青い座禅、縁は流転する ZAZEN BOYS - MATSURI SESSION 2・26 2004 TOKYO

ZAZEN BOYS - MATSURI SESSION 2・26 2004 TOKYO [Album] [2004]


"おお!コレYoutubeにあんのか!"と想ったのがザゼンボーイズのライヴ盤、MATSURI SESSION。
特にこの青盤は『KIMOCHI』といいエモさ全開で、当時は「ZAZENはスタジオ盤よりライヴ盤の方が断然いいな」と想っていました。

私は高校時代はナンバガを背伸びして聴いてた人間で。それこそ『サッポロ OMOIDE IN MY HEAD 状態』を今は無き横浜モアーズのタワレコで聴いて鳥肌立った辺りから本意気で惚れこんでいって。

そこからするとZAZENのスタジオ盤はナンバガが持っていたエモさが減った気がしたというか。ようやくナンバガを追っかけていた当時の私にはまた精神年齢が高くモードチェンジしていたのだと想います。

それでもLIVEでみると座禅は最高で。そしてこのライヴ盤も、今聴き返すと「向井、青いなー!!!!」と想います。バリアオハルじゃねえかと。

Miles Davis - Kind of Blueに一杯の水 第100回酒と小皿と音楽婚礼Fela Kuti - Zombie X Firestone Union Jack IPA 朱夏は此の道 第101回酒と小皿と音楽婚礼にもしたためたことなのですが、ここ2,3年で自分の中で心身のModeが変わりつつある気がして。

どうにも30を越えた辺りから関係性の中の立ち位置が少しばかり変わりつつあるというか、それまでは<評価される/可愛がられる>立場だったのが<評価する/可愛がる>立場になることもしばしば起きてきたというか。

人の上に立てる器の人間ではないこんな自分に、信頼を寄せ頼って呉れる人ができて。そして自分自身としても、ある程度己を信じられるようにもなって。人間関係が精神年齢を進めると実感しています。

相変わらず浮わついた渡世をしているのはいなめないのですが、旅してる時しか生きてる気がしなかった頃より、詩画音楽というレイヤーで心身を満たせるようになってきている己は、案外好きです。

そして完全に意外だったのは必至でボケを考えてた頃よりある程度シリアス気味にネタをやるようにした方がウケがいいということw

みんながツッコミ目指すと揚げ足取りの地獄みたいな世の中になって、実際に今メディア上の語り口がプロもアマチュアもどんどん性格悪くなって自意識過敏な世になってる気もします。

私個人は人生をネタにかけ道化を演じる若人は俄然応援したいところではあるし、連中は楽してるぜ、同時にあいつらも大変ではあるとも伝えたい。

承認欲求を求めてもいいし、みなに好かれなくてもいいし、全てに肯定的でなくていいというエントリにも書きましたが、Webコミュニケーションを追いかけるだけで可処分時間は足りない現状。

その上、古典の名著、グッドミュージック・アーカイヴ、日々のTV/Radio etcetc、幾らでも楽しませてくれる人たちがいる。

今はそんな気脈が通じるままに、来るもの拒まず去る者追わずと明きらめるのも縁かと想えたのも自分の中では大きな気持ちの変化でした。評価されるのを欲すというより評価する側にもなる変化の一つで。

バンドのMagicは確かに存在するけれども、向井秀徳はとてもいい気脈で縁を引き寄せてきたと想います。このライヴ盤のメンバーからアヒトイナザワもひなっちも抜けていくけれど、座禅は強靭に続いていく。

"ずっとこのBANDが続く"ことは叶わない先に、新しい景色が。

縁は流転するのを悟るのも大人の階段かなんて想う文月の23:49、繰り返される諸行は無常、蘇る性的衝動…。
# by wavesll | 2017-07-11 23:49 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

Omar Rodríguez-López - Cell Phone Bikini

Omar Rodríguez-López - Cell Phone Bikini [Full Album]


釜茹でされるような暑さでいかれちまった日は、Chillが底流にありながら楽団の静かな狂気を湛えた音が炎節を醒ましていくようなこんな音楽をかけてウォーターベットに倒れ込みたい。
# by wavesll | 2017-07-11 20:07 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

