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現代に蘇る『曽根崎心中』の"舞台裏" ー『杉本文楽』&『ちかえもん』

c0002171_2032898.jpg如月晦日、熱海へ紅白梅図屏風をみにいったのですが、展覧会が開かれたMOA美術館のリニューアルをディレクションし、自らの『海景』『月下紅白梅図』の作者でもある杉本博司さんが『曽根崎心中』を近松門左衛門のオリジナル版で上演したと聴いて。

是非みてみたいなぁと想っていたところ、DVDが出ているということで手に入れ鑑賞しました。
この『この世の名残 夜も名残 ~杉本博司が挑む「曾根崎心中」オリジナル~』、予想外にもメインはNHKの杉本の舞台製作を追ったドキュメント番組でした。ただ本編でも舞台本番映像があり、特典映像に30分強の舞台の様子が収録されておりました。

そもそも私が『曽根崎心中』に興味を持ったのは昨年にNHK木曜時代劇で放送された『ちかえもん』というドラマが契機で。

スランプに陥っていた近松門左衛門が大阪の街で起きた騒動に関わることで『曽根崎心中』を書き上げるまでをコメディタッチで描いたこの作品がとても面白かったのです。

実際に近松門左衛門が『曽根崎心中』のインスピレーションを得たという大坂堂島新地天満屋の女郎「はつ(本名妙、21歳)」と内本町醤油商平野屋の手代である「徳兵衛(25歳)」が西成郡曾根崎村の露天神の森で情死した事件を縦軸に様々な仕掛けがあるドラマで。

松尾スズキ演じる近松門左衛門が歌う昭和歌謡の替え歌がBGMで流れたり、アニメが挿入されるなど時代劇に馴染みがない人間でもとっつき易い演出と、松尾スズキや小池徹平等役者陣の好演、そして脚本の妙ががっちり嵌っていたのです。

"ちかえもん"のキャラクター造詣が、燻るアーティストで情けないオッサンというのが人間味にあふれていて。マンガ世代にも響くキャラクター性がありました。

私はスポーツを試合だけがっつり見続けるファンではないのですが、スポーツ漫画は大好きで。試合に至る人間模様には心打たれるタチでして。

『ちかえもん』は"創作の舞台裏"という点では『G戦場ヘヴンズドア』もかなり近いものがあるのですが、何よりもこの作品には『あしたのジョー』のような、"輝く表舞台の裏側のドラマ"が本当に見事に描かれていました。

さて、そんなこんなで『ちかえもん』を機に『曽根崎心中』に興味を持ったのですが、現在文楽で上演されているのは1950年代に復活したヴァージョンで、近松のオリジナル脚本ではないと。

そこにこの杉本曽根崎心中の話を聴いて。勇んでDVDをみたのですが、舞台製作のドキュメンタリーには大変興味深い"舞台の裏側のドラマ"が写されていました。

杉本さんにはちょっと複雑な気持ちも個人的にありまして。男の嫉妬は見苦しいですが、現代美術家全般に感じる"巧いことやりやがって感"とでもいうか、昨年の東京都写真美術館でのロスト・ヒューマン展でもコンセプトとそれを成し遂げる資本力は凄いけれども、実装はまだぬるいところがあるなぁと想ったり。

けれども流石写真の『仏の海』は本職仕事だったし、MOA美術館のディレクションも素晴らしくて。NYに拠点を置くことで"国際人としての日本文化理解"は転がる岩に苔は生えずとも、一種外側からの視点ともいうか、今回の『曽根崎心中』の原点に返る試みは古民家の黒ずんだ木材を彫刻刀で削ったような真新しい感触を古典に与えるとも感じて。

実際、現行の昭和verの『曽根崎心中』と比べ近松の原文verは字余り字足らずがあって節回しに難がありました。しかしこの"違和感"が"臨場感・リアリティ"に繋がると文楽の人間国宝たちに新鮮な風を吹き込んでいたのです。。

また杉本演出はただオリジナリティをなぞるだけではありませんでした。

通常文楽は人形遣いの腰から下が隠れる板の後ろで演じられ、縦の移動はないのですが、杉本は会場となったKAATの舞台を活かし、縦にも動く演技プランを提案。さらに文楽は通常明るい中での人形劇なのですが杉本は暗闇の中での劇を提示します。

