・今更フォーキー・ロックを焼酎ロックで聴く
野毛の図書館から帰ってきて、家で赤霧島のみながら「あ、音楽婚礼ネタで赤霧島とJake Buggの1stあわせたら結構イケるんじゃね?」と流してたらMumford And SonsのBABELの方があうかもしれん。等と夕刻を過ごしていたのですが、この『BABEL』というか10年代頭に起きたフォーキーだったりカントリーなロック、当時全然嵌らなかったなぁと今更ながら想ったのでした。 今こうして聴くと、「こういうオーセンティックなロック、焼酎に合うから霧島酒造がポップアップ焼酎バー出すならこれ系をBGMにしたらいい感じやもしれぬ」と想うし、実際聴いていて、清涼感のあるポップネスを持っていて、これをイケメンが唄って女の子がキャーキャー言うのだから、大したものだ(何がだよw と想いましたが、やっぱり出た当時は「リバイバルというか焼き直しだろ?」という気持ちは拭えず。ジェイクバグもサマソニで適当に眺めたのですがあまり心には響かなかったのでした。(これは私の英語力の拙さが要因かもしれませんが) ・音楽に"新しさ"を求めることは"二周目"の思考? ただ、「音楽に新しさを求めること」というテーゼ、これ自体が"二周目"の思考な気もするのです。 "二周目"というからには"一周目"はいつかというと、0代、10代の、触れる音楽すべてが新しかった時代。義務教育時代と言うか、高校までくらいを考えてます。 今アラサーの私の時代には、WinMXとかはあったものの、Youtubeはまだなくて、CDTVも昔のベスト10なんかやらないしMステや歌番組でも懐メロは余り流れず、カヴァーブームもなく、90年代はTV番組で流れる音楽はほぼ新曲群だったような印象があります。昔の曲が流れるのはものまね番組とか、紅白くらいでした。 触れる音楽の多くが新曲、という状況だったのですが、自分は別にその時「この楽曲は新しいから好きだ」とは想っていなかったと思います。寧ろブルーハーツとか、ブランキーとか、オーセンティックなロックを好んでいましたし、ダンスビートはチャラい気がして小室や浜崎などのAVEX系はそんな好きではなかったし、モー娘。の『恋のダンスサイト』なんかが売り出された日にゃ「何だこの変な曲は。こんなんが売れるなんてもう終わりだな」とクラスメイトのアイドル好きを揶揄してたものでした。 その一周目の終わり、というか一周したなと思う瞬間はいつかというと何を聴いても「あぁこれはあれの焼き直しだな」とか言いだしちゃう時だと想うんですよね。例えば自分は毛皮のマリーズを聴いたときに「おいおいこれはイエモンの焼き直しじゃないか」とか言っちゃったものです。それ言ったらイエモンだってグラムロックと歌謡曲を掛け合わせた、先人の影響を受けたバンドだというのに。 刷り込みというか、最初に触れた衝撃が起きるセンス・オブ・ワンダーな時間、それが"一周目"だと想うのです。その時触れる音楽はすべて新しく感じる。Youtubeなんかが整備された今でも、リンキンの影響を受けたワンオクとかが日本で人気になるし、洋楽の翻案という日本の案件だけでなくて、ジェイクバグやマムサンが人気になるのは、一周目の力の為せる技な気がします。 ティーンの時に惚れる音楽的な旨味は、時代が変わっても案外変わらないのかもしれません。それプラス、ポップミュージックは歌物だと、宗教的なカリスマ性か異性としてのアイドル性が求められますからいつだって"その時代のスター"が求められるのかもしれません。"ユーロビートの焼き直しだろ?"と揶揄されてもEDMにティーンが心酔するのは、そういうことでしょう。 ただ、洋楽好きの方が"音楽性の新しさ"に敏感な気がします。邦楽を落とすわけではないですが、良くも悪くも邦楽は邦楽っぽいなぁと想いますし、日本人の味付けをしたちょっと前に海外で流行った音楽、な気がします。ベビメタとか、日本のアニメから生まれた音楽ジャンル「J-CORE」とか、海外から逆に評価されて注目を集めるものもありますけれどね。そういった意味では渋谷系は違うかもしれませんが、日本独自の音楽は、日本の音楽好きが好むフィールドからは離れたところで生まれるのかもしれませんね。それも、"新しい音楽を産んでやろう"みたいな頭でっかちではなくて、気持ちいい、快い音楽をやってやんべ!