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特別展 茶の湯@東博 シンプルの内に複雑な玄妙さを見出す感性の列史

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東博で開かれている特別展 茶の湯へ行ってきました。

中国・龍泉窯『青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆』が目当てだったのですが、吸い込まれるような青磁の白青、覗き込んだ時に見える割れの罅が現代的にも想えて、そして鉄の鎹がまたいい遊びになっていて。とても良かった。

青磁だと国宝の南宋の『青磁下蕪花入』の罅がないすっとした艶のある水色。取っ手が美しい龍泉窯『青磁鳳凰耳花入』も良かった。龍泉窯だとすっくと伸びる筒形の『青磁筒花入』も良かったです。

そして今回の展示で印象的だったのが『白』。
中国・定窯『白磁金彩雲鶴唐草文碗』の綺麗な白の中に金が揺蕩う様の美しさ。瀬戸・美濃『白天目』の黄色みがあった白の美。朝鮮の『三島茶碗 二徳三島』、『御所丸茶碗 古田高麗』の驚くような鮮やかな白。数々の白の銘品に目を見張りました。

またその他の茶碗も名品目白押しで。
序盤では中国・定窯『柿釉金彩蝶牡丹文碗』の紅茶色の深い色。"禾天目"、中国では”兎毫盞”と呼ばれるウサギの毛並みのような線が入った中国建窯『建盞』、鸞が描かれた中国・吉州窯『玳玻盞 鸞天目』が好きな人は東洋館にも展示してあって写真も撮れるのでお薦め。金色の木の葉が美しい吉州窯『木葉天目』も、豊臣秀次所持の建窯『油滴天目』も素晴らしかった。

入ってすぐの伝牧谿筆『布袋図』に淡く柔らかく癒されて。国宝の梁楷筆『出山釈迦図』伝梁楷筆『雪景山水図』 梁楷筆『雪景山水図』の黒靄に心惹かれました。

朱漆、黒漆を塗り重ねた『犀皮水注』の朱の凸凹の美、『花鳥堆朱重香合』も凹凸が美しかった。『物かは蒔絵伽羅箱』は黄金の銀河で。『釜石 銘 末の松山』は盆の上で山水を顕わすために置く石という逸品で。インドの『南蛮毛織水指』も綺麗でした。

茶の湯というとどうしても利休・織部がクローズアップされますが、この展覧会では総体的な歴史の流れが描かれていて。侘茶の始祖、珠光や利休の師、武野紹鷗ゆかりの一品も揃っていました。

元~明の『灰被天目 銘 夕陽』の渋い夕空、『灰被天目 銘 虹』は月虹のよう。南宋~元の『唐物肩衝茶入 北野肩衝』のマーブルなブラウン。『唐物茄子茶入 銘 富士』のなんとぷっくりと可愛らしいことか。元~明の『黄天目 珠光天目』の灰から黄へのグラデーション。

武野紹鴎筆『書状 十月二十日』のエメラルドブルーで流麗な筆遣い。室町時代の『烏図真形釜 銘 濡烏』の角いフォルム。『備前水指 銘 青梅』はずっくりとした味わい。秀次作『黒塗大棗 紹鷗棗』の漆のツヤ、シンプルなカタチはイデアを感じさせます。

この展覧会では様々な茶道具が展示されていましたが、今回新規開拓できたのが釜。『芦屋無地真形釜』のナマズ肌、『芦屋浜松地歌入真形釜』の表面に彫られた浜松図。『天明筋釜』はバリ島な感じで、与次郎作『湯の釜』はじっくりとした時間を与えてくれました。

重文『雨漏茶碗』の朱白に黒、『蕎麦茶碗 銘 花曇』のゆがみ薄さはフォークトロニカでした。

そして千利休の時代へ。
利休筆『書状 飄庵宛(法語 璋禅人宛 添状)』は丸っこい字。古渓宗陳筆『落慶偈』の美筆。朝鮮の『井戸香炉 銘 此世』の塩筒形。南宋~元の『唐物尻膨茶入 利休尻膨』の水信玄餅みらいなぷくらみ。美濃『黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕』の緑がかった白の砂時計形のカタチが最高で。

『瀬戸雁口花入』の白緑のしゃらりとユーモラスな形。光の残像のような『黄天目 沼田天目』と千利休筆『書状 七月十六日 松新宛(黄天目 沼田天目 添状)』。『書状 六月二十日 古織宛(武蔵鎧の文)』にも流麗さを感じました。

利休好みの『唐銅皆具 釜・風炉』の魔人ブウな感じ。瓢箪のくびれをそのまま口にした『瓢花入 銘 顔回』の自然な形の面白さ。魚籠にみたてた『耳付き籠花入』も面白味がありました。そして『黒塗手桶水指』の漆の美しさとフォルム・大きさの丁度いい感じが本当に丁度いい、ディレクションが光りました。

樂家の始祖、長次郎の作品群にも茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術展振りに出逢って。長次郎唯一の香炉である『黒楽口寄香炉』や『黒楽茶碗 銘 ムキ栗』に無の宇宙を感じました。

この展覧会ですっかり棗が好きになってしまったのですが、盛阿弥作『黒塗尻張棗』のPinoな台形球フォルムもまた素晴らしく好みで。

利休が死を覚悟して書いた『書状 二月十四日 松佐宛』には勇壮さも感じて。『山上宗二記』も素晴らしかった。

ここから古田織部の時代へ移っていくのですが、茶の湯の美の流れの中でも織部はひょうげてるというか異彩を放っていて。狙っているというかwでもこの織部好みのへうげた美のダイナミズムは太古には縄文文化、後世には もの派として隔世遺伝していく日本のマッシヴな美意識を感じました。

『伊賀花入 銘 生爪』のモノとしての存在感、家康所持の『天明釜 銘 梶』も良かった。そして大きな割れ目が入った『伊賀耳付水指 銘 破袋』の現代的な味。ヴェトナムの『南蛮締切水指』も狙ってんなぁとw『備前肩衝茶入 銘 さび助』のクシャっとした凹みの良さ。

信長の弟、織田有楽斎の『大井戸茶碗 有楽井戸』や武将好みのソリッドなフォルムの『古瀬戸肩衝茶入 出雲肩衝』もほんとぴしっとしていて好きで。『備前筒花入 銘 八重葎』や『備前三角花入』、『備前耳付水指 銘 巌松』、『信楽一重口水指 銘 柴庵』、『伊賀耳付花入 銘 岩かど』も現代的なくしゃっとしたフォルムを堪能できました。

美濃の『瀬戸黒茶碗 銘 小原女』や『瀬戸黒茶碗 銘 小原木』も良かったし、『志野矢筈口水指 銘 古岸』もズドンとくる感じで良かった。『志野矢筈口水指』の夕景も見事で。『志野茶碗 銘 羽衣』もまた良し。『鼠志野茶碗 銘 山の端』も古代のモノクロ山林で良かったし、国宝の『志野茶碗 銘 卯花墻』もヌエバ・スタンダードの感覚。

黒というと利休ですが、織部も黒い茶碗をつくらせていて。『黒織部百合文沓茶碗』なんかよかったなぁ。そして『黄瀬戸根太香合』『志野重香合』『織部さげ髪香合』もマカロンのようなちょこんとした可愛らしさに個性が詰まっていてとても好きでした。

