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北斎 -富士を超えてー @あべのハルカス美術館 画業の究み、天然自然の筆致の奥義

あべのハルカス美術館にて北斎展を観ました。
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6時半の羽田発に乗り、伊丹から天王寺へ。大体8:40過ぎにあべのハルカスに入り、16Fへ。
そうするともう少しだけ入場列が出来ていて、そちらに並びました。

別にチケット列もあったのですが入場券も販売は10時からなので、事前にコンビニなどで券を買っておくのが良いかと想います。入場の際に言えばオリジナルのチケットと代えてもらえます。

”開場の1時間前に着いちゃったよ”と想ったのですが、これ、お薦めです!何しろ一巡目に入った時に空いた状態でほぼノーストレスでみれます。

2周目をしようとまた最初に戻ると、人混みで絵がみれるって状況ではなくて。そうした意味でも8:50くらいから並ぶとエクスクルーシヴな時間を過ごせると想います。

中に入ると、北斎の60才を越えた時期からの作品群が。≪玉巵弾琴図≫の妖玄な女性。≪獅子図≫の金地に墨でバッと描かれた獅子達。≪為朝図≫の鮮やかな武の姿も良かった。

北斎はダ・ヴィンチのスフマートのような柔らかい質感の色彩の作品を幾つも出しており、このスタイルでは≪節家の商家≫≪花見≫≪端午の節句≫や子供たちの弾ける元気さが楽しい≪初夏の浜辺≫などがありました。

≪千絵の海 総州銚子≫の荒ぶる波に踊る船、砕け散る波頭が印象的な≪波濤図≫が次に。

≪東海道名所一覧≫は地図としてのアート。後にこれの大陸版≪唐土名所之絵≫なども描かれました。

その後は≪富嶽三十六景≫。太田記念美術館にて≪冨嶽三十六景≫全46枚をみた後だったのでここは駆け足で。照明の光量もあり、太田記念美術館でよりヴィヴィッドな色彩で。参考資料で≪凱風快晴≫の初期ver,であるピンク富士のパネルもありました。

次に展示してあったのが≪諸国滝廻り≫シリーズ。≪諸国滝廻り 東都葵ヶ丘の滝≫の水流描写の立体感。≪諸国滝廻り 美濃ノ国養老の滝≫の直角に落ちる轟滝。≪諸国滝廻り 木曾海道小野ノ瀑布≫の岩肌のようにストレートな滝姿。≪諸国滝廻り 和州吉野義経馬洗滝≫の蛇行と馬がまた良くて。

≪地方測量之図≫なんて面白い題材の絵も。

また≪諸国名橋奇覧≫も面白くて。≪諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし≫という凄い橋景色や≪諸国名橋奇覧 三河の八つ橋の古図≫には尾形光琳の≪八橋図屏風≫を想起したり。≪諸国名橋奇覧 すほうの国きんたいはし≫も線雨がシンプルによかった。

ここから植物彩画。≪百合≫のデザイン性、≪芥子≫の美、≪牡丹・蝶≫の香ってくるような描写。≪朝顔・蛙≫は楚々としてました。

≪垂桜・鷽≫の鮮やかな青に浮かぶ花々。≪辛夷花・文鳥≫の可愛らしさ。≪藤・鶺鴒≫の洒落たデザイン性。≪杜鵑花・子規≫の晴天。

≪長春・黄鳥≫の霜降りのばら。≪白粉花・鵤≫のこれまた可愛い鳥の表情。≪鳶尾草 瞿麦 翡翠≫のカワセミの良い表情。≪小薊・鵙≫のアザミのとげとげな美、≪虎耳草・蛇苺・鵙・翠雀≫のこまっしゃくれた鳥の顔が好い。

そして個人的に大のお気に入りになったのが≪巌頭の鵜図≫。黒羽の中に銀河な輝きがあって。花鳥図から恒星へ行く素晴らしさ。大変気に入りました。また≪桜に鷲図≫も好ーいフォルムでした!

≪滝に鯉≫は登竜門を描きながらも上を目指さない鯉が主眼だと聞いて面白いなとw≪露草に鶏と雛≫は下絵もあり、それが良かった。

≪雉に蛇≫のキジの尾とヘビの対応が面白く、≪鷹図≫の反り感も最高でした。

また美しい≪若衆図≫や生活用品を描いた≪馬尽 馬除≫、≪馬尽 竹馬≫なんてのも。

北斎は半ば仙水としての中国も描いていて。≪花和尚魯智深図≫の太鼓腹、≪詩哥写真鏡 李白≫の今にも詠いそうな體の表情、≪詩哥写真鏡 杜甫≫の雪景色。月を望む≪詩哥写真鏡 安倍の仲麿≫≪詩哥写真鏡 春道のつらき≫なんてのも。

≪鬼児島弥太郎・西方院赤坊主≫も迫力がありました。

≪百人一首うばがゑとき 柿の本人麿≫の斜めの煙は≪百人一首うばがゑとき 源宗于朝臣≫では煙が滝の様。

≪歌占図≫も文人振りも良かったし、≪女三の宮図≫や≪白拍子図≫のカクっとした服飾がまた良くて。

≪『和漢絵本魁』初編より「那智の滝に文覚荒行 其二」≫は滝の飛沫がオーラのようで。これは根付にもなっていました。≪百物語 笑ひはんにゃ≫の不気味さw≪蓮上釈迦図≫もどこかインチキ臭いお釈迦様がw

≪日蓮波題目画稿≫は海に朱で画こうとしている日蓮が。≪釈迦御一代記図会≫の鬼の凄味。≪鍾馗図≫の亀甲のような腹も凄かった。

≪画本葛飾振≫の侍のカッコよさ。≪『大日本将軍記』初輯≫も素晴らしく、≪下絵帖≫なんかも。≪肉筆画帖≫は鷲や蛇が良かった。≪『富嶽百景』下絵 「写真の不二」≫には朱で下書きが入っていました。≪『富嶽百景』下絵 「夕立の不二」≫≪『富嶽百景』下絵 「文辺の不二」≫も良かった。

≪北斎自画像≫は”此のジジイ本当に楽しそうにはしゃぎやがる”とw≪老人像≫には狂気すらあけすけに見せていて良かった◎≪日新除魔図 閏九月廿一日≫なんてのをサラっとかけちゃうのが凄い。画狂だ◎

