淡優朝光に喜多嶋修『竜王』X ピクルス丼で起動 第92回酒と小皿と音楽婚礼

Osamu Kitajima - Dragon King (full album)


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曇白天に射す光で起きた朝、自宅で漬けたピクルスを白米の上に乗せて海外の反応系サイトで話題になったこの一枚を。

喜多嶋修は49年神奈川は茅ヶ崎生まれ。慶應大学在学時より作曲家としてCM及びTV音楽業界で活躍、同大学を卒業後に渡英。現地の音楽を肌で感じるも帰国後は純邦楽の勉強に深く取り組み、74年に渡米。ロスに永住。同年日本人として初めて英国レーベル、アイランドUSAとアーティスト契約を結び、78年にMCAと契約、その翌年に当時の業界の"ドン"クライブ・デイビスに認められアリスタ・レコードと契約します。前置きが長くなりましたが、本作はそのアリスタより81年にリリース、氏の通算4作目のアルバム。(from まわるよレコード ACE WAX COLLECTORS

Youtubeのコメント欄で英語の感想を読むのはまた楽しいものですが、Squarepusherなんかが引き合いに出される一曲目がやはり白眉。Jaco Pastorius / KURU/SPEAK LIKE A CHILDのストリングスが効いたトラックに三味線が響き渡る完成度の高い和JAZZが展開されます。

ピクルス丼に合うのは寧ろその後に続く穏やかなトラック群。なんとも素敵な時空間を演出してくれます。琴、琵琶、尺八等和楽器がふんだんに使われたメロウ・ソウル達。朝の心身の起動にぴったりな快く、そして酸いも爽やかに効いた名盤でした。

Osamu Kitajima - Dragon King 1982 Alfa
A-1. HOT STRINGS INVASION 津軽攻め
A-2. LAKE SPIRIT 湖心
A-3. SAY YOU WILL
A-4. SHARE MY LOVE
B-1. DRAGON KING 竜王
B-2. WILLOW PATTERN 柳模様
B-3. YAMAME 山女

Personnel are;
Produced By - Richard Evans
Osamu Kitajima - Guitar, Koto, Biwa & Narimono
Kazu Matsui - Shakuhachi
Masayuki Suzuki - Acoustic Guitar
Takeo Takahashi - Shamisen
Victor Feldman - Rhodes
Geoffrey Hales - Percussion & Drums
Phil Perry, Rena Scott & Wendy Mathews - Vocals
Bunny Brunel & Larry Ball - Bass
Tom Brechtiein, James Gadson, Harvey Mason
& Carlos Vegas - Drums
# by wavesll | 2017-05-17 07:06 | La Musique Mariage | Comments(0)

行間が夜を深くする Cornelius『あなたがいるなら』& 鯖棒鮨 第91回酒と小皿と音楽婚礼

Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here"


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駅前で買った鯖棒鮨をコーネリアスを聴きながら。坂本慎太郎の詞が静寂に映えて。
「沈黙の次に美しい音楽」といったのはECMだったけれど、「クラブなどでは"深夜"は2:00過ぎ、22時等夕方」といったのはNight Drifterでのceroの会話だったでしょうか。

せわしないメディアに環われて。最近は小学生も『アメトーーク』をみるためにプライムタイムまで起きてるなんて話も聴きます。自分がガキの頃は21時には寝て、午前様まで起きれるのは大晦日くらいだったなぁ。いつからか夜が浅くなった気がします。

そんな折、最近DOMMUNEを19時台から流しっぱなしにすることがちょくちょくあります。カルチャーが仄暗いところで語られDJがレコードを回すのを長時間みていると、存外に夜の深さを感じて。20時でも25時くらいの深さ。

トーンが靜で、深く打音が繰り返される刺激。その隙間が夜の豊饒さを醸すのかもしれないな、と想います。

この『あなたがいるなら』も、行間をサーヴしてくれる楽曲。差し込まれる無音、紡がれるギターの打音。電子的な内省的ポップが日本にも表れてくれないかとずっと思っていたのですが、いよいよ現れたなと。PitchfolkでBNTをとったのも得心が行くWorldwideな現在系の名曲だと感じました。

2013年の「外は戦場だよ」からMETAFIVEを経て深化した此の曲。音の振動なのだけれども、それよりも寧ろ静寂が鳴っていると感じる音世界。これを聴きながら鯖棒鮨。なんか、本当に嬉しい時間が広がってる、そう感じました。
# by wavesll | 2017-05-16 22:56 | La Musique Mariage | Comments(0)

Cigarettes After Sex live at Harajuku Astro Hall

Cigarettes After Sex (Soundcloud link)
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Cigarettes After Sex - EP 2012 -- FULL ALBUM


このEPを聴いたのは昨秋のこと。スロウコアの響きが時雨に煙る霧のようだと思っていたのですが、生で聴くと透明感をとても感じ、ブルックリンから来訪した音は夏の夜の風に合う好ましさがありました。

一曲一曲で大きな流転があるのではなく、例えば『Long Season』であったり、『On the Corner』であったり『Ardour』のような一つのトーンで形成された全体で大きな一曲に感じました。敢えて個別の楽曲を述べればStarry Eyesが聴けたのは嬉しかった。The fin.を好む人などもお気に召す匂いかも。

ライヴを聴くと結構バンドサウンドしてて快く感じました。そして此のヴィジュアルで此の声はやはり飛び道具。今度出るAlbumが楽しみなのと、甘やかな声が闇と光を描いて、もしかしたら紫煙の先にとてつもない名曲を燻らせてしまうのではないかなんて期待を持たせてくれるライヴでした。