樂家関連では本阿弥光悦の『赤楽茶碗 銘 毘沙門堂』・『黒楽茶碗 銘 時雨』もツヤツヤで薄くて綺麗で。道入の『黒楽茶碗 銘 残雪』ものっぺりして美しかったです。

そしてここから織部の弟子、小堀遠州と松江藩主・松平不昧の茶の湯の章。
無準師範筆『山門疏』の文字のソリッドさはかなり好みで、無準師範筆『尺牘 円爾宛(板渡しの墨跡)』も端正な美学に貫かれていました。明の『古銅象耳花入 銘 キネナリ』は竹のような節があって。『青磁中蕪花入』も形が最高でグラスのようでした。『高取面取茶碗』も黒の垂れ具合がよくて。

『瀬戸茶入 銘 廣澤 本歌』も端正で細身の武家好み。どうも自分、武家好みや武将好みが好みでした。また『丹波耳付茶入 銘 生野』の四角い楕円や『紅葉呉茶碗 銘 菊月』の白朱も好きでした。『御本立鶴茶碗 銘 千歳』も優美で。

中国・景徳鎮の『古染付高砂花入』は取っ手が魚で面白く、同じく景徳鎮の『祥瑞蜜柑水指』はコバルトブルーが美しかった。ヴェトナムの『安南染付龍文花入』もリンガな感じで生命力ざわついてました。

景徳鎮の『祥瑞蜜柑香合』も青い空間が凝縮した美で、中国・漳州窯の『交趾台牛香合』のエメラルド、同じく漳州窯の『白呉州台牛香合』の白美もみごとでした。

仁清『色絵若松図茶壷』の黒に鮮やかな若松、同じく仁清『色絵鱗波文茶碗』の朱桃色に碧波の美しさ。仁清の『色絵玄猪香合』はエメラルドグリーンの銀杏の葉が紐で結ばれている面白き一品で、乾山の『錆絵染付鎗梅文香合』はエレクトロニカでした。

建窯『油滴天目』は銀の粒子に宇宙のオールーが透けていました。『瀬戸茶入 銘 潮路庵』もピシッとした円柱形で。原羊遊斎作『大菊蒔絵棗』もすっきりとした出来。

まだ茶杓はどれも違いがそこまでわからなかったのですが、松平不昧『竹茶杓 銘 柳緑花紅』はなんかいいなって想いました。

伝藤原の行成筆『古今和歌集 巻一断簡(関戸本)』はグレーブルーの紙にしたためられた逸品。『伊賀耳付花入 銘 業平』は"東五人男"に選ばれたという現代的な魅力ある花入でした。

最後の章は近代数寄者の眼。第八期は三渓園の原三渓の品々が展示してありました。慶滋保胤筆のたおやかな『書状 六月十四日』や尾形光琳筆のソリッドな『波上飛燕図』、『唐津茶碗 銘 入相』や伝本阿弥光悦の金蒔絵に青貝の螺鈿をつかって銀鹿が描かれた『沃懸地青貝金具蒔絵群鹿文笛筒』なんかが良かったです。

12世紀に中国から伝わった抹茶の文化が、珠光、紹鷗、利休、織部、遠州、不昧、そして近代の数寄者たちへ連なっていった歴史の道が展覧されていたこの茶の湯展。

その根底にあるのは、自然を究め、シンプルの内に複雑な玄妙さを見出す感性にあるのではないかと想いました。そしてミニマムとダイナミズムを抱く懐の広さも日本の美意識にはあるのだなと。見応えのある展示でした。

常設展もぱしゃりしてきました。

みみずく土偶
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香炉形土器
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石人
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銀象嵌銘大刀
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金銅製冠
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木製 蓋
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埴輪 子持家
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五塔
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経筒
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板碑(阿弥陀種子)
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線刻蔵王権現鏡像
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葵形禁制品
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赤藍地孔雀花束文様印金パティック
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田中利七 / 刺繍孔雀図屏風
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ヴィンチェンツォ・ラグーザ / 日本の婦人像
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七代錦光山宗兵衛 / 色絵金襴手双鳳文飾壺
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加納夏雄 / 群鷺図額
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竹内忠兵衛 / 七宝竹雀文大瓶
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歌川豊国(国定)/ 御誂織薩摩雛形 勝間源五兵衛
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勝川春章 / 東扇・初代中村仲蔵
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諸尊集会図
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埴輪 猿
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須恵器 子持高坏
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注口土器
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阿字曼荼羅図
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伝後京極良経 / 仮名観無量寿経切
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伝藤原公任 / 石山切 伊勢集「おほそらに」
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日蓮 / 消息
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豇豆蒔絵矢筒
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尾形光琳筆 / 風神雷神図屏風
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新井白石 / 詠詩三首
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小島宗真 / 高松賦
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振袖 萌黄縮緬地松紅葉牡丹流水孔雀模様
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山本梅逸 / 倣董源山水図
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灌頂幡
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光背
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観音菩薩立像
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観音菩薩立像
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観音菩薩立像・勢至菩薩立像
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観音菩薩立像
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摩耶夫人および天人像
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菩薩半跏像
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菩薩半跏像
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菩薩半跏像・菩薩半跏像
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銀釵
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竜首水瓶
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鵤寺倉印・法隆寺印
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銀釵
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三鈷杵
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五大明王鈴
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細字法華経
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梵網経
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経帙
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鵲尾形柄香炉
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紅牙撥鏤針筒・緑牙撥鏤針筒・緑牙撥鏤針筒・紺牙撥鏤針筒蓋
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勢至菩薩立像
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如来倚像
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観音菩薩立像
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菩薩交脚像
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如来坐像
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菩薩交脚像
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彩文土器 水差
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彩陶双口壺
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三彩鎮墓獣
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黒釉兎毫斑碗
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玳玻釉碗
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寒梅鶴図軸
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皇甫誕碑
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雁塔聖教序
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山水人物堆朱桃形合子
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瑪瑙石榴
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緑釉博山炉
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細環式耳飾
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鳥翼形冠飾
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透彫冠帽
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毘盧遮那仏立像
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獅子
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宝冠如来及び両脇侍坐像
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ナーガ形飾り金具, 飾り金具
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ヴィシュヌとガルダ像
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藍地花格子結び文様更紗
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アウラングゼーブ立像
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ジャハーンギール立像
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タオ族の甲冑
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by wavesll | 2017-06-03 10:51 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

シャセリオー展at国立西洋美術館

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シャセリオー展へ行ってきました。

夭折した早熟の天才、19世紀ロマン主義の流れをくむこの画家を、交流のあったギュスターヴ・モローの絵などと共に展示したこの美術展、その中でも二枚の美しい女性の肖像画には心惹かれました。

その内の一枚がメインビジュアルにも使われている『カバリュス嬢の肖像』。マリー=テレーズ・カバリュスの可憐な美しさ、プラド美術館で観たフェデリコ・デ・マドラーソ『ビルチェス伯爵夫人』クラスの美人画に惹かれてこの展覧会に来た期待に応えてくれる名画でした。

そしてもう一枚、『泉のほとりで眠るニンフ』。当時シャセリオーの恋人だった魔性の女性、アリス=オジーのヌード。腋毛が淫靡で、心ざわつかせられる絵画でした。

その他、ユダヤの女性の民族衣装が美しい『コンスタンティーヌのユダヤ人女性』『コンスタンティーヌのユダヤ人街の情景』、作品が想うように評価が得られなく、画家自身に破壊されてしまった『クレオパトラの侍女』等も良かった。

