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東洋文庫ミュージアムにて『東方見聞録』や『魏志倭人伝』等をみる

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駒込にある東洋文庫ミュージアムで開かれている東方見聞録展 モリソン文庫の至宝をみてきました。


100万点以上にのぼる東洋文庫の蔵書の中核をなすのが、創設者である岩崎久彌が1917年に購入した貴重な洋書・絵画資料のコレクション「モリソン文庫」。本展では、コレクションの渡来100周年を記念し、「東方見聞録」、「アヘン戦争図」など、教科書でおなじみの資料をはじめとする有名な歴史資料の宝庫「モリソン文庫」の全容を公開いたします。本コレクションを築いたジョージ・アーネスト・モリソンは、20世紀初頭に「タイムス」の海外特派員、そして中華民国の政治顧問をつとめ、激動の時代を見つめ続けた人物です。本展では、これらの名品が収集された時代背景についても、モリソンの眼をとおしてご紹介いたします。

というこの展覧会、何しろ目玉はマルコ・ポーロの『東方見聞録』!東洋文庫では世界随一の『東方見聞録』の写本、翻訳本コレクションがあり、見応えがありました。
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なんと一番上のものはコロンブスが所持していたのと同じ刷!世界史浪漫を感じました。

さて、東洋文庫はその名の通りアジアの書物を中心にコレクションされている處。なんとこんなものも。

国宝・春秋経伝集解
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御成敗式目
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徒然草(嵯峨本)
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日本書紀
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魏志倭人伝
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なんと魏志倭人伝も!しかも右頁の境の行の中央少し下をみると「卑彌呼」の文字が!これ、ヤバくないっすか。見つけた時感動してしまいました◎

また

殿試策という中国・科挙の最終試験である殿試の模範解答なんかも。昔からノートが出回ってたのですねw
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そして西洋の文物も展示してありました。
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ロビンソン・クルーソー漂流記
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J.グールド著 1850-83年 アジアの鳥類
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J・グールド著 1831年 ヒマラヤ山脈の鳥類
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ジョゼフ・フェイラー著 1874年 インドの蛇
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ジョン・ヘンリー・リーチ著 1892-94年 中国・日本・朝鮮の蝶類
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ガルニエ著 L.ドラホルト画 インドシナ探検行
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ヘルマン ロバルト編 1861-66年 インドおよび高地アジアへの科学調査隊派遣の聖歌
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最後の絵図に描かれたエベレストをこの本ではガウリサンカールと呼んでいたそうです。実際には別の山でガウリサンカールという山があるそう。

この展覧会では世界史上に残る書物を生で観ることが出来て、音楽好きとしてはこのデータ時代に於けるフィジカルの価値を感じたりwやっぱりディスプレイでなく五感で体感することっていうのは経験として大きいですね。

そんなことを想った自分、実は今夜日本を発ってガウリサンカールならぬチョモランマを眺めにネパールへ行く予定です。旅行は8日間の予定です。地球上で一番宇宙へ近い場所へ(登りはしませんが)見聞に参ります。ではまた後日!

by wavesll | 2018-01-03 18:53 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展 at 三菱一号館美術館

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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪エルドラド、アリスティド・ブリュアン≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪コーデュー≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪ジャヌ・アヴリル≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪マルセル・ランデール嬢≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪メイ・ベルフォール≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪メイ・ミルトン≫
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テオフィル・アレクサンドル・スタンラン ≪シャ・ノワール巡業公演のためのポスター≫
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正月の清冽な空気の中、三菱一号館美術館パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展へ行ってきました。
三菱一号館美術館は19世紀末のグラフィックの収集品があり、同じく良コレクションがあるファン・ゴッホ美術館と共にこの展覧会を開催したという運び。

最初に展示されるのはウジェーヌ・グラッセ≪版画とポスター(『版画とポスター』誌のためのポスター)≫。高尚である版画が擬人化された美女と低俗であるとされたポスターの擬人化の美女が描かれたリトグラフ。版画・ポスターの関係性は今消滅しつつあるオタク・サブカル的なものなのかもなんて感じました。

