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『大巨獣ガッパ』にみる驕りからの脱却

大巨獣ガッパ 予告篇


衛星第一で『大巨獣ガッパ』を観ました。

日活の1967年の怪獣映画。南太平洋のオベリスク島でみつけた謎の爬虫類で島の守り神?"ガッパ"の幼体を日本に持ち帰ると両親ガッパが日本に襲来し…というお話。

物語が始まったときに本筋とは関係ないところで"ちょっとこれはアレかもなー"と想ったのはオベリスク島の原住民たちを日本の俳優がラッツアンドスター式に黒塗りで演じていた点。彼らはあくまで純真な存在として描かれているし、時代背景から無邪気な演出なのだろうとは思いながら、2016年に"粗野なTV番組"であるクレイジージャーニーでもしっかり文化の違いが尊重されるのと較べてみるとちょっと傲慢な表現にも思えます。逆に言うとこの50年で日本人の振る舞いも品良くなったんだなとも想ったり。

"驕りからの脱却"というのはこの作品でも一つのテーマになっていて、スクープ狙いの雑誌記者や、新発見狙いの研究者、そして名声と金儲けを正義とする社長といった"仕事の野心はすべてに優先される"という男社会に対して、親子の愛や自然への畏敬をガッパが顕わし、最後彼らが改心するというお話。

逆に今、草食系なハーレムアニメとかともすると頭でっかちなサイバーアニメをみていると、彼らの無邪気な自己肯定感やギラギラゴリゴリやっても否定されない時代背景というか、主張し行動する強みを改めて感じたりもしました。人としての迫力がものをいうのはいつの時代も変わらないし。

今回、植民地主義的な傲慢さというか蔑視みたいなものに嫌悪感を感じてしまったのですが、民族系の音楽をかみ砕いた感じというか、リゾート・エスニックな音自体は改めて好きなんだなとも思ったり。実際、第61回酒と小皿と音楽婚礼 Les Baxterと一番搾りプレミアムにて極上Exotica遊覧なんかはかなり好きな自分もいますしね。こういうポリティカルコレクトネスというかそういうのはハラスメントにも似た難しい話だなと思います。自粛するだけが正解とも限らないし。

ともあれ、この50年の日本人の意識の洗練のされ方は肯定して誇れるものなのではないかなと想いました。
by wavesll | 2016-07-08 19:55 | 映画 | Comments(0)
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