シャセリオーを語るとき、一つのキーワードとなるのが「エキゾチズム」。彼自身がカリブのイスパニョーラ島生まれであり、上で書いたユダヤ人を描いたアルジェリア旅行での絵の他、褐色の肌が美しい『岩に座るナポリの若い漁師』や、『サン・ロック聖堂の洗礼盤礼拝堂壁画≪エチオピアの女王の宦官に洗礼を施す聖フィリポ≫、≪インド人に洗礼を施す聖ザビエル≫、≪二人の天使≫の模型』も印象的でした。

この他、シェイクスピアの『オセロー』に着想を得た作品群や『マクベスと3人の魔女』、ポンペイの遺構に焦点を当てた『左手に階段のある壁』、または女流詩人を描いた『サッフォー』等、興味深い題材選びの眼が良かったです。

『カバリュス像の肖像』もそうですが肖像画の腕も確かで。トライセラの和田さんのような『アレクシ・ド・トクヴィル』やキャラが伝わって来るかのような『エミール・ドサージュの肖像』も良かった。

その他ギュスターヴ・モローのと並べられていた『アポロンとダフネ』、『ドナクロワの≪怒れるメデア≫に基づく模写』、『海から上がるウェヌス』とそれに影響を受けたピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ『海辺の娘たち』の乳白、それに『十字架を持つ若者と天使の習作』も良かったです。

他の画家の作品でいうとギュスターヴ・モローが死せるシャセリオーの思い出として描いた『若者と死』がピカイチに素晴らしく、他モローは『聖チェチリア』、『牢獄のサロメ』が良かった。この他赤い花枝が印象的なオディロン・ルドン『二人の踊女』、ウジェーヌ・ドラクロワ『連作ハムレット』・『ヴィヨ夫人』、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル『ジェニー・ドラヴァレット(?)の肖像』、オーギュスト・ルノワール『ロバに乗ったアラブ人たち』が良かったです。

さらに何気に良かったのがシャセリオーの兄や、アリス・オジーが書いた手紙で、文字の美しさに心惹かれました。

展覧会を見回っている最中にソプラノ清水理恵さん、メゾソプラノ松浦麗さん、キーボード藤原藍子さんによるナイト・ミニコンサートが開かれ、バッハ=グノー「アヴェマリア」、マスネ「エレジー」、フォーレ「リディア」、ビゼー「オペラ『カルメン』より"ハバネラ"」、グノー「オペラ『ロメオとジュリエット』より"私は夢に生きたい"」、ドリーブ「オペラ『ラクメ』より"花の二重奏"」、そしてアンコールの「舟歌」まで楽しませてもらえました。

その際、「本日はプレミアムフライデーなので常設展は21時までやっています」と聴き、常設展も愉しみました。

中でもスエーケン:デンマークの芸術家村の特集が素晴らしく、北欧の漁師の絵や、ミカエル・アンカーの『海辺の散歩』なんかがかなり気に入りました。そのコーナーは写真NGだったのですが、また常設展で幾枚かぱりゃりと撮りました。

ピエール・オーギュスト・ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち≪ハーレム≫』
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ピエール・ボナール『働く人々』
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パブロ・ピカソ『男と女』
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シャセリオー展、しゃらりとたおやかにみれる展示、28日迄。

cf.
シャセリオー Théodore Chassériau 絵画・美術においてロマン主義とは何か? 新古典主義との違い (dezire_photo & art)

by wavesll | 2017-05-27 05:59 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

春日大社 千年の至宝展 & 東博常設展

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春日大社展@東博に日曜行ってきました。
すっごいヴォリューミーな展示で楽しめました。国宝の鎧が四つ揃い踏みはこの日までということもあり、開館丁度食らいに着くと行列が出来ていました。

その国宝の鎧四領。

黒韋威伊予札胴丸は質実剛健な美、黒韋威胴丸はUに十文字の角が美しかった。
赤糸威大鎧(梅鶯飾)はクリーム色で、クワガタの様なVの角が勇壮。肩掛けがアシメ、梅飾はクロノグラフの如し。兜の獅子の睨みが凄い!赤糸威大鎧(竹虎雀飾)は一番カッコ良く、レッド。角はU字の月の様。虎や雀がボタニカルな装飾に躍る。またしても肩掛けはアシメ。

この四領揃い踏みは壮観でした。

そしてもう一つの目玉が国宝・金地螺鈿毛抜形太刀。ゴールデンボタニカルソード。金の竹林に猫が雀を追う装飾。華麗の極み。

この他にもこの展覧会は武具を始めとした国宝がわんさかあって。

『沃懸地獅子文毛抜形太刀』のシンプルな小気味良さ。『金銅柏文兵庫鎖太刀』、でかい!長太い!『菊造腰刀』は切れ味良さげ。梅花皮腰刀』はエイ皮がカッコ良かった。

『本宮御料古神宝類 鏑矢』や『本宮御料古神宝類 細身鉄鉾』、『若宮御料古神宝類 蒔絵弓(松喰鶴千鳥文)』、金の矢尻の『若宮御料古神宝類 金銅尖矢』、『若宮御料古神宝類 平身鉄棒』なども。

ぶつぶつが魅力的な平安時代の黒剣、『本宮御料古神宝類 黒漆平文飾剣(柄白鮫)』&『本宮御料古神宝類 黒漆平文飾剣(柄銀打鮫)』など、こんなにも数多な武具が国宝として祭られているとは知りませんでした。

春日大社の神様は様々な姿で現れます。

まずは鹿。『鹿島立神影図』神鹿と翁、そして月などが描かれたファンタジックな掛け軸群。『春日神鹿御正体』は銅製の神鹿像、五輪が美しい。『金銅鹿像』にアラビアを、木彫りの『白鹿』に北欧を、『鹿図屏風』に琳派を感じました。

神鹿以外にも様々な形で現れます。『春日地蔵曼荼羅』や『春日文殊曼荼羅』はそのカタチ。『春日赤童子像』てのも。『地蔵菩薩立像』は後光輪や足元の蓮と雲も良かったし、『文殊菩薩騎獅像および侍者立像』は水戸黄門御一行の如し。『十一面観音菩薩立像』も良かった。

また『春日宮曼荼羅』というものがあると初めて知りました。春日大社の全景を空から描くことで曼荼羅となるというもの。『春日大明神像・住吉大明神像』はキャラ立ちしてました。『春日龍珠箱』龍神の水の伝説を描いたこの箱、サントリー美術館でもみたけれど、やはりいい。

そんな春日大社には芸能も奉納されます。

『競馬図屏風』、くらべうまというのか。舞楽面では勇壮な『皇仁庭』、ピエロのような『新鳥蘇』、ペルシャ人顔の『納曽利』、新羅を破った祝いの『散手』、鯉のように口をすぼめた『貴徳鯉口』、霊鳥の『崑崙八仙』、怪しい笑いの『地久』等どれも良かった。

『打毬楽装束』や『散手装束』、『林歌装束』では布でできた兜が良かった。能面では庶民の翁の『三光尉』、竜神の『黒髭』が。『若宮御料古神宝類 笙』や『伎楽鼓』、超巨大な『鼉太鼓』といった古代の楽器もありました。

その他も逸品ぞろいで、『本宮御料古神宝類 蒔絵筝』蒔絵と螺鈿が麗しく、黒地が茶に移ろう時の流れがより美しくする。『黒漆平文根古志形鏡台』榊の形の鏡台。『古神宝類 瑞花双鳳八稜鏡』は歪みが良かった。『亀甲蒔絵手箱』は亀甲をモノグラムのようにデザインしたセンスが抜群。

