蛍光色が輝きを放つステージとなっていたのですね。闇に明滅する彩りは生命の燈。

女性の美のPOWERを滝のように浴びた一日となりました。
by wavesll | 2017-10-01 02:08 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

運慶展で彩色の仏像に開眼す+東博常設展・マジカルアジア展

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特別展「運慶」@東京国立博物館へ行ってきました。

運慶や父の康慶、息子の湛慶を初めとした慶派の作品展示。運慶の仏像の表情のなんと訴えかけてくることか。繊細な表現は特に小品に素晴らしいものがありました。

また父の康慶の豪壮さがまた絶品で。そして慶派の作品は極彩でも凄い!今まで色付きの仏像でいいと思ったのは少なかったのですが運慶・湛慶の≪聖観音菩薩立像≫(愛知・瀧山寺)や京都・海住山寺の≪四天王立像≫の素晴らしさには色彩仏像の感性が開かれました。

運慶・快慶というけれども、快慶展@奈良博&法隆寺大宝蔵院で観仏記 + Extra Tracksでみた快慶の作品と運慶の作品はかなり異なっていて。快慶の方が筋骨隆々としたダイナミズムと優美があり、運慶は端正で剛健。ここら辺ミケランジェロとダ・ヴィンチのような対比がありました。

会場に入ると先ず現れるのが運慶のデビュー作、奈良・円成寺≪大日如来坐像≫。丸みを帯びた顔やしっとりした体つきが印象的でした。

次の部屋にあった奈良・長岳寺≪阿弥陀如来および両脇侍坐像≫のしなやかな脚。そして≪毘沙門天立像≫(奈良・中川寺十輪院由来)の截金が美しくて。

そして次の間では早くもハイライトの一つ、康慶による奈良・興福寺≪四天王立像≫。これが凄かった!勇壮な武将天達の凄みを帯びた巨躯に目を見張りました。そしてその手前の同じく興福寺の康慶≪法相六祖坐像≫の表情の妙、侘び寂びの美がありました。

運慶≪毘沙門天立像≫(静岡・願成就院)は玉眼による実直な顔つきで。ドカベン的に安心できるフォルム。運慶≪不動明王立像≫(神奈川・浄楽寺)の木の肌の艶。運慶≪毘沙門天立像≫(神奈川・浄楽寺)は中国風のゴツい顔がコンパクトに締まって纏まってました。

そして本展の一つのピークが運慶≪八大童子立像≫(和歌山・金剛峯寺)!表情豊かな童の像X8!!!!
運慶は小品が殊に素晴らしい印象。本当に魅力的な表情をさせるのが上手い!ぷっくらした童子達の顔が可愛い。特に恵光童子と矜羯羅童子が好きでした。

そして奈良・興福寺の≪四天王立像≫はまるで巖のような荘厳さ。厳しい目と体躯の硬質さはギリシア彫刻の様。また運慶による≪無著菩薩立像 世親菩薩立像≫(奈良・興福寺)は人の悟りの先にある悲しみへの眼差しというか、泣いているような玉眼がとても印象的でした。

また東京・真如苑真澄寺≪大日如来坐像≫の心安まる金色と運慶≪地蔵菩薩坐像≫(京都・六波羅蜜寺)のたおやかな黒の対比も良かった。

その次のスペースにあった運慶・湛慶による≪聖観音菩薩立像≫(愛知・瀧山寺)はこの展覧会の中でも特筆すべきインパクトで。

源頼朝の三回忌でつくられた本立像は、白い肌に色彩豊かな衣をまとった菩薩像で、頼朝と同じ身長で、内部には頼朝の歯が収められているとか。彩色は明治時代に塗りなおされたそうです。言われてみると確かに明治的な感性を感じました。色味のある仏像でこんなにしっくりくるのが今までなくて。素晴らしい仏像でした。

京都・清水寺の≪観音菩薩立像 勢至菩薩立像≫のしなやかなボディー、京都・東福寺の≪多聞天立像≫は青い冠が綺麗でした。

そしてこの展覧会随一に心を打ったのが、康慶の四天王像を受けて作られた、≪四天王立像≫(京都・海住山寺)。数十センチの仏像で、最密な彩を為されていて。極彩と風化で木がみえるバランスが最高に格好良くて。もしこのクローン・フィギアがあったら4点セットで10万でも欲しくなっちゃいそうな出来でした。