娘の応為の作品も飾られていました。≪月下砧打ち美人図≫や≪女重宝記≫では北斎より女性の綺麗さ、強さが描かれていて。≪関羽割臀図≫では腕の手術をされながら囲碁を打つ豪壮な画。≪応為書状≫では親しみが持て且つかっこいい字でした。

そして再び北斎。≪鳳凰図天井絵彩色下絵≫、凄い。正に火の鳥。

そしてここからがクライマックス。≪濤図≫。小布施の上町祭屋台天井絵であるこの濤は、北斎の波の究極。浪のなかにクエーサーのような飛沫が閃いて。

銀河、自然天然の、すべてをぶっとばすような美しさに偉大なるArtの力を感じました。額縁も北斎が下絵を描いていて。中には羽が生えた天使?も北斎は西洋画も研究していたそうなので本当に天使かもしれません。

北斎の画力は人生を重ねるごとに究極へ向かっていて。晩年の作は真に神域へ迫っていました。

≪鬼図≫はのん兵衛オヤジな雰囲気が伝わってきて。≪富士に松図≫は2本の松を中央に置く構図が美味い。≪流水に鴨図≫は水面の波が時空を越えていくような感覚。≪画本彩色通≫も凄い。

≪河骨に鵜図≫の荒涼さ。≪胡蝶の夢図≫は文人のオッサンの優男な感がいい。≪狐狸図≫はブリーチのあいつじゃないかw

≪七面大明神応現図≫は日蓮が龍を呼び起こす図。≪源三位頼政図≫も凄い画。≪李白観瀑図≫は自然の前で人がなんと小さいことか感じさせてくれました。

そして≪富士越竜図≫。魅入られました。北斎が辿り着いた富士の極致。

「己 六才より物の形状を写の癖ありて 半百の此より数々画図を顕すといえども
七十年前画く所は実に取るに足るものなし 七十三才にして稍(やや)禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり
故に八十六才にしては益々進み 九十才にして猶(なお)其(その)奥意を極め 一百歳にして正に神妙ならんか 百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん
願わくは長寿の君子 予言の妄ならざるを見たまふべし 」

と云った北斎。人生を進むごとにどんどん上手く凄くなっていく筆。この富士は、不死の希と、しかし魂が天へ昇っていく感覚があらわれるような覚りを感じました。

≪雲竜図≫はそんな神域が闇から呼び起したような迫力があって。

そして≪雪中虎図≫の夢幻。北斎翁が最後に辿り着いたのはファンタジックなときめき。画聖は天へ浮かんでいきました。こんなクライマックス、画業の究み。高みに至る人生の軌跡に感動しました。
by wavesll | 2017-10-29 07:19 | 展覧会 | Trackback | Comments(2)

太田記念美術館にて葛飾北斎≪冨嶽三十六景≫全46枚をみた

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表参道の太田記念美術館にて葛飾北斎 冨嶽三十六景 奇想のカラクリ展をみてきました。

冨嶽三十六景は実は36枚ではないことを御存じでしょうか?私は初めて知ったのですが、人気がありすぎて10枚追加し全46枚あるのです。そしてこの展覧会はその全作が展示されるというもの。

生で観る冨嶽三十六景は、浮世絵の実物に加え保存のため照明の光量も抑えているため、色味のヴィヴィッドさはそこまででもないのですが、実物大の浮世絵に顔を近づけてみると、その筆致というか摺致から線一本一本の迫力が伝わってきました。

本記事では、各景に一言コメントをつけていこうと想います。冨嶽三十六景はWikipedia Commonsで公開されていて各画にはそこからLinkを張りました。

46枚の順番はつくられた順ではなく、今回の展示の順番でコメしていきます。タイトルの”冨嶽三十六景”は省略しました。

≪凱風快晴≫:富士の赤が美しい。鰯雲のような雲の姿も雄壮さを湛えている。

≪相州梅澤左≫:ベロ藍(プルシアンブルー)の富士もさることながら、鶴が一羽一羽個性が伝わるような描写が素晴らしい。

≪常州牛堀≫:展示してあったものは藍と白の鮮やかなもので、船の勇美さが良かった。

≪山下白雨≫:北斎は富士山の特に山肌に非常に拘りをもって微細を描いているように感じた。右下の黄色の文様は雷だそう。そのデフォルメ具合も凄い。

≪甲州犬目峠≫:歩く人の大きさから景色の雄大さが伝わってくる。

≪五百らかん寺さゞゐどう≫:冨嶽三十六景には富士を眺める人々が良く描かれていて、これもその一つ。背中だけでも性格が顕れるような描写力が見事。

≪東海道吉田≫:このGIFでも有名な絵。茶屋に集まる人々の江戸時代らしいちゃきちゃきした感じが好き。

≪礫川雪ノ且≫:三十六景唯一の雪景色。しんとした雪景と、人物たちの華やいだ空気の対比が印象的。

≪東海道程ヶ谷≫:左端の人物の立ち姿、好きだ。

≪御厩川岸より両國橋夕陽見≫:水のもにょもにょした感覚が見事。

≪隅田川関屋の里≫:地を這う霧の造詣がスピード感を増す効果が。

≪ 神奈川沖浪裏≫:やはり凄い。白波はつづらのようにも見え、”そうかこれは富士の氷雪に呼応しているのか”と。

≪駿州江㞍≫:紙が吹き飛ばされることで目に見えない風が実体として描かれた逸品。

≪武陽佃嶌≫:様々な形の舟達が快く配置されている。

≪ 甲州伊沢暁≫:薄桃の射す朝景。みじたくしている人々の姿がまたいい。

≪甲州三坂水面≫:冨嶽三十六景はもちろん実在の場所を主題としているのだけれども、北斎はそこにモキュメンタリー的な手法と言うか、画としての面白さを求めて脚色を施したものも数多く在り、影が点対称に映るこの絵もそんな一枚。