Fela Kuti - Zombie X Firestone Union Jack IPA 朱夏は此の道 第101回酒と小皿と音楽婚礼

Fela Kuti - Zombie [Full Album]

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今年の初泳ぎは元町プールでした。

週末のわいわい賑わう元町プール。木立の中で落ち着いたプールもいいけれど、こういう騒やかなのも良いですね。入墨の侠っさん達がかなりいたけれど、今年からはTバックが禁止だそうで。元町プールと言えば刺青とオッサンTバックだったのですが、時代は移るもの哉。

午前中泳いで、さっぱりしてUnionで弁当買って家で昼。最高な流れ◎

こううだる中に涼を与えて呉れる音楽もいいけれど、気持ちよく熱に酔うのも一興。

Fela Kutiはその感覚にうってつけ。
Miles Davis - Kind of Blueの時も画きましたが、この名盤も最近良さが直撃するようになった盤で。新たなロールモデルは此のマッシヴさだなと。

青春の靑を越えていくにはこの肉体性が道標になってくれる気がします。今年は體を鍛えたい。出来るだけ泳ごうと想う處。

それに合わせるはFIRESTONE UNION JACK IPA, 匂いたつアロマ、良い珈琲の基準が酸味に感じるように、最近はいい麦酒のクライテリアが香りに想うようになりました。

このアロマが加わることで『Zombie』の音が新たなディメンションに廣がる感覚があります。MassiveでAromafulな朱夏を重ねていきたい、そんな思いをアフロ・ビートの熱情に湧かして。
# by wavesll | 2017-07-10 19:54 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)

街遊びの中に銭湯をいれるとシマル

先日高円寺で古着屋巡りをした際、「今は祐天寺に古着屋が増えてるんですよ。」と聴き、友人と祐天寺界隈を歩きました。

その際、実は古着屋をみつけられなくてw
で、今日リベンジでまた歩きにいったら古着屋でガレージセールしていて。

なんでも祐天寺の古着屋は平日は17時から、土日は15時開店らしく、夜は25時までやるとか。
古着屋だけでなくかなりかっこいいセレクトショップなんかもあってとても良かった。

祐天寺、「祐天寺」という寺があることくらいしか知らなかったのですが、結構大きな教会もあったり、獺祭がかなり揃った酒屋さんが在ったり、クラシック系が豊富な中古レコードショップがあったり、古美味そうな風格のある中華料理屋があったり、ラムや日本酒が出る牡蠣小屋があったり、Cuteなコインランドリー、電鉄カレー屋、釣具屋、チャリ屋etc etc..

最近、昔は日本一好きだった表参道が人が飽和し色褪せてダサく感じていたのに対して、祐天寺は洒落た店が住宅街の中に包まれて点在してるのもいい感じだと想いました。

友達と歩いたときはそのまま中目黒に流れて。UTみたいなインテリアのCOW BOOKSで良古書を漁り、Corneliusの息子がバイトしているというカセットテープ店、Waltzを物色、2つ星の鮨店で修業した職人が開いたフィッシュバーガー屋デリファシャスで西京焼きバーガーを食べたり、我ながら「シティボーイ崩れみたいな遊びしてんな」と想ったのですが、友が銭湯券があるから入ってかないかと。

中目黒に銭湯なんてあるんですね。メインストリートからそう離れてない目黒川側にあった銭湯でザブンしてきました。

これがまた気持ち良くて。この暑い中あるいてきたべたつきも取れるし、勿論疲れもすっきり。銭湯に入るとなんか若衆にでもなった気分というか、こんな街にもあるんだという意外性もあるし、街遊びに銭湯でザブンを組み入れるって存外にいいなと想った次第でした。

なんと表参道にも銭湯があるとかw街の新しい顔を知ったら、再び鮮やかに感じれるかもしれません。街遊びにザブン、お薦めです。

cf.
神宮前 素顔の渋谷区、GRAFFITTI

奥渋の次は奥原か? 知られざるモヤモヤエリア・奥原宿を歩く。
瑞穂埠頭 - みなとみらい
# by wavesll | 2017-07-09 22:24 | 街角 | Trackback | Comments(0)