そしてその後運慶の息子たちの作品が並んで。特に三男・康弁がつくった≪龍燈鬼立像≫(奈良・興福寺)がユーモラスにイイ顔をした鬼が良かった◎鬼たち、四天王に踏まれてばっかりだったからw同時に展示してあった≪天燈鬼立像≫(奈良・興福寺)もいい顔&いいケツしてましたw

そして最後に展示されていたのは≪十二神将≫(京都・浄瑠璃寺伝来)。十二支の干支の神将が全部一度に揃うのは42年ぶりだとか。子神、丑神、巳神、午神、申神、酉神、亥神が好きでした。

その後本館の常設展をみたのですが、湛慶による三十三間堂の千手観音菩薩立像や、運慶の孫・康円による愛染明王坐像などの作品が見れたので、運慶展に行かれた方は是非本館もチェックされてみてください。

そして刀剣ブームで水龍剣や三日月宗近には行列が。刀剣女子を始めて生でみました。

本館をみたあと東洋館へ。今「マジカル・アジア」という展示を行っていて。
通常の展示の中に特別なキャプションのついた「マジカル・アジア」モノがあるという展示構成。

エジプトのコーナーにはミイラや木乃伊を巻いた布、死者の書が展示してあったり、中国コーナーではウルトラアイみたいなアスターナ・カラホージャ古墳群の≪アイマスク≫やキルラキルLIKEなフォントの≪隷書六言詩横披≫があったりして中々面白くて。
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見逃せないのが地下一階の東南アジアフロアにあった異形な神仏像。

SDガンダムのガチャのような≪チャクラサンヴァラ父母仏立像≫
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ビックリマン的、モンスト的な3頭身の≪ヴァジュラバイラヴァ父母仏立像≫。
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≪八臂十一面観音菩薩立像≫、ラスボス感ある。
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最後は本館にあった可愛い奴、石川光明≪野猪≫。
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特別展「運慶」、本館常設展、そして東洋館のマジカル・アジアとじっくりみて、なんと4時間も眺めてしまいました。東博は一日楽しめるヴォリュームでほんと嬉しい。フードトラックなんかももっと入れてくれたらほんと8時間位いそうですw
by wavesll | 2017-09-29 00:02 | 展覧会 | Trackback | Comments(2)

ベルギー奇想の系譜 @Bunkamura 15世紀から21世紀まで連綿と続くコラージュの幻視

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ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまでをBunkamura ザ・ミュージアムで観てきました。

"ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝ーボスを超えてー@都美をみているからあまり衝撃はないかな"と想っていたのですが、ボス、ブリューゲルだけでなく21世紀までのベルギーの美術が展開する、新領域を深堀する展覧会でした。

まず最初に展示されるヤン・ファーブル≪フランダースの戦士(絶望の戦士)≫からして1996年の作品。玉虫厨子の在りし日の姿のように昆虫の虹色に覆われた作品のフレッシュさにインパクトを食らいました。

そこからヒエロニムス・ボスに影響を受けた作品たちへ。白い怪物がぞわっとくるヒエロニムス・ボス派の≪聖クリストフォロス≫、同じ題材のヤン・マンデイン≪聖クリストフォロス≫は近代的コンクリート感のある作品。またヤン・マンデイン≪パノラマ風景の中の聖アントニウスの誘惑≫はペストの仮面が、ヘリ・メット・ド・ブレス≪ソドムの火災、ロトとその娘たち≫はボス風の卵型の建物が印象的でした。

そして愈々本展覧会の目玉、ヒエロニムス・ボス工房≪トゥヌグダルスの幻視≫

ボスに影響を受けた画家の絵画は、確かに奇妙なもので溢れかえって複雑怪奇にみえるのだけれども、この≪トゥヌグダルスの幻視≫は"七つの大罪"の要素を配置しながら全体としてはすっきりとした構図がシンプルに明瞭で。その頭抜けたコラージュ・センスに感銘が起きました。

さて、そこからのパートはヒエロニムス・ボスの模倣者の作品やピーテル・ブリューゲル(父)による「七つの大罪」シリーズと「七つの徳目」シリーズが続き、バベルの塔展と被るところがありましたが、「七つの~」シリーズはバベル展より拡充した点目でした。

そして、15世紀16世紀で終わらないところがこの展覧会のもう一つの山で。

ペーテル・パウル・ルーベンス(原画)リュカス・フォルステルマン(父)(彫版・刷)≪悪魔たちから貶められ、妻から苛まれるヨブ≫の鬼面、同≪反逆天使と戦う大天使聖ミカエル≫の『BASTARD!!』感。

またペーテル・パウル・ルーベンス(原画)スヘルテ・アダムスゾーン・ボルスウェールト(彫版)≪ライオン狩り≫レオナルド・ダ・ヴィンチ『アンギアーリの戦い』をも超える戦闘画!

