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携帯電話の将来-ポストバブルの方向性-part1

0 はじめに 
 現在、日本では携帯電話の販売・利用サービスに「インセンティブ」というものが使われています。販売店にインセンティブといわれる販促金をキャリア(通信事業者)が支払うことで、非常に安価な値段で端末が小売店で販売され、次々と買い替えが行われるようになっています。なぜこのモデルが成り立つかというと、「1:新しい顧客が増えることにより、全体としての収益が増えるから」と「2:新端末でできる新しいサービスによって、利用料が増えるから」です。
 つまりより市場規模を拡大させていく時期にこのインセンティブ制はあっていたのです。しかし、この成長モデルは砂上の楼閣ともいえます。要はこれは「市場が必ず成長すること」を前提としたバブルモデルだからです。来年には全人口の70%が携帯を持つようになり、1の前提が成り立たなくなります。また2に関しても現在携帯電話ユーザーは「a:一年ごとに買い替えをする層」と「b:壊れるまでひとつの端末を使い続ける層」に分かれているため、一旦普及しきった後は一部のユーザーにしか効果がないわけです。
 いずれ日本の携帯電話モデルは方向転換を迫られることになるでしょう。その時携帯電話産業やスタイルはどう変わっていくのか?この問題について考えをまとめていきたいと思います。

1 現状分析Ⅰ:今までの日本の携帯電話事業

1.1 携帯電話の誕生
 携帯電話の始まりは1979年に日本で世界初のサービス開始された自動車電話でした。その後1985年にNTTが初のポータブル電話機「ショルダーホン」を発売します。PHSはデジタル式家庭用コードレス電話機の子機として1993年から開発が始められました。ここではPHSも携帯電話の一種として考えます。

1.2 デジタル化と新規参入
 日本では、1990年代前半までは盗聴や逆探知が容易なアナログ方式が主流でしたが。盗聴が困難で周波数帯域の効率のよいデジタル方式に切り替わっていきました。また、当初はNTTのみがサービスを提供していましたが、1988に日本移動通信(IDO)やDDIグループが新規参入してきました。1994年にはデジタルホングループ(現ボーダフォン)、ツーカーグループが新規参入、また1995年にはNTTとDDIポケット、アステルによるPHSサービスも本格開始され、現在のキャリアの元となる事業者が揃いました。

1.3 小型化と音質の向上
 当初はショルダーバック程の大きさがあった携帯電話でしたが、1989年にDDIセルラーが初の超小型携帯電話機「モトローラ・マイクロタック」発売したことを皮切りに1991年のNTTのmova等、端末の小型化が進んでいきました。またデジタル化に伴い、PDC方式やCDMA方式の採用により、音質の向上が図られました。

1.4 多機能化
 1996年にデジタルホングループが携帯電話初のショートメッセージサービス「スカイウォーカー」を導入し、携帯電話でのメール交換サービスを各社が始めるようになりました。これによりポケットベルは姿を消していくことになりました。
 また1999年にNTTDoCoMoがサービス開始したiモードは爆発的にヒットし、他キャリアもはそれぞれEZweb・J-スカイ(現ボーダフォンライブ!)という同様のサービスを提供しました。
 そして2000年に初のカメラ付き携帯電話「J-SH04」が発売され、「写メール」という名称でJフォンが売り出したところ大ヒットとなり、他キャリアも同様のサービスを提供しました。
 2004年12月現在、最新の高機能端末にはゲームが出来る・地上波テレビが見られる ・FMラジオが聞ける ・テレビ電話が出来る・動画(ムービー)が撮影できる・GPSによるナビゲーション・歩数計機能の搭載・電子マネー機能の搭載(FeliCa)等、多彩な機能が搭載されています。