現代の感覚で原点を演出する。ここは杉本さんの確固としたVISIONと、それを成すだけの実績があるからこそ実現できるなと。

そのコンセプトの企画を通すために、様々な舞台装飾の見識や、センスを裏付けするロジカルな部分、これは現代美術アーティストだからこその仕事だなと感嘆しました。

MOA美術館での展示でも映像作品に挑んでいましたが、杉本さんがあえてクオリティには目をつぶったように見えても新分野に挑むのは、いつまでもクロック数を若々しく火のような心を持ち続けるアティチュードなのかなと想いました。

そして『曽根崎心中』のプロジェクトには、杉本さんのアイディアを身体化する浄瑠璃の達人たちがいました。文楽の巨匠たちの手で無理難題の発想が実装され、夢のような舞台が創り上げられ、満員の観客を幽玄の熱界へ連れて行って。

歌舞伎もそうですが、浄瑠璃も"浮世絵の実写化"のように感じて。今の2.5次元舞台もそうですが、日本には二次元と三次元の狭間の感覚があるのかもしれぬと想いました。

最終的にはヨーロッパ公演まで舞台はロールし、まさに"国際的な日本感覚"が立ち上がっていたこの曽根崎心中。理想化された悲恋の物語、もし再演があるならば是非見てみたいです。"表の舞台"と"裏の舞台"、現実は物語とはまた異なるけれども、その"素の味"も含めて大変愉しめました。

cf.
俺たちの国芳 わたしの国貞展@Bunkamura ザ・ミュージアムに行ってきた

シネマ歌舞伎 『スーパー歌舞伎II ワンピース』をみた
by wavesll | 2017-03-01 21:32 | 私信 | Comments(0)

東京音大附属民族音楽研究所 2016年度ガムラン講座 発表会に行ってきた!

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雑司ヶ谷で降りて東京音楽大学へ。
民族音楽研究所のガムラン講座の発表会があったのです。

歓迎の曲(開演前に演奏)「コド・ゴレ」(儀式曲)
第一部
合奏「バイト・カンダス」(器楽曲)
舞踊「ゴレ・マニス」(美しい仕草を描く女性舞踊)
合奏「ラハ・ボロ」(器楽曲)
合奏「フスボキワン」(古典曲)
合奏「スウェ・オラ・ジャム」(歌のある小曲)
舞踊「レトノ・ティナンディン」(凛々しい戦いの舞踊)
第二部
合奏「ゴンドマストゥティ」(古典曲)
合奏「スカルブランギ」(新作)
合奏「チャラン・ガントゥン〜コンジン・ミリン」(古典曲)
舞踊「ガンビラノム」(女性への愛を描く舞踊)


という2h30m越えの大ヴォリューム。
ジャワガムランの麗しい音色に脳波が滾々し、うとうとしながら気持ちええ~と聴き入りました。

舞踊も帯を使うのとか初めて知ったり、弓矢や剣の踊りや男装の女性の武将の踊りがあることを知れ、とっても良かったです。生で聴くと楽団の様々な地点から鳴っているのだと分かって愉しめますね。

何気に一番の収穫はガムランの演奏or舞踊を週1で1年間10万円で習えると知れたことかも。
ガムランの社会人講座、いつかやってみたい!

またガムランの楽曲は数字で出来ているとの説明の後、ワークショップで数字を挙げてつくられたオリジナル楽曲なんかも演奏され、非常に愉しい一日となりました◎

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by wavesll | 2017-02-25 20:51 | Sound Gem | Comments(0)

笑点だけじゃない、テツandトモ 顔芸動画

笑点




ルパン三世のテーマ(3:43~)


踊る大捜査線


あまちゃんのテーマ


あまちゃんなんかもやってたんですね。渡鬼とか古畑とか、どこかでやってないかなぁ。顔芸だけでDVD出してほしいw
by wavesll | 2017-02-15 19:12 | 小ネタ | Comments(0)

第40回日本古武道演武大会に出場した流派の映像集めてみた

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日本武道館に日本古武道演武大会へ行ってきました。

写真も何枚も撮ったのですが、映像で観ていただきたいと想い、このエントリでは各流派でぐぐって映像を貼っていきます。

小笠原流弓馬術


北辰一刀流剣術

坂本龍馬や山南敬助も学んだ剣術。こんな籠手つけてたんですね。

関口新心流柔術


示現流兵法剣術

るろ剣で御馴染み示現流。「チェストォォオオ」は聴けませんでしたが裂帛の声が聴けたのは嬉しかったなぁ。

肥後古流長刀


伯耆流居合術


澁川一流 柔術

木刀や棒術の使い手でもあるのですね。

當田流剣術

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起倒流柔術


関口流抜刀術


琉球古武術

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十手と言うかトンファーと言うか、凄かった。(釵というそう)

心形刀流剣術


本體楊心流柔術


竹生島流棒術


楊心流薙刀術

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「エイ!エエーイ!」という打声と木な連続打音。オレカTXを想起。

兵法二天一流 剣術

宮本武蔵を開祖とする二刀流

大東流合気柔術

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刀も素手で相手するのが驚き!