≪遠江山中≫:本来あり得ない上と下から同時に鋸が挽かれる様を描いた作品。

≪東海道品川御殿山ノ不二≫:本来この方向から眺めると富士山はみえないが、そこは巧いフィクションとして描いている。

≪甲州三嶌越≫:真ん中の碧の巨木が大変に魅力的で、この巨木は他の処にあった矢立の杉を山深さを顕わすためにここに挿入したらしい。

≪青山圎??枩≫:無論東京からではこんなに大きく富士山はみえないが、ここではダイナミックに誇張されている。

≪隠田の水車≫:今の渋谷川の水車。水は本当は上には回らないが、ここでは絵の面白さのためにこうした演出が為されている。

≪ 尾州不二見原≫:円のリズムが非常に快い。

≪深川万年橋下≫:「冨嶽」なのに富士山がこんなにも小っちゃく、富士をみつける楽しみがあるともいえる。傘を深くかぶった釣人が格好いい。

≪登戶浦≫:鳥居が連なって海から立つ感じ、江川海岸の海中電柱っぽさある。

≪上總ノ海路≫:生で観るとグラデーションの美しさに吉田博に繋がるものを感じた。

≪本所立川≫:材木馬の縦の線の景観が美しい。

≪身延川裏不二≫:46枚目に描かれた一枚。富士は山嶺群の中に。

≪江戶日本橋≫:記念すべき冨嶽三十六景の一枚目。日本橋の雑踏ではなく、江戸城の遠景が描かれているのが興味深い。

≪江都駿河町三井見世略圖≫:三十六景の2枚目。これも三越の賑わいでなく屋根の人物たちや凧にフォーカスされているのが面白い。

≪東都浅艸本願寺≫:屋根がでかい。そしてまた凧。北斎、凧好きかも。

≪東都駿䑓≫:丘の緑の彩色、松から富士山に抜ける空円が美しい。

≪従千住花街眺望ノ不二≫:吉原の風景も北斎の目線だとこう切り取られる。

≪相州七里濵≫:湘南・七里ガ浜を江の島抜きで画くとは北斎もなかなかに狙うなぁw

≪下目黒≫:北斎は冨嶽三十六景で、有名な場所だけでなく通常取り上げられないような場所も描いている。これもそんな一枚。

≪武州千住≫:堰枠がアクセントになっていい感じ。また人体描写が素晴らしい。

≪相州仲原≫:なんでもないスナップショットのようで、きちりといい演技が人物に施されているのが見事。

≪駿州片倉茶園ノ不二≫:茶畑が描かれた逸品。また冨嶽三十六景に出てくる馬は愛らしさがある感じがいいなぁ。△とOのリズムが気持ちいい。

≪駿州大野新田≫:牛たちが逞しくも可愛らしい。

≪武州玉川≫:川の水面の線描の美しさと青と白のグラデーションが素晴らしい。

≪相州江の嶌≫:定番の観光ポストカードのようなデザイン。

≪相州箱根湖水≫:シンプルにデザインされた芦ノ湖の風景に山岩の斑点が面白い効果を生んでいる。

≪ 東海道江尻田子の浦略啚≫:36枚目の冨嶽三十六景。海の図像画線が真に綺麗。

≪東海道金谷ノ不二≫:そしてこれが37枚目。これは本当に凄い画!海波のデザイン性、そして波のリズムは丘にも伝わって。この絵をしれて良かった!

≪甲州石班澤≫:これもまた凄い。とてつもないスケール感があるのは漁師の”孤”が描かれているからかもしれない。

≪信州諏訪湖≫:描かれた時代にはもう失われていた幻の水城の風景を文書記録から蘇られた逸品。

≪諸人登山≫:実は冨嶽三十六景でこうした富士山の近景はこの一枚だけ。富士に登る人たちの勢いと風情が偲ばれる。

そしてこの展覧会では北斎以外にも、娘の葛飾応為の柔らかい夜の光が美しい≪吉原格子先之図≫や雅な≪源氏物語図≫、女性の身の施し方のマニュアル本に応為が挿絵を入れた≪女重宝図≫や歌川広重などが三十六景と同じ場所を描いている作品群、そして北斎が三十六景を描くときに参考にしたという河村岷雪≪百富士≫等も展示してありました。
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三十六景以外で特に身を見張ったのが北斎が三十六景を描き上げた後に描いた≪富嶽百景≫。白黒で画かれた富嶽百景の冊子が見開かれていたのですが、≪海上の富士≫という作品など、波濤から鳥達が生成され飛んでいく美事な奇想が描かれていて、”Great Wave”の先にまた進化した浪がありました。

北斎の絵の上手さ、取り分け人物の人格が顕れるようなカラダの描き方が抜群で。引き締まってきびきびした職人たち。ホクホクして楽しそうな町人。旅慣れた渡世人など、本当に上手い。

そして富士山。静岡の方に行くと、富士山が本当に良く見え、山に抱かれているような畏敬を富士に想います。江戸の都も富士山に抱かれていたのだなぁと。

そして最後に拙写真を。太田記念美術館から帰る夕闇の代々木公園からみえた富士山の影です。現代も富士の山は東京を抱いているのだと沁みました。

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by wavesll | 2017-10-27 22:29 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

挑発する藝術の秘 アイ・ウェイウェイ《安全な通行》《Reframe》@横浜トリエンナーレ

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横浜トリエンナーレでのアイ・ウェイウェイ(艾未未)《安全な通行》《Reframe》は救命ボートと難民によって実際に使われた救命胴衣による美術館正面の外壁全面を用いたインスタレーション作品で、トリエンナーレの象徴ともいえる作品。

強力なヴィジュアル・イメージを放つ本作品に対して、Twitterでみた一つの意見に膝を打ちました。
それは「これはケバブなのではないか」という視点。

成程と。なぜ救命胴衣を縦に重ね連ねたかの一つの解としてケバブのメタファとして中東世界からの様を顕わそうとしたというのはあるかもしれないと想ったのでした。

勿論これはアイ・ウェイウェイが提示したこのヴィジュアルに対する一つの見解であり、確定した正解とは言い切れません。寧ろこの謎の意味を考える行為そのものがこのArtの価値なのだと想います。

昨夜「断言には一歩引き、断言で否定されたらその根拠を訊き反論するといい」と書きました。

確かに呪いの様な言論にはその正体を明らかにすることは健全な行為ですが、自分を否定してくる言説に触れたときの方が居心地のいい環境にいるより化学反応というか、論考が深まることはあります。

挑発してくる敵はいまいましいけれども、しかしそういう人間を完全に排除すると色々と鈍ります。

そしてその時に安易に正解を聴かずに”何故か?”を考え続ける営為が思考の深度を増幅させることもあるかもしれません。

ただ前述したように”謎”が人間関係などに関わる場合は寧ろさくっと聴いた方が解決スピードが上がり実利があることも多く、そして悩みすぎて潰れてしまっては元も子もありません。

そうした時にArtが”この意味が分かるか”と挑発することはとても大きな意義を持つと想うのです。

挑発するArtは現代美術に限らず、例えばジブリ・アニメもそうです。宮崎駿監督の『耳をすませば』の企画書が凄すぎるという記事が先日話題になりましたが、その企画書を具現化する能力に舌を巻くと共に企画としての深い眼差しに驚嘆しました。