この時代にはポスターが貼られた景色を描いた絵画も。ルイ・カリエ=ベルーズ≪鍋修理≫なんかかなりいい感じでした。またまさに販促ポスターであるピエール・ボナール≪「フランス=シャンパン」のためのポスター≫にその始まりから広告は美女とアルコールそしてパーティーなのだなとw

この展覧会でとても印象的だった画家がエドゥアール・ヴュイヤール≪自転車≫。もうほんと現代的でアディダスのアドみたいな感性が最高で。自転車の画だとこの展覧会の主役、アンリ・ド・ドュールーズ=ロートレック≪シンプソンのチェーン≫も好きでした。やっぱり自転車が描かれると欧州って感じがしますね。

モーリス・ドニ≪『ラ・デペッシュ・ド・トゥールーズ』紙のためのポスター≫を始めとして淡い色調の物が多くて、日焼けとかもあるのかなと思いスタッフの人に”これはこの色味を意図したものだったのですか?”と聴くと”展示品はどれも状態のいいものです”との答え。この時期の欧州は原色より薄い色調が好まれていたのかもしれません。

ロートレック≪ディヴァン・ジャポネ≫のツンとした眼差し。研ぎ澄まされた人間観察からの表現だなと。ロートレック≪ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)≫ なんかは醜く歪んだ一瞬の表情を捉えて。

この時期のパリの文化発信地である場のポスターも多くて。アンリ=ガブリエル・イベルス、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック≪「カフェ・コンセール」表紙≫のカフェ・コンセールなどもそう。

そして撮影OKの部屋に展示してあった「シャ・ノワール(黒猫)」という名のキャバレーのポスターであるテオフィル・アレクサンドル・スタンラン≪シャ・ノワール巡業公演のためのポスター≫も素晴らしかったし、ロートレックは≪ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ≫という作品も描いています。

ロートレックだと≪マルセル・ランデール嬢≫のこの顔力!そして≪アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて≫の諧謔的な表情には浮世絵のような感触も味わいました。カミーユ・マルタン≪「レスタンプ・オリジナル第2年次の表紙」≫もちょっと北斎的な植物構図を感じて。

この時代はリトグラフの時代。
リトグラフは、石版石(石灰岩)や金属板(アルミ板・ジンク板)の平らな版面(平版)を、油性インクを引き付ける部分と水分を保つ部分(インクを弾く部分)に化学的処理で分離し、水と油の反発作用を利用して専用のプレス機により刷る版画です。 版面に直接描いた絵を、ほぼそのまま紙に刷り取れるのが特徴です。


かなりの作品群が展示してあったフェリックス・ヴァロットン。≪お金(アンティミテ』V)≫は男女の怪しみが捉えられて。


ロートレック≪座る女道化師(シャ=ユ=カ=オ嬢)(『彼女たち』より)≫≪ムーラン・ルージュの女道化師≫は同じ女性を描いた作品。シャ=ユ=カ=オ嬢の芯の強さが感ぜられて好きでした。


テオフィル・アレクサンドル・スタンラン≪ボディニエール画廊にて≫は黒猫と三毛猫が可愛らしくて。エドゥアール・ヴュイヤール≪仕立屋≫は1895年の『OK COMPUTER』。 モーリス・ドニ≪恐れ≫は暗青のちょっと仏教性を感じる二人の絵。ピエール・ボナール≪通りにて≫とマヌエル・ロブ≪版画を見る二人の女性≫は日常の一瞬を刷った感覚。ピエール・ボナール≪パリ共和国衛兵隊≫は墨絵の如し。

そして次の部屋が本当にずばんと好みで。シャルル・マリー・デュラック≪図版1(『風景画連作』より)≫。全て違う色で刷られたというこの作品は水面の波紋の描写が卓越していて。絵の下には鯉?も。

アリスティード・マイヨール≪少女の横顔≫は黄色のバックが素晴らしい効果を生んでいて。同じくアリスティード・マイヨール≪波≫はまさに版画的な肉感のある波の背景が印象的。