初實剣理方一流甲冑抜刀術

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天真正伝香取神道流剣術


荒木流拳法


無雙直傳英信流居合術


竹内流柔術腰廻小具足


佐分利流槍術


琉球王家秘伝本部御殿手


溝口派一刀流剣術


無比無敵流杖術

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水鷗流居合剣法・正木流鎖鎌術

生で見る鎖鎌は凄かった。首にシュルシュルシュルと行くのがリアルバガボンドでした。

諸賞流 和

技を応酬する間合いがラーメンズのコントにも通じる空気感。

天然理心流剣術

近藤勇の奴!?徒手空拳の技もあるとは!

根岸流手裏剣術

結構古武道って外国の人が習ってて、手裏剣も投げてました。最後の師範代が「手裏剣~!!!」と叫んでてこんなんあるのか!と嬉驚。

鞍馬流剣術


天神真楊流柔術

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師範、渋川剛気みたいな動きしてました。

田宮流居合術


柳生心眼流甲冑兵法

兜を盾にして更にそれで殴ったり。そんなんアリかw!という感じでした。

陽流砲術

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これは動画も撮ったのですが生で聴くと爆裂音が凄音で。『この世界の片隅に』の防空壕のシーンでも空襲の雷撃音に吃驚しましたが、生での重火器の音は恐ろしいものがありました。

人生初武道館がライヴではなかったとは自分でも意外でw

けれど、古武道の演武で鳴る音が神楽や能のようなアシンメトリーな響きで、エクスペリメンタル・ジャズのような趣がありました。裂帛に叫ぶ音波が妖と繋がるような、日本の霊魂を感じた一日でした。

これだけみれて何と五百円は破格。

三点倒立もできない俺が生で体験してハマった、スポーツ興味ない人にこそ薦めたい体操観戦の魅力10ポイントを代々木第一で体操天皇杯をみて書いたときも想ったのですが、身体運動の大会を生で見るって物凄く面白いですね。武は舞に通ずるというか、格闘漫画や格ゲー好きの人なんかもかっなり楽しめるのではと。

誘って呉れた友に感謝を。いい武道館デビューになりました◎
by wavesll | 2017-02-05 22:16 | 小ネタ | Comments(0)

長渕剛 『乾杯』 於 FNS歌謡祭に視る"実業としてのアーティスト"の姿

【長渕剛】FNS歌謡祭 初出演!『魂の叫び〜乾杯』(dailymotion link)
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FNS歌謡祭、ウルフルズの『笑えれば』や鬼束ちひろの『月光』等が光っていました。が、それらすべてを吹き飛ばすほどの衝撃が鳳の長渕にはありました。

向井秀徳 自問自答トドを殺すな/友川かずき、あるいはKOHH - "Dirt Boys feat. Dutch Montana, Loota" のような語り叫びそしてアコギを掻き鳴らす音、良かったなぁ。

近頃は長渕さん自体をギャグキャラとして馬鹿にする風潮もあるし、今回の歌唱にも「字幕が出ているのだから局の了解を得た上でのパフォーマンスじゃないか、ダセェw」というような反応がありました。

しかし寧ろ私は字幕が出たことは素晴らしいことなのではないかと想って。

歌中ではマスコミ批判、ワイドショー批判、ヒットチャート批判がありましたが、「儲けたもん勝ち、勝ち方より売れたものが正義」という状況に「これこそ音楽だ」とぶち上げたのは単純に素晴らしいし、秋元界隈が勝ち続け、いつしか異論を噤んでいた澱んだぬるい空気を打ち壊す歌唱。ロックだなと。