ペーテル・パウル・ルーベンス(原画)ピーテル・クラースゾーン・サウトマン(彫版・発行)≪カバとワニ狩り≫のトロピカル・エキゾ感も素晴らしく、ルーベンスの絵画群はこの展覧会のハイライトの一つでした。

そしてフェリシアン・ロップス(原画)アルベール・ベルトラン(彫版)≪娼婦政治家≫もハイライトの一つ。欲望を顕わす娼婦と豚が学術・芸術を踏みつけるデザイン。ピンクでなくスカイブルーなのが凡作でない点だと感じました。フェリシアン・クロップスは着物の様な衣で踊る骸骨の≪舞踏会の死神≫も印象的でした。

19世紀の作品だと消え入るような美が描かれたフェルナン・クノップフ≪もう、けっして≫も素晴らしかったし、彩色写真作品であるフェルナン・クノップフ≪蒼い翼≫と≪アラム百合≫もコラージュな感性を感じて。

ジャン・デルヴィル≪レテ河の水を飲むダンテ≫に描かれる忘却の輝かしさと、同≪ステュムパーリデスの鳥≫の土埃と黒の対比も印象的でした。

ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンク≪運河≫の、赤錆び窓が割れている工場?の前を流れる川と等間隔に立つ木々の侘しい風景が沁み、ヴァレリウス・ド・サードレール≪フランドルの雪≫ブリューゲル(父)≪雪中の狩人≫に比肩する上質で落ち着いた静謐な質感の絵画でした。

また面白い画家だったのがジェームズ・アンソール。彼の絵画は暗い情念が込められてるのにユーモラスで明るい色彩なのが面白い。燃えるような、でもどこか滑稽さのある≪愛の園≫。ユーモラスな醜さのある≪ソフィー・ヨテコと話すルソー夫妻≫。明るい色彩とテーマの意外さが印象的な≪キリストの誘惑≫。あふれ出る自意識が爆発している≪オルガンに向かうアンソール≫。そしてエッチングの≪天使と大天使を鞭打つ悪魔たち≫はユーモラスな百鬼夜行といった趣でした。

そして遂に奇想の系譜は20世紀へ。
ポール・デルヴォー≪スケッチブック「赤い帽子の裸婦」≫のきれいさ。デルヴォーの女性画では骸骨と同じポーズをする≪女性と骸骨≫もコンクリートな歪みのある近代絵画で印象的でした。

そしてルネ・マグリット。≪大家族≫の荒天に青空が鳥形に抜かれるこのマグリットの代表作は20世紀ならではのファンタジックな絵画に感じました。≪マグリットの孤児たち≫よりIX、≪マグリットの孤児たち≫よりXIのコラージュ感。≪9月16日≫≪オールメイヤーの阿房宮≫の幻想。

この奇想の系譜を一つ貫くのはコラージュの感覚だと思います。コラージュというのは異なるものが組み合わされる、違和感と調和のせめぎ合いのアートスタイル。”奇想”の怪物的でファンタジックな芸術を行うには、現実と非現実を融合するコラージュの感覚が顕れるのだと感じます。

そしてマルセル・マリエン≪神秘の国ベルギー≫はまさしくコラージュ作品。森の中に魚が浮かび、青林檎に突き刺さる。マルセル・マリエンの単眼のメガネ作品≪見つからないもの≫も面白かった。

そしてリュック・タイマンス≪磔刑図≫の白輝にはちょっと吉岡徳仁 / スペクトル at 資生堂ギャラリーを想起しました。

この展覧会もフィナーレ、21世紀のベルギーが辿り着いた奇想は立体物が多くありました。
レオ・コーベルス≪ティンパニー≫は筆を咥えた画家?の骸骨がティンパニーに落下して音を鳴らす作品。死後も作品があり続けることの隠喩かもしれません。

ウィム・デルヴォワ≪プレッツェル≫は磔刑になったキリストがよじられ繋げられメビウスの輪のようになっている作品。キリストが永続的に苦悩を負い続けてくれることのメタファーでしょうか。

パナ・マレンコ≪スコッチ・ギャンビット原型≫は謎の水空両用船。頭が強大化しすぎて首からぐがんと曲がったトマス・ルルイ≪生き残るには脳が足らない≫も面白いし、金にひずむ髑髏に黒犬のトマス・ルルイ≪無限≫も魅力的でした。