それは「もののけ姫」企画書に於いても「風立ちぬ」企画書に於いても、名匠による作品は時代へ突き刺さる洞察から、いかに生きるべきかという本源的な秘に挑む目論見なのだなと。

それはアイ・ウェイウェイのインスタレーションにも通じるものがあると感じました。圧倒的なヴィジュアルの強さで具現化された”Concept”の見事さ。
無論全てのArtがそういうものでもないと理解していますが、生の秘、その深い謎を提起する藝術を私はみてみたいなぁと透徹な朝の空気に想いました。
by wavesll | 2017-10-26 09:43 | 私信 | Trackback | Comments(0)

京博 国宝展にて龍光院の曜変天目を始めとする至宝をみる

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京都国立博物館へ開館120周年記念 特別展覧会 国宝をみに行ってきました。

7:30羽田発の飛行機で伊丹へ行き、そこから七条へ。11時頃京博に着きました。
チケット売り場は並んではいませんでしたが、事前にコンビニでチケットを購入しておいて。もぎりの処でオリジナルのチケットと取り換えてもらえるのでお薦めです。

中で20分程並んで入場。兎に角も凄い人!列は3Fへ行くエレベーターの列とのことでしたが、1Fからみることも可能とのこと。そして京都へ来た最大の目的のArtは1Fだったので、列から離れ1F奥へ。

それは龍光院の≪曜変天目≫。
銀河の様な青い輝きを放つ曜変天目は日本に現在3碗あると認められ私はその内藤田美術館の曜変天目と、静嘉文庫美術館の曜変天目はみていたのですが、龍光院の曜変天目は非公開で、今回の一般公開は実に17年ぶりという秘碗だったのです。

愈々宝物が眼前に。写真で見ていた分にはかなり地味な印象を受けていたのですが、生で観ると最初黒に真珠のような銀が入ってると思って。

そして上から覗き込むと曜変の靑虹の宇宙が。さらに4方からの覗き込む角度によっては中央に赤い煌めきがみえました。正に恒星を中心にした銀河の美しさ。想像していたよりも遥かに綺麗でした。

そこから階段で3階へ上がり順路通りに観ました。

まず初めは『書跡』。
≪伝教大師請来目録 最澄筆≫、≪弘法大師請来目録 最澄筆≫、≪聾瞽指帰 上巻 空海筆≫≪灌頂歴名 空海筆≫、≪金剛般若経開題残巻 空海筆≫。

最澄の最上に美麗で優美な文字に対して空海の筆致は気風のいい人格が伝わるような豪と崩しがある文字で。弘法大師の書跡を”三筆”と価値を見出したところに日本と言う国の感性を感じました。

そして次が『考古』。
≪深鉢形土器(火焔型土器)No.1≫。火焔型土器のデザインと機能展@國學院大學博物館以来の火焔型土器。本当にこんな独創的な器、太古の工芸の極み。改めて縄文土器は”縄”で出来ているのだと感じ入りました。

土偶達は東博・国宝展ぶりの再会でしたが、≪縄文のビーナス≫はどっかりした尻の迫力に、≪縄文の女神≫はローブの表現に、≪仮面の女神≫は腹と脚の存在感に目を奪われました。

中国・戦国時代の≪金銀錯狩猟文鏡≫の軍人や虎が描かれた金の美しさ、中国・漢時代の≪金彩鳥獣雲文銅盤≫の魔法陣のような美。この二つは細川護熙氏の所蔵とのこと。

≪荒神谷遺跡出土品≫は弥生時代の銅剣や銅鐸。同じく弥生時代の≪加茂岩倉遺跡出土品のうち銅鐸≫の流水の美。弥生時代≪桜ケ丘遺跡出土品のうち袈裟襷文銅鐸 4 号≫はよくみるとカマキリやトカゲが描写されていて面白い。

古墳時代の≪金銅透彫鞍金具≫の金と緑青の彩り。宗像大社の神宝館でも馬具が美しかったけれど本当に美事。≪宮地嶽古墳出土品≫も金と緑青、赤錆の美がありました。

飛鳥時代、≪崇福寺塔心礎納置品≫の銅の輝き。同じく飛鳥の≪金銅小野毛人墓誌≫は小野妹子の子どもにまつわる品。飛鳥≪金銅威奈大村骨蔵器≫は球形の骨壺。

そして平安時代≪山科西野山古墓出土品≫は坂上田村麻呂の太刀とされるものであったり、≪伝菅公遺品≫は菅原道真ゆかりの品だったり、平安時代≪金峯山経塚出土品≫は藤原道長の子孫の品と。教科書で観る名前がずらりと並んでいました。

そして2Fへ。まずは『仏画』。

≪釈迦金棺出現図≫は仏陀が涅槃の際に心配させないようにひょっと起きて説く様を描いた面白い場面の一品。白い後光が印象的でした。≪釈迦如来像(赤釈迦)≫は衣の文様が截金のようで印象的で。

≪普賢菩薩像≫は白象に乗った普賢菩薩のホワイト、青、緑が本当に調和した美しさがありました。≪千手観音像≫は髑髏なども手に持ちながら、怪しいものも含めて全部掬ってやるという魅力・迫力を感じる名画。≪山越阿弥陀図≫はブロッケン現象のように山の向こうに巨大な仏が顕れる画。

そして京都・知恩院≪阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)≫が流雲に乗ってやってくる仏を始めとした天界の使者たちの構図が強度のある美で。かぐや姫の物語のあのシーンを想わず想いました。

『六道と地獄』では2つの≪餓鬼草子≫が非常に印象的で。色欲、金銭欲、食欲、飽きなき貪欲さ、飢餓感に身を任せて欲するままに振る舞い、世を荒廃させる餓鬼。

餓鬼は英語ではHungry Ghostと表記されていましたが、飢えに支配されている彼らは貧じく、哀れで、最後には仏に救いを求めます。

荒れ狂う人は本当は哀しい存在で、本当に必要なのは地獄の業火でも忌避でもなく掬いなのではないか、そんな想いが去来しました。

そして『中世』
ここに本展覧会のもう一つの目玉、雪舟の国宝6点の展示がありました。
≪秋冬山水図 雪舟筆≫の次元を裂くようなアブストラクトな山水画の境地。これをみたかった!