其の上”局の了解を得た”というのも素晴らしくて。というのもヒットチャートがアイドルにハックされて勝てば官軍になっている今、従来の音楽表現の側のアーティストに”自主規制しなくともきちんと交渉すればここまで歌えるのだ”と示したのはフォーク/ロックという自分の正義を吐露する表現者として、そして邦楽界の年長のアーティストとして賞賛されて良い姿勢だったと想います。

自主規制で口を噤むのではなく、突発的な暴走で言い放つのでもなく、きちんと筋を通して自分の価値観を知らしめる。こうした実業的なアプローチは富士山麓十万人ライヴでプロジェクトを成り立たせるために東奔西走したこともあるかもしれません。(まぁアレは終演後の退場がグデグデでしたが…)

ミュージシャンが社会問題を歌うと近年は"独りよがりのお花畑やクスリ漬けの夢想者がなんかいってら"みたいな嘲笑が蔓延していますが、コトを通すための大人の仁義と音楽的な挑戦を両立させる姿勢は"ロックキッズ"という年齢でもなくなった今だからこそ評価できるアーティストの姿だなと想いました。
by wavesll | 2016-12-08 19:18 | 私信 | Comments(0)

喜友名諒の空手の形 武と舞が交叉する身体表現

Karate 'KATA' Japanese champion Ryo Kiyuna 2015 "Suparinpei"


喜友名諒vs新馬場一世(第42回全日本空手道選手権大会)


karate KATA 'Ahnan' Team Okinawa in Karate premier leage Okinawa Japan


NHKBS1 アスリートの魂「沖縄の誇り 背負って 空手家・喜友名諒」をみて、この稀有な空手家、喜友名選手を知りました。

そもそも空手自体が琉球生まれだったことも初めて知って。
TOKYO2020で競技となる”形”も、実践的で護身術から始まった空手の神髄を表しているのだなぁと。
”むちみ”を魅せる喜友名選手の演武は身体表現としてもずっとみていられるし、カポエイラのような武と舞がクロスする真善美を顕わしているように感じました。TOKYO五輪で楽しみな種目が増えました。北青山のクラヴマガの道場も興味あったけれど空手、やってみたくなったなぁ。

cf.
シルヴィ・ギエムのボレロ 於 東京バレエ団創立50周年 祝祭ガラ

Compagnie Marie Chouinard 『春の祭典』を観に赴いた秋滲む金沢鑑賞旅行記
三点倒立もできない俺が生で体験してハマった、スポーツ興味ない人にこそ薦めたい体操観戦の魅力10ポイント
by wavesll | 2016-12-06 04:30 | 小ネタ | Comments(0)

他人の脳をハッキングできるか 今、一番面白いTV番組:<モーガン・フリーマン 時空を超えて>

今、一番面白いTV番組と言えばETVで放送しているモーガン・フリーマン 時空を超えてでしょう。
俳優モーガン・フリーマンがあなたを未知の世界にいざないます。第一線の研究者が語る驚きのストーリー。果たして真実は?あなたはどう考えますか?
という番組。今回みたテーマは他人の脳をハッキングできるかでした。
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I. 身体反応からの読心術
非言語的行動の専門家マーク・セイラムは相手の様子の変化を察知し、読心術を行う。人の考えることは身体的変化として現れ、それを観察することでギャンブラーのポーカーフェイスも破っていました。

II. 脳内反応辞書により視覚刺激を分析して言語化
このような特技を会得してなくとも、最新の科学装置で他人の心は読めるといいます。
神経工学者のフィリップ・ロウは脳内の思考を読み取る装置、アイ・ブレインを創っています。

人が筋肉を動かそうとすると脳内で電位変化が起きます。そのニューロンの活動を読み取ることでどの筋肉を動かそうとしているかがわかるというのです。これはALS(筋萎縮性側索硬化症)のように筋肉を動かせない病の人も脳で体を動かそうとすることでコミュニケーションを取ることができるようになるかもしれません。

さらに、カリフォルニアの研究所で人間の思考を脳波から文章として表すことができる研究が進んでいます。ジャック・ギャラントは脳内の活動を日常的な言葉に置き換える研究をしてます。
実際、視覚に関わる領域の脳の活動を読み取って、実験の結果として初歩的な脳の辞典をつくろうとしています。脳の血流の部位をスキャンし、特定の視覚画像が特定の血流パターンを示すことを解析したのです。

現在のシステムで、映像を見せると、脳の辞典システムをつかって、脳内パターンから単語として何を見ているかを解読できるようになってきています。そして勿論のこと、今後この装置はプライバシーに関わる問題を早晩孕むでしょう。