そしてエドゥアール・ヴュイヤール≪街路(風景と室内)より≫ の抽象と具象のあいだの街路のテクスチャー。エドゥアール・ヴュイヤール≪吊りランプのある室内(『風景と室内』より)≫は生で観ると黄緑と黄色と橙でエーテルが爆ぜアウラが凄い!エドゥアール・ヴュイヤール≪二人の義姉妹(『風景と室内』より)≫の白黒に身を包んだ姉妹と背景のミロやゴッホのようなきらめきを持った色粒、素晴らしかった。

ケル=グザヴィエ・ルーセル≪縞模様のドレスの夫人(『風景画集』より)≫は妖精的な領域へ。ケル=グザヴィエ・ルーセル≪ニンフのそばで戯れるキューピッドたち(『風景画集』より)≫ではまさに神話的情景へ。同じくグザヴィエ≪泉(『風景画集』より)≫のGreat Waveのような緑。


フェリックス・ヴァロットン≪怠惰≫にははっとさせられるぐずさと色気があって。同じくヴァロットン≪『群衆ーパリの野次馬たち』(オクターヴ・ユザンヌによる序文他)≫にパリのモノクロな服装を想ったりしました。

アルフレド・ミュラー≪グスタフ・ファン・ザイプ『梯子』およびグンナール・ハイベルク『バルコニー』の劇場プログラム≫ は名画のポスターのよう。ロートレック≪ドイツのバビロン≫は慧可断碑図の達磨のようにシンプルな線がいい。

この時代、版画はプライヴェートな発注で官能性を高めていたそうですが、物議を巻き起こしたというロートレック≪悦楽の女王≫をみるに、公共空間ではかなり生真面目な空気があったのではとも感じました。

その分ジョルジュ・ド・フール≪『神秘的で官能的なブリュージュ』表紙≫のエンボス加工に秘めた艶を感じたり。



そして最後の作品が白手袋をしてしてめくっていけるピエール・ボナール≪ポール・ヴェルレーヌ『平行して』(ファクシミリ版)≫。文章を読めなかったのですが、究めてプライヴェートな性愛?の挿絵があって、これが版画の官能性か…!と。

三菱一号館美術館は上趣味な展覧会をやってくれて。今回も好ましいひとときを過ごすことが出来ました。展覧会は1/8まで。

by wavesll | 2018-01-02 18:59 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

田原桂一「光合成」with 田中泯 at 原美術館

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田原桂一:光合成 with 田中泯 at 原美術館に行ってきました。

今年逝去した写真家田原桂一が田中泯のおどりを撮る、30年越しの試み。田中の彫刻のような肉体は時に金属的に、時に生命体に映える。光闇の間に存在する體。その存在に向き合う時空間でした。

最後の5枚は今年白州で撮られたもの。それ以外は1978年から1980年にNYやローマ、アイスランド等で撮られたもの。
47X31cmの作品は田原さん自身が現像したものだそうです。

当初原寸大のサイズに生々しい艶、大判に金属的な粒子感を感じたのですが、中2階、2階の小判には荒い粒子感も感じて。そして2017年の作品には立体性よりも絵画のような、濃密な自然の中の皮膚感覚がみてとれました。

そして冒頭に挙げたボルドーのUボートが置かれていた空間での、彫像空間に惹きこまれる寫眞。展示室から現場へ突き抜けるインスタレーションのような存在性が有りました。

田中泯さんによる原美術館での舞踏の観覧は0分で完売だったそう。展示は12/24まで。

by wavesll | 2017-12-18 05:01 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

#FR2「コンビニな女」at Hidari Zingaro

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Hidari Zingaroにて#FR2「コンビニな女」
セブX、ロXソン、ファミXに身を包んだ女性の濡れ場の写真、良い意味で平成初期。
~僕達の青春はコンビニのマガジンラックと通学路に捨ててあったエロ本だった~というこの個展。今のWebで手に入るつるっときらっとしたエロというより、叢に捨てられた湿度がにおって、エロさの毒苦みがありました。

by wavesll | 2017-12-17 21:43 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