ミヒャエル・ボレマンス≪The Trees≫は何の演技もない表情の絵画。奇想の中にあると、寧ろその閑けさが引き立ちます。そしてよく見ると手に持つ本が本でなく白い板物体だという。

冒頭にも作品があったヤン・ファーブルの≪第14章≫と≪第16章≫の金ぴかのイケイケ親爺の像に消費社会の栄華と虚栄を感じて、展示室を抜けました。

この展覧会、ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝ーボスを超えてーをみていても価値あるし、さらに面白く感じれると想いました。また展覧会のヴォリュームが”もうちょいみたい”ってくらいの丁度良さで、仕事帰りなんかにサクっとみてもいいと思います。来週日曜9.24まで。


cf.
奇想天外なベルギー美術500年の旅へと誘う、『ベルギー奇想の系譜』展速報レポ!(Vogue)

by wavesll | 2017-09-15 21:25 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

H・R・ギーガー展 at タワーレコード渋谷

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渋谷タワーレコード8階に『エイリアン』のデザインで知られるH・R・ギーガーのポスター&アート展を観に行きました。

彼の描くバイオメカニクスというスタイルは、AIというより、ミケランジェロの大理石の彫刻や初期巨大コンピューターのような物理的な存在感があって。電子化される前の”システム”を太古からの人の視覚認識で描いた、その姿に想えました。

その環境的というか、建築的な構築として顕わされながらもタナトスとエロスあふれる表現は、ミューズであるリーさんの存在を核としながら、元々家具デザインに関わっていたギーガーならではの意識が色濃く表れていると想いました。

バイオメカニクスのアートスタイルは電子化し幽体として置き換わる以前の”機械”としての”生命”であったり”環境”に於いて萩原一至や冨樫の描く異界のインスピレーションにも通じる魅力があって。

機械生命のハードな世界観の核に一人の女性のたおやかさと凶暴さがあるのが印象的であると共に、物理的機構描写は電子化され不可視化された環境の真実の姿を白日に曝した感覚もありました。

この展示のヴォリュームだと800円はちょっと割高、いいとこ550円ではないかという印象もありましたが先着限定のポストカードも貰えたし満足。なんとH・R・ギーガー直筆のサインが入った作品やポスターの18点は販売されてます。かなり高額ですが(笑)

展覧会にはスイスにあるギーガー・ミュージアムの写真たちも。この空間、禍々しくて凄かった。一度馳せ参じたいと思わされました。

展覧会は10月1日迄。最終入場は20:30とのことでした。

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by wavesll | 2017-09-12 05:14 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

アルチンボルド展@国立西洋美術館 "寄せ絵"のアイディアだけでない、極上の画の技量

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アルチンボルド展に行ってきました!素晴らしかった◎

ジュゼッペ・アルチンボルド。ミラノ出身で神聖ローマ皇帝のハプスブルグ家3代に仕えた宮廷画家である彼の"寄せ絵"のヴィジュアルはあまりにも有名で、私はアイディアの人かと思っていたのですが、直にみる絵からびんびんとアウラを感じて。デッサン力、そして質感の描写の卓越さに驚きました。

先ず展示室に入るとすぐにある≪四季≫が素晴らしくて。木のこげ茶の土台に、赤い林檎、黄緑のマスカット、緑の葉、黄色い麦…鮮やかな色彩がインテグレートされ、美しいフォルムとなっていて。魅了されました。

≪自画像≫の端正な壮年の表情、そして≪紙の自画像(紙の男)≫というユーモラスな表現も楽しくて。ベルナルディーノ・ルイーニ ≪ビアージョ・アルチンボルド≫の親父さんとジュゼッペは似てました。

アルチンボルドはレオナルド・ダ・ヴィンチとほぼ同時代、入れ替わりくらいの時代の人で。アルチンボルドもかなり人体の構造やデッサンの技術を鍛えたそうです。展覧会ではダ・ヴィンチの≪植物の習作(表:ミクリ 裏:ホソバヒメガマ)≫や≪鼻のつぶれた禿頭の太った男の横顔≫なんかも展示してありました。

アルチンボルドが仕えたマクシミリアン2世などのハプスブルグ家の人々の肖像画の後にはオッターヴィオ・ミゼローニ、ディオニシオ・ミゼローニ ≪玉髄製の蓋付きの鉢≫やオッターヴィオ・ミゼローニ、HCのマイスター ≪大きな貝形の鉢≫・≪ネプトゥヌスをともなう巻貝形の鉢≫・≪碧玉製の貝形の鉢≫、そして作り手不肖の≪水晶製の平皿≫が展示されていて宮廷の栄華を想わせました。ちょっとインペリアル・エッグを想ったり。

