英一蝶展をみました。
英(はなぶさ)一蝶、芭蕉の高弟の宝井其角と親友であったり、吉原で遊びすぎて伊豆七島に島流しになったり、その島で江戸の遊興を描いたり、綱吉が死んで戻ったり、魅力的な人物。
サントリー美術館の展覧会は後で”観とけば好かった”となるのが多くて、彼の画は気になりつつ、そうはいいながらもそこまで優先順位が高くなかったのですが、日美で晩年に描いた仏画が紹介され、それがとんでもなく素晴らしくて、で、調べてみるとその画は10/14までの展示とのことで、東京ミッドタウンへ馳せ参じたのでした。
先ず出迎えてくれるのは江戸の人々の活き活きとした風俗画。
《投扇図》では鳥居に扇を通らせようとする姿が描かれて。《雑画帖》には《破傘人物図》や《清水寺舞台の蹴鞠図》といったシーンがスナップされて。《人物雑画巻》にはキセルを吸う人も。英一蝶の描く人々はほんとイイ顔してんだよな~w一蝶が描く線が本当に魅力を発していて。力強くて好いんだよな~◎
そして《地蔵菩薩像》!こんなのもあったのか!このトロピカルな配色が素晴らしい!
地蔵菩薩が立っている緑の蓮の花は正倉院展でみた≪漆金薄絵盤≫やミャンマーのLED仏を想起
島流しにあった先の御蔵島の神社に奉納してあった巨大な絵馬の《神馬図》のカスケード感のある黒毛と金色の目に、これも絵馬の《大森彦七図額》も好かった。
《虚空蔵菩薩像》がまた極彩色の衣を着ていて。在原行平の逸話にインスピレーションを受けた《松風村雨図》や《鐘馗図》の筆致かっこいい作品やソンブレロな《鐘馗図》もいいし、エネジーバルーンな《七福神図》もいいし、《吉原風俗図巻》の他の嬢と浮気した客と嬢に「この泥棒猫!」といってそうな女の様とか、島一蝶時代に離島から江戸を想ったココロあふれる大衆画が描けるから逆に神仏の画の聖なる描写にも行けるんだなぁと。
そして釈放され江戸へ戻り英一蝶を名乗る様になって描いたのは風俗画というよりも古典回帰でこれもまたいい。
椿とヤツガシラと柏と山鵲の《花鳥図》に輪郭なしの《薊図》もいいし、この作品だけ撮影OKだった《舞楽図屏風》で雅楽バンドでヘドバンしている奴らがマジ好こだったw
この《舞楽図屏風》の裏に描かれている《唐獅子図屏風》もダイナミックな筆致でコロコロと唐獅子たちが描かれていてとっても好かった◎
英一蝶時代に江戸の人々をモチーフにした《雨宿り図屏風》もなんかProduction I.G.みたいな人物の描き方でめちゃくちゃ好かったなあ。
島流しの原因とも噂された《朝妻舟図》もあって。宝井其角との別れのシーンは講談でも人気演目だそう。
そして…遂に出現
《釈迦十六善神図》!晩年に描いたとされるこの画はまるでデジタルサイネージのように輝きを放つこの画面になんとも極彩の仏たち。特に釈迦の衣のまるで截金のように精緻な文様がまた最高で。これはみれて嬉しかったなぁ!
後醍醐天皇を隠岐から救おうとし失敗した《備後三郎題詩桜樹之図》も格好良かったし、二代高嵩谷による《英一蝶像》で〆。こんな痘痕顔だったのかー。藝に生き、快楽を愛する人生、やりすぎちゃって島流し迄されたけど、その先でも想いが迸り誰も彼の自由な思想を押さえつけることは出来なかった、好いなぁ◎