1.5 キャリアとシェアの変遷
 1999年にデジタルホン・デジタルツーカーグループが統合しJ-フォングループに社名変更、また2000年にKDD・DDI・IDO合併によりKDDIが発足し、翌年にはAUブランドでの携帯電話事業が開始されました。2003年にJ-フォン株式会社はボーダフォン株式会社に社名変更され、ツーカー3社は2005年3月25日付で、KDDIによって完全子会社化される予定となっています。
 PHS事業者は初期の投売りやサービスエリアの狭さからイメージが悪化し、現在音声事業を全国展開しているのはNTTとDDIPのみになっています。NTTも今後はデータ通信事業のみに力を注いでいくと発表しているため、音声事業者は2005年2月にKDDIグループから離れ、WILLCOMに社名変更するDDIPのみとなります。
 また、ソフトバンクやイーアクセス、平成電電、アイピーモバイルが携帯電話事業に新規参入することを表明しています。
 シェアは現在DoCoMoがほぼ50%、AU・vodafoneがそれぞれ20%強と弱、ツーカーとDDIPが5%となっています。また、ここ最近の純増数ではAUがDoCoMoを抜かす様相をみせています。

1.6 料金体系
 携帯電話は使用した料金分を後から払うポストペイド方式が主流となっています。料金先払いのプリペイド方式もありますが、全体から言うとその割合は低いです。
 ポストペイドの場合、月極の通話基本料(無料通話分と言われる先払い分含む)と、利用料を払います。最近はiモードなどのサービスが増えたため、パケット料金や着メロ代が利用料の大半を占めることも多く、パケ死と呼ばれる過剰利用のユーザーもあらわれました。
 長期に使っているユーザーに対する割引や、年間契約を前提とする年割り、プリペイド分を来月に持ち越せる繰越しサービスや、家族で同じキャリアを使うことで受けられる家族割りなど、現在、キャリアの囲い込みサービスが数多く提供されています。
 更に、2004年8月にAUが開始したダブル定額のように、パケット定額制がDoCoMoやvodafoneでも始められました。AUが開始する前からDDIPはAirH”、NTTは@FreeDというモバイル向けデータ定額サービス、そしてAirH"フォンという端末向けパケット定額サービスが開始されていましたが、メジャーな存在ではありませんでした。

1.7 通信端末としての進化
 現在携帯電話は「電話」としての完成を遂げ、通信インフラとしての環境整備にむかっています。現在3Gと呼ばれる通信方式では、300kから最大2.4Mもの速度を出すことができます。またPHSでは32kから128kのサービスが提供されています。今後も通信の高速化と安価化の流れは進んでいくでしょう。

1.8 形状の多様化
 当初はストレートタイプがほとんどでしたが、iモードや写メールといったサービスが始まると、大きな画面で傷つきにくい折りたたみ型が主流になりました。またスライド型やターンスタイルなどの製品も販売されるようになりました。時計型や電子辞書タイプも発売されましたが、さしたるヒットにはなりませんでした。

1.9 メーカー
 当初はかなり多くのメーカーが参入してきましたが、販売台数や端末開発費の問題もあり、パイオニアや ケンウッド、 デンソー(日本電装)が撤退したため、現在日本のメーカーはNEC(日本電気)、 パナソニック モバイルコミュニケーションズ(旧松下通信工業)、三菱電機(Diamond)、富士通 、ソニー(ソニー・エリクソン)、日本無線、シャープ、日立製作所、カシオ計算機、東芝、三洋電機、京セラとなっています。またNokia(フィンランド)やMotorola(米)の端末も国内で利用する事ができます。

1.10 ユーザー数の推移
携帯電話/PHS/無線呼出し契約数 社会法人 電気通信事業者協会(TCA) 調べ 
端末の小型化や料金の安価化により、携帯電話契約数は増え続けています。しかし、その伸びは確実に鈍ってきています。

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参考:三田論文(PDFファイル) 
Wikipedia
IT用語辞典
by wavesll | 2004-12-19 14:55 | 小噺 | Comments(1)
Commented by wavesll at 2005-01-19 09:45
申し訳ない。本当にすまん佐川。俺の実社会での呼び名が書いてあったのでに消してしまいました。
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