書類・巻物も数多くありましたが黒地に金の『博物館不空羂索神咒心経』も良かったし、『御堂関白記 寛弘元年上』を書いたのはなんと藤原道長!道長の字は大学生みたいな悪筆でしたw

『四方殿舎利厨子』はこの展覧会で特A級に気に入った芸術品!仏教のキャラ達が扉に描かれ、青、赤、緑に描かれた厨子の奥には鹿のレリーフが美しかった。

『春日神鹿舎利厨子』は水晶が綺麗でした。『鹿座仏舎利および外容器』の白鹿も良かったし『獅子座火焔宝珠形舎利厨子』の焔水晶も美しく、『春日宮曼荼羅彩絵舎利厨子』は愛染明王、不動明王、四天王が描かれた美のある厨子でした。

また『春日大社丈尺之記』という大工の設計図や『獅子・狛犬』も。『瑠璃灯籠』は写真も撮れたりと、本当に量・質の両面で大満足な展覧会でした◎

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そして帰りに常設展に寄っていいのをFotoってきました。

初代宮川香山 / 褐釉蟹貼付台付鉢
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葛飾北斎 / 信州諏訪湖水氷渡
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歌川広重 / 亀戸小室井梅園
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鳥橋斎栄里 / 梅窓美人図
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高円宮根付コレクションのイクラと幽霊の根付
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鬼面文鬼瓦
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黒糸威二枚胴具足
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沃懸地和歌浦蒔絵脇指
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この他に刀剣では写真NGだったけれど『金銅昼巻太刀』と『鰐皮包打刀』が良かった。

白糸威胴丸具足
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紅白梅図屏風
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織部扇形向付
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土方稲嶺 / 寿老・牡丹に猫・芙蓉に猫図
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最後にもう一度宮川香山の蟹を。いやー、春日大社展と常設展合わせて3hはいたと想います。大変楽しい一日でした◎
by wavesll | 2017-02-20 20:41 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

第65回 東京藝術大学卒展 at 東京都美術館 Photographs

佐野圭亮 / 鉄象嵌蒔絵絵箱「生命の夜明け」
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池世煕 / 某月某日に起きた事
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いとうかをす / 自画像
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堀川詩保子 / Dew point
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島崎紗椰 / 巨獣の胃袋
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平井理乃 / 廻る
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岩城拓郎 / miu
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上田美緒 / 儚く、美しく
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上村早絵子 / coral blue
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塚田 楓 / 交錯結晶体
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森茉衣子 / 街
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福田拓郎 / Moon Chair
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遠渡李音 / それをなすもの
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二見泉 / knit space
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村尾拓美 / ひとつ
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山田高央 / ”鱟”自走置物
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村﨑謙介 / 流動
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長島友治 / 有限性の前に
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寺倉京古 / まほらま
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大﨑風実 / 走レ
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石槫祐奈 / Laye(a)rs
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石井淳 / Addiction
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吉野俊太郎 / 門
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出口果歩 / くじゃく
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出口果歩 / ゆり
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今井亮介 / 受容器
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野村絵梨 / 沁み込む身体
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佐藤風太 / 山は流れて ・ さび
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島田佳樹 / 暗闇の私
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小林かおる / 思い重ねる
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箕尾美佳 / テディベア
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鈴木彩香 / 臨書 高野切第三種
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松本美咲 / 臨書 光明皇后 楽毅論
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鈴木真未 / 創作 杜少陵詩「登兗州城楼」
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大橋直子 / 臨書 石門頌
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田中春菜 / 臨書 傳山 行草書李商隠詩
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佐々木愛理 / 西行の歌
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込山誉実 / 創作 李白詩「太原早秋」
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瀧澤花織 / Little armor
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岩上満里奈 / Human Lights
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三塚貴仁 / 砕けた石
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秋吉真悠子 / 蜜のかぐはし
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上田華奈 / Assemble
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佐瀬梓 / 手紙
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田中千晴 / 無垢の楽園
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有賀幸奈 / 心の塔
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島津速人 / LogisticStation
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沼田裕介 / Trace
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児玉慶多 / 絵画研究・絵画制作
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伊東日和 / よきかな、よきかな
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八木宏明 / MIDORI
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久保木愁也 / 白蟻の湧いた納屋に雷が落ちて燃えている
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長谷川馨香 / 北の神話
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佐藤華恵 / room
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新井毬子 / 闖入者
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岩崎広大 / 環境について
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齊藤理紗 / うつる・つらなる
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三輪奈月 / Landscape
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道家生真 / 内
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仁志麻里恵 / 隘路
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平本恵理 / 視力検査
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川中瑶子 / とある街の風景
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落合祥子 / 光織り
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神谷渡海 / 光跡
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中西智美 / repeat
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石山諒 / Blood line
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佐藤果林 / contrast
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速水駿 / 群衆
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諸橋花野 / ぞろぞろ
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小泉皓 / 生のまま
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新明玲奈 / 連なりの中で
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鈴木祐斗 / ひそむ
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三宅世梨菜 / 暁闇の葦原
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和田宙土 / 瘡痕
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寺尾美穂 / 天国のちょっと下
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髙橋瑞稀 / 驟雨に滲む
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東京藝大卒展を観に都美に行ってきました。
高水準の作品たち、立体や書、カブトガニのロボなんて作品も。抽象化された座禅像と円相の組み合わせなんて絶妙だと想いました。

中でも最後に載せた日本画科が興味深かった。今の日本画、モチーフは現代的だけど透過するようなマチエールが後期フィッシュマンズ、ライヴでの相対性理論、リユニオンはちみつぱいの音像みたいな日本の美意識を感じられてとても良かったのでした。

馳せ参じたきっかけはTwitterでみかけた髙橋瑞稀さんの告知で。アポなしで行ったのですが髙橋さんとも話をすることが出来ました。

香港のトラムの絵。けれど仰々しい文字看板は薄め、旅を過ごす中で溶け込む風景を描いていてそれが普遍的な“光景の移動”に繋がっていて。離れてみると本当に車両の中の様にみえ、傍でみると顔料の厚みを愉しめました。

東京藝大の卒展は本日の12:30で終了してしまいましたが、現在様々な美大の卒展が各所で行われており、2月23日(木)〜3月5日(日)には国立新美術館にて多摩美術大学・女子美術大学・東京造形大学・日本大学芸術学部・武蔵野美術大学の東京五美術大学連合卒業・修了制作展が行われるそうです。

美術は梅の花のように冬に咲き誇るのですね。一つ一つの絵に込められた熱や思想・工夫を想い、大いに楽しめました。
by wavesll | 2017-01-31 19:10 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

世界遺産 ラスコー展@国立科学博物館で"Lascaux3"をみた

Lascaux. Pinturas Rupestres. Arte.