Set List
1. K.
2. Starry Eyes (Roky Erickson cover)
3. I'm a Firefighter
4. Sunsetz
5. Dreaming of You
6. Nothing's Gonna Hurt You Baby
7. Keep On Loving You (REO Speedwagon cover)
8. Affection
9. Apocalypse

Encore:
10. Young & Dumb

# by wavesll | 2017-05-16 06:37 | Sound Gem | Comments(0)

快慶展@奈良博&法隆寺大宝蔵院で観仏記 + Extra Tracks

日帰りで奈良国立博物館、特別展 快慶 日本を魅了した仏のかたちへ行ってきました!!!!!
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無理を効かして来て良かった。布の優美な柔らかさの表現が天界レベルでミケランジェロかと思いました。衣文線という布の紋様が何とも優美でうっすら残る截金も美しい。筋骨隆々に凛々しい仏達はモンゴロイドの男の理想フォルム。常設の仏像・青銅器博物館もかなりの見ものでした。来た価値があった。開館とほぼ同時に入り、ほぼほぼ2h30mみました。

以下それぞれの作品への感想を書いていくと、入り口すぐの 京都 金剛院『金剛力士像』からしてもうやられる!バスタードのD.S.みたいな腹筋の割れ方!何というか、マンガ的想像力の筋肉がめちゃくちゃカッコいい化け物クラスの金剛力士像で。足の血管が浮き出る様まで凄味がありました。

そこからすぐに本展覧会のハイライトの一つ、快慶作 京都 醍醐寺『弥勒菩薩座像』が。これがもう本当に醇とした顔つきで飾り立てるアクセサリーも美しく、こんな貴美なオッサンになれたら最上だなと想いました。

余談ですが黄色人種って実際には黄色じゃないじゃないですか?あれってもしかしたら仏像のイメージが加味されているのではと想ったりします。ちなみにこの弥勒菩薩座像、台座に獅子が居るのでそれもお見逃しなきように◎

そして日本美術展では結構文書が展示されることが多いのですが、中々意味を捉えるのは難しく、ヴィジュアルをクローズアップして鑑賞することが私は多いです。そんな自分からみても相当高位になるくらいの美しい字だったのが国宝・京都 真正極楽寺『法華経(運慶願経)巻第二・第三』。なんと素晴らしいことか。

そしてこの展覧会で気付かされたことのもう一つが木による布の表現のたおやかさ。中でも康知による京都 長講堂『後白河法皇坐像』の脚の部分の柔らかな表現は図抜けたものがありました。

快慶作 京都 金剛院『執金剛神立像』は白地が出てハヌマーンのよう。こちらも快慶作 京都 金剛院の『深沙大将立像』は脚が象になっていてとてもカッコよかった!獅子のような顔でした。

この展覧会で気付かされた仏像の魅力、先ほど布の表現の優美さを挙げましたが、もう一つが截金。仏像の表面に布の文様が描かれていて。それは時と共に無くなっていったりするのですが未だ残る切金の美しさ。素晴らしく素敵でした。例えば快慶作 京都 悲田院の『阿弥陀如来坐像』なんかも銅に截金が浮かんでいました。

この他、京都 勝龍寺『菩薩立像』も髪飾りが美しかったし、髑髏等のアクセを持った京都 清水寺『千手観音坐像』はこの展覧会のハイライトの一つでした。

日本の伝統絵画は西洋と比べてリアル性に欠ける、なんて言われますが、立体である兵庫 浄土寺『重源上人坐像』なんか"あぁ!こんな人いる!"とリアルで、しかもただのリアルというより性格まで読み取れそうなちょっと2.5D的な真実味を感じました。こちらは二次元の奈良 阿弥陀寺『観経十六観変相図』はウーロン茶の広告にでも使えそうな現代に通ずるデザイン性を感じました。

和歌山 金剛峯寺の『四天王立像のうち広目天(快慶作)・多聞天『執金剛神立像』そして『深沙大将立像』(共に快慶作)の漆黒のカッコよさ!執金剛神なんかほんと"シャドウビースト"って感じ。深沙大将もスカルのネックレスして腹からなんか顔でてるしルークみたいな死神的カッコよさがありました。それぞれ巖と波濤の台座の上に立っていて、その出来も素晴らしかった。

快慶作 奈良 東大寺『阿弥陀如来立像』の珊瑚のような台座、同じく東大寺の快慶作『地蔵菩薩立像』をみると白いので雲か波か。この地蔵菩薩立像、痺れるような魅力があったなぁ。国宝・『僧形八幡神坐像』。これも服の色味と言い質感と言い布そのものでした!