また宮廷でのアルチンボルドのアート・ディレクションも展示してありました。ルドルフ2世に献じられた馬上試合の装飾デザイン集は、まるでRPGの設定本を眺めるような面白味がありました。

さて、そして次の空間がこの展覧会のクライマックス、≪春≫≪夏≫≪秋≫≪冬≫≪大気≫≪火≫≪大地≫≪水≫の部屋。この絵画達のクオリティが凄まじく群を抜いていて!

アイディア、デザインが優れているのは勿論、質感描写が本当に卓越していて!≪水≫の水生生物のぬめるような質感、≪春≫の花弁の質感、≪大地≫の動物の毛並みの質感、≪冬≫の木の幹の質感、≪夏≫の野菜の溌溂さ…マグニフィコ!!!!!

また面白いのが制作年が春夏秋冬の通りでなく、≪春≫と≪冬≫が1563年、≪夏≫と≪秋≫が1572年に描かれたこと。そして≪大地≫と≪水≫は1566年の作品で、その制作の流れも興味深かったです。

この展示室の後に大きく拡大複写された8枚が並んで展示されていたのですが、もう全然質感が違って。この絵画たちは生でみた価値を大変に感じました。この技量に裏打ちされて寄せ絵という発想が飛翔したのだなと。

他の画家の寄せ絵のコーナーもあったのですが、それをみることで如何にアルチンボルドの筆が見事か、質感描写・デッサン力が凄いかが照らし出されていました。

この時期は博物学的な画が流行りだったそうです。作者不詳 ≪アンコウ≫の化け物感やヤーコボ・リゴッツィ ≪タイ科の魚≫の色味、作者不詳 ≪椰子の実形のゴブレット≫、参考作品のヴェンセスラウス・ホラー ≪蝶々とさまざまな昆虫≫の連作なんかいいなと想いました。

さて、博物学的美意識と、人権を考えさせられたのが多毛症で見世物にされた一族が描かれた絵画のコーナー。アゴスティーノ・カラッチ ≪多毛のアッリーゴ、狂ったピエトロと小さなアモン≫南ドイツの画家 ≪エンリコ・ゴンザレス、多毛のペドロ・ゴンザレスの息子≫には胸の痛みも感じた一方で、サヴァイヴしたことに強さも感じました。

またこの時期は職業絵とカリカチュアの誕生があり、単に端正な人物画でなく、その人間の本質を描き出すムーヴメントが起きました。人物の本質を寧ろ寄せ絵の比喩で顕わしたという点でジュゼッペ・アルチンボルドの≪ソムリエ(ウェイター)≫≪司書≫≪法律家≫は興味深かった。

またアルチンボルドの寄せ絵は人物画と静物画のフュージョンとも捉えられます。上下さかさまに見ると捉えられる意味が変わる≪庭師/野菜≫≪コック/肉≫は展示の最後に彩を与えていました。

そしてこの展覧会のお楽しみが展示室に入る前にあるフォトコーナー。顔認識で、ヴィジョンの前に立った人を野菜の寄せ絵で顔をつくってくれるというシステムw私もやってみましたw
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さて、私的にお薦めの観方は一周観た後に半券で再入場し、野菜顔フォトをとって、最後に展示の初っ端の≪四季≫をみること。実は≪四季≫は1590頃という最晩年の作品。アルチンボルドが辿り着いた瑞々しさに心打たれて、展覧会を後にしました。
by wavesll | 2017-09-11 06:51 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

