成田空港からフィンエアーで9時間、窓の外には月明かり、反対側の窓には夕焼けがいつまでも広がりながら、飛行機は北極圏を飛び続けた。 俺は飛行機で長時間過ごすのが好きで、今回も新聞を読んだり(朝日が面白かった。)、映画を見たり、酒を飲んだり、音楽を聴いたり(Russian Rockというチャンネルが面白かった)、物思いにふけりながら過ごしていた。 旅は生活の重みを軽くしてくれる。新しいものに触れる異化作用で心躍るし、自分の身を安定した、わかりきったサイクルから外して不安定な場に置くと冒険心も刺激される。その浮揚への序奏が航空機の機内なわけだ。 ヘルシンキの空港に着くと、入国管理官が「観光?」と日本語で話してきたwどうやらフィンランドには日本人がかなり来ているらしい。4日間の滞在だと告げて乗り換えのゲートへ歩いた。 空港内のショップではムーミンのショップやマリメッコのショップがあった。マリメッコのショップはフィンランド国内のほかの地域でもかなり散見されて、なかなか洒落ていたので、村でコップを土産に買った。 ヘルシンキから国内線で1時間強でラップランド(フィンランドの北極圏地域)のイバロへ、そこからバスで宿泊地のサーリセルカへ着いた。サーリセルカはオーロラを見に来る日本人と、スキーをしにやって来る現地人の村だ。荷物を部屋へ置き、スーパーでピロシキとビールを買って夕食にした。ビールが曲者で、なんか果物のジュースが混ぜてあるみたいな感じで、甘くて参った。 スーパーではやきそばが売っていたw その日の夜は満月が綺麗だったが、空の大部分が雲に覆われていて、オーロラは見れなかった。 2日目、ホテルで朝食を食べたあと、8時48分のバスでサンタクロース村へ向かった。 冬のラップランドの陽は短い。日の出が10:30あたりからで15:00には日は落ちてしまう。そのかわり、空の主役は月だ。月光や星あかり、オーロラがラップランドの夜を彩っている。 3時間強バスに揺られ、サンタクロース村に12:00に着。 インフォメーションセンターで北極圏到達証明書を買ったあと、村を散策した。 郵便局でサンタから届くクリスマスの手紙を申し込んだあと、マリメッコのアウトレットショップを見て、カフェでサーモンブレッドを食べた。フィンランドはサーモンが旨い。 その後サンタのオフィスを訪ね、アトラクションのような室内を抜け、サンタと記念写真を撮った。サンタにどこから来たのか尋ねられ、ジャパンからだと答えたら「サッポロ?」と聞いてきたwカメラマンは「チョットヨッテクダサイ」というし、日本人はいいお客さんだ(笑)写真は25ユーロだというので買わなかった。 3時台のバスでサーリセルカへと戻った。バスの中で隣に座ったおじさんに、「ノーザンライトを見に行くんだ」というとケータイで調べてくれて、今夜は太陽風がハイレベルだから、期待できる。ベストタイムは22:00から23:00だと教えてくれた。その他にもこちらではトナカイを一頭買いしてさばいて食べるんだとか、トナカイはマッシュルームを食べて育つだとか、若くて小さいほうが美味いだとか教えてくれた。ホテルにサウナがあるんだというと「Sauna is the best part of Finland」といってサウナ入ったあとは雪の中で泳げとアドバイスしてくれたwほんといい人だった。こちらは田舎のせいもあり人が温かい。 この日は天気がよくて、雲一つなく、オーロラが期待できたのだが途中から霧が出てきて、ダイヤモンドダストがちらついた。 サーリセルカへ戻り、スーパーでビールを買ったあと、トナカイバーガーの店へ行った。そこでせっかく「レインディアバーガープリーズ」と言ったのに「トナカイバーガー?」と聞き返してきやがった。日本語しゃべれすぎだwちなみにトナカイはフィンランド語でポロというので、ポロプリーズと言って、食べた。クセもなく美味かった。「キートス(サンキュー)」「ヘイヘイ(バイバイ)」といい店を出た。 ホテルへ帰りサウナへ入った。こちらのホテルには部屋にシャワーだけで湯船がないが共同サウナがある。前にフィンランドサウナは男女共同だと聴いたがここは時間で分けられていた。 サウナから出て、部屋で過ごしたあと、オーロラを探しに外へ出た。霧がすごかったが、丘へ登るとどんどん霧が晴れてきて、北斗七星やオリオンの他星がたくさん見え、そしてオーロラの白い光が波打った。オーロラは満月のため肉眼ではほとんど白くてたまにうすぼんやり緑色に見えるくらいだったが、デジカメに取ると人によっては緑色の輝きが写っていた。 俺もカメラで撮ってはみたものの、性能の問題でそこまではっきりとは映らなかった。 しかし肉眼では空を縦横無尽にかけるまさにオーロラといった感じの天体ショーを小一時間ほど楽しめた。他の日本人に聞くと6回来ても見れない人もいたらしいので、初回でこんなにみれたのはほんと幸運だった。 三日目は現地の遊牧民、サーメ人のトナカイ牧場へ行った。トナカイに餌をやったりコタというテントの中でサーメ人の暮らしを聴いたりした。トナカイは毎年角が生え変わるらしい。サーメ人は今は定住しているが、森の中へ出かけるときはコタを30分くらいで作ってそこで過ごすこともあるという。民族衣装の色も地域によって変わるといった話を聞いた。 街へ戻り、一通り街歩きしたあと、ショッピングセンターでサーモンの切り身を買って、ホテルでパンに挟んで食べた。その後TVとかをみて時間を過ごした。こちらはお国柄かノルディック複合などのウィンタースポーツの大会を中継していたり、アメリカの番組がフィンランド語字幕付きで流れていたりしていた。 夕食は村のレストランでサーモンとザリガニのスープとトナカイソテーを食べた。前にシラク大統領がフィンランド料理はイギリス料理の次に不味いと言った記事を読んでいたのであまり期待はしていなかったが、なかなか美味かった。とくにスープの方は本当にうまかった。 3日目の夜もオーロラをみに出かけたが曇っていてみれなかった。返す返すも2日目の夜にあれだけみれて良かった。 その後火事騒ぎがあったり、ソリで遊んだりして最後の夜を楽しんだ。 そしてまたイバロへ行き、ヘルシンキへ行き、成田へ戻ってきた。東京は今日は寒かったらしいが、なにしろサーリセルカの夜はマイナス20度を下回っていたので、空気がそよ風のように感じられた。 Concerto UAKTI
by wavesll
| 2012-12-04 18:28
| 旅
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