”おっ!なんかいい”と想ったらこちらも国宝だった京都 清凉寺『霊山変相図(釈迦如来立像像内納入品)』は白地に黒でシンプルに描かれた絵で、質感としてはウルジャンで連載してそうな感じでした◎またこちらも国宝(この展覧会ほとんどが重文・国宝の弩級の展示でした)である奈良 安倍文殊院『文殊菩薩騎獅像 像内納入品 仏頂尊勝陀羅尼・文殊真言等』は文殊菩薩を顕わす梵字が連打されているという逸品。こんなの初めて見たなぁ。

奈良 東大寺『西大門勅額附属八天王像』もそれぞれが本当に感性にジャストに触れるフォルムで。日本人だからうってつけのカタチなのかなぁ。帝釈天なんか麗しかったです。四天王はモンゴロイドの理想形。年を経るごとに東洋美術が好きになるのはそこにアジア人としての格好良さの有様をみるからかもしれません。

快慶作 栃木 真教寺『阿弥陀如来立像』の縦の木目の美しさ。快慶作 静岡 伊豆山浜生協会『菩薩坐像』の修業中な感じのかわいらしさ。静岡 鉄舟寺『菩薩坐像』は腕がないけれどそれがまた趣がありました。静岡 新光明寺の『阿弥陀如来立像』、美しかった。

快慶作 大阪 八葉蓮華寺『阿弥陀如来立像』の光輪の美しさ。裏から見ると花になっていました。京都 浄土宗『阿弥陀如来立像像内納入品 造像願文 順阿弥陀仏等交名』は黄色になった地に超高密度で文字が描かれて見応えがありました。

快慶作 京都 醍醐寺『不動明王坐像』のドヤ顔wこういうキメ表情する芸人いるはw京都 青蓮院『兜跋毘沙門天立像』の編み込まれた鎧の描写。快慶作 京都 隨心院『金剛薩埵像』。お釈迦様の髷はきっとリンガなのだろうなぁ。快慶作 米国メトロポリタン美術館『地蔵菩薩立像』の衣に残る截金がヴィトンのモノグラムのように美麗でした。

長快作 三重 パラミタミュージアム『十一面観音立像』に"これ自体が一つの遺跡だ…!"と心揺らされて。快慶作 京都 正壽院『不動明王坐像』の射るような顔。奈良 東大寺『聖観音立像』の持てる花の曲がりの美。快慶作 米国 キンベル美術館『釈迦如来立像』も優美でした。

そう、この"優美"が快慶が彫り続けて辿り着いた到達点だったのかもしれません。衣文線のたおやかさ、柔和で晴れた空のような表情の『阿弥陀如来像』達。奈良 西方寺、奈良 安養寺、大阪、大圓寺、奈良 西方院、どれもなんたる柔らかい魅力を放っているか。素晴らしかった。

そして最後に展示されていたのが京都 極楽寺『阿弥陀如来立像像内納入品 阿弥陀如来印仏』。ハンコで連打された仏画。最後にこんな逸品を入れてくるのがニクい。本当に満ち溢るる展示でした。

そして予定の面から駆け足で観たのですがなら仏像館と青銅器館もなかなかのいい品がいっぱいあって。中でも仏像館はかなりマストかと。

その後法隆寺へ行きまして。近鉄奈良駅からJR奈良駅まで結構あったけど、JR奈良駅の駅舎がモダン寺院って感じでなかなか良かったです。
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法隆寺着。もう随分前、初めて訪れた時はもう暗く、法隆寺は閉まってしまっていて何故か山門前で『人間発電所』を吟じた記憶がw修学旅行生が沢山。引率の若い先生の方が生徒より年近くなったなーwもうバスガイドのお姉さんの年は超えてるwとあの頃からの時の経過を感じました。
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法隆寺の宝物殿では鎌倉時代の快慶の仏像とは異なる、奈良・飛鳥の真一文字の目の仏たちをみれて嬉しかった。中でもスラリと伸びた観音菩薩像をみれたのはとびきりでした。他にも教科書で有名な聖徳太子の絵があったり舞楽の太鼓も。夢殿もみれ、塔に配置されている仏像たちも枯れた厳しい顔でまた良かった。法隆寺は聖徳宗の総本山なのですね。
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おまけ1, 台北and宮古島に続いてぶらり旅先マンホールハント。鹿と吉野の桜かな?
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おまけ2, 近鉄奈良駅などで押されていた奈良のキャラクターを。せんとくん…w
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Extra Track
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奈良から京都へ向かい、神宮丸太町駅で降りてMeditationsへ探訪しにいきました。このお店のサイトはよくみていて、是非一度店舗に訪れてみたくて。陽光射す店内にはお香が販売されていたりいい雰囲気。フィールドレコーディングなんかがこんなにあるのはいいなぁ◎せっかく実店舗きたしこんな機会でないと買わなそうなものをと考え、Highly Recommendされていたガムランのカセットテープを買いました。

Extra Track2
電車の中吊りでみかけた志摩スペイン村のスチームパンクなジェットコースターが面白そうでした。


Extra Track3
RHYMESTER-人間発電所(cover)


cf.
Nara古代路 I. 正倉院展 at 奈良国立博物館

Nara古代路 II. 東大寺、正倉院
Nara古代路 III. 橿原神宮、大阪、帰路

吉野の山桜 晩春爛漫
# by wavesll | 2017-05-15 00:09 | 展覧会 | Comments(0)

茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 & 東京国立近代美術館常設展

近美に茶碗の中の宇宙:樂家一子相伝の芸術展をみにいきました。
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壮烈な魅力を放つ展示でした!凄まじく好い!最初の土の素の黒に“渋すぎたか”と思ったのですが途中で黒い無から揺らぎが生まれ、火星や星雲が…!当代の作品はアブストラクトミュージック好きにはMust!!!