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国立科学博物館に世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~を観てきました。

フランス・ラスコー洞窟。少年が偶々みつけたこの2万年前の藝術は、現地でも見ることはできません。
壁画保護のため洞窟は閉鎖されているのです。
しかし、その傍に"ラスコー2"という洞窟を完全再現したレプリカがあり、観光客はこれを観ます。

そして、此の度上野にやって来たのは"ラスコー3"、遠隔地での展示が可能な実物大の部分部分のレプリカ。これも素晴らしかったのですが、現地の写真や映像をみると、"洞窟壁画"というより"天井画"というか、水族館のチューブ回廊のように半球状に動物たちが描かれているのが凄くて。これを観るためにラスコーへ行くのはやっぱりアリだなぁと想いました。

驚いたのは壁画に獣だけでなく、四角で形づくられた紋章も描かれていたこと。2万年前から「四角」という人工的な「形」があったとは。四角の紋章は中央の黒牛の下に在りました。また"鳥人"のようなシャーマン?もいたり。とても興味深くて。

壁画は最初に輪郭が彫られ、そこに着色され、さらに線刻がなされたとのことでした。うーん、ほんと凄いなコレ。『ラスコー洞窟VR』みたいなPS4ソフトorスポットが出来たら「俺の金持ってけ!!」状態になりそうwというかそういうVRソフトを愉しめるVR喫茶とか出来て欲しいなー★

展覧会の大きな目玉は"ラスコー3"ですが、他にもオオツノジカの骨格レプリカがあったり、何よりもラスコー洞窟画を描いたクロマニヨン人に関する展示が充実していて。洞窟壁画を描くために使ったであろうランプや、獣のレリーフが彫られた道具なんかも興味深かったです。

後、何気に気になったのは2万年前のラスコーより更に以前、3万5000年前のショーヴェ洞窟にも壁画があるという記述があって。古代へのロマンが湧きたちました。

この特別展のチケットで常設展もみれるし、これで1600円ならアリ。金曜は20時までやってるそう。2/19迄。

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"ラスコー1"はみれなくても"ラスコー2"、いつかみてみたい!
by wavesll | 2017-01-06 22:15 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

クラーナハ展 & 国立西洋美術館常設展

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上野・国立西洋美術館へクラーナハ展―500年後の誘惑を観に行ってきました。

非常にいい展覧会。ドイツ・ルネサンスというのも初めて知る俄振だったのですが、クラーナハの画には時代を越えた感性を感じました。ルカス・クラーナハ(父)による『聖カタリナの殉教』のSFみたいな天変地異とデヴィッド・ボウイの様な銀金のスーツ。これが1508/09年頃の画とは思えない!

クラーナハ(父)による『正義の寓意(ユスティティア)』。一緒に行った子の“背景の黒のフォルムがとびきり”という言葉を聞きその通りだと想。この早筆で工房を率い絵画の大量生産を行った画家を素材にレイラ・バズーキが中国の複製画家達に6時間で描かせた複製現代アート『ルカス・クラーナハ(父)≪正義の寓意≫ 1537年による絵画コンペティション』も“ジャンプ漫画家達が描いた両さん”みたいで面白かったのですが、オリジナルは構図が頭抜けていて、その幼児体型もあいまってどぎまぎするような蠱惑で"正義"が描かれる非・バランスにやられました。

クラーナハの現代性は人物画の背景に顕著だと想います。父ナハの『ザクセン公女マリア』の水色、『フィリップ・フォン・ゾルムス=リッヒ伯の肖像習作』の黄色に浮かぶ首はSWANSのジャケの様。『ブラデンブルク=クルムバッハ辺境伯カジミール』の青緑もモダン、ゴッホの時代みたいな超越性。

父ナハ『ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公』の確かな筆致。この頃の貴族が着てる毛皮のジャケットが典雅でいい。父ナハ『夫婦の肖像(シュライニッツの夫婦?)』のしっかりした人間性を感じる描写力。父ナハ『神聖ローマ皇帝カール5世』、こんな顔だったのか!顎シャクレとるがな。

父ナハとゲオルグ・ペンツの『ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒ寛大公』の二枚の顔がそっくりで本当にこの顔なんだなと。父ナハ『女性の肖像』の髪飾りと刺繍の美しさは子ラーナハ『ザクセン選帝侯アウグスト』『アンナ・フォン・デーネマルク』に通じ、この子ラーナハの二枚は序盤のピークの一つ。服飾の質感の美事さ。金糸刺繍や服の厚みの表現、素晴らしすぎました。

版画がとっても良くて。父ナハ『マグダラのマリアの法悦』、同じ題材をカラバッジョ展でみましたがより聖的で。マルティン・ショーガウアー『聖アントニウスの誘惑』の化物の良さ。父ナハの同題も化犬が可愛かった。あいつ五百羅漢図展にいたなwアルブレヒト・デューラー『龍と闘う大天使ミカエル』も見事。

父ナハ『聖ゲオルギウスと龍』なカッコ良さ。『聖ヨハネス・クリュソストモスの悔悛』の鹿の神々しさと植物の魔境感には舌を巻きました。父ナハ『ヴィーナスとキューピッド』『キューピッド』『ヴィーナス』の小悪魔な小娘の裸体の目の不健康な色気にやられました。父ナハ『パリスの審判』も魅力的な線で。『アダムとイヴ(堕罪)』の版画では輝かしいエデンが。絵画版『アダムとイヴ(堕罪)』では若い男女の悪い表情がロックな魅惑を放っていました。

父ナハの『ルクレティア』の狂った美人の美。透明なヴェールが艶めかしい。イスラエル・ファン・メッケネム『ルクレティアの自害』も伝統的で良かったのですが、デューラーといい、ちょっと正統派で押されすぎてクラーナハの革新性の引き立て役感がちょっとありました。

この展覧会ではクラーナハをテーマとした他の画家も展示してあって。マルセル・デュシャン『花嫁』も機械/器械での比喩表現は良。ジョン・カリン『スノ・ボ』はクラーナハ式の異様なS字身体で名カヴァーといった感じでかなり面白。

そしてこの展覧会の裏番がパブロ・ピカソが描いたクラーナハを基にした画で。『ヴィーナスとキューピッド(クラーナハにならって)II』のセンスの良さといったら!第1ステートと第2ステートがあるが白い方が好み。『ダヴィデとバテシバ(クラーナハにならって)』のサン・ラ感。ピカソの驚異的なディレクション感覚がクラーナハを媒介して伝わりました。

父ナハ『泉のニンフ』、これは凄い。男なぞ眼中にない野生の妖精の目、射ぬかれる。対する子ラーナハの『ディアナとアクタイオン』のアイドルとみまがう様なお色気もヤバかった。この2枚に『正義の寓意(ユスティティア)』の三枚が私的クラーナハ美人画三選でした。

“誘惑する絵-「女のちから」というテーマ系”コーナーの凄味。
父ナハ『不釣り合いなカップル』の若い娘の色香なやられる老人のみっともなさと金目当ての女。『ヘラクレスとオンファレ』のヘラクレスのだらしない顔wそしてオンファレがみつめるのは"こちら"。また『ロトとその娘たち』のビロードの描写とバックのソドムの滅亡描写をみれたのは嬉しいサプライズでした。

『洗礼者ヨハネの首を持つサロメ』の邪で得意気な笑み。『ホロフェルネスの首を持つユディト』、ポスターではクールネスを強く感じたが、実際にみると冷酷さというより正義を執行した“やってやったぞ”という紅潮が感じられとても印象的で、これは生でみれて僥倖でした。

クラーナハの描く赤ん坊は僧侶のような悟った目付きというか不気味さを感じて。父ナハ『聖母子と幼き洗礼者ヨハネ』・『幼児キリストを礼拝する幼き洗礼者ヨハネ』、『聖母の教育』、しまいにはダンシングベイビーのよな『メランコリー』、野性動物のような意志疎通の難しい生物としての子どもを感じたのは私自身が子供との付き合いが下手なのがあるからかもしれません。