みたいなところから枯れた技術の平行思考的に生まれてるのが面白い。こう考えてみると日本の音楽は"折衷性"ということが大きな特徴かもしれませんね。 ちょっと話がズレましたが、音楽文化を育むという点で、先鋭的な音楽を追求する人を持てはやすことも楽しいけれど、もっと一般に訴求する売れる音楽は、或いはアート性よりアルチザンから生まれるのかも。等と最近思っていたのでした。ただ、そうして一周目に音楽好きになった人たちが、社会人になり、家庭を持ちなどしていくうちに音楽から離れてしまうのは残念だなぁと想うし、その時に"二周目の音楽"が必要になるのかもしれません。或いはフェス文化のような、一部のクラブ文化のような、そしてカラオケ文化のような"社交としてのツール"として生き残る。私のような"ゴルフの中継はジャズだな…"とか言っている人間よりも、普通の音楽が好きで、普通に金を落とす人たちの方が、産業的な力は持ってるよなぁ、マネーパワーあるし、人々を養えそう。と想ったのでした。 ・ロック≒巨人軍説 一周目に自分が嵌った音楽はロックでした。生命を削った音に全身をやられ、モッシュ・ダイヴで自らも生命を燃やす。10代の頃出来ていたことが、今は後ろの方でスペース広く踊ったり、或いはライヴレストランで座ってみるのが好きに成ったり。ロックには有り余るエネルギーが必要だなと思います。月曜職場にいかなきゃならん…などと想ってると、中々に難しい音楽で、全能感に浸りきる詩の世界も社会人だとだんだん辛くなってくるかもしれません。今の自分は半ば隠遁しているので、別の意味で辛いかも。 ロックンロール・リバイバル以降、"ロック"が古典化していくこの10年間は、個人的にもロックから離れていった20代だったのですが、巨人が野球の盟主ではなくなったように、ロックが音楽の盟主ではなくなった世の中をゆかなくてはならないのは、アナクロな人間としてはちょっと淋しい所もあります。 昔から音楽は世の中の未来が鳴っていると想ったのですが、業界的には停滞、海外進出が普通になる、技術の進歩に、創造性と産業性から大きく影響を受けているというのは、野球業界とも同じイシューを抱えているかもしれませんね。メジャーリーグの視聴率落ちてきてるそうだし。 そもそも、このエントリを書くきっかけになったのは、ある女性に「新しいものを取り入れないとダメだ、という考えそのものをカッコ悪く感じてしまった」と言われたことでした。その子は名画座が好きな子で。 DVDや動画配信に押されている映画館業界も、ライヴビューイングや4Dだけでなく、応援上映なるものも行われているそうです。これはインストア・イベントに活路を見出すタワレコや一部書店の動きとも連動していて、それはオーセンティックな映画好きが求める映画らしさではないかもしれません。そして映画自体も、古き良き時代の方が名画が多いとするのも、わかるなぁ。というか、こうしてみると、コンテンツ業界全体が苦境に陥っているという感すらあります。 ・音楽業界は野球業界から多くを学べるのでは その上で音楽業界がこれからスポーツ業界に学ぶ点は大きいのでは、とも思います。一つはライヴメインであるということ。そして放映権ビジネスがあること。何より、東京ドーム5万人の興業を一年で100回近く行うというのは、ポール・マッカートニーでも不可能ではないでしょうか? 全国大会に向け地元の高校を応援するなどの草の根運動に加え、キャンプやオープン戦もニュースで報道するというTV占拠率、そしてGetSportsのような解説番組で技術の解説やインタビューも怠らない。1年に及ぶペナント戦で、順位が入れ替わり立ち代わりしていくのは、音楽フェスのステージ昇格・降格ゲームにも似ている気がします。さっと考えただけでもこれだけでるし、そして日本代表戦という枠組みでサッカーに地位を追われている野球。次の課題としてFIFAを研究するのもありだと思いますが、国内産業的には、音楽業界が野球業界に学べるところは結構ありそうな気がします。とりわけ、"同じルールをずっと続けて改良してきた”という点に於いて。
by wavesll
| 2016-02-29 22:04
| 小ネタ
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