DJ Krush - Kemuri


DJ krush - Strictly Turntablized (full album)


樂家のルーツは中国にあり、初代長次郎の父は阿米也という人とのこと。赤樂茶碗 銘 二郎坊の赤に黒が一滴。黒樂茶碗 万代屋黒の何の作為も感じさせない黒、黒樂茶碗 銘 シコロヒキの土の貌。千利休が所持した黒樂茶碗 銘 本覚坊も素晴らしい。

田中宗慶の香炉釉阿古陀形菊文水指の白の割れ、二代、常慶の黒樂茶碗 銘 不是の黒、香炉釉井戸形茶碗の金継の割れ。ただ一周目のここまでの感想は「ちょっと渋地味すぎたかも…」でした。

しかし三代 道入を契機に宇宙以前の無の時空からゆらぎが生まれたのを感じて。黒樂茶碗 銘 木下の光沢、黒樂茶碗 銘 青山のホイップクリームの一泡のような黒、黒樂茶碗 銘 升の四角いカタチ。赤樂茶碗 銘 鵺なんかはアブストラクトだし、赤樂茶碗 銘 寒菊の赤黒白。赤樂茶碗 銘 僧正には四角い意匠が。そして二彩鶴首花入れのコスタリカの密林のような緑。

本阿弥光悦も樂家とつながりがあり、光悦の作品もありました。黒樂茶碗 銘 村雲の漆黒、黒樂茶碗 銘 雨雲や白樂茶碗 銘 冠雪といった見立や、飴釉樂茶碗 銘 紙屋のまさに赤い星雲や赤樂茶碗 銘 乙御前の溶けた火星のようなフォルムに、"あぁ本阿弥光悦は茶碗でコスモのヴィジョンを顕わしてる"と想いました。

樂家とも縁者である尾形乾山の銹絵染付松図茶碗は樂家の中ではかなり異彩を放ってました。メタリックというか。

四代 一入は樵之絵黒樂茶碗 銘 山里で木こりのプリミティヴな人物画を入れたり、赤樂茶碗 銘 つるし柿も面白かった。樂家は結構獅子の焼き物を残しているのですが四代 一入の赤樂獅子香炉と五代
宗入の黒樂獅子香炉、良い顔してました。

五代 宗入だと黒樂茶碗 銘 梅衣、黒樂茶碗 銘 亀毛、赤樂茶碗 銘 海原が良かった。六代 左入の赤樂茶碗 銘 毘沙門の赤い罅、七代 長入の赤樂茶碗の濃紅の影、八代 得入の亀之絵黒樂茶碗 銘 萬代の友の意匠も良かった。

九代 了入の黒樂茶碗 銘 巖の金属削り出しのようなフォルム。白樂筒茶碗もアブストラクトなブランでした。十代 旦入には富士山が描かれた不二之絵黒樂茶碗という品も。

十一代 慶入の黒樂茶碗 銘 入船の薄さ、ゆがみの妙。貝貼浮文白樂茶碗 銘 潮干の茶碗の内部には貝が。この展示、茶碗の底をのぞき込むと中々に面白いですよ。

十二代 弘入の八角形な円の赤樂茶碗 家祖年忌や黒樂茶碗 銘 羅漢。十三代 惺入には紅白の花が描かれた黒樂茶碗 銘 八千代 追銘 花筵という作品も。八景絵象耳花入れというのも面白かった。

十四代 覚入の黒樂茶碗 銘 林鐘の黄色が美しい。富士之絵黒樂茶碗 銘 晨明の斜めに流れるM形の山、赤樂茶碗 銘 樹映は真っ赤なバックにダンスの足のような木々が。赤樂茶碗 銘 杉木立もほんと木立でした。色釉流水赤樂平茶碗 銘 綵衣の赤白緑黒も魅力的だったし、赤樂茶碗 銘 笑尉も抽象的で良かった。角がついた貝の形をした真砂釉栄螺水指なんてのも。

そして当代 吉左衛門。イタリア留学もした吉左衛門氏の作品は黒樂茶碗 銘 三星在隅など色味が現代的。そして次期十六代である篤人氏の黒樂茶碗と赤樂茶碗も現代的なツヤでした。

ここまででもかなりの良さだったのですが、次の部屋の吉左衛門による焼貫黒樂茶碗のシリーズが物凄すぎて頭がパンクしそうになりながらみました。沸騰しかけたw一言コメント付きで一部をご紹介します。

焼貫黒樂茶碗 銘 月朧明 HIPHOPグラフィティのような枝垂れ感
焼貫黒樂茶碗 銘 白駱 これも黒が好い
焼貫黒樂茶碗 銘 翺翔天際 ペンタブラックのような黒
焼貫黒樂茶碗 銘 暘谷 赤一閃
焼貫黒樂筒茶碗 銘 我歌月徘徊 U字の意匠がモダン
焼貫黒樂茶碗 銘 砕動風鬼 メタリカ
焼貫黒樂茶碗 銘 吹馬 大胆な馬の流れ
焼貫黒樂茶碗 銘 女媧 渋い抹茶色
焼貫黒樂茶碗 銘 峨々幽晦 黒きこと他になく山の如く孤生して固の雄たらん toeみたいな域へw
シリーズ 夜の航海 焼貫黒樂茶碗 銘 桂舟 椀の舟
涔雲に浮かんでI 焼貫黒樂茶碗 銘 涔雲は風を涵して谷間を巡る 悠々雲は濃藍の洸気を集めて浮上し 天空
涔雲に浮かんでII 焼貫黒樂茶碗 銘 黒銅の雲は陰気を胎んでゆるり降下する ゆらなびく雲旗をおしたて 天空
巌上に濡洸ありIII 焼貫黒樂茶碗 銘 巌裂は苔の露路 老いの根を嚙み 海の原
巌上に濡洸ありIV 焼貫黒樂茶碗 銘 幾条もの洸の道を雲根に刻む アマゾン
巌上に濡洸ありV 焼貫黒樂筒茶碗 銘 ここに到り洸得るあるがごとく輝かずして諸物を明かす 液体的なまことの椀
焼貫黒樂茶碗 銘 一犂雨 苛烈な美
焼貫黒樂茶碗 銘 瞪目視霄漢 真のシック
焼貫黒樂茶碗 山・雲・雪