ラストの部屋のテーマはルター。
クラーナハはルターの肖像画を目にした人も多いのでは。ルターの友人である父ナハによる『マルティン・ルター』の黄緑の背景に若々しいルター。聖職者でありながら妻を娶ったルター。父ナハ『マルティン・ルターとカタリナ・フォン・ボラ』これこれ!これみたことある!父ナハの挿し絵によるルター翻訳『新訳聖書(9月聖書)』は宗教改革の記念碑的書物、宇宙と芸術展でみた『種の起源』などの名著の初版を想起しました。

見どころの多い好い展覧会。来年1月15日迄。

常設展もみてきました。

スケッジャ / スザンナ伝
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聖ヴェロニカ
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聖ミカエルと龍
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アンドレアス・リッツォス / イコン:神の御座を伴うキリスト昇天
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シモン・ヴーエ / アレクサンドリアの聖カタリナ
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ジュゼペ・デ・リベーラ / 哲学者クラテース
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ペーテル・パウル・ルーベンス / 豊穣
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エドワールド・コリール / ヴァニタス-書物と髑髏のある静物
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エヴァリスト・バスケニス / 楽器のある静物
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ジョルジュ・ド・ラ・トゥール / 聖トマス
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アレッサンドロ・マニャスコ / 羊飼いのいる風景
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ニコラ・ランクレ / 眠る羊飼女
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カルロ・ドルチ / 悲しみの聖母
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アリ・シェフェール / 戦いの中、聖母の加護を願うギリシャの乙女たち
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ジャン=バティスト・カミーユ・コロー / ナポリの浜の思い出
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ジャン=フランソワ・ミレー / 春(ダフニスとクロエ)
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ギュスターヴ・ドレ / ラ・シエスタ、スペインの思い出
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オノレ・ドーミエ / マグダラのマリア
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ギュスターヴ・クールベ / 波
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エドゥアール・マネ / 花の中の子供(ジャック・オシュデ)
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カミーユ・ピサロ / 立ち話
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クロード・モネ / 舟遊び
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クロード・モネ / しゃくやくの花園
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クロード・モネ / ウォータールー橋、ロンドン
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モーリス・ドニ / 雌鶏と少女
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モーリス・ドニ / ≪雌鶏と少女≫のためのスケッチ
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モーリス・ドニ / 「フィレンツェの宵」より《カンタータ》のための習作(?)
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モーリス・ドニ / 「黄金時代」より《浜辺》のための習作
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モーリス・ドニ / 久我夫妻の肖像
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モーリス・ドニ / 久我太郎の肖像
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モーリス・ドニ / ジャンヌ・ロネー
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モーリス・ドニ / レマン湖畔、トノン
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モーリス・ドニ / 池のある屋敷
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モーリス・ドニ / 《フィエーゾレの受胎告知》のための習作
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モーリス・ドニ / サン・ポール聖堂ステンドグラス《聖ジャンヌ・ド・シャンタル》のための習作
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モーリス・ドニ / 『エロア』のための習作
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ポール・ゴーガン / 海辺に立つブルターニュの少女たち
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ポール・ゴーガン / 水浴の女たち
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アドルフ=ジョセフ=トマ・モンティセリ / カシスの港
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ジョン・エヴァリット・ミレイ / あひるの子
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ポール・セリュジェ / 森の中の四人のブルターニュの少女
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エミール・ベルナール / 吟遊詩人に扮した自画像
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ポール・ランソン / ジギタリス
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ピエール・ボナール / 座る娘と兎
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エドゥアール・ヴュイヤール / 縫いものをするヴュイヤール夫人
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モーリス・ドニ / シエナの聖カテリーナ
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ジョルジュ・デヴァリエール / 聖母の訪問
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ピエール・ボナール / 働く人々
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フランク・ブラングィン / しけの日
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レオン・オーギュスタン・レルミット / 落穂拾い
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ヴィルヘルム・ハンマースカイ / ピアノを弾く妻イーダのいる室内
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アンリ=ギヨーム・マルタン / 縫い物をする女
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ピエール=オーギュスト・ルノアール / 帽子の女
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アンドレ・ドラン / ジャン・ルノアール夫人(カトリーヌ・へスリング)
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ヨーハン・ハインリヒ・フュースリ / グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ
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ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(派) / ある男の肖像
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ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ / 聖母子と三聖人
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ジョヴァンニ・セガンティーニ / 風笛を吹くブリアンツァの男たち
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アンリ・ルバスク / ハンモック
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ロジェ・ビシエール / 花を持つ婦人
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アンドレ・ボージャン / アルクマール運河、オランダ
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フェルナン・レジェ / 赤い鶏と青い空
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サム・フランシス / ホワイト・ペインティング
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ジャン・デュビュッツェ / 美しい尾の牝牛
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ジョルジュ・ブラック / 静物
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モーリス・ド・ヴラマンク / 町役場
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シャイム・スーティン / 心を病む女
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ジョルジュ・ルオー / 道化師
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ジョルジュ・ルオー / リュリュ(道化の顔)
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ピエール・ボナール / 花
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レオナルド・ビストルフィ / 死の花嫁たち
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cf.
レオナルド・ダ・ヴィンチ展*カラヴァッジョ展*国立西洋美常設展

黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝&国立西洋美術館常設展foto shots
by wavesll | 2016-12-04 17:47 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

TOKYO数寄フェス

上野公園、TOKYO数寄フェスに来ました。
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Memorial Rebirth / 大巻 伸嗣
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桜光
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浮遊する、呼応する球体 - 不忍池 / チームラボ
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花見ならぬ珠見ですな
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ミナモミラー / 鈴木 太朗 +東京藝術大学美術学部デザイン科空間・演出研究室
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by wavesll | 2016-10-23 20:45 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

黒田清輝展@東博 もう一つの坂の上の雲

東博に「生誕150年 黒田清輝 日本近代絵画の巨匠」展へ行ってきました。
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展示は初端の『婦人像(厨房)』から驚きの高水準。『アトリエ』の抜けるような光。『少女』のコントラスト『七面鳥』の暢気さ。『洋燈と二児童』の濃い美。

黒田の師ラファエル・ロランの『フロレアル(花月)』『思春期』の裸婦の美しさ。留学で彼が影響を受けたアレクサンドル・カバネル『フランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの死』、ジャン=フランソワ・ミレー『羊飼いの少女』、ジュール・バスティアン=ルパージュ『干し草』、ジュール=ブルトン『朝』、クロード・モネ『サンジェルマンの森の下草』、アルフレッド・シスレー『モレのポプラ並木』、ピエール・ビュヴィス・ド・シャヴァンヌ『聖ジュヌヴィエーヴの幼少期』。やはり西洋絵画は西洋人が書いてこそ本質を持つ気がしてしまいました。如何に黒田清輝が上手くても、普通の上手さでは、足りない。酷い見方だとは思うけれど…。

日本に戻った黒田が描いた『舞妓』、『横浜本牧の景』、『大磯』の風景。『大磯鴨立庵』、『昼寝』の赤。『東久世通禧公肖像』。日本を描くことでオリジナリティが生まれて面白い。そして『湖畔』。油絵で日本の心を、こんなにも薫らせることが出来るのか。『木かげ』の光。『裸体婦人像』、『春』、『秋』の甘美なヌード。『野辺』、『花野』。『赤小豆の簸分』の自然派から影響を受けた農村の生活描写。『桜島爆発図(噴煙、噴火、溶岩、降灰、湯気、荒廃)』なんてのも。連作『雲』が良かった。