III. "ゾーン"トレーニング装置
脳をハッキングし、アインシュタインやネルソンマンデラのような才気を植え付けることはできたとしたら…?

クリス・バーカは神経学者であり企業の経営者であり発明家です。彼女はスポーツ選手が"ゾーン"と呼ぶ領域にヒトが入り込むのを助けエキスパートと同じ活動ができる様に脳をトレーニングする装置です。

番組ではアーチェリーを例にとって、脳の電気活動を分析することで、アーチェリーのチャンピオンの脳波の周波数の違いを分析、瞑想などで出るアルファ波とリラックスして出るシータ波が、完璧な競技活動をしているときによく出ていることを見極めました。

さらにアーチェリーのズブの素人でも、センサーで脳波を調べ、アルファ波とシータ波が増加したときに矢を放つと的を射ることができ、この集中の仕方を学ぶと1日のトレーニングで素人がプロ並みの腕前になったそうです。心とストレスのコントロール法を鍛えられたら、非常に困難な状況も脳をコントロールし、適切な行動をとれると。マトリックスの世界ですね。

IV. 催眠術実験
では、他人の脳を変容させることはできるでしょうか?

スタンフォード大学の精神科医デヴィット・スピーゲルは催眠術を治療に組み込んでいます。
催眠状態に入ると色の情報を薄めることができるそうです。つまり現実の刺激を、脳のハックでモノクロかえることができたのです。催眠術にかかると想像が現実を上回り、脳内情報処理を書き換えられるということ。まさに攻殻機動隊の世界。

V. 嗅覚により睡眠中の脳をハック
イスラエルのある研究チームは無意識に心を開く方法をみつけたと発しています。
イガーナ・ヘイアーストーンは心理学者で、睡眠中の学習の研究者。
人は睡眠で意識を失っても学習できるといいます。睡眠時、視床が外界からの刺激をシャットアウトするのですが、嗅覚の情報は視床を通さず、脳に直接入り込み、のみならず他の刺激も招き入れるといいます。

実験で、寝ている人にいい匂いと高い音、そして悪臭と低い音を一晩聴かせます。
起きた被験者に高い音を聴かせると呼吸が深くなり、呼吸する時間が長くなります。次に悪臭とセットになった低音をきかせると呼吸を止めています。実験者は睡眠中の記憶が全くないにもかかわらず、睡眠中の学習が心身に影響を及ぼすのです。

睡眠中の嗅覚刺激で、脳がハッキングされることがあるかもしれません。それどころかある科学者は光で脳をハッキングする研究が進んでいます。

VI. 光刺激埋め込みにより脳をハック
エド・ボイデルはMITで神経科学や生物工学の研究者。ニューロン一つ一つをON/OFFできる研究をしていて、ニューロンに光センサーをウィルスを使って組み込み、脳の様々な場所を操作できるようにしました。脳は痛みを感じないので埋め込めるのです。

マウスを光の刺激で快楽ニューロンを刺激すると、マウスはずっと光を求め続けたそうです。この技術が進めば精神の病に苦しむ人たちを救える、脳をピンポイントで刺激できる研究。しかしディストピアの危惧も感じてしまい餡巣。

VII. 番組情報
このような一線級の科学研究が紹介されるモーガン・フリーマン 時空を超えて。
『運命か?自由意志か?』という回では人間社会や宇宙をプログラムとして予測しようとする試みを紹介。
プランク長さの語を見、”超弦理論を知って<所詮宇宙は紐の震動か>と思ったなぁ”と想ってたら自由意志がないと伝えられると倫理観が落ちるという実験結果を知りぎょっとしたりもしました。

このお薦めの番組、放送は金曜22時から。明日18日のテーマは<ロボットはどこまで進化するのか?>とのことです。
by wavesll | 2016-11-17 19:01 | 小ネタ | Comments(0)

シネマ歌舞伎 『スーパー歌舞伎II ワンピース』をみた

c0002171_1244197.jpgシネマ歌舞伎 『スーパー歌舞伎II ワンピース』をみました。面白かった!