さて、このハイヴォリュームな展覧会も終盤ですが、ここで新しい概念、焼貫茶入が。この"石ころのイデア"のような造形には惚れこまされました。焼貫茶入 銘 青鷹や焼貫茶入 銘 蓑笠、焼貫茶入 銘 縞青なんかはジーンズっぽさも。焼貫茶入 銘 乾闥婆や焼貫茶入 銘 青鸞はまさに石。焼貫茶入 銘 迦楼羅、最上の石ころ。

焼貫水指はオーパーツのようでした。フランス焼締象脚花入 銘 普賢も象の足のような面白い作品。フランス RAKU茶碗の現代性さ。シリーズ 盌 African Dream 銘 大地の朝の繁殖性、シリーズ 盌
African Dream 銘 精霊の炎のマーブル、最後の焼貫黒樂茶碗の黒金の美。最高の展覧会でした。

そして常設展も充実していました!長次郎と吉左衛門の茶碗をノイズ映像化した作品なんかもあってこちらも必見ですよ!日曜美術館でみた作家がバンバン出てきて、かなりテンションが上がりました。中でも藤田嗣治は圧巻。そしてみれてよかったのが長谷川利行。彼の絵は生で見ると魅力が前回になりますね。

撮影した名画たちをシェア。時間の関係で行けなかったけれど特別展を買うと常設に加え工芸館もみれるし、一日中いれますね。

和田三造 南風
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加山又造 春秋波濤
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古賀春江 海
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靉光 眼のある風景
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安井曽太郎 金蓉
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須田国太郎 書斎
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梅原龍三郎 浅間
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原田直次郎 騎龍観音
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徳岡神泉 椿
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徳岡神泉 芥子
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吉田博 池畔の桜
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中村弘光 花下月影
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辻永 椿と仔山羊
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岸田劉生 道路と土手と塀(切通之写生)
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高村光太郎 手
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富本憲吉 登科壺図
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石井柏亭 木場
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山本鼎 房州の海
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山本鼎 ブルターニュの小湾
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山本鼎 ブルトンヌ
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アンリ・ルソー 第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神
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ジャン(ハンス)・アルプ 地中海群像
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ジョゼフ・コーネル ウィーンパンの店
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ジョージア・オキーフ タチアオイの白と緑ーペダーナル山の見える
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アンリ・ミショー メスカリン素描
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アンリ・ミショー ムーヴマン
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イヴ・タンギー 聾者の耳
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ジョアン・ミロ 絵画詩(おお!あの人やっちゃったのね)
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ハンス・リヒター 色のオーケストレーション
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ワシリー・カンディンスキー 全体
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パウル・クレー 花ひらく木をめぐる抽象
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パブロ・ピカソ ラ・ガループの海水浴場
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ジョルジュ・ブラック 女のトルソ
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藤田嗣治 パリ風景
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藤田嗣治 自画像
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藤田嗣治 五人の裸婦
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藤田嗣治 アッツ島玉砕
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藤田嗣治 サイパン島同胞臣節を全うす
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藤田嗣治 少女
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藤田嗣治 動物宴
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ナターリア・ゴンチャローヴァ スペイン女
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佐伯祐三 パリ雪景
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菅井汲 低い雲
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白髪一雄 天慧星拚命三郎(水滸伝豪傑の内)
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ピエール・スーラージュ 絵画 1976年3月4日
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李禹煥 風と共に
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植田正治 少女四態
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植田正治 少女たち
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植田正治 小狐登場
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植田正治 カコとミミの世界
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植田正治 カコ
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植田正治 パパとママと子供たち
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植田正治 パパとママと子供たち
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植田正治 ボクのわたしのお母さん
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植田正治 風船をもった自画像
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植田正治 妻のいる砂丘風景(II)
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植田正治 妻のいる砂丘風景(III)
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植田正治 砂丘群像
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植田正治 砂丘群像
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植田正治 砂丘群像
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植田正治 モデルとゲイジュツ寫眞家たち
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伊東深水 「現代美人集第一輯」より潮干狩り、湯の香
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伊東深水 「現代美人集第一輯」より五月雨、水 「現代美人集第二輯」より吹雪
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山川秀峰 「婦女四題」より3. 赤い襟、4. たそがれ
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山川秀峰 「婦女四題」より1. 秋、2. 雪もよひ
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川崎小虎 萠出づる春
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上村松園 母子
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梶原緋佐子 花
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鏑木清方 木場の春雨
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鏑木清方 晩涼
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寺島紫明 三人
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伊東深水 聞香
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長谷川敏行 ガイコツと瓶のある静物(頭蓋骨のある静物)
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長谷川利行 カフェ・パウリスタ
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長谷川利行 岸田国士像
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長谷川利行 タンク街道
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長谷川利行 鉄工場の裏
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長谷川利行 ノアノアの女
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長谷川利行 新宿風景
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織田一磨 「画集新宿」より 武蔵野館
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木村荘八 新宿駅
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舟越保武 原の城
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柳原義達 犬の唄
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向井良吉 蟻の城
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三木富雄 EAR
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菅木志雄 止空散様
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斎藤義重 反対称正方形No.1, No.2
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菅野聖子 作品
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モーリス・ルイス No End
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大竹伸朗 Torso and Guitar
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大竹伸朗 網膜(ワイヤー・ホライズン、タンジェ)
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奈良美智 Harmless Kitty
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石田徹也 無題
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石田徹也 無題
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広川泰士 「BABEL Ordinary Landscape」より東京都新宿区 2006年8月
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村上友晴 無題
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山口長男 竝
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松江泰治 JP-01 Moere
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ジュリアン・オピー 「日本八景」より国道五十二号線から南部橋をのぞむ
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Twitterで話題になってる竹橋駅のアレも撮りましたw写真撮るのに夢中になっちゃったからもう一回常設展を今度は工芸館と一緒に愉しみに来てもいいな。
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# by wavesll | 2017-05-13 07:31 | 展覧会 | Comments(0)