≪破墨山水図 雪舟筆 雪舟自序・月翁周鏡等六僧賛≫の悠久に融けていくような山水、≪四季山水図巻(山水長巻) 雪舟筆≫の長編に及ぶ筆致、雪舟って幽玄なイメージがあったけれども、実際に生で観ると結構筆致がかくっと棒の連なりで創られているのですね。

≪天橋立図 雪舟筆≫の雄大な風景。絶筆となった≪山水図 雪舟筆 以参周省・了庵桂悟賛≫の水が滴るような巖。≪慧可断臂図 雪舟筆≫は笑うセールスマンのような緊張感のある時間が描かれていました。

『近世』では
≪楓図壁貼付 長谷川等伯筆≫の緑に朱が交じる秋草の一瞬が迫力をもって描かれておりました。また≪風神雷神図屏風 俵屋宗達筆≫はいつみても何度見てもいい。

そして≪風俗図屏風(彦根屏風)≫がとても良くて。江戸時代の人々のぽっとした惚れ心や、ちょっと悪い顔であったり憂いを秘めた顔であったり、人の機微、感情が良くとらえられた逸品でした。

そして『中国』。
≪夏景山水図 伝胡直夫筆≫が本当に素晴らしくて!正直、この国宝展の混雑が凄くて”美術みるってレベルじゃねーな”と人海の中で想っていたのですが此の絵はストレスを吹き飛ばしてくれました。

風が吹き抜け、高士が天然自然に高らかに向き合う山水画。風景の掛軸、絵画は広大な自然空間への窓となるイコンなのだなと感じ入りました。人間には、空間が必要です、それも突き抜ける広さの。

同じく南宋時代の≪秋景・冬景山水図 伝徽宗筆≫は緑がみえるような木々の擡げが≪松林図屏風≫にも通じる幽玄さをみせて。≪風雨山水図 伝馬遠筆≫も宙へ消えていく山水の緑美が。

≪禅機図断簡(丹霞焼仏図) 因陀羅筆 楚石梵琦賛≫≪禅機図断簡(智常禅師図) 因陀羅筆 楚石梵琦賛≫≪禅機図断簡(寒山拾得図) 因陀羅筆 楚石梵琦賛≫の禅問答の姿も面白く、≪帰牧図 附 牽牛 李迪筆≫の朴訥とした心温まる帰り路の光景も良かった。

そして元時代の≪飛青磁花入≫は鉄斑がどこからみても同じ具合に入るという、天然自然を技巧で練り上げた逸品でした。

そして1Fへ。
『彫刻』では、彫刻の国宝の8割が関西にあるとのことで仏像の豊かな美を心行くまで楽しめました。

法隆寺≪四天王立像のうち広目天立像≫は香川のような顔で、思弁に富んだ顔が素晴らしいものがありました。醍醐寺≪虚空蔵菩薩立像≫もどっかりとして耳を澄ます度量を持った顔で、≪薬師如来坐像≫のぷっくりと澄明な尊顔も素晴らしかった。

長谷寺≪銅板法華説相図≫は持統天皇ゆかりの品。アニメ的デザインと言うかかくっとした建築が面白い。薬師寺の≪八幡三神坐像のうち僧形八幡神坐像・神功皇后坐像≫も凄味がありました。

清涼寺の≪釈迦如来立像≫は木目が未来的。金剛寺≪大日如来坐像≫≪不動明王坐像 行快作≫はそのダイナミズムが物凄くて!光背の金の炎、定朝様に鎌倉が入る恰幅の良さと逞しさが両立した存在感に”こりゃ大仏建立で世が救われるは”と思わされましたw

『染織』
中宮寺≪天寿国繡帳≫に飛鳥とアラビアの繋がりをみて。法隆寺≪四騎獅子狩文様錦≫にも中東の風合いを感じました。シルクロード世界のグローバルな流通が想起されます。

延暦寺≪七条刺納袈裟≫には靑の滲みが滋味深く、教王護国寺≪七条綴織袈裟(犍陀穀糸袈裟)≫糞掃衣の聖と汚が交叉する美を観ました。

『金工』
金剛寺≪剣 無銘 附 黒漆宝剣拵≫の両刃の真剛な剣。そして≪太刀 銘 備前国友成造≫が細身でいかにも刃の攻撃的な美を感ぜさせる閃きに惚れました。

厳島神社≪紺糸威鎧≫は平重盛のもの。胴の部分の布地が趣が良かった。

善通寺≪金銅錫杖頭≫の火炎宝珠の美しさ。禅林寺≪金銅蓮華文磬≫は楽器とのこと。どんな音がするのだろう?≪中尊寺金色堂堂内具のうち金銅華鬘≫の迦陵頻伽が平安な美がありました。

厳島神社≪金銅密教法具≫のカッコよさ。神照寺≪金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠≫は花弁を盛るための器、なんと優美な。仏教国の三国の美意識が感ぜられました。

そして『漆工』。
仁和寺≪宝相華迦陵頻伽蒔絵䆵冊子箱≫のシック且つ絢爛なバランス感覚。それに付随した≪宝相華蒔絵宝珠箱 附 四天王像板絵≫も楽しい。

永青文庫≪時雨螺鈿鞍≫は曲面に螺鈿細工を行う超絶技巧。虹の光が本当に美麗。

そして≪婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用)≫は家光の長女の嫁入り道具。素晴らしい蒔絵の技が凝らされていて。特に宇治香箱、古今香箱に雅な世界を感じました。

最後が≪琉球国王尚家関係資料のうち美御前御揃≫≪琉球国王尚家関係資料のうち装束、鳳凰蝙蝠宝尽青海立波文様袷衣裳と流水鍵菱繋文様衣裳≫。日本と言う国は多文化の国なのだなと。アイヌには国宝はないのかな?とも思いました。鮮やかな朱と黄が印象的でした。

京博国宝展。
今回みたのはII期で、全IV期。2014年の東博の国宝展ともそこまで被っていた印象もなく、国宝の層の重厚さを感じました。

思えば東博の国宝展で仏画に目覚めたのでした。京博の国宝展でも仏画、地獄絵、仏像の至宝が沁み入った。それに加え縄文の美、ヤマトの美、人格が顕れる書、雪舟、龍光院の曜変天目、飛鳥のアラビアの美etc。この国の美術の饗宴に時めいて。

“国宝たる質とは何か?”。それに対する一つの解は“歴史上の人物由来の美術”でした。今も昔もインフルエンサーの周りには選りすぐりの財が転がり込むものであり、さらに言えばその人の名が凄ければ付随する品も凄くなる。