KINOMURA's cutting picture『I am PANCAKE GIRL』@Potter cafe

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高円寺のぽたかふぇ。にてキノムラさんの個展をみてきました。

ポップな切り絵で可愛らしくて好い良い!絵にぴったりなイメージのキノムラさんご自身も土日と最終日(12/27)は在廊されるそうです。今夜(12/16)19:00-21:00はレセプションパーティーだそう。

直に見ると切り絵の質感が素晴らしい効果を生んでいました。蜜が入った特製のマキアートラテも美味しかった◎ぜひぜひお薦めです★

by wavesll | 2017-12-16 15:23 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

「怖い絵」展 at 上野の森美術館 画の背後にある物語性と劇的瞬間の美しさ

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上野の森美術館で休日には2h待ちの行列をつくっている「怖い絵」展。今は連日20:00まで開館が延長されているこの展覧会に並んできました。

中に入っても物凄い人で。正直ビックリというか、”このラインナップでこんな混む!?”とw 逆に普段見てる歴史的な銘品揃いの展覧会凄いなとw

『怖い絵』シリーズは何でもかなりの重版出来らしく、世界一受けたい授業にもキュレーターの中野さんが出演しているとかで、普段展覧会をみに行かない方々にかなりリーチ出来たのかもしれません。

なので、多くの人が館内で正攻法でみようとするので、ちょっと絵を通り過ぎてから逆側からみたり、2列目からみたりサッと隙間からみたりするとかなりスルスルと見れる感じです。というかこの混み方では覇道じゃないと。箱が狭いこともあり体感は北斎展@あべのハルカス国宝展@京博並みでした。

先程”このラインナップでこんな混む!?”と書きましたが光る作品は幾つもあって。

特に女神、妖女、ファム・ファタールが描かれた作品に惹かれました。

一番美女だと感じたのはハーバート・ジェイムズ・ドレイパー≪オデュッセウスとセイレーン≫のセイレーン達。若い女の子の官能性の極致。セイレーンだと美女でなく妖獣ですがギュスターヴ=アドルフ・モッサ≪飽食のセイレーン≫も良かった。


この展覧会では作品と同じくらいキャプションが主役となっていて、背景や意味が語られていて。怖い絵といってもスプラッターではなくてじわじわと怖いものが多く、中には”「死にたい」と言っていたら髑髏が現れてしまい「この荷物を運ぶの手伝ってくれ」と翻意して言う様子”が描かれたジョセフ・ライト≪老人と死≫なんて作品も。

『サロメ』の挿絵画家ビアズリーの暗澹さが滲むチャールズ・シムズ≪ワインをたらふく飲む僕と君にこれらが何だというのだ≫やこれもチャールズ・シムズの≪そして妖精たちは服を持って逃げた≫なんてのは小人がきらゆらと描かれて。著名人やその時々の風俗・迷信という題材の面白い作品が多いのも「怖い絵」展の特長と言えるでしょう。

そしてチャールズ・シムズ≪クリオと子供たち≫は戦争で死んでしまった子供たちが血を流す女神の元で聴き入っているという、どこまでも明るいヴィジュアルなのに死が描かれている作品で、確かにこれは怖い絵だと感じました。

一方で昏いヴィジュアルの怖い絵の代表がウォルター・リチャード・シッカート≪切り裂きジャックの寝室≫。切り裂きジャックに強烈な関心を示したシッカート。実は彼自身が切り裂きジャックだったという調査が発表されていて。解説も含めて絵を見た時の負のエナジーというか、正に本展の狙い通り鳥肌が立ちそうになりました。

またその隣のニコラ=フランソワ=オクターヴ・タサエール≪不幸な家族(自殺)≫は今まさに練炭自殺をしようという場面が描かれていて。これもしみじみと恐ろしい絵。

本展はいわゆる”綺麗目”な画が多く、ヴィジュアル表現としては同じようなテイストが多い印象でしたが、中には”おぉ!”と想わされる絵もあって。凶悪な笑みを浮かべるピエロ達が舞台上?のキスする男女を眺めるジョン・バイアム・リストン・ショー≪人生はこうしたもの≫なんかはかなり好きでした。

