由比ガ浜で『Fantôme』を聴く。『忘却』、浪の音が聴こえる中シームレスにKOHHのラップとビートが刻まれていく。KOHHがこんなにも叙情的に歌えるとは。宇多田が詩を描いているのだろうか?宇多田の声が輝きを通していく。曇天の海辺に響きが射していく。“明るい場所へ続く道が明るいとは限らない”。曲が進むにつれ、音が上がるにつれ、或いは瞳が闇に慣れるにつれか夜の海の鮮やかさが増していく。遠くでクルマの流光、灯台の瞬き、黒の中寄せる白波。アウトロで再び浪音が響いてくる。なんて光景、なんて抒情、なんて歌か。この歌の真の姿はこの環境で顕れるのではないだろうか。そして『人生最高の日』への入りの流れにハッとさせられる。得難い体験だった。
TOYOMUが宇多田ヒカル『Fantôme』を全曲リミックス(FNMNL)宇多田ヒカル「忘却 featuring KOHH」MUSIC VIDEO