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松本人志『大日本人』 ハレとケガレ

松本人志の『大日本人』をみた。いや、この映画凄いよ、誰だこの映画がつまらないって云ったのは!

<大日本人>は芸能人、松本人志自身のメタファーであり、それはハレとケが逆転している生活を送っている存在、つまりは天皇であり、プロレスラーであり、ウルトラマンであり、力士であり<大日本人=カミ>すべてを指す概念だと想った。というかそう読めばこの映画はとってもすっきりと読める。

日本人の中で、少なくとも<4代目>、つまり昭和の辺りまでは藝人というものはまさに<カミ>だった。sono存在は完全なるハレであり、儀式的お約束、藝が大事にされる感覚がかなりあった。力道山やジャイアント馬場、アントニオ猪木がHEROとして存在できた時代だ。

しかし平成バブルの狂乱で、<ハレがケを侵食した>.
日常がハレとなってしまった。この時代に<大日本人>に求められることはあまりに要求が高くなりすぎて、<5代目>は躰に電流を流しすぎて死んでしまった。これはバブル崩壊のメタファーかもしれない。

そしてデフレ時代に生きる<6代目大日本人=松本人志>は、<<英雄なのに一般人と同じ境遇を要求されている>>。geiの世界はケの世界と比べて競争が非常に厳しく、そう簡単に生き残れないから、羽目を外すのは当たり前なのにそこにも<デリカシーやシンパシー>が求められるようになってしまった。これは<改善活動>が大きすぎて、本来ケの世界がハレの世界並に厳しくなって、笑って許せるバッファがなくなったこと、また藝が飽和してしまって稀少性も、必要性もなくなったこと。要は<藝人が普通の人になってしまった時代>が訪れた事を指している。つまり藝人のケガレた部分が増幅される<時代の空気>になったんだ。

鬱鬱としたペースで話は続く、おそらくこの<溜め>に多くの観客は耐えられなかったのだろう。しかし、最後、モロウルトラマンのパクリみたいな奴らが出てくる特撮パートで、それまでのストレスがいっきに反転し解放されきったすっきりした笑いの気持ちで映画は終わる。やはり松本は素晴らしい藝人で、腕は決しておとろえてないと想った。


ハレ晴レユカイ
by wavesll | 2011-02-06 22:57 | 映画 | Comments(2)
Commented by mipopo at 2011-02-27 20:10 x
「大日本人」観ました。ビジュアル的にちょっとストレスだったりしたけど、面白かったです。この解説読んで、映画の意図がちょっとわかった気もするけど、最後の展開も色々難しかったです、、

あと、ジョゼも観ました。こっちも良かったです(^^)b
Commented by wavesll at 2011-03-04 20:59
それは良かった(^^)
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