そして展示の中に何気に有名画家の作品もあったり。エドヴァルド・ムンク≪森へ≫はまるでデジタルな森淵へ歩んでいくような心象風景が近現代な感覚。ギュスターヴ・モロー≪ソドムの天使≫は神々しく光り輝きながら殺戮をつくす天使が印象的。パリ初期の不遇な時代の鬱々とした絵が意外なポール・セザンヌ≪殺人≫やヒエロニムス・ボス風の作者不詳(オランダ派)≪聖アントニウスの誘惑≫なんてのも。

モチーフの面白さでいうとウィリアム・ホガース≪ビール街とジン横丁≫は溌溂と生きるビール街と、アルコールに冒されたジン横丁の悲哀が。今だとその内ストロングゼロ文学な絵画が出てくるかもしれません。

絵画の物語性でいうと死体を出廷させて有罪を言い渡した場面を描いたジャン=ポール・ローランス≪フォルモススの審判≫や噴火という大災害を描いたフレデリック=アンリ・ショパン≪ポンペイ最後の日≫、そして後に運命が暗転する前の栄華を描いたフレデリック・グッドール≪チャールズ1世の幸福だった日々≫も「怖い絵」でした。


王位継承権をめぐって反逆の汚名を着せられ処刑された若き乙女の白く透明な美しさ。それぞれの登場人物がきちんと素晴らしい演技が込められていて、劇的な場面の物語性と絵画表現としての圧倒的な美しさが。正に真打。これは観れて良かった。

なんだかんだで結構楽しい展覧会でした。そして物語性や意味性の解説がこれだけの需要を喚起するとは。これに味をしめられてこんな感じの展覧会をやられまくったら困りますが、寧ろ他業種、洋楽PRや翻訳書PRの人達にとってはかなり刺激を受けるプロジェクトなのではないかと想いました。

12月17日まで。最前列で全て見たいというのでなければ平日仕事終わりにサクっとみるのがお薦めです。

by wavesll | 2017-12-07 21:36 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

安藤忠雄建築の地水火風. 安藤忠雄展@国立新美術館の≪光の教会≫に『風の建築』をみる

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国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展―挑戦―に行ってきました。

出掛けにコンビニでチケットを発券し、9:30頃に現地についてまだ開いてないチケット売り場をスルーして展覧会に並ぼうとしたらもう大分人が並んでいて。

≪光の教会≫のまっさらな写真が撮りたかった私はやきもきしたのですが、入場してみると先に入った人達は直島ブースに人だかりをつくっていました。

今日は安藤さん自らによるギャラリートークの最終日だったのです。

順路の途中に野外に出る形で建てられている≪光の教会≫にも既に人はいましたが、お互い察していただけたお陰で満足のいく写真が撮れました。

その後、安藤忠雄さんと藤本壮介さんのギャラリートークを拝見。

「アジアには活気がある」「日本のように消費をしない国には未来がない」「仕事や資金をいかに社会に還元するか」「二度とやりたくないと想う位一度は働いてみるといい」「最近の人は本を読まなくなった。子供向け図書館のプロジェクトをしている」「大学生で可能性があるのは2年まで、3年からは自由がない」「自分で考えろ」などを楽しい語り口で語られていました。

安藤さん自身も「自分のつくった家は住みずらい、けどそこは自分で何とかしてほしい」とw

安藤さんの設計した渋谷駅は全くもって使いづらいし、表参道ヒルズなんかもイマイチなユーザビリティだと感じるのですが、Artとしての建築づくりには強烈なエゴが必要となるのかもしれない、そしてそれは"人生に於けるディレクション"でもそうなのかもしれないと想わされました。