藝祭2017Photographs

藝祭2017へ行ってきました。超ヴォリュームの展示から抜き出した写真たちをお楽しみください◎

髙橋瑞稀 ≪夢の残滓≫
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只野彩佳 ≪グレープシャーベット盆地の夏≫
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齋藤巧美 ≪神話の救済≫
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山内望起子 ≪Life And Death≫
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井元紗奈恵 ≪感情移入≫
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大小田万侑子 ≪天香具山紋様≫
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大小田万侑子 ≪天鈿女と春の宴会文様≫
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倉科尚明 ≪止まる男≫
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香取輝 ≪狙う≫
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溝口さつき ≪床をたつ≫
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白井雪音 ≪空喜び≫
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金森七海 ≪星に願う(布)≫ 青木夏海 ≪星と祈りの服≫
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木村和史 ≪旋≫
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李菲菲 ≪瓦の記憶≫
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那須佐和子 ≪僕の歌を罵声に変えたい≫
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真島柊 ≪アボカド1/2(新鮮即ち死死んで間もない)≫
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宮腰衛 ≪黄色い樹木≫ ≪升鬼≫
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大橋いくみ ≪MAKE #6≫
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矢野佑貴 ≪潮騒≫
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齋藤詩織 ≪暴走族感謝祭≫
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武藤紗緒里 ≪かげ≫
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岡路貴理 ≪雪解け≫
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北野沙羅 ≪窓辺≫
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冨永明義 ≪歩き疲れた≫
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山崎優姫 ≪無題≫
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澤田燈 ≪遠く慮る≫
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砂長正宗 ≪灯台と小さな光≫
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水島篤 ≪盲亀の気まぐれ≫
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恵羅由紀 ≪木≫
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君塚みふゆ ≪広がる≫
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中條亜耶 ≪Lurk≫
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木南玲 ≪しぼうのかたまり≫
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柴谷真理絵 ≪dear≫
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齋藤愛未 ≪色なき風≫
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細渕すみれ ≪沈む≫
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佐久間仁 ≪あのひ≫
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村田茜 ≪窓辺の像≫
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古川倫太郎 ≪榎に花≫
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山崎結以 ≪プランテーション≫
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曽根美咲 ≪ゲレザ≫
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星野明日香 ≪untitled≫
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横山由起 ≪♀♀♀≫
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大澤志乃 ≪アカイハナ-cactus-≫
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中村光美 ≪come beside≫
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堀江瑠奈 ≪石の花≫
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原口久典
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山縣瑠衣 ≪Symbol≫
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吉田樹保 ≪盗み聴き ~春 コンソレーション第3番 フランツ・リスト≫
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山田和樹 ≪「罪」≫
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奥山鼓太郎 ≪めもりー1≫
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大友秀眞 ≪顔力≫
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野澤梓
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大澤晴美 ≪神様のいうとおりー天使が見てるー≫ ≪神様のいうとおりーカップルー≫
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原田楓居 ≪sculpture works≫
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岩崎拓也 ≪寅、二匹≫
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島田萌 ≪AFTER HOURS≫
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石井陽菜 ≪Scene I≫
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石井陽菜 ≪Scene II≫
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石井陽菜 ≪Scene III≫
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吉澤有香 ≪天蓋のドローイングI・II・III≫
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羽藤ゆうゆ ≪mantis≫
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Kei Idetsuki ≪sparking≫
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内村覚 ≪犬≫
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髙木彩佳 ≪保身≫
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竹山美紀 ≪そのとき、≫
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中風森滋 ≪光合成の事≫
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本多桃佳 ≪宙≫
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都築拓摩 ≪手作りの運動会~組体操と積乱雲~≫
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多田恋一朗 ≪赤い夜のBEAT≫
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川田龍 ≪真折鬘≫
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坂本周 ≪まるまる≫
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森泉春乃 ≪となりの人≫
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ジョニー ≪マナガーム≫
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阪田里都子 ≪もっと一緒に≫
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阪田里都子 ≪ひとつずつ≫
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阪田里都子 ≪よくみて≫
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ユウキユキ ≪三貴子ーユキテラス大御神ー≫
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新井毬子 ≪あら、立派になったのね≫
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野田怜眞 ≪円≫
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仲鉢聖波 ≪hot dog≫
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岡田守弘 ≪鳳凰≫
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上野泰武 ≪無題≫
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小林茉莉 ≪シルバーカップ≫
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宇都宮龍
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岡崎龍之祐 ≪Favor Fiber Dress≫
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木下裕司 ≪わがままPET≫
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門脇康平
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Yuma Matsumoto
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井東ひかり ≪花器≫
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隆アリア ≪GeoCharm≫
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高田潤 ≪eagle≫
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石川真悠 ≪旅≫
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佐藤果林 ≪Blue shade≫
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實滿瑛梨伽 ≪アンカー≫
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金原由美 ≪布の固定A・B≫
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河野鉱幸 ≪色欲≫
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島方晧平 ≪かれはとてもめだつ≫
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呉聆雪 ≪銀河≫
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スクリプカリウ落合安奈 ≪One≫
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岡ともみさんには公衆電話と電話ボックスの制作話やZEN-NOKANのWebサイトの話を聴かせていただけました。光の反射の話が興味深かった◎
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最後にもう一度、イチケン展でも素晴らしかった髙橋さんの≪夢の残滓≫がみたくて絵画棟の4F405へ再度行きました。

