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シベリア・文明の遷移

シベリア・文明の遷移_c0002171_22193885.jpg昨夜、今夜とBSTBSで放送された『伊藤英明の大シベリア』をみていました。

日本人の源流の一つと言われるバイカル湖周辺に住むブリヤート人。彼らと日本人に有るD4j8という遺伝子は中国人・韓国人にはほとんどないそうです。彼らの残したラスコーの壁画の様な、狩りが描かれている岩面も、自分のルーツの人々が描いたと言われるとまた違った感慨を想わされました。

自然を畏敬するブリヤート人は、ケルンの様に自然の中で石を積み上げたり、水の湧き出る聖なる泉にコインを投げ入れて祈り、飲むといったように、日本とのつながりを感じさせる風習が今も残っていました。

舞台はバイカル湖畔からトゥバ共和国へ。そこでシャーマンの処へ。街にかけられている五色の旗は、チベットのタルチョーの様。その後に出てきた伝統音楽、ホーメイは南をモンゴルに接しているだけあって倍音歌唱の共通文化を感じさせました。

この間のマケドニアのエントリアルメニアのエントリの時も想いましたが、西欧と北東アジアの間のミッシングリンクが、ユーラシアの中央を知ることで感じ取れる気がします。東欧からバルカン、アラブ、南アジア、東南アジアへと続く南方の道と、北方のシベリア。ロシアはモンゴルとスラブが混じる混血文化ですから東西を貫くシベリアという土地を知ることで、コーカサスからウクライナ問題など、現代問題にまで知見が拡大させられそうですね。

番組ではトゥバ共和国、テレ・ホリ湖に浮かぶポル・バジン遺跡が取り上げられました。2007年に調査が開始されられた粘土の壁に囲まれた遺跡はシャンバラへの入口とも言われましたが、最新の調査ではウイグルの城塞都市だったそうで宮殿や神殿があったそうです。奈良時代の遺跡だそうで、日本では吉野ヶ里遺跡あたりの話ですよね。

舞台はサハ共和国へ。夏は30℃、冬はマイナス60℃になる土地にあるレナ石柱公園も素晴らしかった。500万年かけて形成されたこの石柱の数々。冬の氷結したレナ川と雪に覆われた石の作り出す造景も見物でした。アジアとしてのシベリアに、興味が掻き立てられました。

その後番組ではサハに住むヤクート人と伊藤英明の交流を描き、ジブリ好きのイローナちゃんと家族に日本から持ってきて作った蕎麦やカレーを振る舞う様子が描かれた後、何と間宮海峡をキャタピラー付き雪上車でサハリンを目指すという冒険振り。結局暖冬で十分に海が凍っておらず、樺太へは渡れなかったのですが、そういえば昨年中村雅俊が間宮林蔵のサハリン縦断調査を追った冒険番組が流れていました。

樺太は南からサハリンアイヌ、ウイルタ、ニヴフという先住民族が棲んでいて、彼らの力を借りてサハリンが半島でなく島であることを間宮は解明し、世界地図にその名を残しました。

シベリアから日本への遷移を考えるときにはアイヌ民族の事は忘れるわけにはいきません。
アイヌの素朴で豊かな音楽を知るには『アイヌ・北方民族の芸能』がお薦めです。昭和28年から51年にかけて録音された歴史的音源で、素のままのアイヌの音楽を聴くことが出来ます。CD3枚組で9000円もするアルバムですが、関東近郊では代官山蔦屋書店でレンタルすることができるので、是非◎
by wavesll | 2015-03-08 23:00 | 小ネタ | Comments(0)
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