阿佐ヶ谷アンデパンダン+α

阿佐ヶ谷アニメストリートにて催されていた展覧会をみてきました。

面白いの沢山。中でもりぷかさんのはスパンコールとか散りばめられてて“おっ!”と思いました。
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こちらはタカウチミユウさんの作品。肉が比喩的に。モノクロで画かれることで肉が肉ならざるモノにズレる面白さもありました。鉛筆削りの物干し棹に吊るされる肉が面白かった。
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そして会場へ行くまでの間に普通の家の壁に絵が描かれていたのに遭遇。アートフォレストウォールといって障碍者の方々との作品だそう。
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阿佐ヶ谷アニメストリートには声優の卵が働くSHIROBAKOというカフェがあったり。爆笑問題の地元という意識しかなかったけど、中々に面白い土地でした。
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# by wavesll | 2017-05-13 02:29 | 展覧会 | Comments(0)

우효(OOHYO) _ 청춘(Youth) (DAY)

[MV] 우효(OOHYO) _ 청춘(Youth) (DAY)


ラブサマちゃんがtweet
OOHYOばかり聴いてる 韓国の作詞作曲アレンジ、トラックメイク、アートワークまでやっちゃう若い女の人 声が綺麗すぎる 曲が凄すぎる 聴いて…

と紹介していた우효(OOHYO)が素晴らしくて。

天使のような声とでも言うか、曲もいいし。このベーネさはZion.T以来かも。



去年渋谷タワレコでみたイ・ラン (이랑)も良かったし、「ヘル朝鮮」と自嘲しながらもユースな音は裏腹に耀きを放ちますね。ヘルにおけるヘヴンという意味では日本の90年代の音楽シーンと状況が近いものがあるのかな。

アイドル以外のインディーミュージックも隆盛になってくるとちょっと凄い。韓国人のエレクトロニクスの感性、好きだなぁ。

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# by wavesll | 2017-05-12 06:20 | Sound Gem | Comments(0)

Azymuth Boiler Room Dekmantel São Paulo Live Set

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Azymuth Boiler Room Dekmantel São Paulo Live Set (soundcloud)


夜を使い果たして、街に射す名残を昇華するようなAzymuthの鼓動、

2017年の通奏低音はAORな気がします。朝が来るまで終わることのないダンスを。今夜、土曜の未明を過ごす青色街に棲む人へ。
# by wavesll | 2017-05-12 04:36 | Sound Gem | Comments(0)

James Brown Live At The Apollo 1972 Lyn Collins Think About It

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James Brown Live At The Apollo 1972 Lyn Collins Think About It


おあ!mjk! この音源あるんだと嬉しい驚きだったのがコレ。確か去年か一昨年のレコード・ストア・デイの限定商品のはず。

吉田兼好センセイも「レアモノをやたらと有難がるな」と言ってますが、こういう良質なものはCDで通常販売するか、せめて配信で出してほしいなぁ。

ただ、こうしてエクスクルーシヴ化しないと、今はただでさえ"音楽を購入する事”への動機づけが薄い時代だから所有欲を湧かせづらいのかもしれませんね。優越感の持たせ方というか。私やUL主のようにシェア欲のある人もいるだろうし、音源の売り方は実験の最中なのだろうなと思います。

Lyn Collinsのとびきりのヴォーカルが素晴らしい。この高テンションは必聴。

最高にご機嫌なこのライヴ盤の音源、Youtubeにもう一曲あったのでLinkしておきます。
# by wavesll | 2017-05-12 00:43 | Sound Gem | Comments(0)

一周目、二周目そして三周目の人生、旅、音楽

Okada Takuro / Ur (soundcloud link)

ティピカルな挿話1.
SpotifyでAt the Drive-InとSlowdiveの新譜を聴いて、"あぁ、ROCKの音だなと想。

ティピカルな挿話2.
テレ朝の"あいつ、今何してる"の番組予告で芸能人が「なんでみんなそんなにドラマがあるんだ」と言うのに逆にびっくりする。

本論
良くある話で、学生が終わると(新しい)音楽を聴かなくなる、なんてものがあります。

原因は幾つか考えられて、まずは仕事が忙しくなって音楽に割く時間がなくなる。二つ目は友達との遊びがなくなることで、カラオケやダベリといった"コミュニケーションの為の音楽聴取需要"が消える。

ただ、私として推したいのは"リスニングの一周目が大体その辺で終わるから説"で。

音楽に限った話ではないですが、何をみても"あぁアレとアレの掛け合わせね"とか、既視感に囚われる時期ってありませんか?そして今までも聴いていた音楽も段々刺激が麻痺・逓減して、ぶっちゃけてしまうと飽きが来る。そこに上に挙げたような要因が被さり、音楽から気が離れていくことはあるのではないでしょうか?