そして、美が恒星のように煌々とさんざめくART達が国宝になっていて。時空を超えていく未来への遺産を、大切に繋げていきたい。その平和な営みに貴さを感じました。

また面白かったのが関西の人は美術をみながら良くしゃべるということ。それもあっけらかんと嫌みがないところがいい。ライヴなんかでも東京より関西の方が盛り上がると聴きます。がやがやしつつもツンツンしてない熱がこの地の人々にはあるのだなぁと感じ、西国の社会の快さを味わいました。

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by wavesll | 2017-10-18 06:55 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

レアンドロ・エルリッヒ≪窓と梯子ー歴史への傾斜≫ in 窓学展ー窓から見える世界

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Spiralにて。レアンドロ・エルリッヒは金沢21世紀美術館の≪スイミング・プール≫を創った人。
by wavesll | 2017-10-06 00:37 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

LUCERNE FESTIVAL ARK NOVA 移動式コンサートホールにて『カルメン』楽曲を聴く

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ミッドタウンで膨らまされた移動式音楽ホール、アーク・ノヴァにてルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ2017 in 東京ミッドタウン スペシャル・コンサートを聴いて来ました。

ラインホルト・フリードリッヒ(tp), 竹沢絵里子(p), アンドレア・レッチェル(fl)による主に『カルメン』からの演奏。

ピアノのボディを弾いたのが印象的でフルートが心地いいシチェドリン「アルベニス風に」、波状的なメロディのピアノソロだったモシュコフスキ「ビゼーのオペラ『カルメン』から ジプシーの歌」が良くて。ビゼー(プロト編)「カルメン幻想曲」もトランペットが心に残りました。以前飛行機で『カルメン』を聴いて一度直に聴いてみたかったので良かった◎

磯崎新とアニッシュ・カプーアによって創られたこのアート建築プロジェクト。その発端は311の際にルツェルン・フェスティバル総裁ミヒャエル・ヘフリガーが安否を気遣う電話をかけて下さったことから。今まで松島、仙台そして福島にてコンサートが開かれてきたそうです。

空調音が気になったり、客席に傾斜がないため見づらさは感じましたが、全体的にとてもアットホームな心づかいを感じて、この特別な空間でのコンサートを楽しむことができました。

このアーク・ノヴァ、最初は外国の人が創ったのではないかと言う位日本人離れしたデザインに感じていたので日本人建築家設計というのに驚いて。ただ改めてみると速水御舟『翠苔緑芝』『名樹散椿』にも通じる自然の抽象デザインをみてとれる気も。興味深いトポスでした。

アーク・ノヴァの一般公開はもう終わっているのですが、10/4まで東京ミッドタウンに設置され、コンサートが開かれます。当日券はそれぞれの公演の1h前から売り出されるとのことでした。
by wavesll | 2017-10-03 04:31 | 街角 | Trackback | Comments(0)

歌麿≪品川の月≫・≪吉原の花≫・≪深川の雪≫@岡田美術館, RockCorps, 異色肌ギャル#TOKYO道中

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強羅に。銀豆腐にてしゃくり豆腐。美味しい。
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箱根の朝。猫、緑茶。
この”箱根の森から”、甘くて美味くて。
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緑と白銀が入り交じった今の時季の仙石原も美しい。
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ここら辺のコンビニは焦茶で統一されていて。ローソンには第三新東京市コーナーもありました。
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そんなわけで朝一で箱根へ来た目的は岡田美術館で歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」―138年ぶりの夢の再会―をみるためでした。
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喜多川歌麿の肉筆浮世絵の「雪月花」三部作、すなわち≪深川の雪≫、≪品川の月≫、≪吉原の花≫は日本から散逸していたのですが、≪深川の雪≫が発見されたことで、米国の美術館とコラボレーションし、3幅を同時に視る機会がこうして設けられたのです。

この内≪品川の月≫は門外不出とのことで高精細の複製画でしたが、≪吉原の花≫と≪深川の雪≫は本物。超大作の肉筆浮世絵に目を見張りました。

異なる時期に描かれたこの≪品川の月≫、≪吉原の花≫、≪深川の雪≫の遊女達。歌麿自身の画法の成熟も相まってそれぞれ若芽のような “走り”、咲誇る全盛の“旬”、円熟の“名残り”の女性の美を放っているように感じて。

そして実は岡田美術館、特筆すべきなのはこの特別展だけでない通常展示の素晴らしさで!
岡田さんが自分で”欲しい”と想ったのではないかと想わされる、”惹き”を持った作品たち!

特に1Fの中国・朝鮮の焼き物のコーナーのスウィートスポットを突いてくる感じがSTAR WARSのようなビッグバジェットで真正面から突き抜けた感があって。今回初めて意識して金の王朝時の焼き物を観ましたが、カラフルでいいですね。

日本美術も素晴らしくて。尾形乾山≪色絵竜田川文透彫反鉢≫や、横山大観、菱田春草、伊藤若冲、鏑木清隆、川合玉堂、速水御舟etc…もう錚々たるビッグネームの連なり。

ベストアルバム的な食い応えの重さがあった焼き物コレクションに対して企画展には打角の広がりも感じて。5Fの涅槃図に至るまで美の饗宴が其処に。

美術館の外には足湯が。そこから大壁画、福井江太郎≪風・刻≫がみられました。この超弩級の私設美術館、ART趣味の極み、2800円の入場料だったけど、期待に十二分に応えてくれる展覧会でした。これは箱根まで来る価値ありました。

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田むら銀かつ亭にて豆腐かつ煮。豆腐カツがこんなに美味いとは!豆腐と肉そぼろがカツレツされていて。豆腐は朝の銀豆腐を使ってるとのこと。強羅店は行列だそうですが小田原駅ビル店はさっと入れました。
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帰宅するとBS-TBSにてRockCorpsというフェスが流れていました。4時間のボランティアをすることで参画するフェス。アーティストもボランティアに参加するのがいいなと想いました。

福島や東京でのボランティアをみて、社会参画のいい入り口として素晴らしい取り組みだと想ったのですが、"ROCK"とつくなら"いい子ちゃん"よりちょっとワルい魅力があってもいいかもなとも想って。

そこにFifth Harmonyというヴォーカル・グループが出てきて。物凄くセクシーで。このフィフスハーモニーもボランティアに参加して。いい、こういう格好いい色気があるSTARがボランティアに参加するのは素晴らしい。