上半期Best EP : Tempalay 『5曲』 粒子が流麗な、電子音楽好きにも響くテクスチャーのサウンド・グループ

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Tempalay - New York City(Official Video)


Tempalay - Austin Town(Official Video)


20170227 Tempalay /Austin Town @SHIBUYA duo


早いもので今年ももう下半期。あっという間に過ぎる光陰に驚愕させられながらも、時の流れと張り合うのは無理でも、遅々としてでも人生を前に進めていられるようにありたいものです。

さて、Webの音楽好きの間だと、年間ベストだけでなくて上半期ベスト何かもやるひとが多くて。最近BandcampやらSpotifyやらで結構新譜も聴けていたから私もしてみんとてするなろうかなとw

上半期Best Album : Jlin / Black Origami

上半期Best EP : Tempalay / 5曲


今年の前半は佳作が多くてアルバム選びは迷ったのですが、Gqomという新しさをポピュラリティを持った形で提示してくれたJlinのアルバムが一番気に入って、よく聴いていました。

ここ最近はバンドのロック・サウンドよりも電子音に心揺さぶられることが多くて。現在系JAZZもそうですが、サウンドの粒立ちが良く聴こえる音楽、というのが現行のモードな気がします。

そんな中でBest EPに選んだのはTempalay。このEP、めっちゃよくないですか?クラバーでもハマれる現在進行形な魅力を感じます。音のテクスチャーなのかなぁ、この魅力は。

マンホールから蒸気が昇るような冬のNYの情景を画いた『New York City』もいいのですが、何と言っても白眉は『Austin Town』!

去年の年間ベスト楽曲に選んで、生演奏も素晴らしかった毛玉 - ビバ!もそうだし人生No1に好きなEgberto Gismonti - Baião Malandroもそうなのですが、南米のパーカッシヴな粒子感覚のある音が大好物で。これは是非CDでオーディオで味わってほしい!(正直Youtubeの音質だと魅力が伝わり切らないと想います)

美味しい柑橘類の煮凝りのような、前菜的な綺羅めきとバンド・サウンドにやられましたねー。Tempalay、1stが出た時のライヴも良かったし、最初このEPのタイトルを『センス売ります』にしようとしたエピソードを聴いてもその不遜さも可愛げがあってみれるw今後とも愉しみなグループです。

ちなみに再発部門の一位は『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のリマスターで。これ、ヤバくないっすか!”サイケロックのめちゃくちゃいい若手バンドが出てきた”みたいな現在進行形の音を魅せられて。

Paul McCartney Live in Tokyo Dome 2017.4.27も半端ない多幸感だったけれどビートルズのマスターピースはやっぱり格が凄いなと驚嘆させられました。

また下半期も素晴らしい音楽Experienceに期待して〆。
# by wavesll | 2017-07-09 09:28 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

音楽歳時記 七夕 美空ひばり / 虹の彼方に

美空ひばり - Over The Rainbow
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お星さまに願うは、虹の橋でのデイトの夢。
ポピュラーミュージックを歌うと美空ひばりさんがいかに歌のマエストラか解ります。

今年だったら青もみじ七夕ライトアップでデートでもできたら最高ですね。

そして、恋人や音楽で湧いたその幸福を、苦難に遭っている九州の人達に何かの形で助力することでわけられたら。近年災害が夥しすぎて疲弊してしまうけれど、麻痺せずに少しばかり寄付したいし、一番搾り 熊本づくりのようなプロジェクトがまた起ち上がったら是非お金を払いたいです。
# by wavesll | 2017-07-07 19:07 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

Animals of Tammachi

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# by wavesll | 2017-07-07 18:04 | 街角 | Trackback | Comments(0)

承認欲求を求めてもいいし、みなに好かれなくてもいいし、全てに肯定的でなくていい

pokka pokka / Fishmans


NUMBER GIRL - I don't know (ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2002) LIVE


私は面と向かって相手の気分を害することを言うことが苦手で。その癖Webなんかだと駄々洩れさせたりとかして口ならぬキーボードから災いを招いたりしてしまって。空リプの誤配もあったり、結局陰口ですしね。