私自身の"一周目"の話をすると、いつ初めて音楽を意識したかはもう覚えてないのですが、最初に買ったCDはアルバムではハチャトゥリャンの『剣の舞』、シングルではサザンの『愛の言霊』だと想います。丁度小学校高学年くらい。

そこから中学でブルハ、ブランキー、ミッシェルに心酔し、ゆずやDAなんかも聴いてました。そして椎名林檎にもガン嵌り。林檎の艶いグラビアをみるためでもないけれど、一時期はロキノンジャパンなんかも買って。

RIJFは高2の時に2001年のバンプがトップバッターの日に行きました。トリをDAと迷った挙句『スクリューボールコメディー』がフェイバリットだったためレイクのソウルフラワーユニオンで心引き摺られながら「ええじゃないか」でタコ踊りしたのはいい思い出。

高校の頃は誰の目も気にせず"クズクラブ"みたいなのを作って、寧ろ真面目側で伸び伸びやっていた所が、大学では本当に人間的に良くできた人たちに囲まれ、"〇〇君って個性的で面白いね"と言われ、面白キャラに開花、けれど大きな挫折も味わって鬱に追い込まれ、復帰後はますます"ダメ人間道・不真面目道"を突き進む様に。

そのあたりで聴いていたのはフィッシュマンズでした。丁度リユニオンがあって『空中』『宇宙』が出たのもあるけれども、佐藤さんの言葉、サウンドが琴線に触れて。それと共にROVOを聴いたり、ワールドミュージック、特にガムランやブルガリアンヴォイスなんかを聴いたり、当時流行りだった"DJ目線で選ぶJAZZ"なんかを聴いたりしていました。銀杏やシロップも聴いたなぁ。

音楽を選ぶことは自分という人間を表明する事でした。高校の洋楽に詳しい連中と差別化するためにワールド系を聴いたり、或いは大学では仲間内で自己ブランディングの為に"ロック道"を深めたのかもしれません。

mixiなんかで自分の日記の本文の前に好きな邦楽の歌詞を乗っけて先輩から「お前の文章だけ読みたいのに邪魔だ」なんて言われて。当時は寧ろ自分の文章よりも自分の好きな音楽の歌詞を聴いてもらいたいくらいで。すっかりロックという正義の信奉者でした。

閑話休題、学生時代までは私は漫画を読みまくっていたのですが、そしてある時を境に漫画雑誌はグラビアくらいしかチェックしなくなってしまったのですが、マンガを読まなくなった方が現実のヒトの表情を読み取れるようになった気がします。

漫画はあまりに表情が分かりやすく演技づけられていて、その刺激に慣れると生身の人間の機微を捉えられなかったのかもしれないと今となっては想います。同様にあの頃はロックンローラーの言葉の強さに痺れていて、同期や先輩の言葉をちょっと馬鹿にしていたというか。もし今のネット環境におかれたらアスペルガー判定されていたように思います。

ロック思想が自分にフィットしていたのは価値基準の反転があったから。駄目で、下品で、頭悪くて、etcetc、そんなドブネズミみたいな状態こそが美しい。その倒錯を邁進していたものですから、全くモテませんでした。

当時のサークルでの人間関係において己を道化として扱っていた分、ますます音楽で誇りのバランスを取ろうとしていた自分。鬱から脱するときに行った初めての海外、北京旅行で旅に目覚めて。まぁその前に幽霊部員だった別のサークルで北海道自転車旅行なんかもやっていたのですが、音楽と旅が自分のアイデンティティになった気がします。

そして音楽や旅の話を思いっきりぶつけられる友人は(本当はいたかもしれなかったけれど)その時はいなく感じて。寧ろ変人的なポジションになるというか、だんだん「最高だな」と嘯いても上滑りしていきました。

そして就職したはいいものの思いもよらずまたしても鬱で潰れ、人生最悪の時というか、死を考えるちょっと不味いレベルの一時期を過ごしました。

底で「自分は本当に死にたいならば死んでいる。生きたいから生きているのだ。結局のところ今までの自分の人生ひっくるめて、全ての事は自分が全部勘案した上でやりたいことしかやっていなかったのだ」と言うバーサク状態で復活。実際にはストレス源だった会社を正式に退社したのが大きかったと想います。

その状態でmixiへ舞い戻ると皆何も書かなくなっていました。今考えれば会社のしがらみとかもあったかもしれないし、書く時間もなかったかもしれないし、それほど書きたいこともなかったのかもしれません。そこで愚かな私は「あぁ皆鬱ならば、鬱屈した資本主義を全否定してやろう」と大暴れ。

「資本主義の豚が!」とか暴言吐いておいていいねが貰えないことに逆ギレして。寧ろ当時ニートだったお前の方が資本主義の豚だろという。

とは言え図らずも"あぁ、自分はあれだけ大学時代に活動に付き合っていても、『そうしたいことなんだな』と想われただけで、異論を唱えた時『普通に』否定されるのだな"と。今現在の視点から考えれば本当に甘ちゃんな話だなと思うのですが、オウム真理教を脱会した人間の様に憎悪に駆られました。

そんなこともあって、仲間とも疎遠になり。頭が冷えると大きな罪悪感にやられ、「自分の人生は何も与得るものがなく害を撒き散らしただけだった」と自己否定感に覆われ。そこから就職したり、気持ちを晴らして再び旅へ出れるようになるまで、時の流れが必要となりました。