黒田清輝に関連した日本画家の山本芳翠『花化粧』、小林万吾『門付』、青木繁『日本武尊』、中村弘光『裸婦(霧)』、藤島武二『静』も良かった。

そして戦災で焼失した名画『昔語り』の下絵『草刈り娘』・『僧』・『舞妓』・『仲居』・『男と舞妓』・『男』がスナップ画として、それら単体でも素晴らしかった。ラストは今も論議を呼ぶ『智・感・情』。ミステリアス。当時の日本女性としてはありえない7頭身ながら、普段草鞋を履いているであろう足。服装でなく肉体で日本を表現するとは。見事。

渡欧時の作品には複雑な思いというか、良い絵だけど日本人がこれを描く意味は?と想い、日本に戻ってからの絵は“洋画というツールで日本の風景を変換した”様にみえましたが、明治期。ああこの人も『坂の上の雲』の人なのかと。夏目漱石が評した絵もありました。グローバル化に直面しもがき、日本人というアイデンティティを世界に挑戦する上で求められた明治。まるで、今の様。

というより、明治期に形作られたシステムが今解体され、再びドラスティックな変化が(明治期の様に)起きているのでしょう。第二の開国がインターネットによって起きたとしたら、今は第二の文明開化の時期と言えるかもしれません。双方向の文明開化。

今回の文明開化は、海外に挑戦するスポーツ選手やミュージシャン、企業家など、多岐に渡ります。その大先輩にあたる黒田さんの功績は、確かにその後の日本画壇のレベルを見ると筆致に物足りないところはあるし、西洋画というジャンルにおける先行者利益の人だと想います。しかしその“切り開いた”行動力、未知へ突き進む胆力こそ、彼の真骨頂の一つ。挑戦者は批判を恐れてはならない。

そうして見る『湖畔』。31歳での作品。彼は、西洋を身につけ、日本の新しい水準を示した。遥かなる高みにいる同い年。俺は相変わらずデラシネ…。その絵に描かれた女性は後の妻、照子さんだといいます。どこか同期をみるような、『お前はのうのうと何やってんだ!?』と言われたような。特別な展覧会になりました。

その後、常設展等も観てきました。

虎の陣羽織
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歌川国芳『通俗水滸伝豪傑百八人之一個・清河県系之産武松』
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円山応挙『虎図』
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玉杖石製品
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埴輪 猿
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三彩多口瓶
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押出蔵王権現像
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慶長小判・大判
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上村松園『焔』
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大智勝観『聴幽』
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曾山幸彦『試鵠』
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太刀 青江守次
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脇指 金房政次
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太刀 長船長光(号 大般若長光)
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太刀 粟田口国安
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頼光大江山入図大花瓶
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唐織
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藤棚図屏風
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白猪空穂
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黒韋肩白威胴丸
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黒糸威胴丸具足
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模造 樫鳥糸威鎧
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紺糸威筋兜
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南蛮胴具足
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太刀 備前一文字弘
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黒漆打刀
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当麻曼陀羅図
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両界曼陀羅図
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聖徳太子絵伝
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大般若経 巻第四百六十五 断簡
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須恵器 子持高坏
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根付
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喜多川歌麿'『山姥と金太郎 杯』
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歌川広重『薔薇に小禽』
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蹄斎北馬『出陣図』
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写真禁止のものも、目茶苦茶素晴らしかったです。福田平八郎『漣』の現代性、『制吒迦童子』の眼差し、この二つは黒田清輝入れても今日のベストでした。『黒綸子地唐草入大葉文様小袖』、竹内栖鳳『絵になる最初』、『古筆手鑑 浜千鳥』etc etc...素晴らしかった。

黒田清輝展は15日まで。特別展のチケットで常設展もみれるので、おすすめです◎
by wavesll | 2016-04-27 21:49 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

生誕300年 若冲展@東京都美術館 High Vision & High Standard

c0002171_724692.jpg都美に生誕300年 若冲展へ行ってきました。

鹿苑寺(金閣寺)の襖絵、動植綵絵、そしてプライスコレクションの鳥獣花木図屏風まで。若冲は「具眼の士を 千年待つ」と言ったそうですが、まさに当時における数百年未来の今、その高い視座が高い普遍性として受け入れられる奇想の素晴らしさ、美しいカタチがありました。

9時過ぎには上野についたのですが、混んでましたねー!空いてる状態で一番入りしたい場合は8時半とかにいかないといけないのかもしれません。ただ、見終わって出ると行列がなかったので、案外夕方とかの方が空いてみれるかもしれません。まぁちょっとGWは人出が凄そうですが、混んででも観るだけの価値はあり。


c0002171_729115.jpg動植綵絵で一番好きだったのがこの『雪中錦鶏図』。この天才性は先日見たエグベルト・ジスモンチにも通じるなぁ。若冲もジスモンチも二度目のコンタクトでしたが、初物のインパクトに比肩する瑞々しさを多数見た後でも生み出す凄さ。細密な碧。極彩の魔術。

他の動植綵絵では『老松白鳳図』『牡丹小禽図』『棕櫚雄鶏図』『紫陽花双鶏図』『雪中鴛鴦図』『芦雁図』『池辺群虫図』の蛙、『貝甲図』のデザイン性はモダンな感性でした。

その他良かったもの。『糸瓜群虫図』『雪中雄鶏図』『旭日鳳凰図』『白梅錦鶏図』『隠元豆・玉蜀黍図』『鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図襖絵』のカクカクした枝振り。『鳳凰之図』『樹下雄鶏図』『瓢箪・牡丹図』『乗興舟』の黒波、『花鳥版画』シリーズ、『仙人掌群鶏図襖絵』の鶏の正面の顔。メインヴィジュアルに使われている白凰、生で見ると全然感動が違いますよ!優美さにびっくりしました!そして世のワンコ好きにはたまらないであろう『百犬図』も掘り出し物でした。気づかなかったのですが、『百犬図』は動植綵絵と同じ寸法だそうです。『鳥獣花木図屏風』のデジタルタイル絵はやっぱり良かった。

見所が多い若冲展。一か月と短い展示ですが、その中でも展示替えもあるそうなので、お早めに検討するのがいいかと想われます。
by wavesll | 2016-04-25 07:36 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

レオナルド・ダ・ヴィンチ展*カラヴァッジョ展*国立西洋美常設展

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江戸東京博物館にレオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の挑戦展を観に赴きました。

『糸巻きの聖母(バクルーの聖母)』が圧倒的でした。綿飴のような質感(スフマートというらしい)。レオナルド派の絵も多数あったのですが、不気味というか、ダヴィンチの画力レベルの高さが際立っていました。ダ・ヴィンチは今まで“ちょっと理知的過ぎるかな”という印象で、実際レオナルド派は実際今回見てそう感じたのですが、糸巻の聖母のやわらかさ、たおやかさは本当に心に安寧をもたらしてくれました。

ダ・ヴィンチ以外の作品では彼の師匠、ヴェロッキオの『戦士の肖像(アレクサンダー大王?)』のレリーフとレオナルドの弟子サライによる『12歳のキリスト(若き救世主)』のオレンジの衣は良かったです。また冒頭に現在のヴィンチ村の写真があったり、飛行機の設計案の手記がみれたり。個人的には最後の展示室にあったダヴィンチの都市計画案もみれたのが嬉しかったですね。

平日二も関わらず結構混んでいて、チケット購入に10分、展示に入るのには並びませんでしたが『糸巻の聖母』を間近で観る為に20分ほど列に並びました。中規模な展示でしたが、悪くはない展覧会でした。