そうすると高橋さんが在廊されていて。作品について色々と会話出来ました。
この絵画、墨の黒と精霊のような青が印象的ですが、当初は墨の下にある台湾の寺が薄紫に描かれていたそうです。

そこから紆余曲折と極限までの追い込みを経て、一旦完成した絵に墨とエポキシ樹脂を乗せてブレイクスルーを果たして。

中央のカバラの生命の樹のような青いアウラは、台湾の寺のデザインをフォトショップで加工して絵画に描いたとのこと。その他に右下の墨の下から香港の夜景が滲んだりとか見どころを教えていただいて。

闇の奥に虹色が透けて輝くのが何とも魅力的で、とても好きな画でした。藝祭は来るたびに刺激を与えて呉れ、さらに大好きなトポスとなりました。

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by wavesll | 2017-09-10 00:49 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

池田学 ≪誕生≫ at ミズマアートギャラリー

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ミズマアートギャラリーに池田学の展示を観に行きました。

屋久杉のように逞しく成長する花樹。根元には波濤が押し寄せ、街の残骸がその木肌に絡まっています。破壊された街の欠片には48という看板や、アンコール・トムのような大仏頭なども。

登山のように巨木を歩む人々の姿も確認でき、咲き誇る華花に鳥たちは飛翔し、枝にかかるオーロラ?には魚が泳いで。しかし動物は全て白で描かれ、無機物と植物のみ色を持つ。

その可憐であると共に巨魁なうつくしさは、幽体が大樹の世界で遊ぶように見えて。解説を読むと、やはり311がきっかけとなって画かれた絵画だそうです。

カタストロフィの後でも地球はあり続ける。そして、それはあまりに美しい。そんな光の景色が顕れていました。

市ヶ谷・ミズマアートギャラリーでの展示は9日まで。そして9/27~10/9まで日本橋高島屋での展示は佐賀や金沢と同じく100点超の展覧会となるそうです。

cf.
池田学が明かす、桁外れな緻密さと圧倒的スケールで描く制作の裏側(CINRA.NET)

by wavesll | 2017-09-07 20:11 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

生誕140年 吉田博展@東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 前期に続き後期も行ってきた!

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吉田博展@東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 日本人にしか描けない洋画、その探究からほぼ一ヶ月、最終日前日に行って参りました後期展示。入場列が出来てましたが会場内はそこまで混雑してなくて幸いでした◎

≪画材と鉢≫の確かな質感描写、≪東大谷の横道≫の色褪せた旧い写真のような質感、≪鶏のいる風景≫には写真をアプリで線画したようなデッサン力、≪中神≫の鉛筆での濃淡表現に舌を巻きました。

≪武州飯能町、入間川辺≫の水車の木の描写、≪御岳、奥の院≫には仙境へ入る心持を感じました。また≪招魂社附近≫の儚さ、≪養沢、西の橋≫の風景に人が溶け込んでいる様も見事で。そして≪日光≫はこの後期展示のハイライトにもなるような、人物配置の構図の美事さに感銘を受けました。

人物像でいうと和装の人物画が良くて。≪少女≫≪鳩と少女≫の、ぷっくりとしてリアルな日本少女の姿や≪汐干狩り≫の銚子の浜の人々がまた味わい深くて。

≪雨の中の子守≫の雨になずむ姿、鯉のぼりがアクセントとして効いた≪富士山麓の村≫、≪吉野≫の夕薄桃、幻想的な≪土手の桜≫、≪日暮里≫なんかには”100年前はこんな光景なのか”と。

≪雨上がりの少年のいる風景≫と≪昨夜の雨≫には侘しさ、寂しさのなかの立ち姿の美をみました。

≪雪かき≫の雪・つららの質感表現、≪朝≫のBon Iverのような聖なる綺麗さ。

一方で80sのような明るさの≪フロリダの熱帯植物園≫や≪ロイヤル・ポインシアナ・ホテル≫の端正なホテルというような引き出しの多様さ。≪ステンドグラスの窓≫はルオーのような筆致だし、流石すぎる。