その後最初に戻って展示を観ようとして、個人の邸宅の模型や写真が並んでいたのですが、まぁ混みあっていて。なかなかスムーズにみれなくて。

そして大きな模型展示なんかもあってヴェニスの≪プンタ・デラ・ドガーナ≫やパリの≪ブルス・ドゥ・コメルス(進行中)≫なんかの展示には”おぉ!こんなストレートに近い引き出しもあるのか”とも想ったのですが、建築系の展示はオスカー・ニーマイヤー展以来だったのもあり、通常の展覧会とはいささか鑑賞の勝手が違うなという感じ。

そんな中でも1/1サイズの≪光の教会≫は大きなインスタレーション体験となりました。混みあってきてからも、前に人が入る時もあれば、みなで写真を撮るために人が引いたりしたりもしていました。

2回目の今度は1人でのギャラリートークを聴きながら眺めていたのが≪真駒内滝野霊園 頭大仏≫という大仏を丘で覆ってしまった作品。”この作品や≪地中美術館≫なんて、古墳みたいだよなぁ”と想ったときに、私の中で”地水火風”という想念が湧きました。

≪頭大仏≫≪地中美術館≫等が『地』、北海道勇払部の≪水の教会≫やその他多くの水を湛えた建築作品が『水』、そして≪光の教会≫が『火(日)』、四大元素の建築を彼は造っている。では安藤忠雄は『風の建築』もつくっているのではないか?この視点を引っ掛かりに展覧会を見ることが出来るかもしれない。

しかし中々『風の建築』をみつけることは能わなくて。確かに≪ロックフィールド静岡ファクトリー≫なんか風車もあったり、或いは映像展示≪もうひとつのANDO作品ー継続する力≫でのビルや街区の緑化事業は植物が風に揺れる様がありましたが、自分の中でパキっとこなくて。

”そろそろ帰るか。。最後にもう一度≪光の教会≫をみるか”と、内部に入り、ベンチに座り、十字の光隙を眺めていた時にすっと”その先の空間、空気”がダイレクトに感ぜられて。それは風や冷気が直に入ってくることもあって、”そういえば茨木の≪光の教会≫の十字はガラスで埋ってるらしく、今回安藤さんたっての願いで孔として明けたんだよな”と想ったときに”これは風(空気)の建築と呼べるかもしれない”と想って。

広大な外の空間を予期させるイコンとしての光の十字に、この展覧会のヴァージョンで安藤忠雄は地水火風の風も成したのだと想ったのでした。

ちなみに新美の敷地に建てられた≪光の教会≫は西向きなので朝日が入らず、14~16時ほどが一番輝くそうですが、茨木春日丘教会のように十字の光が床に照らすことはないそうです。ただ妄想ながらいいEurekaを得ることが出来ました。

by wavesll | 2017-12-06 19:24 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

Kimono Roboto at Omotesando hills

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by wavesll | 2017-12-05 20:59 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

EXHIBITION : 中國最先端 C.H.I 池磊 @DIESEL ART GALLERYにみる蒸気波的狂騒

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渋谷DIESEL ART GALLERYにEXHIBITION : CURRENT 中國最先端 C.H.I 池磊を観に行ってきました。

中国の藝術家は例えば横浜トリエンナーレでも活躍したアイ・ウェイウェイがそうであるように、政治的な思想性から中国国内から出て、海外で活動/評価されることが多く、実際の中国内部のアートの蠢きは中々触れることが叶わないものがありますが、この池磊氏はまさに中国国内で活動し人気を得ているという点でまず興味を惹かれました。

赤が共産党とコカ・コーラのWミーニングであったり、ファッショナブルな広告に黒髪のアジア人女性を使ったりするところに今の上り調子の中華からの西洋に向けた自信や眼差しを感じたり、或いは近年のパステルな作品に関してはチェン・ティエンジュオの作品にも通じる感性を感じました。

上海万博に行ったときにみた奇妙奇天烈なビル群と青く照らされ街中が六本木のような高速道路、そんなバブルな狂騒を想起して。中国は今まさにVaporwave & Future Funk的な事象が発言しているのだと想わされる、熱を感じる展示でした。

by wavesll | 2017-12-05 20:30 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

太陽の塔ロボが土偶み@TAMASHII NATIONS AKIBA

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by wavesll | 2017-12-05 19:14 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)