原作は空島篇で脱落したのですが、エースを救うための頂上戦争篇はハンターを読むためかジャンプで読んでいて。そこを題材としていたらかなり面白いだろうと想ったら期待に応えてくれました。

まず驚いたのはヴィジュアルの違和感のなさ。特に男のキャラ達はかなりのドンピシャぶりで。ゾロ、サンジ、ボン・クレーなんかはよくぞここまで仕上げたものだと想いました。

ルフィ、エースはヴィジュアルは原作と印象は違いますがスピリットは良く現れていて、実際に人間が演じる歌舞伎版ならでは良さがありました。そういう意味では白ひげはその最たるもので、原作を超えたのではという位の魅力を放っていました。個人的な最高潮も白ひげの叫びの場面でした。

逆に女性陣は、まぁこれは歌舞伎だから男が演じるのは仕方のないのだけれども、どうにも老けて色気なく見えたのは残念でしたね。弾ける艶があったらもっと良かったのだけれども。

このシネマ歌舞伎、舞台版のダイジェストというか、アマゾンリリーとインペリアルダウン、海軍本部での戦いの一部がナレーションでさっとカットされていて。特にアマゾンリリーでの一幕がないとラストのアマゾンリリーでのシーンが効いてこないなぁと想いました。舞台は休憩挟み5時間もの長さだったようですが、せっかくならFullで流してほしかったなぁと想います。

カット処理がされたという以外でも、そのテンポの速さ、情報量の多さには目を見張りました。ファンタジー漫画の中でもその世界観が凄まじいワンピースだけあって設定の嵐に頭がヒートアップ。

ガツンガツンの展開にちょっとくらくらでしたが終盤になるにつれ骨太なドラマが展開されて。白ひげの叫びとエースの想いにはぐっと来ました。泣いている観客の人もいたなぁ。火拳とマグマのバウトの紅旗の演出も見事で。シャンクスの台詞で映画が終わっても良かったなぁと想う位の満足感がありました。

最もアンビバレンツな気持ちになったのは、この歌舞伎随一の名キャラ、ボン・クレーについて。インペリアル・ダウンではおかまキャラが大量に出てくるのですが、単純にTVのオネエ的な扱いというか。バカ騒ぎ要員としての扱いにLGBTの人の誇りを傷つけはしないかなぁと大きなお世話を想ったというか。Twitterのフォロワーさんでゲイの人がいて、あの人がこれ見たらムッとしそうだなぁとは想いました。

少年漫画を読むとき、少年はみな自分を主人公に重ねると想います。劇中でルフィは「お前は仲間を惹きつける魅力こそが最大の長所だ」と言われ、「俺は仲間に助けてもらえなければ何も出来ねぇ」と言う場面がありました。その『ダイの大冒険』以来の勇者の特長、この"仲間との絆"という点こそがワンピースとドラゴンボールの最大の異なる点に思えます。悟空もルフィも底の見えないシンプルさを抱えた人物ですが、ルフィは悟空よりも仲間の存在を求めている気がし、それが現代のヒーロー像、少年が求めるものなのではないか。そんな気がしました。

そのルフィの最大のダチであるボン・クレー。まさに漫画からそのまま抜き出でてきたような熱演、そして最大の良キャラながら、オネエ系と言う馬鹿にされるノリを背負わせることに暴力性を感じるというか、"主人公以外の人間は主人公の為だけに存在しているわけではないよなぁ"なんぞと世間を通ると大きなお世話を焼いてしまうのです。まぁポリコレばっか唱えたり総花的な演出を言ったりして作品の勢いを失わせてしまったら元も子もないのですけれども。と、いうよりこういう色眼鏡を気にする私自身が一番差別的である、と逆説的に言えるかもしれません。

ルフィ達の"海賊"という、犯罪集団でありながら己の正義と自由を究めようとする生き方、コミュニティは現実の存在では一昔前は『爆音列島』に描かれたような暴走族が破滅を孕みながら担っていたように思えます。Blankey Jet CityのPunky Bad Hipにある
『新しい国が出来た人口わずか15人 それも全員センスのない単車の乗りばかりが揃ってる 古い世代の奴らは金で何でも買い漁った だけど俺たちは自然の掟の中で生きるケダモノの世代さ』
な世界軸。「俺たちの国境は地平線さ」を超えて少数精鋭で世の中を引っ繰り返そうとする若者集団は現在でいえばFacebookのような学生起業のITベンチャーかもしれません。

その上で、どちらかと言えばシステムを維持する側の苦心ぶりが分かってしまう世代となってワンピース歌舞伎をみて心動かされるのは、白ひげやシャンクスといった仲間を愛し慕われそして世界のシステムの中で独立した場を創ろうとする男たちの姿でした。