そしてそこから六本木アートナイトへ。目当ては異色肌ギャル
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蜷川実花プロデュースの"TOKYO道中"で、暗闇に綺羅綺羅と光る異色肌ギャル達が『攻殻機動隊』のダークな現代民謡な響きの中で妖艶にそしてPOPに魅力をかぐわせ現代の花魁と化していました。異色肌ギャルをモチーフとした浮世絵をみてみたい、miyakoさん等は笹紅色ボディともいえるし。

Twitterでみてみると義足の花魁の方や、小人症の花魁の方もいらしたみたいで、もっとちゃんとみれる位置だったらなぁ。各々の個性が原色・蛍光色が輝きを放つステージとなっていたのですね。闇に明滅する彩りは生命の燈。

女性の美のPOWERを滝のように浴びた一日となりました。
by wavesll | 2017-10-01 02:08 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

運慶展で彩色の仏像に開眼す+東博常設展・マジカルアジア展

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特別展「運慶」@東京国立博物館へ行ってきました。

運慶や父の康慶、息子の湛慶を初めとした慶派の作品展示。運慶の仏像の表情のなんと訴えかけてくることか。繊細な表現は特に小品に素晴らしいものがありました。

また父の康慶の豪壮さがまた絶品で。そして慶派の作品は極彩でも凄い!今まで色付きの仏像でいいと思ったのは少なかったのですが運慶・湛慶の≪聖観音菩薩立像≫(愛知・瀧山寺)や京都・海住山寺の≪四天王立像≫の素晴らしさには色彩仏像の感性が開かれました。

運慶・快慶というけれども、快慶展@奈良博&法隆寺大宝蔵院で観仏記 + Extra Tracksでみた快慶の作品と運慶の作品はかなり異なっていて。快慶の方が筋骨隆々としたダイナミズムと優美があり、運慶は端正で剛健。ここら辺ミケランジェロとダ・ヴィンチのような対比がありました。

会場に入ると先ず現れるのが運慶のデビュー作、奈良・円成寺≪大日如来坐像≫。丸みを帯びた顔やしっとりした体つきが印象的でした。

次の部屋にあった奈良・長岳寺≪阿弥陀如来および両脇侍坐像≫のしなやかな脚。そして≪毘沙門天立像≫(奈良・中川寺十輪院由来)の截金が美しくて。

そして次の間では早くもハイライトの一つ、康慶による奈良・興福寺≪四天王立像≫。これが凄かった!勇壮な武将天達の凄みを帯びた巨躯に目を見張りました。そしてその手前の同じく興福寺の康慶≪法相六祖坐像≫の表情の妙、侘び寂びの美がありました。

運慶≪毘沙門天立像≫(静岡・願成就院)は玉眼による実直な顔つきで。ドカベン的に安心できるフォルム。運慶≪不動明王立像≫(神奈川・浄楽寺)の木の肌の艶。運慶≪毘沙門天立像≫(神奈川・浄楽寺)は中国風のゴツい顔がコンパクトに締まって纏まってました。

そして本展の一つのピークが運慶≪八大童子立像≫(和歌山・金剛峯寺)!表情豊かな童の像X8!!!!
運慶は小品が殊に素晴らしい印象。本当に魅力的な表情をさせるのが上手い!ぷっくらした童子達の顔が可愛い。特に恵光童子と矜羯羅童子が好きでした。

そして奈良・興福寺の≪四天王立像≫はまるで巖のような荘厳さ。厳しい目と体躯の硬質さはギリシア彫刻の様。また運慶による≪無著菩薩立像 世親菩薩立像≫(奈良・興福寺)は人の悟りの先にある悲しみへの眼差しというか、泣いているような玉眼がとても印象的でした。

また東京・真如苑真澄寺≪大日如来坐像≫の心安まる金色と運慶≪地蔵菩薩坐像≫(京都・六波羅蜜寺)のたおやかな黒の対比も良かった。

その次のスペースにあった運慶・湛慶による≪聖観音菩薩立像≫(愛知・瀧山寺)はこの展覧会の中でも特筆すべきインパクトで。

源頼朝の三回忌でつくられた本立像は、白い肌に色彩豊かな衣をまとった菩薩像で、頼朝と同じ身長で、内部には頼朝の歯が収められているとか。彩色は明治時代に塗りなおされたそうです。言われてみると確かに明治的な感性を感じました。色味のある仏像でこんなにしっくりくるのが今までなくて。素晴らしい仏像でした。

京都・清水寺の≪観音菩薩立像 勢至菩薩立像≫のしなやかなボディー、京都・東福寺の≪多聞天立像≫は青い冠が綺麗でした。

そしてこの展覧会随一に心を打ったのが、康慶の四天王像を受けて作られた、≪四天王立像≫(京都・海住山寺)。数十センチの仏像で、最密な彩を為されていて。極彩と風化で木がみえるバランスが最高に格好良くて。もしこのクローン・フィギアがあったら4点セットで10万でも欲しくなっちゃいそうな出来でした。

そしてその後運慶の息子たちの作品が並んで。特に三男・康弁がつくった≪龍燈鬼立像≫(奈良・興福寺)がユーモラスにイイ顔をした鬼が良かった◎鬼たち、四天王に踏まれてばっかりだったからw同時に展示してあった≪天燈鬼立像≫(奈良・興福寺)もいい顔&いいケツしてましたw

そして最後に展示されていたのは≪十二神将≫(京都・浄瑠璃寺伝来)。十二支の干支の神将が全部一度に揃うのは42年ぶりだとか。子神、丑神、巳神、午神、申神、酉神、亥神が好きでした。

その後本館の常設展をみたのですが、湛慶による三十三間堂の千手観音菩薩立像や、運慶の孫・康円による愛染明王坐像などの作品が見れたので、運慶展に行かれた方は是非本館もチェックされてみてください。

そして刀剣ブームで水龍剣や三日月宗近には行列が。刀剣女子を始めて生でみました。

本館をみたあと東洋館へ。今「マジカル・アジア」という展示を行っていて。
通常の展示の中に特別なキャプションのついた「マジカル・アジア」モノがあるという展示構成。

エジプトのコーナーにはミイラや木乃伊を巻いた布、死者の書が展示してあったり、中国コーナーではウルトラアイみたいなアスターナ・カラホージャ古墳群の≪アイマスク≫やキルラキルLIKEなフォントの≪隷書六言詩横披≫があったりして中々面白くて。
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見逃せないのが地下一階の東南アジアフロアにあった異形な神仏像。