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ちょっとダヴィンチ展だけでは食い足りなかったのと、帰り道にあるしという事で前から気になっていた国立西洋美術館、カラヴァッジョ展に行ってきました。

これほんと好きな展覧会でした!人間の欲、狡さ、悦楽…ヒトの生気が肉感的に描かれる。カラヴァッジョ本人も凄まじい筆でしたが、カラヴァジェスキと呼ばれるフォロワー達も本当に良い絵。空いてる中で観れる愉楽。薦!です。

いいと想ったのを連ねていくと、
シモン・ヴーエ『女占い師』老婆の顔、男の顔!バルトロメオ・マンフレーディの追随者『ブドウを食べるファウヌス』鬼感。《羊飼いへのお告げ》の画家『バラの花を持つ少女』中性的なイマっぽさ。アクアヴェッラの静物の画家『桃の入った籠と少年』大胆な構図と少年の顔!ジョバンニ・バリオーネ『自画像』の目!バルトロメオ・マンフレーディ『キリストの捕縛』金属の重厚な質感。

そしてミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ『果物籠を持つ少年』弾ける生命感『バッカス』の美少年には男なのにうっとりしてしまう。『ナルキッソス』や『エック・ホモ』等男の身体を美しく描く。『エック・ホモ』はチゴリのも良かった。ピラトの目が澄んでいて。

カラヴァッジョ『法悦のマグダラのマリア』冥界の色気。ジョバンニ・フランチェスコ・グエリエーリ『悔悛のマグダラのマリア』ドクロに恥部を刺激されてるようなエロさ、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール『煙草を吸う男』火の表現。

ジョバンニ・ランフランコ『牢獄で聖アガタを癒す聖ぺテロ』のような牢獄シリーズやカラヴァッジョが盾に描いた蛇のヌメリが鮮やかな『メドゥーサ』等の斬首コーナーがあった。オラツィオ・ポルジャンニ『ダヴィデとゴリアテ』の首斬り場面は弩迫力。
ヘンドリク・ブリュッヘン『合奏(聴覚の寓意)』ふくよかな悦楽やオラツィオ・ジェンティレスキ『スピネットを弾く聖カエキリア』天使による楽器演奏の快楽シリーズも素晴らしかったです。

秀吉の命で殺された宣教師達を描いたタンツィオ・ダ・ヴァラッロ『長崎におけるフランシスコ会福者たちの殉教』なんてのもありました。カラヴァッジョ自身38歳でこの世を去り、生涯の間に何度も裁判沙汰になるアウトローだったそう。その裁判文書記録?も展示。芸術で法をも乗り越える、凄い時代だし、凄い才能。『バッカス』の髪が灯りできらきら輝き、こそこそ天上を奏でる画だなと恍惚を感じました。

理知的なレオナルド派に対して本能的なカラヴァッジェスキという好対照の展示を楽しむことができました。東京の東側に纏まっているし、一緒に観るのもお薦めです。

そして国立西洋美に来た時のお楽しみ。常設展の撮影をまたしてきてしまいました。去年あたりで初めて常設展に行き始めたのですが、これが本当に楽しい。マイブームになっていますw

アンドレアス・リッツォス『イコン:神の御座を伴うキリスト昇天』
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14世紀シエナ派『聖ミカエルと龍』
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ヤコポ・デル・セライオ『奉納祭壇画:聖三位一体、聖母マリア、聖ヨハネと寄進者』
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カルロ・クリヴェッリ『聖アウグスティヌス』
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フランチェスコ・ボッティチーニ『聖ニコラウスと聖カタリナ、聖ルキア、聖マルゲリータ、聖アポローニア』
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アンドレア・デル・サルト『聖母子』
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ジョルジョ・ヴァザーリ『ゲッセマネの祈り』
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パオロ・ヴェロネーゼ『聖カタリナの神秘の結婚』
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオと工房『洗礼者ヨハネの首を持つサロメ』
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ディルク・バウツ派 『悲しみの聖母 / 荊冠のキリスト』
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ブーケラール、ヨアヒム『十字架を運ぶキリスト』
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ヤーコブ・ヨルダーンスに帰属『ソドムを去るロトとその家族(ルーベンスの構図に基づく)』
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グイド・レーニ『ルクレティア』
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コルネイユ・ヴァン・クレーヴ『プシュケとキューピッド』
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ペーテル・パウル・ルーベンス『豊穣』
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ペーテル・パウル・ルーベンス『眠る二人の子供』
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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『聖フスタと聖ルフィーナ』
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アントニオ・ベルッチ『キリストの降架』『羊飼いの礼拝』
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ジョバンニ・バッティスタ・ティエポロ『ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督』
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ピエトロ・ロンギ『不謹慎な殿方』
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ジャン・マルク・ラティエ『マリー=アンリエット・ベルトロ・ド・プレヌフ夫人の肖像』
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ユベール・ロベール『マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観』
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アリ・シェフェール『戦いの中、聖母の加護を願うギリシャの乙女たち』
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ウジェーヌ・ドナクロワ『馬を連れたシリアのアラブ人』
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ウジェーヌ・ドナクロワ『墓に運ばれるキリスト』
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ジャン=バティスト・カミーユ・コロー『ナポリの浜の思い出』
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ジャン=フランソワ・ミレー『春(ダフニスとクロエ)』
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ギュスターヴ・ドレ『ラ・シエスタ、スペインの思い出』
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エデュアール・マネ『花の中の子供(ジャック・オシュデ)』
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クロード・モネ『舟遊び』
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クロード・モネ『波立つプールヴィルの海』
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クロード・モネ『ヴェトゥイユ』
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クロード・モネ『陽を浴びるポプラ並木』
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クロード・モネ『しゃくやくの花園』
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ジョルジョ・ギージ『人生の寓意』
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ウジェーヌ・ドナクロワ『ゲーテ『ファウスト』による連作:空を飛ぶメフィストフェレス』
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ジャック・カロ『聖アントニウスの誘惑(第二版)』
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エミール=アントワーヌ・ブールデル『ヴェールの踊り』
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エドモン・アマン=ジャン『日本婦人の肖像(黒木夫人)』
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ピエール・ボナール『働く人々』
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ジョルジュ・デヴァリエール『聖母の訪問』
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モーリス・ドニ『シエナの聖カテリーナ』
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モーリス・ドニ『雌鶏と少女』
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ピエール・ボナール『坐る娘と兎』
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ポール・ランソン『ジギタリス』
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エミール・ベルナール『吟遊詩人に扮した自画像』
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ポール・ゴーガン『海辺に立つブルターニュの少女たち』
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ポール・ゴーガン『水浴の女たち』
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ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ『貧しき漁夫』
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アンリ・ファンタン=ラトゥール『聖アントニウスの誘惑』
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ギュスターヴ・モロー『牢獄のサロメ』
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ダンテ・ガブリエル・ロセッティ『愛の杯』
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ジョン・エヴァリット・ミレイ『あひるの子』
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ジョバンニ・セガンティーニ『風笛を吹くブリアンツァの男たち』
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ジョバンニ・セガンティーニ『羊の剪毛』
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フランク・ブラングィン『しけの日』
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ウジェーヌ・カリエール『クレマンソー』
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ジョルジュ・ルオー『道化師』
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ジョルジュ・ルオー『リュリュ(道化の顔)』
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EL JARDÍN DE LOS PRESENTES (1976) L.A. SPINETTA

by wavesll | 2016-03-24 22:34 | 展覧会 | Trackback | Comments(2)