私自身は集団の中で上手くサーヴィスと任務とプライヴェートの立ち振る舞いを鼎立させるのが苦手な人間でしたが、それぞれ家族が出来たり、友達と常に一緒という環境を離れてムカシミタイニハアソベナイ今だからこそすべらずに済むような気が今しているのかもしれません。それは共に独立しながら生き抜いていく仲間への敬意からで。

カイジの鉄骨渡りでいうように、我々の人生は個々に天空を渡る57億の孤独(あかり)なのだと想います。

だからこそ一緒に生きる人達は特別で。と同時に私自身も宙に地に、海に、道を歩んだり、創っていけたら。その途中で自由運動の途中で旅を共にする仲間との場を創れたら。そんな事を想った劇でした。

ルフィは劇中で大きな挫折を味わいます。それはただシンプルに冒険を邁進するだけだったルフィの人生自体に破壊的な衝撃を与えるくらいの不可逆的な喪失でした。その痛み、その苦みに人生の味を感じると共に、そこから立ち直る彼の未来を見届けたい気持ちになりました。

『スーパー歌舞伎II ワンピース』、なんと来年新橋で再演されるそうです。それもみてみたいけれど、『スーパー歌舞伎II ワンピースII』もぜひみてみたい。楽しい時間を過ごせました。

cf.
超歌舞伎 「今昔饗宴千本桜」@ニコニコ超会議2016を観る

by wavesll | 2016-11-11 21:42 | 映画 | Comments(0)

言葉の無限、身体の重力

Let It Be Naked Trailer


家ついて行ってイイですか?が好きなのですが、この番組を見ると、身体性を感じます。というより、"理論上の人生モデル"には書かれない実際に人生を動かすときの凸凹を。その凸凹は大局的な見地に立った時はノイズと看做されてしまうのかもしれません。しかしその凸凹こそが人生に愛すべき温かみとほろ苦さを生んでいると最近想います。

最近、ドキュメンタリーが好きで。NHKスペシャルやAbemaTVで流れるドキュメンタリー映画も好きなのですが、フジテレビがやってるNONFIXやFNSドキュメンタリー大賞の派手さのないドキュメンタリーを好むようになって。

昔はNONFIXとか、"休日の昼になんでこんなしみったれた番組やっているんだろ"と面白味がわからなかったのですが、年を取るほどに想像の世界から現実の世界へ興味の軸足が移っているのか。大学の頃はあんなに好きだったTVバラエティーや広告事業のきらびやかさが、すぐお腹一杯になってしまうようになってきたというか。なーんかNHKばっかりみてるのもアレなのですが、段々そんな流れになってきてますね。まぁラップトップでしょーもないのは見ているのですがw

身体性、人生の凸凹みたいなのは、ためしてガッテン的なライフハック術で捉えた身体というよりは社会的な身体性といえるかもしれません。

大学を出て十年、身体性、取り分け社会的動物としての身体を意識せざるを得なく、文章というものの虚ろさを認識せざるを得なかった十年でもありました。

言葉、認識、意識は時に魔法のような効果を発揮しますが、身体から乖離しすぎると魔術も無意味になります。理論上では捨象された身体的な反動こそが生の重みで。文章に身体性を持たせることは主たるテーマであり続けています。

身体を無視することは不可能である、と同時に、"身体"のみで生きるのは吹き荒ぶ寒風に防寒着もなく生きろと言われるようなもので、想像/理論を纏うことで人間はヒトの間に存在するのだと思います。相手を受け容れるというのは、フィジカルな事実を求めるだけでなく相手の精神的な部分(想像/理論)を受け容れることではないか。だからこそコミュニケーションには身体と言葉が必要になるのでしょう。

他者に働きかけるのが苦手で、他者から何かを言われるのも嫌な人間としては、自省を続ける他なかった日々だったし、それで駄目だった事も良かった事もありました。

このサイトは12年前の11月に立ち上げたようです。干支で一回り。みられることの面白さを知り、エスカレートから破綻したり、秘することや少しばかりの誇りを知ったりした12年。身体性こそが実体なのだけれども、言葉 / 情報 / 記録は時を超えていくことを最近感じます。"書く"という身体性があったのかもしれません。