今はやりたくない事には(少なくともプライヴェートでは)"したい無理"でも関わらない姿勢でやりたいように等身大でやっています。只まぁ昔からそうですが脇が甘くて。こんな記事書いちゃうのも危ういとは想うのですが。ただ、ここまで明白に書かないと続きの話に繋がらないかもしれず。

そんな形で大いなる失意から自己否定する中で、先ほど述べたように漫画をあまり読まなくなったり、ロックの言葉を聴くのが辛くなったりしていったのでした。こんな経緯を辿る人間はなかなかにいないとは思いますが、20代も半ばになると青臭い言葉が性に合わなくなってくる人は結構いるのではないかと思います。

それでも大学時代後半に邦楽ロックから少し脱していたのもあって、ワールドミュージックやジャズ、レアグルーヴからファンクへ進んだ自分は2012年にジャミロクワイ目当てでサマソニへ初めて行き、いわゆる"洋楽シーン"へ遅蒔きながら入るようになりました。

2周目の音楽は、インストゥルメンタルだったり、歌があっても外国語で意味はダイレクトに分からなかったりするために、"いかにサウンドとして面白いか"が胆となりました。その時の自分にとっての新しさ。最終的にはノイズやフィールドレコーディング、南米音楽あたりを好んで聴くようになりました。

ここまで行くと、もはや”自分の好きな音楽は誰にとっても好かれる”という妄信は流石にしなくなって。

時代の趨勢でも音楽市場が落ち目になって。思い返してみれば大学の頃だって「良い音楽を聴いてるから好かれる」ことはなく、"どうせわからんだろう"という考えてみれば失礼な諦念で生活していたのですが、世間的にも"音楽は時代を映す共通言語"という鏡ではなくなっていったように思います。

しかし、Webの繋がりの中で寧ろ今までの人生でないほどリスナー仲間が出来る様になりました。勿論、聴いている音の趣味は違えど、ミュージックフリークであることは伝わってきて。

同質性がないことがわかっている"他者"という距離感が寧ろ好いのだと想います。あまりに狭い関係だと軋轢が生まれてしまう。"同じでないことが分かっている関係"の居心地の良さは、海外で言語の意思疎通レベルが低いからこそ仲良くなれるあの感覚にも通じる気がします。

衣食住足りて礼節を知るというか、貧すれば鈍すというか、攻撃的に荒む事と自己尊厳が低い事は有意の相関があり、暴走している人間にこそ愛と敬意のある対処が要るけれども、そういう人間は不快で憎みやすく、事は難しいものです。

敬愛する人から「君は暴言を吐いたり何かを貶さなくてもいい位、私にとって価値のある人間なのだ」と認められることが、どれだけの憎悪をネガポジ反転できるか。

問題はいわゆる"普通の人"だってそこまで余裕ある人生を送っている訳ではない点で。未熟でも"理想的な先達、倫理"を装っていることが、(必要なことかもしれませんが)やはり無理があるのではと想います。しかし何より憎悪は基本的には甘えの一種で。己の価値を落します。逆に敬愛のコミュニケーションがいかに自尊心をもたらしてくれるか。

話したい話を遠慮なくコアに放れ、時に反応もある。私にとってWebとの、そして大切な人との出逢いは僥倖でした。

と、告白録をここまで書いてきました。一時期は旅をしている時しか生きている感覚がないほどでしたが、今、普段の生活にも満たされ、旅はボーナスステージ的な、以前より日常に近い事象となりました。ある意味旅が二周目になったのかもしれません。

逆に音楽は二周目を終えて三周目になってきている気もします。

”音の新しさ”は勿論大きな魅力の因子だけれども、そもそもBJCに嵌ったとき"新しさ"を意識して聴いていたわけではありませんでした。音楽を音楽として、イデオロギーから解き放たれて聴けるようになりつつある気がします。完全に3周目に離陸するにはまだで、今はエレクトロニクスの新しさとクラシックの瑞々しさに蠱惑されていますがROCKにもJulian Casablancas and The Voidz - Tyrannyやex森は生きているなど昂奮する音源は現在もあります。

そして人生は一周きり。最近、昔の記事に載せていた音楽の歌詞を幾つか消したりしています。このブログは12年前の当初個人ニュースサイトだったのですが、6年前くらいに羅列ニュース記事をかなり消して自分の記事を残して、そして今歌詞への依存も減らして。徐々に己で書く比率を増やしている流れです。

6年後は何かをアテに書くこともなくなるかもしれません。そして12年後は何も書かなくなるかも。最近思うのはメディアに載るものしか観測することは難しいけれども、メディアに載らない世界の方が遥かに深く広いということ。

自分から誇示せずとも豊饒の人生を送る人は夥しく存在するし、アノニマスな芥は兎も角、承認欲求、コミュニケーション欲、自己顕示欲からの解脱はもしかしたら自分の身にも起こるかもしれないということ。

未来には期待と不安が綯交ぜですが、不惑の頃の自分がより善く生きていられるように精進を積んでいけたらと想います。

誰かの撮った写真の場所をみる旅のようなものでなく、第一運動として未踏な実験が行えるような、そして愛情が満ちる。そんな日々を送れたら最高だと想います。

cf.
本音2.0

(失っていたとみられた)ゼロ年代邦楽ベストと現在の都市インディー

Egberto Gismonti - Palhaço

# by wavesll | 2017-05-11 01:16 | 私信 | Comments(0)