また、「分からないこと」が我慢ならなくて。人から何かを薦められたときなんかも、その時魅力が分からなくても”この人が薦めるものなのだから、きっといいものなのだろう”と期待値を込めて肯定的な返答をしたりしてしまいます。

その後魅力が分かった時に「最初は分かってなかったのだけれども魅力が分かった!」と興奮気味に伝えて、「何で最初分からなかったときにそう言わないのか」と言われたことがあって。

"そうか、期待値込みでポジティヴを装うのも、それが期待値で今は分かってないと伝えないと裏切りになるのか"と気づかされました。

そう想って振り返ると、世の人は"わからないこと"には寛容なのだなと。

相手の魅力が分からない内は最強というか、どんなに無礼な発言をしても罪悪感は感じないというか。”そもそも価値がないことを分かっているんだ”というスタンスかもしれません。

寧ろ”価値があるんだ”と力説することの方がみっともないことと想われている節があります。いわゆる「承認欲求叩き」なんかも相手が今ある評価に満足せずに承認をさらに求めることに対するいらだちというか。

ただ、そもそも承認欲求それ自体はマズローの欲求5段階説の中のタームで。ネガティヴな色はありません。

食欲・性欲・睡眠欲の生理的欲求、風雨や危険をしのげる安心な暮らしがしたい安全欲求、集団に属したり仲間を得て孤独から逃れる社会的欲求(帰属欲求)が満たされた人間が、次に求めるのが、他者から認められたい、尊敬されたいという尊厳欲求(承認欲求)です。

私も昔はコミュニケーション欲とでもいうか、分解すれば社会的欲求と承認欲求が欲しくて欲しくてクレクレ乞食な無様なこともやってしまって。Blogやmixiにコメントが付かないのに悩んだ時期もありました。

ただそれは狭い村社会に属していたから起きた問題で。Webの公海に出て、Twitterなんかで800人弱の人をフォローして、十数人の方々と良くやり取りをして、そこそこの頻度でいいねなんかが来て、たまに返信コメントが付いたりするとそれで結構満足する自分を発見します。

逆にこのTweetなんか830RTされて1500いいねとかされているんですが、正直言うと通知がひっきりなしに来る感覚で。数字だけだと自分の器では体感を越えているし、寧ろ体感するくらいのリアクションが来たら対応できないと。普通のTweetで3, 4いいねがつくくらいが一番いいというか。

ひとりの人間が親しくつながっていられる最大数は50人から150人程度だという説もありますが、現在のリアルとオンラインのコミュニケーション量で、社会欲求も承認欲求も飽和に近いなと。

そういった意味で、今は"他人にウケることを目的にしているではなく自分が読みたいことを書くためにWebをやってる"、なんてマズローでいえば自己実現欲めいたことを言えるのですが、これも4段階まで満たされたから言えることで。他者からの評価を得るために頑張るって至極真っ当な動機だと想います。

だいぶ話がそれました。元に戻すと、"わからない人間"を相手にするときは相当骨が折れるのが常だと覚悟するか、そもそものターゲットを絞るのが、生業にし数字を求めないなら有効な方策ということ。

”分かっている人相手”でも相当な人数が存在するし、可処分時間でコミュニケーションに割ける分なんかそれで埋まるのが、私は実際の処です。

また、"わからないコトはわからない/わかってはいない”と言うのが誠実だと。

昔の私は傲慢で、身近な人のいうことは何でも理解できて適切に面白さをこちらは判断できるのに周りはこちらの感性を理解しえないことが多いと驕っていました。

しかし、Webの大海に出て、自分自身が大切にしている分野でも先達はいくらでもいて、前は理解できなかったものでも時を経ると良さがわかることを知って。一方で自分自身の理解にも限界があることも知って。

面白く感じていないモノを、わざわざ声高に貶す必要はないけれど、おべんちゃらを無理に言うのも不誠実なのだと今は感じています。無知の知を知った上で、誠実に発言することの大事さを知りました。