≪檜原下川のつなさんの馬≫の古い写真を彩色したような描写、≪血の池(別府)≫のようなモチーフの作品も。

≪富士登山図≫の神域へ昇る感じや、版画の素となる水墨画としての≪帆船≫、≪登山口(宿場の馬)≫の掛け軸3幅も良かった。

さて、後期展示では66点が入れ替わっていて、新たな息吹が吹き込まれていたのですが、前期と共通する作品たちも新たな魅力を感じて。特に朝・夕・夜など光の移り変わりによって同じ版木で刷られた作品群の、特に”夜”の鈍靑色の魅力に気付いた二度目の鑑賞となりました。

≪帆船 朝日 渡邊版≫≪帆船 日中 渡邊版≫≪帆船 夕日 渡邊版≫という三景は後に≪帆船 朝 瀬戸内海集≫≪帆船 午前 瀬戸内海集≫≪帆船 午後 瀬戸内海集≫≪帆船 霧 瀬戸内海集≫≪帆船 夕 瀬戸内海集≫≪帆船 夜 瀬戸内海集≫と拡充されました。

また≪マタホルン山 欧州シリーズ≫≪マタホルン山 夜 欧州シリーズ≫≪アゼンスの古跡 欧州シリーズ≫≪アゼンスの古跡 夜 欧州シリーズ≫そして≪スフィンクス 欧州シリーズ≫≪スフィンクス 夜 欧州シリーズ≫の昼夜の光闇の対比が綺麗でした。

また≪ヨセミテ公園≫≪モレーン湖≫そして≪ルガノ町 欧州シリーズ≫もやっぱり素晴らしかった。

囲炉裏の描写がいい≪猟師の話 渡邊版≫や≪露営 北岳間の岳 日本南アルプス≫のようなアートスタイルも良かったです。

そして後期新規の個人的目玉だった≪ナイアガラ瀑布 米国シリーズ≫も清流の瀑布と言った感じで良かったし、≪ユングフラウ山 欧州シリーズ≫の豪壮さ、≪ウェテホルン 欧州シリーズ≫の勇壮で剛健な山姿に惚れ惚れしました。

≪大天井岳より 日本アルプス十二題≫の美しく凸っとした山並み。≪五色原 日本アルプス十二題≫の浮世絵を通ったような日本人ならではのファンタジックな光景画。≪立山別山 日本アルプス十二題≫の具象と抽象の上手さ。≪鎗ヶ岳 日本アルプス十二題≫は正に魔の山だし、≪雷鳥とこま草 日本アルプス十二題≫は大変可愛らしかった◎

また≪隅田川 東京拾二題≫・≪隅田川 夕 東京拾二題≫・≪隅田川 霧 東京拾二題≫も光の遷移がきれいで。

≪堀切の志ようぶ 東京拾二題≫のデザイン性や≪中里之雪 東京拾二題≫の水墨画を版画化したような彫り。≪神樂坂通 雨後の夜 東京拾二題≫の夜景浮世絵も良かった。

そして≪駒ヶ岳山頂より 日本南アルプス集≫の龍神のように美しい雲、≪雨後の八ヶ岳(駒ヶ岳石室より)日本南アルプス集≫の取材に基づいたであろうリアルな雲、≪雲表 日本南アルプス集≫の淡い雲の美しさ。そして≪間の岳農鳥岳 日本南アルプス≫の赤紫の山麗。

≪アジヤンタ 印度と東南アジア≫≪マデュラの神殿 印度と東南アジア≫をみると、吉田氏がペトラ遺跡を描いたらどんなに素晴らしかっただろうとか思ってしまいました。

≪川越之櫻 櫻八題≫≪鐘樓 櫻八題≫≪花盛り 櫻八題≫には日本の綺麗を、≪昌慶宮 北朝鮮・韓国・旧満州シリーズ≫には朝鮮の美を、≪奉天大南門 北朝鮮・韓国・旧満州シリーズ≫には中国の美を感じました。

日本人にしか描けない洋画を追い求めた吉田博。100年前の日本の洋画、黒田清輝は歴史の風格というか、ちょっと古色も感じるのに対し、吉田博の瑞々しさは凄い。新領域を拓き、独立したオリジナリティと普遍性を持った表現はいつまでもGreenで時代を越えます。吉田博の新版画は100年以上はフロントラインにいる地力があったという感覚がありました。

彼の優れた絵画は今なお先進性を持っていると改めて感じました。と、同時に初見と比べると衝撃が落ちるのは観客の我儘の為す處。しかしそれでも≪渓流≫のその迫力と流麗さには何度見ても心奪われて。この美術館には本展ではじめて来たのですが、素晴らしい展覧会を企画してくれたことに感謝。
by wavesll | 2017-08-26 22:00 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)