もう一回干支を回せるかは先は見えませんが、様々な事が流転していく中で続けてきたこのサイト、これからも言葉と身体の私小説のような記録を重ねていけたら。いつか漱石のような文章を書いてみたいものです。読んでくださる皆様に末永くお付き合いいただけたら幸いです。
by wavesll | 2016-11-10 22:47 | 私信 | Comments(0)

休息の時 Joss Turnbullによるイランの打楽器Tombakとエレクトロニクスを聴きながら

Joss Turnbull - tombak, effects


https://soundcloud.com/jossturnbull

独逸のグループ、LebiDeryaのパーカス、Joss Turnbullの千駄木でのライヴがあるのを知り、行こうかと思っていたのですが、今夜はパスしてこのYoutube動画で心身を休めようかと想いました。

人間の生産活動が最大化されるためには、期限が定められて、その中で競争原理が働くことが要。人間の躰自体は飢餓に耐えうるので、本来生命活動を維持するために必要な労働は現代は少なくて済むはずですが(例えば深夜にYoutubeでイランの打楽器の演奏をみる等)効用を最大化しようと人は労働の緊張を維持し続けています。向上心のなせる業といえるかもしれません。

英国のEU離脱に続きトランプの米国大統領選勝利により2016年という年が歴史上の大きな曲がり角になりました。富を独占するエリート層の"正しい選択"に下層化していく大衆が"NO"を突き付けた年となったといえるでしょう。

しかし、経済を排外的にしても庶民の暮らしは良くならない、というか悪化するでしょう。それでも反旗を翻した理由、エスタブリッシュメント層が見誤っていたのは、経済的に弱い立場の人々もプライドがあり蔑ろにされれば自らの持つパワーを行使するという点。驕れるエリート層の思い通りになってたまるかという破壊衝動と、その裏にある自らの生活の基盤が崩されることへの恐れがそこにありました。

とは言え、電通を見ればわかるようにエリート達も怠惰に美味しく稼いでいるわけではなく骨身を削って競争に身を投じているからこそ満足のいく取り分が欲しいし、低所得者を"努力が足りない"と軽視しがちな現実があります。しかし実際問題として新自由主義・金融支配層への反逆が起きている今、身を切らないと秩序の破壊は免れないでしょう。

また構造的な問題として途上国が発展して競争相手となってきた結果先進国が搾取できなくなった為、今まで下駄を履いていた中間層を維持できず全世界的にエリートと下層で格差が広がる流れがあります。

その解決には起こらなかったトリクルダウンに此れ以上期待するのではなく、結局は租税回避を封じ込める国際的な取り決めに各国指導者がリーダーシップを発揮し、再配分を達成するしか本質的な解決にはならないとピケティ以後の視座では想えます。

とは言え、生き馬の目を抜く世の中で真夜中に静かな、しかし熱のある音楽を聴いていると、立ち止まる時間、整える時間、あるいは緊張から解放された時間が愛おしく想えて。

ペルーへ行った際ガイドの方が「ペルーの人は怠け者なのに対し日系移民はよく働いたから大成功して。それに反発した人々に日系の人の家は焼き討ちにあって。それから日系の人もペルーの人に利益が行くようにした」と話していて。何も皆がむしゃらに働きたい人間ばかりじゃないのに勝手に競争に巻き込まれたら厭だものなぁと想ったものでした。

翻って日本。現在国内も個人商店は巨大資本に切り替わり自らの裁量で事を行える競争環境ではないグローバルな闘争に曝され、ストレスフルな環境を耐え抜く労働者が数多く存在し、非正規労働者は4割を超えました。

ソヴィエトが倒れてから四半世紀、資本主義が増長した軋轢に対応する"その先"は北欧型の福祉社会なのか、或いはBIなのか、ともするとAIとロボットが労働する社会なのか将又別の未来なのかは現在はまだ判別できませんが、封建的な独裁社会ではなく、各人が自分の人生を自分の速度で歩める自由を求めたい。

そしてその環境・社会は他人に与えられるものでなく、自分で選び取るもの。その為には個人の務めを。深い夜のまどろみに心と躰を休息させる自由を行使しながら、そう想います。

Joss Turnbull - Riqq, Tombak and Daf


cf,
エストニアの吟遊詩人でありmulti奏者:Pastacasの音楽に触れて

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米国民はなぜトランプを選んだか?ー生活者の視点から(Willyの脳内日記)
by wavesll | 2016-11-10 03:21 | 小噺 | Comments(0)