SDガンダムのガチャのような≪チャクラサンヴァラ父母仏立像≫
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ビックリマン的、モンスト的な3頭身の≪ヴァジュラバイラヴァ父母仏立像≫。
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≪八臂十一面観音菩薩立像≫、ラスボス感ある。
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最後は本館にあった可愛い奴、石川光明≪野猪≫。
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特別展「運慶」、本館常設展、そして東洋館のマジカル・アジアとじっくりみて、なんと4時間も眺めてしまいました。東博は一日楽しめるヴォリュームでほんと嬉しい。フードトラックなんかももっと入れてくれたらほんと8時間位いそうですw
by wavesll | 2017-09-29 00:02 | 展覧会 | Trackback | Comments(2)

HYT H2 TRADITION WATCH ー液体で時間を表示する機械式時計

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HYT H2 Tradition world premiere - SIHH 2016


元乃隅稲成神社から福岡空港に戻って時計雑誌をめくっていたときにみかけたこのWatch.

HYT H2 TRADITION WATCHは液体で時間を表示する機械式時計だそう。

ダイヤル外周に沿って極細のガラスチューブを円形に配置。その中に封入されたブルーの液体が時間を表示。より厳密に言えば、ブルーの液体と、その反対側の透明な液体との境界面が時間の経過とともに動いていく。この2種類の液体は水と油のように決して混じり合うことはなく、ブルーの液体が右下の6時位置まで達すると、瞬時に左下の6時まで戻って再び時間の表示をスタートする。いわば液体によるレトログラード表示といえる(pen ONLINE)とのこと。

この時計を制作したHYT(ハイドロ・メカニカル・オロロジスト)は日本初のコーナーを東武池袋店にオープン&7月20日よりフェア開催したそうで、恵比寿のウェスティンホテル1階にあるノーブルスタイリング・ギャラリーで見ることも可能だそうです。

ワクワク浮き立つ、明らかに一線を画したメカニズムの時計でした。
by wavesll | 2017-09-23 09:37 | 小ネタ | Trackback | Comments(0)

Rolling 2 the 福岡/山口旅行記 初日 大地のうどん,宗像大社の神宝,大宰府天満宮,もつ鍋 おおやま+Alpha

この連休に福岡・山口へ行ってきました!旅行記をShare.
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機上にてフランスにある五ツ星を越えたホテル「パラス」の記事を読む。

スペインのパラドールという世界遺産に泊まれるホテルもそうだけど、良質なホテルの創造はラグジュアリーな旅を求める層には訴えるのだろう。

自分は寝るだけだからホテルには拘らないけれど、そういう旅の愉しみもいつかしてみたい。
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台風の真っ只中人生初博多。
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博多駅内のインテリアがなんか洒落ている。心地の良いアジアと洋風の混じり具合というか。
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博多地下街にて大地のうどん。博多のうどんはむっちりしてて美味い。インスタ映えなゴボ天が味もんまい!これで500円とは行列も得心。
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さて、台風の影響でJR在来線が止まってたのには焦ったけれど、上手い具合にレンタカーできて、宗像大社へ。

神宝館を観た。沖ノ島で発見された国宝目白押し。
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金製指輪
碧玉製管玉
真珠玉、瑪瑙玉
金銅製心葉形杏葉
金銅製棘葉形杏葉
金銅製歩揺付雲珠
滑石製子持勾玉
金銅製高機

金銅製龍頭 一対
など凄かった。馬具があんなにも美的に素晴らしい宝となるとは。特に金製指輪はエトルリアの粒金超絶技法の如き細やかさだった。

宗像大社に祈った。
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神湊港へ。この辺りは古墳が多い。

玄海灘を望む。
海人族(宗像族)がこの海に挑んだから大和王朝は半島や大陸と繋がれたと神宝館のビデオで視た。その厳しい航海を成功させてくれたことへの感謝から沖ノ島に財宝を捧げたとのことだった。
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大宰府着。随分かっこいい喫茶店があった。
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大宰府は梅推し。梅ヶ枝餅うまかった。
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麒麟
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太宰府天満宮、美事。しっとりとして神秘的で円やかな雰囲気がとても好かった。
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このスタバ、大宰府店だったんだ。
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大宰府、梅の季節にまた来たい。
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一旦ホテルへ。TVはホークス優勝で持ち切り。
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旅先での楽しみの一つがその土地のメディアを視聴きすること。クルマでは前から聴きたかったCROSS FMを流してた。

その中でローリング・ストーンズの特集があって、はじめてストーンズの良さが分かった気がした。『悪魔を憐れむ歌』『黒く塗れ!』の黒い處が琴線に響く。最近Jimi Hendrix『Valleys of Neptune』Cream『Wheels of Fire』を聴き込んでいたところもあるのかも。ブルーズの入ったロックの愉しみが響く耳になってきた。

再び外へ。駅で知覧の緑茶。九州ならではの商品が嬉しい。狭山茶にちょい味が似てる感じ。
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フォロワーの方から教えて頂いたRe-actions 志水児玉・堀尾寛太 at 天神、三菱地所アルティアムへ。
《mebius》という作品が面白かった。ガラスでゆがんだレーザーがまるで膜を産むように空間を揺蕩わせていた。
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二人展の会場となったIMSというビル自体もエレベーターも宇宙船的で良かった。天神はなにやら面白い建物が多い印象。
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天神から中州を抜けて呉服町へ。バックパッカー風の白人の女の子が雨に降られていたので持ってたビニ傘あげた。あなたのでしょ言われたが折り畳み持ってるからと。なぁにコンビニで590円のビニ傘だw「Good Luck」と別れた。日本の旅のいい想い出になればいいな。

もつ鍋 おおやま本店、んますぎた。味噌がモツの味を吸って極上のトンコツと化していた。牛タンの唐揚げも美味だった。馬刺しも。極楽と化していた。
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中洲はアンパンマンの土地でもあった。
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本場の一蘭をみかけた
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中洲の屋台は残念ながら発見出来ず。日曜は出てないことが多いのに加え、最近はとみに減ってしまったらしい。
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天神駅からホテルへ帰った。地下街が大正ロマンって感じで良い感じに洋風で好かった。
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さて、愈々明日はこの旅最大の目的、元乃隅稲成神社へ。台風一過が楽しみだ◎

Rolling 2 the 福岡/山口旅行記 2日目 元乃隅稲成神社+Alpha
by wavesll | 2017-09-19 07:28 | | Trackback | Comments(0)