こういうサイトを結構な頻度で更新したいと思うとついネタに妥協というか、本心でない褒めをやってしまいそうになります。

でも、金を得ているわけでもないインディーメディアなのだから、本当に書きたいものだけを書くことこそがレゾンデートルだよなと。昔の仲間には"どうせ分からないからぬるいことを言っておけばいい"と考えていましたが、自分で推すものは、誠の心をもって今は発言したいです。

それで読まれなかった時でも"これ読まないなんてもったいないことしてるなぁ"と想える水準を出すのが理想だと。

社会的欲求と承認欲求が満たされたから、自己実現を目指せる。案外私の欲求の器は無尽蔵でもありませんでした。

もしかしたらその先に、マズローが晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると唱えた「自己超越」という段階へ行ける時もあるのかもしれません。

”「目的の遂行・達成『だけ』を純粋に求める」という領域で、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭し、何かの課題や使命、職業や大切な仕事に貢献している状態”。なんだか読み切りの『ZETMAN』みたいな話ですね。

スピッツ / チェリー

# by wavesll | 2017-07-06 23:19 | 私信 | Trackback | Comments(0)

Estrada Orchestra / Jazzbeatjäätis 梅雨の蒸し暑さに轟風を

Estrada Orchestra / Jazzbeatjäätis (bandcamp)
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空梅雨だった今年もまとまった雨が降って。

水瓶が溜まればいいなとか、ようやくペトリコールという言葉を使えるぜとか思ったり。あんまり蒸し蒸しするのも閉口ですが、梅雨が梅雨らしくあるとどこか嬉しい思いもあったりします。長谷寺の紫陽花も綺麗でした。

とはいえ湿度を吹き飛ばしたい暑宵。そんな夜半に聴きたいのがこのエストニアのジャズファンクバンド、ESTRADA ORCHESTRA!

Disk Unionの呟きで知った此のコレクティヴ、硬軟織り交ぜた、しかし塊魂を効かせた音を鳴らしてくれます。梅雨の蒸した夜に風をもたらす好盤。

Bandcampで購入するのもありですが、日本盤だとボートラでlive音源が2曲入っていてそちらもいいですよ。個人的な聴き所はマッシヴなバンドサウンドにフルートが縦横無尽に駆ける「Garden Of Pleasures」ですかね◎

爽快な熱気に包まれる夜をお楽しみください。
# by wavesll | 2017-07-05 00:33 | Sound Gem | Trackback | Comments(0)

世界へ懸ける人、日本で懸ける人、この國の仕事観・労働社会環境へ思馳せるTV3番組

 山路を登りながら、こう考えた。

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。

 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

 越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。
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NHKBS1 柔道とJUDO~世界で進化する柔の道~を視ました。

現在、世界に広がるJUDO.

東京五輪無差別級で日本を破ったオランダのヘーシングも、世界選手権で日本を破ったフランス柔道も、戦後GHQに禁止され職にあぶれた柔道家が世界へ活路を見出した結果。

日本の閉鎖空間の中で牛後と燻るならば、海外で鶏口となった方が活きる。これには国内電機企業が不遇にした技術者が韓国へ行ったのを彷彿とさせられました。ヘーシングを鍛え技に力で勝つ柔道を作り上げた道上伯はその先駆けだったのだなと。

ロンドン五輪で金が獲れなかったのは世界各地でサンボやチダオバやモンゴル相撲など現地の格闘術が加味された新たな柔道が生まれていたから。

日本から飛び出した柔道指導者はフランス柔道育ての親である粟津正蔵をはじめとして個性教育を大事にするようです。コロンビアの女子選手を教える柔道家は「勝つことが恩返し」という。ワールドスタンダードになるとはこういう事。

それに対して日本柔道代表の井上康生監督は「異常な」レベルの鍛え方を目指して異種格闘も組み込みながら修業しています。先頭を走る伝統は革新をし続けなければならない、世界が追いかけてくる、追い越さんとするトップランナーの立場の厳しさがありました。

その後みた日曜美術館の萬鉄五郎回。藝大に首席で入学しながら、泥を被ってでも己の求める画業を突き詰めた芸術家。

当時先端だった後期印象派を追いかけてた頃は魅力をそこまで感じなかったのですが、故郷に帰り土に根差した辺りからオリジナリティーがぐんぐん出て。冒頭に載せた『裸婦(宝珠を持つ人)』など凄まじい域に達していました。

藝の道って、死ぬまで研ぎ続けることができる。黒田清輝展@東博を観た際も西洋列強に"坂の上の雲"を日本人は追いかけた感慨がありましたが、本当の個性は先端を越えた先の、心身の底からにじみ出てくる、人生そのものの藝で。

真似ぶことから研鑽は始まりながら、守破離の境地へ達した先に本当の藝術の開拓があるのだと。自分のアイデンティティと、その分野の先端の土地の技を合わせた美がそこにありました。

と、同時に日本ではこういう異端はかなり白眼視されたこともあったそうです。国外へ流出した柔道家たちに日本が脅かされることもそうですが、この國の全体主義的な"空気"が日本を弱めることにもつながるのではないか、そんなことを考えさせられました。

また地球規模でみれば、柔道が広がったこともそして逆に西洋絵画の技法が広まったのも人類の幸福量を上げたと想います。

そう思っていたところに、第26回FNSドキュメンタリー大賞 ノミネート作品 透明な外国人たち 彼らに支えられた街TOKYOは重く響きました。
東京で生活する中でよく見かける外国人労働者。そこにいることが当たり前になりすぎて、なのに、彼らのことを何一つ知らない……。彼らはまるで透明人間のように、“見えない存在”なのかもしれない。

中でも技能実習制度の外国人たちの職場は、日本の若者の働かない場所。彼らはなぜ日本に来て、どういう思いで生活しているのか? クリーニングと総菜製造。二つの現場で働くベトナム人を取材した。やがて一人が突然の失踪。再び巡り合った時、彼が語った失踪の理由は意外なものだった……。
経済格差を利用し、年収の数倍の費用を払って日本にやって来たアジアの人達を貧困に落とし込んで使役する仕組み。

番組の中で"大人になってもらわないと"という言葉がありましたが、現状の苦しさを耐え抜くことが大人なのだという"空気"は日本人自身もどん詰まりに疲弊させているのではないか。それを強く想わされました。

これからAI化によってホワイトカラーが減っていくと、肉体労働者の比率が上がっていくとしたら。そうした時ブルーカラーの待遇を良くするのではなく外国人とロボットと競わせ、奴隷人民層をつくるか。"社会を成り立たせる"って何でしょう。

トリクルダウンが虚妄だったことが暴かれた今、国際競争力を奴隷依存のダンピングでなくイノベーションと自由闊達な"人間原理"から"成り立たせられないか"。意思決定層がみている景色と、下で働く人たちがみている景色は違うかもしれないけれど。

この番組のナレーションはなんと向井秀徳だったのですが、覆面リサーチボス潜入みたいな試みが階層の架け橋な仕組みとしてあったら冷凍都市にもぬくもりが少し発生するのかな。。

少なくとも現状の風土を変えなければ、日本は海外の人から働くに魅力的な土地から外れていくと想います。

グローバル競争の中で個人として出来ることは何か?度量の大きな社会なんてのは実現が難しいこの自己責任な割にきりきりいわれる國内を相手に疲弊するのは得策ではなさそうか?世界規模にニッチを見出しオンリーワンになるまで道を究めるのも一策か?

『草枕』冒頭を心に標しながら、そんなことを考えました。


cf.
◆『欲望の資本主義2017 ルールが変わるとき』をみて

◆欲望の民主主義 世界の景色が変わる時をみて
◆三木清『人生論ノート』@100分de名著
◆『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読む
◆『嫌われる勇気』は読まずに、関連文書を読む ~自己欺瞞を超えて <アドラー心理学に触れて>
◆アダム・スミス 著, 山岡 洋一 訳 『国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究』 読書メモ
◆マット・リドレー 『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』 交易と創新による10万年の商業史
◆常に最大の効用生産性を発揮するのが幸福なのか -ザック・リンチ/ニューロ・ウォーズを読んで
◆『日本教の社会学』読書ノート1 日本は民主主義でも自由でもない
◆パリ白熱教室 トマ・ピケティ講義 第1回(dailymotion)
# by wavesll | 2017-07-04 20:34 | 私信 | Trackback | Comments(0)